堺秀人の発言 (厚生労働委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(堺秀人君) 東海大学医学部付属病院の副院長を務めております堺秀人と申します。
私は、厚生労働省が昨年度設置いたしました医療安全対策検討会議の委員の一人でございまして、この検討会議が本年四月に報告書を上程いたしましたが、その報告書の作成の起草委員長を務めさせていただきました関係上、この検討会議の報告書に沿って御報告を申し上げます。
委員の先生方のお手元に資料が差し上げてあるかと思いますが、資料の確認をさせていただきます。
お手元の資料、三つに分かれております。最初はこのA4判の薄いホッチキス留で「医療安全推進総合対策について(概要)」、それから次がやや厚い「医療安全推進総合対策」、それから三番目が一番厚い同「参考資料」でございます。
この真ん中の報告書本文、「医療安全推進総合対策 医療事故を未然に防止するために」に沿って御報告を申し上げます。
この検討会議は昨年の五月に厚生労働省で設置されまして、五月から本年四月まで十二回会議を開催いたしました。そこで様々な検討が行われましたが、その内容を報告書に取りまとめますために、本年の一月から四月までの間、起草委員会が七回開かれました。この検討会議での討議の内容を報告書に原案にまとめましたものを、随時この検討会議でまた校正していただきながら報告書にまとめたというものでございます。
では、お手元のこの「医療安全推進総合対策 医療事故を未然に防止するために」に沿って御報告を申し上げます。
表のページを一つ繰っていただきますと、次に目次が出てまいります。ここでは、「はじめに」という序文の後、三つの章がございます。「第一章 今後の医療安全対策」、「第二章 医療安全の確保に当たっての課題と解決方策」、もう一つページをはぐっていただきますと、「第三章 国として当面取り組むべき課題」、そして「おわりに」、このような章立てになっております。
では、内容について御報告いたします。
ページを繰っていただきますと、「はじめに」、ページの一でございます。序文でございますが、この検討会議は、ここに記してありますように、第二段落の一行目から二行目でございますが、医療安全対策の目指すべき方向性を示すために設置されました。その次の章ですが、この検討会議では、医療安全対策について、主として医療事故を未然に防止するためにはどのような対策を講じるべきかという観点から討議をして報告書にまとめました。
では、内容を申し上げます。
ページをまた繰っていただきますと、二ページ目、「第一章 今後の医療安全対策」、「1―1 医療の安全と信頼を高めるために」でございます。
第二段落の真ん中辺りにございますが、事故の防止を図り、医療に対する国民の信頼を高めるということを最大の目的としております。
まず、(1)医療安全の確保でございますが、その最初の行にございますように、医療安全の確保は、これまでややもすると医師を中心とした医療従事者個人の責任において行われてきたという傾向がございます。しかし、ページをもう一つ繰っていただきまして、三ページの最初の方になりますが、今日の医療は、医療従事者のような人だけでなくて、いろいろな医薬品、医療材料などの物、それから医療機関という組織、それを運用するソフト、そのいわゆるシステム全体で対応すべきものというふうに考えまして、システム全体の安全性をいかに高めるかということを論議してまいりました。
第二段落、第三段落ですか、ほかの産業においても既にいろいろなことが論じられております。医療においてもこれを大いに参考にすべきでございますが、しかし、それをそのままもちろん取り入れるというわけにはいきません。
一番下から二段目の段落でございますが、私どもの検討会議の考えといたしましては、事故の予防ということを考える際には、誤りに対して個人の責任を追及するということより、むしろ起こった誤りについて原因を究明してその防止のための対策を立てていくことが極めて重要と考えております。
最終段落でございますが、患者さんの安全を最優先に考えて、いわゆる安全文化を醸成するということをこの対策の基本としております。
四ページに進ませていただきます。(2)医療における信頼の確保でございます。
三行目から四行目に括弧付きで示してございますが、「医療を受ける主体は患者本人であり、患者が求める医療を提供していく」、これが非常に重要と考えております。
第二段落になりますが、患者さんに御提供いたしますその医療の内容、情報につきましては、十分御説明し、よく納得していただき、患者さん自らに選択していただいて医療を受けることが重要だろうと考えております。すなわち、必要な情報を十分に御提供して、患者さんの医療への主体的な御参加をいただきたいということがこの骨子になっております。
五ページに進ませていただきます。この報告書における検討の範囲でございますが、この報告書は、医療の安全性を高め医療事故を未然に防止するという観点から検討を行いました。院内感染というようなことも非常に重要な事項でございますが、これは別途専門的に検討されているということから、今回の検討対象の外、枠には入れてございません。
六ページに進ませていただきます。「1―3 医療安全を確保するための関係者の責務等」。
(1)国の責務。
この国の責務につきましては、第三章で更に詳しく述べさせていただいておりますので、ここでは省略させていただきます。
(2)地方自治体の責務。
身近な住民の方々の行政として、やはり地域における医療の実態を把握していただいて、指導監督を行っていただきたいということが記してございます。
七ページに参ります。関係者の責務と役割。
まず、医療機関でございます。これについても後ほどまた詳しく述べさせていただきますが、医療機関の管理者の強い指導力がやはり是非必要であると。それの下にチームによる医療を行うということが大事だというふうに考えております。
②の医薬品・医療用具関連企業。これも後に医薬品及び医療用具それぞれについて記させていただいておりますが、研究、開発、製造、流通、各段階においての安全対策というものを求めております。
③の教育研修・研究機関。これも、教育研修ということが実はこの安全の推進に最も重要というふうに考えております。
八ページに参りまして、医療関係団体。各医療関係の諸団体の中でいろいろな取組がなされておりますが、これを更に今後連携を密にしていただいて、一体になって安全性の向上に取り組んでいただきたいと考えております。
保険者につきましても、被保険者に対して情報の提供を更に充実していただきたいと考えておりますし、その他、民間に様々な患者さんの団体等がございます。これも情報提供を更に促進していただきたいというふうに思っております。
九ページ。医療従事者個人の責務。
これは、チームとして医療を行うというシステムの一員であるということを自覚するとともに、これまで以上に人間関係をオープンにして情報を円滑に流通させることが大事である。それから、当然のことですが、医療従事者自らの健康状態も十分に配慮すべきであるとうたってございます。
それから、(5)患者さんに期待される役割でございますが、患者さんへの情報提供を十分に行い、その前提の下に医療に主体的に参加していただきたいということをお願いしております。
十ページに用語の説明がございます。
この報告書で使っております用語、こういう意味で使っておりますということですが、リスクとリスクマネジメント。リスクというのは一般的に障害の発生頻度とその損害の大きさ、リスクマネジメントというのは適切な管理によってリスクを許容範囲にまで減らすということでございますが、では、医療におけるリスクマネジメントとはと申しますと、ここの報告書では、リスクマネジメントという言葉を医療安全管理と同じ意味として使っております。
十一ページに進ませていただきます。次は、アクシデントとインシデントでございますが、英語がそのまま使われている状況がございますが、やはり日本においては日本語で行うべきであろうということから、アクシデントというのはこの報告書では事故という表現にさせていただいております。それから、インシデントはヒヤリ・ハットという言葉にさせていただいております。
次に、医療事故と医療過誤ですが、医療事故というのは、医療機関あるいは医療の現場において起こるすべての人身事故一切ということでございまして、一方、医療過誤というものは、そのような事故が起こった原因として何らかの過失があったというものを医療過誤とするというふうにさせていただいております。
十二ページ。第二章に進ませていただきます。
「第二章 医療安全の確保に当たっての課題と解決方策」。
まず、医療機関における安全対策でございますが、基本的な考え方といたしましては、医療全体の質の向上を図らなければ医療の安全は図れないという考え方でございます。もちろん他の産業における様々なお取組も参考にさせていただきますが、やはり医療への信頼を高めさせていただくこと、それから、患者さんが自己決定なさる、それを支援させていただくということが大事であろうという考えでございます。
十三ページに参ります。医療機関における適正な安全管理体制。
まず、管理者の指導力の発揮でございまして、これを適正に発揮して医療機関を運営することが極めて重要と考えております。
それから、②の安全管理体制の整備でございますが、これは医療機関内に医療安全管理委員会あるいは医療安全管理部門を設けることを求めております。
十四ページ。③では医療安全管理者の配置と活用。この医療安全管理者あるいは医療安全推進担当者を設置することを求めております。
④内部評価活動の推進や外部評価の活用。これはこのとおりでございます。
十五ページです。⑤医療安全に関する情報の管理。医療安全推進担当者等がこの情報を管理すべきでありますし、それから⑥、他機関との連携を行うというふうにお願いしてございます。
(3)安全対策のための人員の活用。
①リスクを考慮した人員の配置。やはりリスクの高い部署あるいはリスクが高い時間帯、職員の能力等を把握して、その状況に応じた人員を配置することを求めております。
十六ページに行かせていただきます。②職員に対する研修。これはやはりすべての医療従事者が安全に関する知識、技能について十分な研修を行わなければいけない。言うべくして非常に困難なことではありますが、ここは一番大事なところだというふうに考えております。
それから、③の職員の健康管理。これは当然でございます。
十七ページ。標準化等の推進と継続的な改善。
この標準化の推進、標準化と申しますと、ややもしますと、何か決まり切ったことだけやればいいのかというような御批判を受けることもございますが、そうではなくて、やはり医療の質を高めるという、そのための標準化というふうにお酌み取りいただきたいと思います。
医療行為の作業手順の統一化もそうでございますし、入院時診療計画、今の言葉ではクリティカルパスとかクリニカルパスという言葉が使われておりますが、そういう診療の計画をきちんと立てるということが必要ですし、それについての患者さんの説明と同意、すなわちインフォームド・コンセントが必要と考えております。
それから、十八ページに進んでおりますが、採用する物品の保管、配置なども統一化した方が誤りが起こりにくいであろうということ。
それから、②規則化の推進。特に誤りが多い部署で規則化を推進する必要があると考えております。
それから、③正確で効率的な情報管理の促進。これはやはり、最近のITの発達によりまして、これも大いに利用すべきというふうに考えております。
十九ページ。④事故事例等の情報を活用した安全管理。これは全職員を対象とした事故事例あるいはヒヤリ・ハット事例の報告体制を確立して、分析、解析の結果を現場にフィードバックすることによって更に安全を高めるということが必要と考えております。
二十ページ。医療機関における医薬品・医療用具等の安全管理。
これは、この後すぐに医薬品・医療用具についてそれぞれの企業に対する要望も書いてございますが、ここでは医療機関における医薬品・医療用具の安全管理でございます。
まず、医薬品に対する安全管理ですが、医薬品の採用時あるいは病棟で保管する医薬品等の見直し、それから疑義照会、つまり処方の内容について何か疑義が生じたときに、それを速やかにかつ適切に照会するということが必要と思います。
二十一ページですが、注射薬剤、特に生命に直接影響を与えるおそれが大きい注射薬剤についての取扱いをやはり中央化すべきであろうという考えでございます。
輸血の安全確保は当然でございます。
二十二ページ。医療用具に関する安全管理。これも医療用具使用時の注意事項、つまり操作手順書の常備、あるいは実際何か起こったときに行政や企業に情報提供するという必要がございますし、それから機器の保守管理、あるいは医療機器を採用するときの注意を関係者がよく習得するということが必要でございます。
二十三ページ。作業環境・療養環境等の整備。
やはり、医療を行います環境、療養の環境が整備されておりませんと、それによって誤りが起こることがあり得るということでございます。
(7)の医療機関における信頼の確保のための取組。
これは、先ほど冒頭でも申し上げたことと重複いたしますが、医療への患者さんの参加を促進して、患者さんと医療従事者の対話を重ねることによってこれを推進し、また医療機関内に患者さんの苦情や相談に対応する窓口を設置することも大切だと考えております。
二十四ページでございます。インフォームド・コンセントを一層徹底し、それから患者さんからの相談窓口を設置し、そして患者さんへの情報提供と医療安全の推進を行うということでございます。
二十五ページに、今度は医薬品・医療用具にかかわるその企業及び行政への要請が書いてございます。
基本的な考え方としましては、医療が高度化、複雑化しておりますので、ますます多種多様な医薬品あるいは医療用具が使われております。これに対しての安全対策が必要と考えております。
二十六ページ。まず①、使用の安全ですが、今まではいわゆる副作用とかそういう物の安全ということがございましたが、これからはそれに加えて、そういうものを使用する際の取り違え等を防止するための使用の安全ということも大事というふうに思っております。
その使用の安全でございますが、まず開発段階での取組、それから市販されました後の改良、二十七ページの医療機関への情報提供というものが必要というふうに考えております。
二十八ページ。この中でのまず医薬品でございますが、医薬品における取組は、まず販売名や外観が類似しているための取り違えということが起こっているというふうに観測されますので、これの類似性についてのデータベースの開発あるいは開発段階あるいは市販後の調査によってこういう類似性を把握して対策を立てることが必要と考えておりますし、二十九ページでございますが、製品に対する情報の記載方法等の標準化・統一化も必要であろうと思います。それから、医薬品情報の提供・活用もこれまでどおり、あるいはそれ以上に推進すべきというふうに考えております。
三十一ページに進ませていただきますが、医療用具における取組といたしましても、人の行動特性あるいはその限界を考慮した設計が必要というふうに考えておりますし、それから個々の用具の適正な保守管理、あるいは三十二ページですが、使用方法に関する医療機関内の研修への支援、あるいは医療用具情報の提供・活用。医薬品と同様に、これからは医療用具についてもこういう情報を提供する仕掛けが必要であろうというふうに考えております。
三十三ページの医療安全に関する教育研修。
基本的な考え方といたしましては、医療従事者に必要な資質というのは、やはりチーム医療の一員としてチーム内での意思疎通、連携を円滑に行う、そして基本的な倫理観や心構えを持ってオープンな人間関係の下にそういうことを行うことが大切というふうに考えております。
三十四ページ。教育研修の充実。
特に指導者の養成あるいは指導方法の開発などが重要と考えております。
卒前・卒後教育。
卒前教育も、このようなことを卒前から教育するとともに、従来はこういうことをすべきであるという教育が行われておりますが、これを更に、こういうことをしてはならないということを行いたいと思います。
次に、医療機関の管理者及び医療安全管理者に対する研修。
これは、それぞれの立場への研修、教育が大事ですし、教育の仕組みあるいはそういう教育を行うための教材が必要と考えております。
次に、三十八ページ。医療安全を推進するための環境整備。
いわゆるヒヤリ・ハット事例の収集・分析・結果の還元が開始されております。これはまだ部分的なものでございますので、今後これを更に拡充すべきであると思っております。
それでは、少し先へ進ませていただきます。
四十一ページ。国として当面取り組むべき課題。
これは国に対する要請でございますが、医療機関における安全管理体制の整備、様々な医療機関にこれを推進していただきたいということと、四十二ページ、医療機関における安全対策に有用な情報の提供を推進していただきたい、あるいは四十三ページ、医薬品・医療用具についてもそのような情報提供をお願いしたいということでございます。
それから四十五ページ。医療安全に対する教育研修。
例えば、国家試験の出題基準なども工夫することも含めて、こういう医療安全の推進を行っていただきたい。
それから四十六ページ。患者さんの苦情や相談等に対応するための対応の整備ということでございます。
一番最後でございます。四十七ページ。ここに委員の一番願いが集約して書かれてございますが、二行目からでございます。
厚生労働省においては、これらの対策を確実に実施するために必要な予算等の確保、診療報酬上の措置、税制改正要望、規制等の見直し、教育啓発活動などに取り組まれたい。また、今後とも医療安全対策の実施状況を踏まえて、必要な対策を講じられることを強く望みたい。
これが報告書の内容でございます。
以上でございます。