川橋幸子の発言 (憲法調査会)
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○川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋でございます。
まず最初に、総論的な意見を述べさせていただきます。
四月一日の毎日新聞の社説でしたが、こんな表現がありました。旧憲法、明治憲法ですけれども、不磨の大典と発布勅語で呼ばれたそうでございます。また、当時、山県有朋首相の施政方針演説では、千歳不磨の大典とも言ったそうであります。不磨の大典という意味は、「一言一句変えてはいけないという意味ではない。千年も万年も「磨滅」することなく憲政というシステムが続くという趣旨」、これが社説が訴えている趣旨でありまして、私も同感であります。
次いで、当調査会の参考人でおいでになられました佐藤幸治教授は、これはこの当委員会でも、あるいは三月二十六日朝日のインタビュー記事におきましても同趣旨のことを言っておられます。どういうことかといいますと、憲法というとすぐ法典を考えるけれども、英語のコンスティチューションには体質、構造、伝統という意味があると、そうした憲法コンスティチューションを血肉化していくことが大変大事だということでございます。
佐藤教授は、憲法の考えている姿と実際とがこの統治機構についても非常に懸け離れていると、現実の政治、統治システムを憲法の考えている姿に近づけることが必要だという、こういう論者でいらっしゃいまして、私も同感でございます。かつて、憲法九条につきまして、新し過ぎるという話があると改憲論があり、今、国際貢献の観点から見ると古過ぎるから変えようという、こういう声があることを比較憲法学者の樋口陽一教授は心配しておられますけれども、統治機構についても私は同じような心配があると。
私は、出口を急ぐのではなく、国民投票制度について検討することは意味があるとしても、出口を急ぐではなく、中身を検討すべきだということが総論的な意見でございます。
さて、時間が少のうございますので、私は女性の代表というわけでもなくて、全国民の利益を代表しているつもりでございますが、女性に関する問題を何点か述べさせていただきます。
まず、皇室典範の改正でございます。
かつて、国連の女子差別撤廃条約批准のときに、皇位継承者が男子に限られている皇室典範が問題になりましたが、そのときの政府答弁は、天皇は国民でないから憲法上の国民の基本的人権は認められなくてもよいと。これはあしき法律家の論理、詭弁であります。
今回、愛子内親王誕生の際、国会は皇孫殿下誕生のお祝いを決議したわけでございます。中には、男子のお世継ぎの出産をこれから期待できるからという声があるわけでございますが、これは雅子妃殿下に対して更にプレッシャーを掛け、個人の尊厳を侵害するものだと考えます。皇室典範の改正を訴えるものでございます。
その次は、選挙制度の問題について申し上げさせていただきます。
昨年の参議院選から比例代表制の非拘束名簿方式、つまり元に戻ったわけでございますが、そもそもこのことの発端は自民党内の問題、お金で党員を獲得して順位を決めるという、こういう問題からすり替えられて導入されたものであると私は思っております。しかし、私も、我が国では職能代表の意味が乏しいから、こうした非拘束については見直すべきだと思っております。
比例代表制が意味を持っていたと思いますのは、地盤、看板、かばんという点で不利であった女性、障害者、マイノリティーなどの新人の政治への参入を、開かれた政党の在り方といった観点から、政党の政策によって容易にしてきたことが挙げられます。女性の場合は、このことによって議員比率を高めることができました。今回、非拘束になったことにより、数で調べますと、参議院選挙の当選者数は、九五年に二十一人であったものが、九八年に二十人、二〇〇一年に十八人と明らかに減っているのでございます。
諸外国の例を見ますと、女性比率といいますのは、北欧で四〇%、大陸系中欧で三〇%、英米系で二〇%という比率から考えますと、日本の一〇%というのは途上国の平均にも及ばない、これが現実でございます。これから考えますと、政党内のアファーマティブアクションやクオータ制、フランスの場合は直憲法の中で男女同数条項、パリテを入れたものでございまして、国際的に日本の女性の地位が危惧されているこういう状況の中では、男女共同参画社会基本法の趣旨に基づいて、選挙制度についても検討すべきだということを申し上げたいと思います。
次は、司法との関係で申し上げさせていただきます。
司法制度改革、これは今回の統治機構の中で様々御意見を伺って私もよく理解できたと思います。司法の民主化といいましょうか、内閣、行政の民主化と同時に、ブレーキを踏む方の司法の民主化も進めるべきだと思います。
しかし、司法制度改革の中で欠けている部分があると思います。それは、国際社会における我が国司法の制度の在り方であります。個人通報制度という、こういう制度をプロトコルで規定した人権関係の条約が幾つかございます。それに対しまして日本の場合は、司法の独立、裁判官の独立から問題があるとして、政府は大変長い間この批准をしていないわけでございますけれども、司法の独立といいますのは行政からの独立をいうことでございまして、司法の独立あるいは裁判官の独立という問題はまた我が国特異の問題ではなく、このグローバリゼーションの中で、国際司法の中で協調していく必要があるとすると、こうした条約の批准は急ぐべきだと思います。
一つだけ挙げさせていただきますと、国際人権規約の中に個人通報制度が書かれているわけでございますけれども、条約本体の批准国数は百五十近く、それから通報制度の批准国数が百近く、こういう状況の中で、日本だけがこの通報制度を批准しておらない。先進国だけではなくて途上国でさえも多数を占めている、批准国が多数を占めている個人通報制度については、是非批准に踏み切るべきだということを申し上げたいと思います。
大変言いたいことがあるもので早口で申し上げてお聞き苦しいかと思いますが、あと数点申し上げさせていただきたいと思います。
国民主権の問題が今回のテーマでございました。第十条の日本国民たる要件につきましては、先ほども同僚の魚住委員の方からも御指摘がありましたが、私も同感でございます。国籍取得の要件を開かれたものとすべきだということでございます。日本のように、民族性、文化性、これが個人のアイデンティティーとして尊重されるべきなのですが、この辺を消しゴムで消し去るような形の帰化の申請届けというものは問題ではないかと思います。
この点で、元参議院議員、民主党の参議院議員竹村泰子さんが、帰化申請書の帰化後の氏名につき、日本風の名前に変えることを法務省は指導していないと言うけれども隠微な形で実質的に押し付けていると、何回も繰り返して質問されたわけでございますけれども、私はこの点、竹村さんの意思を引き継いでこの場で主張させていただきます。法務省は更に努力すべきだと思います。
また、在日外国人の地方参政権を認めるべきこと。それから、難民認定、今回アフガンの問題で日本の難民受入れの問題が国際社会でも指摘されているわけでございますけれども、難民認定についても門戸を開放すべきこと。それから、二十五万人とも言われておりますような高度経済成長時代の三K職場に入ってこられました外国人労働者、オーバーステイといいますけれども、法務省では不法滞在という日本語で申し上げますが、外国人労働者の特別在留許可につき一定の基準を設けて、これは民主的に運用すべきことを訴えたいと思います。
以上は、外国人のためではなくて日本のため、日本国民のためである開かれた国民要件としての人権保障の問題であることを訴えたいと思います。
あと一般的なことも申し上げたいのでございますが、同僚議員と重複するところはたくさんございます。
一点申し上げたいと思いますのは、参議院の在り方の中でございますが、今最も急いで改めるべきは、両院をまたいで党議拘束を掛ける政党の在り方であります。両院をまたいで党議拘束を掛けてということは、衆議院の結論がそのまま参議院の結論になるということでございますから、参議院の存在意義を全く失わせてしまうものであります。この点は成田参考人も指摘しておられました。是非、衆議院優位でなければならない事項もあるとは思いますが、すべてについて両院にまたがる参議院の党議拘束、両院をまたぐ党議拘束を、これを廃止することを、現在、参議院改革協議会において参議院の在り方の論議が進んでいるわけでございますので、この当調査会からも提言できるような、報告できるような、そういう議論の絞り方をしていただきたいと思います。
以上でございます。