楢崎欣弥の発言 (本会議)
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○楢崎欣弥君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました、いわゆる農業金融関連二法案につきまして質問をいたします。(拍手)
冒頭、全国農業協同組合連合会の子会社、全農チキンフーズが犯した一連の偽装事件についてお伺いします。
今、農協系統に働くまじめな人たちは、怒りと無念、そして恥ずかしさで、胸がいっぱいではないでしょうか。
一連の偽装工作のうち、特に許されないのは、抗生物質が入ったえさを食べさせる通常飼育の鶏を、抗生物質を入れないえさで育てたブランド品「薩摩無薬飼料産直若鶏」と偽装表示して販売していたことです。
これは、アトピーなどアレルギー性疾患に悩む人たちにも提供できる安全食物ということを考えたときに、場合によれば身体に重大な影響を与えるという点で、あの雪印乳業食中毒事件と全く同質の悪質な犯罪であり、刑事罰に該当するのではないでしょうか。
また、精肉のうち、もも肉百三十四トンが無薬飼育として販売されたことにより、約五百三十六万円の利ざやを得ています。金は返せばいいというものではなく、詐欺罪が成立するのではないですか。(拍手)あわせて、この件で捜査は検討されているのか、初めに法務大臣にお伺いします。
この事件は、もはや全農自体が責任ある農業団体としての自覚を喪失しているものであり、バブル期以来、利益追求本位の体質が何も変わっていないことをあらわすものであります。昨年の農協改革関連二法における議論は何だったのか。
農協系統が組織存亡の瀬戸際にありながら、切迫感、危機感が感じられない。これは、長年、自民党農水部会、農水省、農協がもたれ合いの関係を続け、我が国農水行政をいわゆる族議員が食い物にするような政官癒着構造による甘えが、結果さえ得られれば経過は無視する姿勢となってあらわれているのではないでしょうか。
こういう体質の全農は、もはや解体的な出直しが必要であろうと思います。農水大臣の所見をお伺いします。
また、今月二十二日には、農水省と厚労省が設置したBSE調査検討委員会の報告書原案が公表されました。正式には、四月二日、両大臣に提出されますが、案の定、農水省の不適切な対応が重大な失政として、厳しく批判されています。消費者と生産者から信頼を失い、莫大な損害を国民に与えながらだれも責任をとろうとはしない、そのような政府に対する批判もこの根底にあるのではないでしょうか。
厚労省のチェック機能不在も指摘されました。重大な失政と指摘されたその責任の所在を含め、この原案に対する農水、厚生労働両大臣の所見を伺います。
次に、本農業金融二法案の内容について伺います。
初めに、農業近代化資金助成法等の一部改正案について質問します。
本法案は、既存の制度資金をわかりやすく、使いやすい制度へ再構成するものとして提出されたと説明されています。農業近代化資金、農林漁業金融公庫資金、農業改良資金の三種類の制度資金は、今回の法改正により、民間金融機関一カ所で一括して申し込みができるようになるというものです。
融資を受けたいと考える側の利便性が向上することだけに限定するならば、評価できます。しかし、今回の法改正に当たって確認されなければならないことは、数多くあると思います。
一つは、各制度資金の利用率の低さについてです。
農業近代化資金の融資枠は四千億円用意されています。しかし、平成十二年度の融資実績は九百七十二億円にすぎません。農業改良資金は、六百三十四億円の融資枠に対して、百十七億円の融資実績しかありません。それぞれ二四%と一八%しか実際に貸し付けがされていない、融資枠の多くが活用されていないのです。
さらに、融資実績の推移を見てみると、その激減とも言える減少がうかがわれます。
このように、融資実績が減少するとともに、融資枠の大方が利用されていないにもかかわらず、本年度の予算を策定するに当たって、融資枠の見直しは一切行われていません。この点について、農水大臣の認識を伺います。
次に、農林漁業金融公庫についてお伺いします。
昨年十月、行政改革推進事務局から発表された「特殊法人等向け平成十四年度財政支出等に関する各府省要求・要望に対する検証」では、「農林漁業者に対する融資」という項目で、農業近代化資金によって民間金融機関が類似の事業を実施しており、同公庫の事業規模を縮減することが求められています。また、「食品製造・加工・流通事業者に対する融資」の項目では、民間でできることはできるだけ民間にゆだねるという原則のもとに、融資対象事業を縮減した上で融資条件を適切に見直すことが求められており、特に、融資条件の見直しについての対応が全くなされていないことが厳しく批判されています。農林漁業金融公庫という公的な金融機関が民間の活動を圧迫しているわけであり、その是正が政府内から出されているのです。
本法案は、この行政改革推進事務局の見解についてどのように考えているのでしょうか。農水大臣のお考えを伺います。
次に、農業改良資金についてお伺いします。
現在、この資金には、農家生活改善資金というものが用意されています。説明によると、この資金は、共同で子供の遊び場などを設置したいときにも借りることができるということです。融資実績もほとんどなく、今回の法律改正に合わせて廃止されると説明されてはいますが、農業の融資制度以外では考えられないお金が借りられるというのは、都市住民にとっては理解しがたいものでしょう。
以上のように、現在の制度資金に関する問題点はさまざま指摘ができます。今回提案された農業近代化資金助成法等の一部改正案によって、これらの問題点は払拭できるのか、農水大臣にお伺いします。
続きまして、農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法案について質問をいたします。
本法案で想定されている投資育成会社は、農協系統、地方公共団体等の出資によって設立するものとされています。この投資育成会社が農業法人に投資をするわけです。
しかし、そもそも農業法人化を積極的に取り入れたのは、農協の指導による生産・流通体制を嫌った者たちではなかったでしょうか。現在、農業生産法人の優良事例として紹介されているのは、農協に頼らず独自の生産方法、流通ルートを開拓しているところが多いのが現実です。このような状況下で、農協が中心になると考えられる投資育成会社が農業法人から受け入れられるでしょうか。
この法案によって農業法人投資育成会社が設立されたら、どのくらいの数の農業法人が投資を受け入れるのか、また、投資育成会社の経営はどのくらいの時間で利益を上げられるのか、その見通しについてもお伺いします。
この農業金融二法案は、農業の構造改革の推進と担い手の育成という二つの政策課題に基づいていると説明されています。しかし、農業基本法を食料・農業・農村基本法に改正し、基本計画にのっとって農業構造改革、食料自給率の向上などを打ち出しているにもかかわらず、その結果がいまだに見えてきません。その中で、この二法案が実効性を持つものなのか。農水大臣に、農政の基本方針をお伺いするとともに、この農業金融二法案の位置づけをお伺いします。
最後に、今国会は、有事対応の法案が提出されると聞いています。
私は、平成十二年八月四日、農水委員会において、食の安全保障について質問をいたしました。資料の要求もいたしましたが、いまだ明確な回答がありませんので、再度お聞きします。
一九七四年十月、当時の農林省において、「輸入がストップした場合におけるわが国の栄養水準(試算)」という研究がなされました。有事緊急食料対策として研究されたその一端を紹介しますと、
一、全国のゴルフ場千三百六十七カ所(計画中のものを含む)の面積十四万六千ヘクタールのうち三分の二を耕作化して甘しょを作付けるほか
二、開拓可能地(百五十四万ヘクタール)を耕地および草地に開発し、
中略を入れまして、
短期のうちに百五十万ヘクタールの農地を生み出すためには、大量のブルドーザーが必要となる(わが国には計十四万五千台ある)。このうち農地造成につかえる十トン級以上のブルドーザー四万九千台を総動員する。約一年間、フル稼動すれば百五十万ヘクタールの農地は生み出せる。
三、労働面では農家が他の産業へ転職することを禁止し、逆にサラリーマンのうち必要な人員を農業に徴用する。
四、水産物については、遠洋漁業の操業が全面的にストップすることとする。
等々、まだありますが、非常に具体的であります。
これは、有事における国民の食料事情の一端を示唆するものであり、何よりも、現憲法下では到底実行できないということであります。
大臣、今日において、食の安全保障というべき研究、検討はなされているのでしょうか。食の危機管理対策という観点からお伺いします。
私は、人類の食を預かる農林水産業は、やはり国の中心産業だと思います。創意と工夫によっては花形産業にもなり得る。そのためには、古い殻を破るような発想の転換が必要でありましょう。
お互いに知恵を出し合って、農林水産業の発展のために尽くしていきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣武部勤君登壇〕