武山百合子の発言 (本会議)
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○武山百合子君 私は、自由党を代表して、ただいま提案のありました個人情報の保護に関する法律案、行政機関における個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等における個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案、行政機関における個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について質問いたします。(拍手)
冒頭に、一言申し上げます。
今回、自民党を初めとする与党は、行政機関における個人情報保護に関する法律案外四法案について、本来総務委員会で審議すべきであるとの私たち野党の強い要求に対し、個人情報保護法案を審議する内閣委員会に付託することを主張し、これら五法案は結局、一括して審議するということになりました。
私は、世間から強い批判を浴びている個人情報保護法案の審議時間や質疑回数を少しでも多くとるという観点からは、これでよいのかという思いを禁じ得ません。
また、先般、総理の本会議、委員会の出席は重要な広範議案に限るとか、総理が本会議、委員会に出席した週は、党首討論である国家基本政策委員会は行わないとのルールが定められましたが、これは、総理の本会議、委員会への出席が余りにも多過ぎる、総理が出席するような重要な議案は週に一回、慎重に審議しようとの観点から決められたはずです。
しかし、今回の小泉総理、政府・与党の国会運営を見ますと、本日の個人情報保護法案の趣旨説明、質疑に引き続き、あすには有事法制関連三法案の趣旨説明を本会議で行うことになっています。このような国民生活の根幹にかかわる重要法案の趣旨説明を二日連続で行うことは、通常では全く考えられません。(拍手)余りにも強引な日程であり、国民を無視した、力ずくの行為であります。
小泉総理、あなたは、本会議に出席したという口実で、国家基本政策委員会を開かずに党首討論から逃げ回る一方で、国民の関心の非常に高いこれら重要法案をゴールデンウイーク前に駆け込み的に審議入りするとは、一体どんな神経なのでしょうか。(拍手)非常識きわまりないではありませんか。小泉総理及び政府・与党は猛省すべきです。
とりわけ、山崎拓自民党幹事長の女性問題に目をつむったまま、これら重要法案を審議することは到底できません。今回報道された山崎幹事長の愛人問題は、口にするのもはばかられるほどおぞましいものである上、公費による衆議院の正式の海外調査団の団長を務めながら、愛人を同行させたことが事実ならば、院の権威を落とす愚行であります。(拍手)
小泉総理は、個人情報保護法案、有事法制関連三法案という、二十一世紀の日本の行方を左右する重い問題に取り組む前に、自民党総裁として山崎幹事長を更迭すべきです。(拍手)そうでなければ、総理の座右の銘である信なくば立たずなど、空念仏にすぎません。総理の見解を求めます。
さて、この個人情報保護法案については、我々自由党も、かねてから、個人情報を保護するための法整備は早急に行うべきであるとの観点から、法案策定の必要性を認識していました。そして、連立与党のときに、個人情報保護に関する与党プロジェクトチームに参加し、私自身もチームのメンバーとして実際に討議を行い、検討を重ねた経緯があります。
しかし、そのベースとなった考え方は、あくまでも、高度情報通信社会推進本部個人情報保護検討部会で平成十一年十一月に出された、OECD八原則も踏まえた中間報告であり、それをもとに立法化の検討が進められていたはずです。この立法化は、報道機関などからもある程度の賛成を得られていましたが、残念なことに、自由党が連立を離脱した後に、この原則は大きく変質してしまいました。
立法化は、もともと、国や地方公共団体が保有する個人情報を国民が自己管理することを促し、民間事業者が保有する個人情報の商業目的による不正流出を規制することを主たる目的としていたはずですが、現に提案された法案を見ますと、まず、個人情報保護法制の基礎となるべき自己情報コントロール権についての規定が不明確、不十分であります。その一方、個人情報取扱事業者に対する主務大臣の権限が強大であり、公権力による民間への不当介入を招くおそれがあります。さらに、義務規定の適用除外となる報道の範囲があいまいな上、基本原則が適用されることで取材、報道活動の萎縮を招き、表現の自由を侵害するおそれがあります。
つまり、ジャーナリズムを含む民間全体を取り締まる法律に性格を変えています。この内容では、言論統制法であると指摘を受けるのも当然です。(拍手)
本法案は、廃案にして新たにつくり直すか、前に述べた指摘を踏まえ抜本的な修正を行うべきと考えますが、小泉総理の見解をお伺いします。
次に、法案の目的について伺います。
政府案では、政府が基本原則と基本方針を定め、国、地方公共団体の責務を明確にするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務を定めることとなっています。しかし、これだけでは、個人情報の保護という本来の目的に反して、むしろ、政府・与党がジャーナリズムや表現活動に新たな制約を加えるのではないか。いわば、官が情報をコントロールするだけの法案になってしまう懸念が非常に強くあります。
したがって、少なくとも、法案の目的に、自己情報のコントロール権を明確に位置づけるとともに、個人情報の収集、利用、第三者に対する提供などに係る本人の権利権益を保護することも明記すべきであると考えますが、総理の見解を伺います。
さらに、基本原則及び基本原則の適用除外について伺います。
本法案では、基本原則は、個人情報を取り扱うすべての者に適用されています。確かに、基本原則には罰則などの規定がなく、単なる努力義務とされていますが、個別の条項である、適法かつ適正な取得とか、本人の適切な関与、透明性の確保などの原則に基づいて、正当な取材活動であっても取材拒否されたり、取材した後も取材内容の開示を求められたりするおそれがあります。また、法律違反を理由に裁判に訴えられる可能性もあります。
これでは、報道機関と取材源の関係が根底から揺らぐことになり、取材、報道、表現活動が大きな制約を受けることは明白です。例えば、この法案が成立していたとしたら、前自民党鈴木宗男衆議院議員の疑惑に対する取材活動は何らかの厳しい制約が加えられていた可能性があります。
また、報道機関が報道目的で個人情報を取り扱う場合は、第五十五条により義務規定の適用を除外されることになっていますが、適用除外はあくまでも報道の用に供する目的の場合に限定されており、しかも、報道目的か否かの判断は行政にゆだねられることになっています。加えて、この適用除外の対象には出版社やフリーのジャーナリストなどは明記されていないなど、重大な問題があります。
今後、適用除外の規定を明確にするとともに、必要なものは、基本原則自体を適用除外とすることを法案に明記すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
次に、主務大臣の関与について伺います。
本法案では、個人情報を取り扱う事業者の事業内容によって主務大臣を置くこととしていますが、これでは、所管大臣ごとに異なる取り扱いがなされるなどの事態が生じる可能性が十分にあります。また、民間事業者全体や思想、信条、言論、表現などの自由に対する不当な介入を招きかねません。さらに、主務大臣の監督、命令などは、あくまでも事業者の行為に対するものであって、実際に個人情報を侵害された者の苦情処理や救済は機能しない可能性もあります。
したがって、所管ごとの主務大臣の関与はやめ、統一的な個人情報保護の第三者機関として、個人情報保護委員会を独立行政委員会として設置すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
また、本法案や、その他の議題である行政機関の保有する個人情報の保護に関する法案などの四法案がこれだけ批判されているのは、国民の間で政府・与党に対する信頼が全くないことも一因であります。政府・与党に対する不信感が強いからこそ、本法案が恣意的に運用されるのではないかと疑われ、ここまで反対の機運が高まっていることを小泉総理は肝に銘じるべきです。
最後に申し上げます。
今回の法案は、国政選挙などで自民党の勢いが衰え続けている政治的背景のもとで、自民党を初めとする政府・与党が、ジャーナリズムに対して公権力による規制を行い、自分たちの都合のよいように報道機関をコントロールしたいとの思惑から作成されたことは間違いありません。小泉総理や政府・与党に良心が残っているのであれば、みずから反省し、この法案を廃案とすべきです。(拍手)
なお、あえて申し上げますが、ジャーナリズムの側にも問題があります。報道機関は、強い社会的影響力を持っております。最近、集団的な過熱取材、過熱報道がひど過ぎるといった指摘は、多々受けてきたはずです。個人情報保護法案が出された後、報道機関側も、改めるべき点はみずからの手で改善していくと言っておりますが、遅きに失した感は否めません。国民の信頼を回復するためにも、必要な改善は自主的に、早急に行うべきです。
自由党は、本法案の廃案を目指すとともに、個人情報の自己管理の確立と、個人情報の不正流出を規制することを主たる目的とした、新たな個人情報保護法案を作成することに全力を尽くすことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕