宮本一三の発言 (予算委員会)
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○宮本委員 総理のお考えもよくわかるのでございます、そして財政に余裕がないというその考え方も私はよくよくわかるわけでございます。
しかしながら、この日本の経済、このまま二年、三年続けていきますと、構造改革は必要だし、またその成果を期待するわけでございますけれども、なかなかこの二、三年に構造改革の成果が景気回復に結びつくような形で出てくるかどうかについては、非常に私は心配をいたしております。何とかこの二、三年だけでも、財政赤字を覚悟で積極的にやっていただきたい。
確かに、財政は心配であります。私も、その財政の心配を一番している一人であると思っておりますが、ちょうど二十年ほど前、渡辺美智雄大蔵大臣のときに、日本の債務残高、長期債務が百二十兆に達しておりました。GDPでいうと四十何%。しかし、このままいったら大変なことになるぞという危機を持ちまして、渡辺大臣にお願いをして、財政再建の必要性のキャンペーンをスタートしていただきましたが、それに対しまして、東京大学の内田忠夫教授が公開質問状で、どうも大蔵省の財政主導主義は納得できない、財政も大事だけれども、もっと大事なものがあるんだという公開質問が出されました。それに対して、私の方で、これは私の名前で大蔵省見解として、昭和五十五年の九月でございましたけれども、渡辺大臣にかわりまして内田忠夫に反論を日経新聞に出した記憶があります。
私は、財政の健全性、これは本当に必要だと思っておりますけれども、しかし、今の日本の経済、これは財政も大事だけれども、本当にこのまま、今ちょっと景気はいい色は見えているというけれども、私は長続きするかどうか疑問です。何としても、この二、三年、勝負でございますので、そして構造改革はしっかりやっていただきたい。それだけに、それと並行して、二、三年、場合によっては百兆から百五十兆の公債発行がふえてもいいというぐらいの覚悟で、何とか財政運営を、そして経済運営をリードしていただけないか。
確かにムーディーズが、A2の格下げにやられましたけれども、これはムーディーズの勉強不足だと私は思います。日本の場合、海外資産、特に国全体としてネットの海外資産が一兆四千億ドル。アメリカの場合は、今や二兆二千億ドルのマイナスであります。この日本の黒字に対して、二番手のドイツだって、せいぜい二千億ドルぐらい、あるいは三千ぐらいじゃないかと思います。もう断トツのネット資産を日本国は持っております。確かに財政は六百九十三兆という債務があるということで、一四〇%だと大騒ぎしておりますけれども、細かいことかもしれませんが、この六百九十兆の中には、特別会計の債務を全部国の債務として計算していますので、中には、国の債務と考える必要のないようなもの、例えば郵貯特会の借入金なんというのは六十兆ぐらいありますけれども、これは債務とは言えないと私は思うわけでありますが、そういった問題はテクニカルな問題ですから。
それにしても、この数字だけに余り気を使わないで、何とか、場合によっては百兆、百五十兆。二十年前心配しておるころからすると、もう本当に百二十兆が六百九十兆になっちゃったわけですから、これからもうちょっといいだろうというのは大ざっぱな言い方かもしれぬけれども、今ここまで経済が傷んでおります。何とかもう少し、赤字を覚悟でこの二、三年走ってもらえないか。そして、この蛇口を握っているのが、総理、あなたでございますから、総理が蛇口を少し緩めれば、あしたにも景気はよくなります。何とかひとつお願いしたい。どのように総理はお考えでしょうか。