厚生労働委員会

2002-07-11 参議院 全203発言

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会議録情報#0
平成十四年七月十一日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月九日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     今井  澄君
     大門実紀史君     井上 美代君
 七月十日
    辞任         補欠選任
     今泉  昭君     櫻井  充君
     荒木 清寛君     草川 昭三君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 正俊君
    理 事
                田浦  直君
                中島 眞人君
                朝日 俊弘君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                久野 恒一君
                佐藤 泰三君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                鶴保 庸介君
                中原  爽君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                今井  澄君
                櫻井  充君
                辻  泰弘君
                山本 孝史君
                草川 昭三君
                井上 美代君
                小池  晃君
                西川きよし君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
       発議者      今井  澄君
       発議者      櫻井  充君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  宮路 和明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       総務省自治行政
       局選挙部長    大竹 邦実君
       厚生労働省医政
       局長       篠崎 英夫君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    真野  章君
       厚生労働省保険
       局長       大塚 義治君
   参考人
       東海大学医学部
       付属病院副院長  堺  秀人君
       東京女子医科大
       学病院長     林  直諒君
       川崎協同病院小
       児科部長     佐々木秀樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○健康増進法案(内閣提出、衆議院送付)
○医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提
 供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法
 律案(今井澄君外四名発議)
○政府参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
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阿部正俊#1
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る九日、櫻井充君及び大門実紀史君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君及び井上美代さんが選任されました。
 また、十日、今泉昭君及び荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君及び草川昭三君が選任されました。
    ─────────────
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阿部正俊#2
○委員長(阿部正俊君) 健康保険法等の一部を改正する法律案、健康増進法案及び医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案を一括して議題といたします。
 本日は、特に医療事故等の問題につきまして、個別事件ということではなくて、むしろ医療の安全、信頼性の確保のための施策の在り方などにつきまして中長期的な観点から議論を行い、今後の医療安全の確立に資するという観点から、現に医療機関でこれらの問題に直面しているお三名の方々から御意見を聴取することといたしております。
 参考人の方々を御紹介申し上げます。
 まず最初に、東海大学医学部付属病院副院長堺秀人さん、それから東京女子医科大学病院長林直諒さん、それから川崎協同病院小児科部長佐々木秀樹さん、以上の方々でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会のために御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様にはどうか忌憚のない御意見をお述べいただきまして、三案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からお一人二十分で順次御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの御質疑にお答えいただきたいと存じます。よろしくお願いします。
 なお、意見の陳述、委員の質疑及び参考人の答弁とも、発言は着席のままで結構でございますので、どうか余り緊張なさらずに率直な御意見をお述べいただければと思っております。
 それでは、まず、順序でございますが、堺参考人から最初に意見をお述べいただきたいと思います。堺参考人、お願いいたします。
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堺秀人#3
○参考人(堺秀人君) 東海大学医学部付属病院の副院長を務めております堺秀人と申します。
 私は、厚生労働省が昨年度設置いたしました医療安全対策検討会議の委員の一人でございまして、この検討会議が本年四月に報告書を上程いたしましたが、その報告書の作成の起草委員長を務めさせていただきました関係上、この検討会議の報告書に沿って御報告を申し上げます。
 委員の先生方のお手元に資料が差し上げてあるかと思いますが、資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料、三つに分かれております。最初はこのA4判の薄いホッチキス留で「医療安全推進総合対策について(概要)」、それから次がやや厚い「医療安全推進総合対策」、それから三番目が一番厚い同「参考資料」でございます。
 この真ん中の報告書本文、「医療安全推進総合対策 医療事故を未然に防止するために」に沿って御報告を申し上げます。
 この検討会議は昨年の五月に厚生労働省で設置されまして、五月から本年四月まで十二回会議を開催いたしました。そこで様々な検討が行われましたが、その内容を報告書に取りまとめますために、本年の一月から四月までの間、起草委員会が七回開かれました。この検討会議での討議の内容を報告書に原案にまとめましたものを、随時この検討会議でまた校正していただきながら報告書にまとめたというものでございます。
 では、お手元のこの「医療安全推進総合対策 医療事故を未然に防止するために」に沿って御報告を申し上げます。
 表のページを一つ繰っていただきますと、次に目次が出てまいります。ここでは、「はじめに」という序文の後、三つの章がございます。「第一章 今後の医療安全対策」、「第二章 医療安全の確保に当たっての課題と解決方策」、もう一つページをはぐっていただきますと、「第三章 国として当面取り組むべき課題」、そして「おわりに」、このような章立てになっております。
 では、内容について御報告いたします。
 ページを繰っていただきますと、「はじめに」、ページの一でございます。序文でございますが、この検討会議は、ここに記してありますように、第二段落の一行目から二行目でございますが、医療安全対策の目指すべき方向性を示すために設置されました。その次の章ですが、この検討会議では、医療安全対策について、主として医療事故を未然に防止するためにはどのような対策を講じるべきかという観点から討議をして報告書にまとめました。
 では、内容を申し上げます。
 ページをまた繰っていただきますと、二ページ目、「第一章 今後の医療安全対策」、「1―1 医療の安全と信頼を高めるために」でございます。
 第二段落の真ん中辺りにございますが、事故の防止を図り、医療に対する国民の信頼を高めるということを最大の目的としております。
 まず、(1)医療安全の確保でございますが、その最初の行にございますように、医療安全の確保は、これまでややもすると医師を中心とした医療従事者個人の責任において行われてきたという傾向がございます。しかし、ページをもう一つ繰っていただきまして、三ページの最初の方になりますが、今日の医療は、医療従事者のような人だけでなくて、いろいろな医薬品、医療材料などの物、それから医療機関という組織、それを運用するソフト、そのいわゆるシステム全体で対応すべきものというふうに考えまして、システム全体の安全性をいかに高めるかということを論議してまいりました。
 第二段落、第三段落ですか、ほかの産業においても既にいろいろなことが論じられております。医療においてもこれを大いに参考にすべきでございますが、しかし、それをそのままもちろん取り入れるというわけにはいきません。
 一番下から二段目の段落でございますが、私どもの検討会議の考えといたしましては、事故の予防ということを考える際には、誤りに対して個人の責任を追及するということより、むしろ起こった誤りについて原因を究明してその防止のための対策を立てていくことが極めて重要と考えております。
 最終段落でございますが、患者さんの安全を最優先に考えて、いわゆる安全文化を醸成するということをこの対策の基本としております。
 四ページに進ませていただきます。(2)医療における信頼の確保でございます。
 三行目から四行目に括弧付きで示してございますが、「医療を受ける主体は患者本人であり、患者が求める医療を提供していく」、これが非常に重要と考えております。
 第二段落になりますが、患者さんに御提供いたしますその医療の内容、情報につきましては、十分御説明し、よく納得していただき、患者さん自らに選択していただいて医療を受けることが重要だろうと考えております。すなわち、必要な情報を十分に御提供して、患者さんの医療への主体的な御参加をいただきたいということがこの骨子になっております。
 五ページに進ませていただきます。この報告書における検討の範囲でございますが、この報告書は、医療の安全性を高め医療事故を未然に防止するという観点から検討を行いました。院内感染というようなことも非常に重要な事項でございますが、これは別途専門的に検討されているということから、今回の検討対象の外、枠には入れてございません。
 六ページに進ませていただきます。「1―3 医療安全を確保するための関係者の責務等」。
 (1)国の責務。
 この国の責務につきましては、第三章で更に詳しく述べさせていただいておりますので、ここでは省略させていただきます。
 (2)地方自治体の責務。
 身近な住民の方々の行政として、やはり地域における医療の実態を把握していただいて、指導監督を行っていただきたいということが記してございます。
 七ページに参ります。関係者の責務と役割。
 まず、医療機関でございます。これについても後ほどまた詳しく述べさせていただきますが、医療機関の管理者の強い指導力がやはり是非必要であると。それの下にチームによる医療を行うということが大事だというふうに考えております。
 ②の医薬品・医療用具関連企業。これも後に医薬品及び医療用具それぞれについて記させていただいておりますが、研究、開発、製造、流通、各段階においての安全対策というものを求めております。
 ③の教育研修・研究機関。これも、教育研修ということが実はこの安全の推進に最も重要というふうに考えております。
 八ページに参りまして、医療関係団体。各医療関係の諸団体の中でいろいろな取組がなされておりますが、これを更に今後連携を密にしていただいて、一体になって安全性の向上に取り組んでいただきたいと考えております。
 保険者につきましても、被保険者に対して情報の提供を更に充実していただきたいと考えておりますし、その他、民間に様々な患者さんの団体等がございます。これも情報提供を更に促進していただきたいというふうに思っております。
 九ページ。医療従事者個人の責務。
 これは、チームとして医療を行うというシステムの一員であるということを自覚するとともに、これまで以上に人間関係をオープンにして情報を円滑に流通させることが大事である。それから、当然のことですが、医療従事者自らの健康状態も十分に配慮すべきであるとうたってございます。
 それから、(5)患者さんに期待される役割でございますが、患者さんへの情報提供を十分に行い、その前提の下に医療に主体的に参加していただきたいということをお願いしております。
 十ページに用語の説明がございます。
 この報告書で使っております用語、こういう意味で使っておりますということですが、リスクとリスクマネジメント。リスクというのは一般的に障害の発生頻度とその損害の大きさ、リスクマネジメントというのは適切な管理によってリスクを許容範囲にまで減らすということでございますが、では、医療におけるリスクマネジメントとはと申しますと、ここの報告書では、リスクマネジメントという言葉を医療安全管理と同じ意味として使っております。
 十一ページに進ませていただきます。次は、アクシデントとインシデントでございますが、英語がそのまま使われている状況がございますが、やはり日本においては日本語で行うべきであろうということから、アクシデントというのはこの報告書では事故という表現にさせていただいております。それから、インシデントはヒヤリ・ハットという言葉にさせていただいております。
 次に、医療事故と医療過誤ですが、医療事故というのは、医療機関あるいは医療の現場において起こるすべての人身事故一切ということでございまして、一方、医療過誤というものは、そのような事故が起こった原因として何らかの過失があったというものを医療過誤とするというふうにさせていただいております。
 十二ページ。第二章に進ませていただきます。
 「第二章 医療安全の確保に当たっての課題と解決方策」。
 まず、医療機関における安全対策でございますが、基本的な考え方といたしましては、医療全体の質の向上を図らなければ医療の安全は図れないという考え方でございます。もちろん他の産業における様々なお取組も参考にさせていただきますが、やはり医療への信頼を高めさせていただくこと、それから、患者さんが自己決定なさる、それを支援させていただくということが大事であろうという考えでございます。
 十三ページに参ります。医療機関における適正な安全管理体制。
 まず、管理者の指導力の発揮でございまして、これを適正に発揮して医療機関を運営することが極めて重要と考えております。
 それから、②の安全管理体制の整備でございますが、これは医療機関内に医療安全管理委員会あるいは医療安全管理部門を設けることを求めております。
 十四ページ。③では医療安全管理者の配置と活用。この医療安全管理者あるいは医療安全推進担当者を設置することを求めております。
 ④内部評価活動の推進や外部評価の活用。これはこのとおりでございます。
 十五ページです。⑤医療安全に関する情報の管理。医療安全推進担当者等がこの情報を管理すべきでありますし、それから⑥、他機関との連携を行うというふうにお願いしてございます。
 (3)安全対策のための人員の活用。
 ①リスクを考慮した人員の配置。やはりリスクの高い部署あるいはリスクが高い時間帯、職員の能力等を把握して、その状況に応じた人員を配置することを求めております。
 十六ページに行かせていただきます。②職員に対する研修。これはやはりすべての医療従事者が安全に関する知識、技能について十分な研修を行わなければいけない。言うべくして非常に困難なことではありますが、ここは一番大事なところだというふうに考えております。
 それから、③の職員の健康管理。これは当然でございます。
 十七ページ。標準化等の推進と継続的な改善。
 この標準化の推進、標準化と申しますと、ややもしますと、何か決まり切ったことだけやればいいのかというような御批判を受けることもございますが、そうではなくて、やはり医療の質を高めるという、そのための標準化というふうにお酌み取りいただきたいと思います。
 医療行為の作業手順の統一化もそうでございますし、入院時診療計画、今の言葉ではクリティカルパスとかクリニカルパスという言葉が使われておりますが、そういう診療の計画をきちんと立てるということが必要ですし、それについての患者さんの説明と同意、すなわちインフォームド・コンセントが必要と考えております。
 それから、十八ページに進んでおりますが、採用する物品の保管、配置なども統一化した方が誤りが起こりにくいであろうということ。
 それから、②規則化の推進。特に誤りが多い部署で規則化を推進する必要があると考えております。
 それから、③正確で効率的な情報管理の促進。これはやはり、最近のITの発達によりまして、これも大いに利用すべきというふうに考えております。
 十九ページ。④事故事例等の情報を活用した安全管理。これは全職員を対象とした事故事例あるいはヒヤリ・ハット事例の報告体制を確立して、分析、解析の結果を現場にフィードバックすることによって更に安全を高めるということが必要と考えております。
 二十ページ。医療機関における医薬品・医療用具等の安全管理。
 これは、この後すぐに医薬品・医療用具についてそれぞれの企業に対する要望も書いてございますが、ここでは医療機関における医薬品・医療用具の安全管理でございます。
 まず、医薬品に対する安全管理ですが、医薬品の採用時あるいは病棟で保管する医薬品等の見直し、それから疑義照会、つまり処方の内容について何か疑義が生じたときに、それを速やかにかつ適切に照会するということが必要と思います。
 二十一ページですが、注射薬剤、特に生命に直接影響を与えるおそれが大きい注射薬剤についての取扱いをやはり中央化すべきであろうという考えでございます。
 輸血の安全確保は当然でございます。
 二十二ページ。医療用具に関する安全管理。これも医療用具使用時の注意事項、つまり操作手順書の常備、あるいは実際何か起こったときに行政や企業に情報提供するという必要がございますし、それから機器の保守管理、あるいは医療機器を採用するときの注意を関係者がよく習得するということが必要でございます。
 二十三ページ。作業環境・療養環境等の整備。
 やはり、医療を行います環境、療養の環境が整備されておりませんと、それによって誤りが起こることがあり得るということでございます。
 (7)の医療機関における信頼の確保のための取組。
 これは、先ほど冒頭でも申し上げたことと重複いたしますが、医療への患者さんの参加を促進して、患者さんと医療従事者の対話を重ねることによってこれを推進し、また医療機関内に患者さんの苦情や相談に対応する窓口を設置することも大切だと考えております。
 二十四ページでございます。インフォームド・コンセントを一層徹底し、それから患者さんからの相談窓口を設置し、そして患者さんへの情報提供と医療安全の推進を行うということでございます。
 二十五ページに、今度は医薬品・医療用具にかかわるその企業及び行政への要請が書いてございます。
 基本的な考え方としましては、医療が高度化、複雑化しておりますので、ますます多種多様な医薬品あるいは医療用具が使われております。これに対しての安全対策が必要と考えております。
 二十六ページ。まず①、使用の安全ですが、今まではいわゆる副作用とかそういう物の安全ということがございましたが、これからはそれに加えて、そういうものを使用する際の取り違え等を防止するための使用の安全ということも大事というふうに思っております。
 その使用の安全でございますが、まず開発段階での取組、それから市販されました後の改良、二十七ページの医療機関への情報提供というものが必要というふうに考えております。
 二十八ページ。この中でのまず医薬品でございますが、医薬品における取組は、まず販売名や外観が類似しているための取り違えということが起こっているというふうに観測されますので、これの類似性についてのデータベースの開発あるいは開発段階あるいは市販後の調査によってこういう類似性を把握して対策を立てることが必要と考えておりますし、二十九ページでございますが、製品に対する情報の記載方法等の標準化・統一化も必要であろうと思います。それから、医薬品情報の提供・活用もこれまでどおり、あるいはそれ以上に推進すべきというふうに考えております。
 三十一ページに進ませていただきますが、医療用具における取組といたしましても、人の行動特性あるいはその限界を考慮した設計が必要というふうに考えておりますし、それから個々の用具の適正な保守管理、あるいは三十二ページですが、使用方法に関する医療機関内の研修への支援、あるいは医療用具情報の提供・活用。医薬品と同様に、これからは医療用具についてもこういう情報を提供する仕掛けが必要であろうというふうに考えております。
 三十三ページの医療安全に関する教育研修。
 基本的な考え方といたしましては、医療従事者に必要な資質というのは、やはりチーム医療の一員としてチーム内での意思疎通、連携を円滑に行う、そして基本的な倫理観や心構えを持ってオープンな人間関係の下にそういうことを行うことが大切というふうに考えております。
 三十四ページ。教育研修の充実。
 特に指導者の養成あるいは指導方法の開発などが重要と考えております。
 卒前・卒後教育。
 卒前教育も、このようなことを卒前から教育するとともに、従来はこういうことをすべきであるという教育が行われておりますが、これを更に、こういうことをしてはならないということを行いたいと思います。
 次に、医療機関の管理者及び医療安全管理者に対する研修。
 これは、それぞれの立場への研修、教育が大事ですし、教育の仕組みあるいはそういう教育を行うための教材が必要と考えております。
 次に、三十八ページ。医療安全を推進するための環境整備。
 いわゆるヒヤリ・ハット事例の収集・分析・結果の還元が開始されております。これはまだ部分的なものでございますので、今後これを更に拡充すべきであると思っております。
 それでは、少し先へ進ませていただきます。
 四十一ページ。国として当面取り組むべき課題。
 これは国に対する要請でございますが、医療機関における安全管理体制の整備、様々な医療機関にこれを推進していただきたいということと、四十二ページ、医療機関における安全対策に有用な情報の提供を推進していただきたい、あるいは四十三ページ、医薬品・医療用具についてもそのような情報提供をお願いしたいということでございます。
 それから四十五ページ。医療安全に対する教育研修。
 例えば、国家試験の出題基準なども工夫することも含めて、こういう医療安全の推進を行っていただきたい。
 それから四十六ページ。患者さんの苦情や相談等に対応するための対応の整備ということでございます。
 一番最後でございます。四十七ページ。ここに委員の一番願いが集約して書かれてございますが、二行目からでございます。
 厚生労働省においては、これらの対策を確実に実施するために必要な予算等の確保、診療報酬上の措置、税制改正要望、規制等の見直し、教育啓発活動などに取り組まれたい。また、今後とも医療安全対策の実施状況を踏まえて、必要な対策を講じられることを強く望みたい。
これが報告書の内容でございます。
 以上でございます。
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阿部正俊#4
○委員長(阿部正俊君) ありがとうございました。
 それでは続きまして、林参考人にお願い申し上げます。よろしくお願いします。
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林直諒#5
○参考人(林直諒君) 私は、本会議にお招きいただきました東京女子医科大学病院長の林直諒と申します。
 当病院心臓血圧研究所循環器小児外科における医療事故について、関係各位には昨年より多大の御迷惑をお掛けしておりましたところ、今般、当院の関係者が逮捕される事態に至りました。このような不祥事を引き起こしたことについて、関係各位と患者様並びに御遺族様の皆様方に対して、改めて心よりおわび申し上げます。
 それでは、資料でございますが、まずブルーの方には詳しい資料がとじ込まれておりますが、その中には調査委員会、当大学における死亡原因調査委員会報告などが組み込まれております。それから、別紙になっております方は、本日お話しいたします目次が書かれております。これに沿ってお話しさせていただきたいと存じます。
 まず、「事件のあらまし」でございますが、東京女子医科大学病院附属心臓血圧研究所、以下、心研と申しますが、における手術の結果、平成十三年三月五日に当時十二歳の少女が死亡した医療事故につき、本年二月より社会保障審議会医療分科会において安全管理体制などについて審議されておりますが、今般、執刀医外一名が逮捕され、執刀医を含む四名が業務上過失致死などの容疑により検察庁に送検されるに至りました。
 高度の医療を提供することなどを任務とする病院としての社会的責任を痛感して、深く反省しております。
 二番目の、事件の概要でございますが、ごく簡単にお話しさせていただきます。
 本医療事故の詳細については、既に資料に添付してございますが、死亡調査報告書に記載しておるとおりでございますが、本件医療事故の問題点としては次の諸点が挙げられます。
 一、本件は、人工心肺装置の操作中に発生しました。人工心肺装置は、医学上の知識だけではなく、機械の専門的な知識が要求され、専門の臨床工学技士は手術に立ち会っておりませんでした。本件手術が行われた循環器小児外科においては、臨床工学技士不在の手術が行われておりました。
 二番目の問題ですが、医療体制、すなわち内科と外科の連携という面でも問題がありました。心研では、手術直前まで内科の医師が診察し、術後直ちに内科が担当するということが通常でありました。
 三番目は、執刀医は、人工心肺装置の操作ミスがあった事実及び重篤な脳障害の可能性については何らの説明もしておりませんでした。その上、カルテなどを改ざんしました。
 四、本件医療事故は、医師の人工心肺装置の操作及びトラブルが起こった場合の対処方法に関する知識不足がその直接の原因と考えられますが、この点は、医師本人の自己研さんの不足もさることながら、循環器小児外科の研修体制に不備があったと言わざるを得ません。医師に患者及びその家族との信頼関係を築く努力が不足していたことも明らかとなりました。特に、患者様ないしその御家族様への事前説明の不足、その上、手術中発生した事実を正直に告げていなかったこと、さらには、その事実を隠ぺいすることすら行われていたことも明らかとなり、それは調査委員会報告書にも記載されております。
 三番目は、従来の安全管理体制でございます。
 本件医療事故発生前の当院における安全管理体制は、資料の、お手元の資料を配りました一に書かれております。このうち、安全管理委員会は全学又は各部署における事故防止対策の妥当性を審議し、安全管理委員長は医療事故防止システム全機関の状況把握と諸活動の監督に当たるとされ、院内事故防止対策委員会は、インシデント・アクシデント・レポートによる全学的リスクの情報の早期把握に努め、全学的に取り組むべきリスクの原因・状況分析を行い、防止策を提案することとされておりました。
 しかしながら、医療事故防止を目的とした安全管理委員会とは別に、重大事故対応、この資料一の左側の下に書いてございますが、重大事故対応、医事紛争を担当する組織が存在し、重大事故が発生した場合に、安全管理委員長には報告されないままこれに対処する特別の委員会が設置されているというのが通常でありました。その結果、医療事故に関する情報は安全管理委員長には集約されず、全学的な事故防止対策を確立するには至っておりませんでした。
 また、インシデント・アクシデント・レポートには各部署の部門安全管理委員の署名が必要とされていたため、レポートが部門安全管理委員のところで停滞し、院内で発生したインシデント・アクシデントが効率的に安全管理委員長に報告されず、全学的なリスク情報の収集が不十分となり、効果的な事故防止の検討ができておりませんでした。
 次に、四番目、新しい安全管理体制ですが、これはお手元の資料二をごらんいただきたいと思います。一番大きな変化は、図の右側に書かれております医療安全対策室の設置でございます。そして、すべての事故は医療安全管理委員会に報告されることになっております。
 各組織上の説明をさせていただきます。
 今度の安全管理体制は、各委員会の整理統合などを行い、インシデント・アクシデント情報の収集、分析、医療事故防止の対策について、病院全体を網羅したシステムの下で安全管理を行うための組織を整備いたしました。
 それで、このうち医療安全管理委員会は、委員長は病院長が務め、副院長のうち一名をゼネラルリスクマネージャーと定め、さらに同人を本委員会の副委員長に指名いたしております。本委員会は、病院全体の安全管理を統括する役割を担うものであります。院内事故防止対策委員会のほか、感染対策委員会、防災対策委員会からの報告も受け、全学又は各部門における事故防止対策の妥当性を審議いたします。重大事故も含めてすべての情報を医療安全管理委員長に報告すべきものとして情報を集約させることといたしました。
 従来、安全管理の総責任者が不明確であり、その結果、病院全体の組織を見渡す見地からの安全管理が不十分となっていた点を改め、本委員会の副委員長であるゼネラルリスクマネージャーが安全管理の総責任者であることを明確にいたしました。
 本委員会は、平成十四年三月八日に第一回目の委員会が開催され、六月末までに計六回開催されております。
 次に、医療安全対策室ですが、これは専任の職員を有する常設の機関として置きました。言わば医療安全管理委員会や院内事故防止対策委員会の事務局と位置付けられるものであります。医療安全対策室は、副院長が室長を務め、専任の看護師一名及び専任の事務職員二名のほか、兼任ではありますが、医師や薬剤師なども置くことといたしました。
 医療安全管理委員会特別部会、これは図にはございませんが、重大事故が発生した場合には、医療安全管理委員会の委員長である病院長の命令により、病院長指名のメンバー、外部委員及び当該診療科の部長で構成する特別部会を設置し、速やかな事故対応を行うことといたしました。事案によっては事故調査委員会を発足させ、徹底的な事故原因の調査及び再発防止を提言するものといたしました。
 次に、院内事故防止対策委員会。全学又は各部門における事故対策の妥当性を審議するための委員会であり、月一回、委員会を開催し、医療安全管理委員長から依頼された案件の審議、検討を行うとともに、各部門リスクマネージャー部会から報告される対策案についての妥当性を審議、承認し、その結果を医療安全管理委員会に報告するものといたしました。
 次に、アクシデント・インシデントの流れですけれども、資料三をごらんいただければと思います。
 この医療安全対策室が中心となりまして、ここですべてのアクシデント・インシデント報告書だけではなく、クレーム・事故報告書などすべて一括してここに集約し、そして医療安全管理委員会に持っていって検討するという形になりました。そして、今までは各部の責任者のサインをして上に上げていた報告書は、少しでもおかしいと思った場合は、個人で直接この医療安全対策室に上げることといたしました。
 次に、心研の問題点とその改善。特に、心研においては、本件医療事故を起こしたことを真摯に反省し、医療事故防止に全力を挙げております。
 心研は、本件医療事故当時、附属する独立した研究所とされていましたが、所定の手続を経てこれを変更し、病院内の一部門といたしました。特にこれは独立した組織という意識が強く、また、他の診療科においても心研を特別視する意識がなかったとは言えません。このような背景事情が、本件医療事故における前述した各種問題点を生み出したことも否定できません。
 そこで、現在、心研では、本件医療事故の反省から、患者及び家族との強固な信頼関係の形成を目指し、安全かつ高度な医療を提供すべく改善策を実施しております。
 そして現在、人工心肺装置の更新、新たに人工心肺マニュアルを作成し、高度に熟練した体外循環技士を育成し、手術の際にはこれら専門の技士に任せることとし、医師と技士との協力体制をすることといたしております。
 次に、基本理念でございます。
 今までインフォームド・コンセント、カルテ開示など臨時部長会を何度も開いてまいりましたが、全学的行事として、七月九日、死亡原因調査委員会委員長より事件経過報告、院長より今後の取組について、また、NPO法人ささえあい医療人権センター理事長辻本好子氏の「患者の立場からの医療安全」をテーマに講演会を行いました。ここには職員約二千人以上が集まりました。そこでは、徹底した過去の清算と新しい病院の建設をテーマとすることといたしました。
 まず、過去の清算といたしましては、医療安全管理外部評価委員会の設置をいたしております。これは四月十八日、第一回目の委員会が開催されております。この答申を受けまして、答申内容の実現に邁進する所存であります。
 二番目は、懲戒委員会の開催を、六月二十七日に、第一回を行っております。管理責任者についても適正な処分をすべく鋭意検討することとなっております。
 現在までの改善について、安全管理については、報告制度、講演会、部長会、医長会の活性化などに努めてまいりました。また、カルテ改ざんなどを防ぐため麻酔記録自動装置を手術場に設置いたしました。来年度には外来部門ではすべて電子カルテの導入を決定しております。
 今後の課題としては、一番大切なことは、全員が患者様主体の医療をすることであり、今や医療は人間の理解なしにはあり得ないことだと思っております。
 今後の課題ですけれども、まず第一に検討している課題としましては、病院長に専念する者を病院長職に充てるべく検討しております。第二に、センター方式及び大学の機構上の問題がありまして、この改革も進めていく予定でございます。それから、第三者による運営諮問委員会などの設置も検討すべきものと考えております。
 以上でございますが、最後に、本件医療事故は安全管理体制の欠陥、不備に起因し、しかも、御家族に対し事実を明らかにせず、むしろカルテなどの改ざんにより事実を隠ぺいするなど、医療に携わる者として絶対にあってはならない行為を行ったものであります。その結果、前途ある患者様の死亡という重大な結果を招きました。患者様及びその御遺族様に対して多大な御迷惑をお掛けしたことを深くおわび申し上げるとともに、患者様の御冥福を心からお祈りいたします。
 また、医療に対する不信感も増大させ、国民の皆様方には多大な御迷惑をお掛けしたことも真摯に反省し、社会的責任を痛感しております。改めて今後抜本的な改革、改善を実行し、名実ともに安全で高度な医療を提供する病院として生まれ変わっていく所存でございます。
 以上でございます。
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阿部正俊#6
○委員長(阿部正俊君) それでは次に、佐々木参考人、お願い申し上げます。
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佐々木秀樹#7
○参考人(佐々木秀樹君) 初めに、今回の事件で亡くなられました患者様の御冥福をお祈りするとともに、改めて御遺族の方に深くおわび申し上げたいと思います。また、今回のことで国民の中に広く医療に対する不信感、不安感を喚起したことについても改めて深くおわび申し上げたいと思います。
 私は、川崎協同病院で小児科部長を務めております佐々木と申します。今回の事件との関連では、後に述べます内部調査委員会のまとめ役をやっております。
 私たちは、長年、患者様の人権を尊重する医療を追求してきたつもりでおりました。その病院でこのようなことが起こったこと、また発生後三年半も放置されていたことは、私たちにとっては痛恨の極みであり、一日も早く地域の患者様の信頼を回復するために、今、職員一同が全精力を傾注しております。
 私たちは、今回の事件を自ら徹底分析し、その問題点を速やかかつ具体的に改善していくことが、亡くなられた患者様と御遺族、また社会に対する責務であると考えております。このような目的で、調査のための委員会を事件公表直後の四月二十二日に発足させました。委員会では、調査、分析をできるだけ公正、中立、客観的に行うために、外部の識者による評価が不可欠であるとの結論に達しました。そして、日本医科大学常務理事の岩崎栄先生らの御尽力によりまして、五月九日に有識者九名の方による外部評価委員会が設立されました。そして、内部調査委員会と並行して現在調査に当たっております。
 内部委員会の調査は、診療録等の書類の検討と当時の関係者に対する聞き取りによって行ってまいりました。そして、現在までに明らかになった結果を外部評価委員会に提出後、六月十七日に中間報告という形で川崎市に提出し、同時に報道機関を通じて公表いたしました。それがこのお手元にあります資料でございます。中間報告はまだ完成したものではございません。しかし、情報公開を積極的に行うという立場から、全職員にこれを配付し、病棟、外来で患者様が自由に閲覧できるようにしております。また、病院のホームページに掲載するとともに、今後更に多くの方にお読みいただけるようにする予定でおります。
 本日は、その概要を御報告し、明らかになった問題点を克服するために私たちがどのように取り組んでいるかについてお話をさせていただきます。
 まず、事件の概要と評価ですが、本患者様は、一九九八年十一月二日に、重症のぜんそく発作のため心肺停止状態で来院されました。心肺蘇生処置をした後に集中治療室に入院となっております。数日間人工呼吸器による管理を行いましたが、その後、自発呼吸がある程度安定してきたために、気管内チューブを保持したまま呼吸器内科の病棟に移動いたしました。その後、十一月十六日に抜管、さらに鎮静剤、筋弛緩剤等の投与を受け、お亡くなりになっております。
 診療録の記載事項を基にした十一月十六日時点での病態評価は、本患者は低酸素性脳症を起こしていたと考えられ、十一月十六日以降もその意識障害が遷延した可能性があること、第二に、この時点で進行すれば致死的となり得る細菌感染症を合併していたこと、ただし、客観的な検査所見が乏しく、そのような状況でその時点で脳死と判断し、死が切迫していたと断定するには無理があったと考えざるを得ないというふうにしております。そして、上記の状況下での抜管行為には病態評価としての意義又は治療的な意義はなく、患者を死に至らしめる行為であり、その後の薬剤投与はより確実に死に至らしめたと考えられるというのが委員会の見解でございます。
 インフォームド・コンセントに関しましては、診療録の記載あるいは主治医の以前の供述と本年四月に協同病院の院長らがお会いしましたときに述べられました御遺族の言葉との間には大きな開きがございます。
 次に、なぜ公表までに三年余の時間を要したかに関して、事件発生後の病院の対応について御報告いたします。
 発生後、数日以内には事件に気が付いた医師からこのことが当時の病院長に伝えられております。院長は、入院診療部長、発見した医師、入院診療事務長に相談しまして、診療録の点検と主治医からの事情聴取を行いました。そして、医療倫理上問題のある行為であると理解しましたけれども、それ以上の詳細な調査は行わず、再発しないよう口頭で厳重注意を行うということにしました。結果的に病院管理会議には諮られず、法人理事会にも報告されておりません。
 不当に人命が奪われたこと、法的にも問題を有することに対する認識が極めて不十分であったため、本来必要な集団討議もなされず、徹底した調査を行わずに一部の幹部のみで処理してしまったことは、全く誤った初期対応であり、病院の管理者として人権意識や危機管理意識が希薄であったと言わざるを得ません。また、一九九九年六月に病院長が交代いたしましたが、このときにも本件の申し送りがなされませんでした。そのために言わば公表まで三年半も掛かってしまった。このことについての責任は極めて大きいものと考えております。
 なお、委員会として診療録などの書類について改めて検討いたしましたが、改ざんされた形跡は全く認められませんでした。
 その後の経過ですが、昨年の十月末に当該主治医と他科の医師との間の治療方針についての見解の相違がありまして、それを契機にして改めてこの問題が現在の病院長に提起されました。管理部が主治医に確認し、医療倫理的及び法的に問題があるとして、十二月末に辞職勧告することを決定、二月末に退職となりました。
 二月初めに病院管理部と法人幹部が弁護士と相談し、このときから公表を前提に可能な限りの調査を進めるということを確認いたしました。主治医には捜査機関への自首を勧め、四月半ばには院長らが御遺族と面談しております。四月十七日に当該主治医が出頭はしないという方針を伝えてきたために、保健所、警察等へ届出をした後に、十九日に記者会見を行い、病院として自主的に公表いたしました。
 本件の原因と背景についてでありますが、一般に医療事故の場合、個人要因と組織要因の両者が存在すると思います。本件につきましては、事故ではありませんけれども、やはり両方の要因が存在し、事件の性格上、個人要因が少なくないように思われます。したがって、主治医が当時の患者の状態をどう評価し、どのような考えで一連の行為を行ったか、これが非常に重要な点であります。しかしながら、本人からの協力が得られず、今日まで聞き取りが実現しておりません。そのため、記録や伝聞情報からのみで個人要因を評価する、それは適切ではないとも考えられます。そこで、この中間報告では、組織要因、すなわちなぜ事件を防ぎ得なかったのかについて、当時の病院の診療体制や管理運営上の問題を中心に分析いたしております。
 私たちの病院は、医療は患者と医療従事者の共同の営みという考え方に基づき、患者様を中心にしたチーム医療を追求してきました。
 実際に、ほとんどの病棟ではチーム回診や他職種を交えたカンファレンスが定期的に行われ、患者様の問題点や治療方針などが医療者の間で共有されておりました。しかし、当時の呼吸器内科の病棟では、事実上、このチーム医療がほとんど機能していなかったということが明らかになっております。
 このような問題について看護部から管理部には何度か問題提起がされております。管理部も、この医師の診療姿勢に問題があるとの認識は少なからず持っていたと思われますけれども、このような現場の意見を取り上げて十分に討議し、具体的な指導や対策を講ずることができませんでした。これは、管理部本来の役割からいって非常に大きな弱点を持っていたというふうに評価せざるを得ません。
 また、本件では、脳死状態あるいは植物状態という用語を使っての不適切な説明や薬剤についての説明不足、必要な手順の欠落などが見られ、終末期医療に対する勉強不足を指摘することができると思います。
 本院における危機管理システムについて述べます。
 一九九二年に病院管理会議が「医療事故が発生した場合の手順」を作成し、副院長を中心とした安全委員会が事故と感染問題を統括して管理しておりました。二〇〇〇年にはこの委員会を医療事故防止対策委員会と感染対策委員会に分離して、より専門的に対応できる体制にするとともに、従来行われていた事故報告に加え、ヒヤリ・ハット報告を開始し、毎月委員会でまとめて各職場への徹底を図っております。本年になりまして上記の手順の改定を行いましたが、四月に厚労省より出された医療安全推進総合対策に対応して、更に充実させるべく現在検討中でございます。
 次に、私たちが今回の痛恨の経験から何を学び何を教訓として改善していかなければならないのか、私たちの取組の一端を述べさせていただきます。
 初めに、情報開示についてですが、私たちの病院では、患者様の知る権利、自己決定権を保障すること、インフォームド・コンセントをより充実させ、患者様の積極的な医療への参加を促すこと、開示により医療の質を向上させること、これらを目的にいたしまして、二〇〇〇年三月からまず病棟で、更に翌年四月からは外来で診療録の開示を実施してまいりました。
 今回の事件発覚後に取り組んだこととしましては、まず内科におけるチーム医療体制の強化があります。具体的には、各臓器別グループによる回診、内科全体による重症患者に対する回診、それから死亡症例の検討会の定期化、また各病棟における他職種とのカンファレンスも従来以上に徹底して進めるように努力しております。
 危機管理システムの見直しについては、さきにも述べましたように、医療安全推進総合対策に基づいた要綱の改定作業を現在管理会議で行っております。今後、各職場で徹底的に討議、学習を進めていく予定でおります。また、六月二十七日には、外部の委員の方四名、それに生協の組合員の方にも参加していただいて、医療倫理委員会を設立いたしました。当面の課題として、当院における終末期医療についての考え方とマニュアルの作成、これに取り組んでおります。そして、これらの作業と並行して、各科、各部署で医療倫理、命の重みを深める議論が現在開始されております。
 最後に、今後の中期的な改善策を提起していくことは、私たち内部調査委員会の重要な使命だと考えております。
 このための基礎資料となるものは、第一には、私たち自身が今回の事件から抽出した問題点の分析結果だと思います。
 第二には、現在作業を進めていただいております外部評価委員会の報告が七月末に出される予定ですので、これを重視したいと思います。私たちの病院は、これまで本格的な外部からの機能評価というのを受けたことはございません。ですから、識者の方々からの貴重な御意見を真摯に受け止めまして、今後の改善策に生かしていく所存でございます。
 第三には、地域の方々から寄せられている御意見があります。四月の公表以後、私たちの病院では延べ約五百八十名の職員が五千五百世帯の地域の患者様を訪問し、おわびと説明を行い、多くの率直な御意見を聞かせていただきました。また、そのほかにも約八百通のアンケートによる御意見が寄せられております。
 二、三紹介させていただきますと、信頼している病院でこのようなことが起こりショックでした、患者については担当医が話し合って、決して自分のみの判断でなく診断しているものと思っておりました、診療所で一生懸命にボランティア活動をしておられる皆様方、自宅療養患者さんへの訪問看護を喜んでいる家族のいることを考えてください、院内だけでなく多くの方々に守られ、必要とされている病院だけに、一日も早く信用を取り戻し、安心して診察していただける病院になることを望みますという激励のお言葉とか、もっと看護婦の対応、態度を改善してほしい、プライバシーの保護を守ってほしい、病院はしっかり職員教育をしてほしい、また、インフォームド・コンセントを徹底し、そのときは分かりやすい言葉や図、文書等で説明していただきたいというような、患者様の生の声が出されております。
 厳しい御批判も含め、これらの資料も病院再生にとって欠くことのできないものであり、私たちの貴重な財産だと考えております。
 第四には、院内の現場の職員からの声があります。
 今回の調査でも、事件当時の問題点として、現場からの声が十分反映されない管理実態が指摘されております。患者様との直接の接点があり、日ごろ医療の現場で働いている職員が感じている声が病院の運営に反映される仕組みを作り上げることなくして病院の再生はあり得ないだろうと思っております。
 本格的なプランの作成はこれからの作業でございますが、その骨子について私なりに整理したものをお示しいたしたいと存じます。
 川崎医療生協には五十年、協同病院には二十五年にわたる実績がございます。これまで創立以来一貫して患者の立場に立つ医療を貫いてまいりました。しかし、今回の事件を通して改めて、今の時代にこの地域でこの病院が求められているものが何なのか、これをもう一度問い直すこと、理念を問い返すこと、そしてその答えを全職員がしっかり共有できるようにすること、これが病院再生の出発点であると私は考えております。
 そして、それに基づいた診療体制の再構築が必要になるわけですけれども、今重視していることの一つは総合診療部体制です。これは、地域の病院として特定の専門分野に偏ることなく総合的に患者様を診られるシステムを保障するということであり、また家庭医療を目指していく医師の教育の場でもあり、また在宅医療の位置付けと責任体制を明確にするというねらいもあります。病棟は患者様の安全と信頼、それに今日ではやはり快適さということを考慮した再編、改築が必要になると考えております。
 実際の診療の場では、これまで以上にチーム医療の徹底を図る必要を感じております。形だけのカンファレンスではなくて、本当にチームメンバーが患者様を中心に置いてその問題点を共有できること、主治医のチーム医療のリーダーであることの自覚、職種間の勾配をなくしたフラットな組織形態、適切な診療録記載などを重視しております。救急対応体制についても、必要な設備の充実を図る一方、他の医療機関との連携を含めて危機管理の観点からその在り方を再検討し、地域医療に貢献していきたいというふうに考えております。さらに、自分たちの医療の質を問うという意味において、学術活動を一層強化し、また日常的に医療倫理、看護倫理の教育、議論を進めていきたいと思います。
 病院の管理運営システムにつきましては、何よりもまず現場の声を管理運営に反映させるための制度的保障とその運用ということを重視しております。
 そして、医療内容、管理運営の両者に共通して必要なことは、外部評価システムの導入であり、何よりも人権を第一義とする危機管理意識の徹底とシステムの再整備であると考えております。
 最後に、教育の問題について触れたいと思います。
 私たちは患者の権利章典と呼ぶ患者の権利と責任を定めた宣言を持っております。私たちは技術習得に偏らない、患者様の人権を何よりも重視する医療観を身に付け、真のチーム医療が進められるような人材を育成していく、このことを目指しております。そのためには、指導者と指導を受ける職員がしっかりと目標を共有できるようなカリキュラム、それと指導体制が必要だと思っています。私たちは、この三年間、今日の医学教育の成果に学びながら医師研修の改善に取り組んでまいりました。二〇〇一年度には新しい要綱を策定いたしまして、現在八名の研修医がこのカリキュラムに沿って研修を進めております。そして、私は一定の成果を上げてきているというふうに考えております。今後この成果をすべての職員の教育に生かしていきたいというのが私の願いでございます。
 川崎医療生協と川崎協同病院は、一日も早く地域の信頼を回復するために、現在、病院管理部人事の刷新を含めまして、目標達成のための努力をしていることを御報告して、私の陳述を終わりたいと思います。
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阿部正俊#8
○委員長(阿部正俊君) ありがとうございました。
 以上でお三方からの、参考人の方々からの御意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対しまして質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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佐藤泰三#9
○佐藤泰三君 自民党の佐藤泰三でございます。
 本日の委員会に際しまして、三先生のいろいろ医療事故中心の御意見ありがとうございました。
 なお、この委員会に際しまして、悲しみも新たと思われますが、平柳さんの御遺族の方から要望書が阿部委員長あてに提出されております。要点は、これからの医療のため、患者から本当に信頼される医療の実現のため、国会全体で医療事故に関する法整備等を是非進めていただきたい、要望させていただきますと。ありがとうございました。
 時間もございませんので、端的にお願い申し上げますが、まず堺先生にお願いでございますが、先生は医療事故関係の統計やっておられるわけでございますので、今、今朝ほど聞きましたら、日本医師会で現在係争中の医療事故が八百五件でございます。年々百件ぐらい増えているということでございますが、期間が三十二・七か月ということで、誠に長いという感じでございますが、これに対する、今後減りますように、いろいろまた御指導を賜ればと思いますし、また何かあったら御指摘賜りたいと思います。
 なお、次は、時間があれですので、三先生に一括してお願い申し上げます。
 林先生でございますが、昭和三十年ですか、榊原教授が日本で初めて心臓外科との形で女子医大に研究室を創設しまして、日本のパイオニアとして、特に幼小児の血管外科という形で大きな業績を残し、大勢の門徒を日本じゅうに卒業させたというわけでございますが、このたびの事件で誠に残念でございますけれども。よく新聞情報も聞きますと、どうしても組織が大きくなりますし、勤務三交代等ございます。多忙のため、お互いのコミュニケーションが不足していたんじゃないかと、医師と技術者、あるいはナースと医師という形で。我々もそうでございますが、そんな点も一応考慮されるのでございますが、どうぞこれからもその点を考慮しまして、今の特定機能病院として日本の代表的なる心臓外科のメッカでございますから、ひとつ回復して頑張って、更に更に今後とも国家のために頑張っていただきたいと、御要望と同時にお願いを申し上げる次第でございます。
 なお、記事記載云々と、瞳孔が六―七ミリが四ミリと、これは記載の間違いじゃないかなと思うのでございますが、やはりこれを、何といいますか、専門家に聞いたら、やはり六―七ミリが正常で四はおかしいんだということを聞きましたけれども、そんな形で、分かりません、記載のことですから。
 なおまた、人の死に関しまして、最近安楽死という言葉がよく使われております。どんなものかと思っていろいろ聞いてみました。裁判所の要件等がございましたが、安楽死は、死期が迫っているか、肉体的なる苦痛が激しいか、あるいは苦痛を除く処置、治療をしておったか、本人の意識があるかと。この四つが一応安楽死の四要件だろうという意見がありますと同時に、いま一つは、医者の方の立場として乱暴残虐な行為がなかったか、また注射処置は医者がすべて自分でやるべきであると。この六つが一応日本の安楽死の条件じゃないかなというふうなことをちょっと昨日聞いたのでございますが、それにつきまして、またどうぞ、川崎病院ですか、何かあったらお教え願いたいと思います。
 時間もございませんから、端的な質問で誠に恐縮でございますけれども、どうぞ、これからも我々大いに参考にしまして、また法整備等に委員長を中心に頑張るつもりでございますので、ただいまの三点、本当に簡潔で申し訳ございませんけれども、お知りでございましたらお教え願いたいと思っております。
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堺秀人#10
○参考人(堺秀人君) それでは、お答え申し上げます。
 医療紛争の国際比較のデータというものは、制度の違いもございまして直接の比較はできませんが、少なくとも我が国が諸外国に比べて多いというデータは全く存在いたしません。
 委員の先生方も御存じのように、日本の医療費はGDPに対する比率がアメリカの半分でございます。このような経済状況下で、アメリカの病院では患者さん一人に対しての医療スタッフの数が日本の二倍若しくは三倍おります。そのような状況で医療が行われておりますが、日本では比較的少数の人間が医療に携わらざるを得ないという状況にございます。もちろん医療機関では更にこれを鋭意努力しなければいけませんが、今後国としても、今後日本の医療体制がいかにあるべきかということを御討議いただきたいと願っております。
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林直諒#11
○参考人(林直諒君) 御指摘いただきました心研のことでございますけれども、あのころはとにかく技術優先ということで、医学が進歩することが主体の考えだったと思うんですけれども、現在世の中が変わってまいりまして、本当に心を大切にしないと医療が成り立たない時代になったと思います。私たちも、そういう中でこの小児心臓外科の先生方の意識は極めて時代が後れていたというふうに考えておりまして、これは徹底的に直す必要があろうかと思っております。
 また、心の問題というのは非常に難しいんですが、同時に、改ざんとかそういうことがないようにカルテ開示をすること、それからできるだけ自動記録装置とか電子カルテとか、そういう方向でやっていくこともある意味では負担を減らすことになるのではないかと思っております。
 あと、瞳孔の件ですけれども、これは調査委員会では隠ぺいする意図が見られて誠に残念だという記載がありまして、我々もそういうふうに判断しております。誠に申し訳なく思っております。
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佐々木秀樹#12
○参考人(佐々木秀樹君) まず、先ほど御質問の安楽死ということでありますけれども、私どもはこのケースを安楽死というふうには考えておりません。それは、先ほど先生もお挙げになりましたような要因を全く満たしていないからであります。
 むしろ、もう少し広い意味での終末期医療とのかかわりでどう考えていくのかというのが非常に大事なところだと思っていますし、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在、私どもの倫理委員会で病院としてのそういうものに対する基本的な考え方というのを整理しているところでありますので、そこでできるだけ現在の、また、日本では必ずしもそれが全面的なコンセンサスになっていないんだと思いますが、そういう場合の延命治療の中断の是か非かというような問題について考えていきたいというふうに考えております。
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櫻井充#13
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 亡くなった患者様の御冥福と、そして御遺族の方に心からお悔やみ申し上げたいと思います。
 正直なところ、私は林参考人からの説明を受けて非常にがっかりいたしました。なぜなら、事故のことに関してきちんとした報告が私はなされていないと思っているからです。
 まず、今回の問題で、私は一つ大きな問題というのは、この隠ぺいというものが組織ぐるみであったのかどうかということだったろうと思うんです。その点について何も御報告ございませんでした。このことについて、まず御説明いただきたいと思います。
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林直諒#14
○参考人(林直諒君) これは内部調査では一応調査してきておりますけれども、これは非常に限界がありまして、御本人の言っていることがおかしくないという前提だと一応認める形で進んでおりましたので、実際にどのぐらいのことが行われていたかよく分からない面もございました。私自身も主任教授と話ししたりしたんですけれども、そこまではよく分かりませんでした。
 現在、警察の方の捜査が行われておりまして、それは被疑者としての扱いですから非常に捜査はきちんといくと思いますけれども、内部調査の限界、それはつくづく感じております。
 そして、あと、外部の人を入れなかったというのが非常に問題であったと反省しておりますし、今現在は、四月からは外部評価委員会でもう一度徹底調査をお願いしてあります。そして、今後こういうことが起こっても解明がきちんとできるようなシステム、構造も含めて外部評価委員会の方々に御答申いただきまして、それに相応じて組織をきちんとしていきたいと思っています。非常に外部評価ということの重要性を痛切に感じております。
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櫻井充#15
○櫻井充君 済みません、時間がありませんので端的にお答えいただきたいと思います。
 なぜこんなことを申すかといいますと、この逮捕されたお医者さんが、手術でまずいことがあると記録類を直すことは病院でよくあった、なのになぜ私だけこうして責められるのか、こういうことを周りの人に漏らしているということなんですね。
 それから、心房中隔欠損というのは、私も内科の医者ですが、決して難しい手術じゃないと思うんですね。難しい手術でなかったのにこれだけのトラブルがあって、主任教授に対して手術中にこういうトラブルが起こったということを報告しているわけですよ。そうすると、それほど難しいと、私はそう思っているんですが、アイゼンメンジャー化とか起こしていなければ極めて簡単な手術だと思っています。そういうことがあったとすると、その主任教授はかなりの問題だという意識を持たれるべきだと思うんですよ。この主任教授も何も手当てもされていないんですね。
 その主任教授は、なぜこのときに安全管理委員会とか、そういうものがたしか女子医大の中にあったかと思います、そういうところに報告されなかったんでしょうか。どういう認識だったんでしょうか。
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林直諒#16
○参考人(林直諒君) その点は誠に申し訳なく思っております。
 その主任教授の件につきましては、現在も外部評価委員会で調査しておりますと同時に、病院としても、この問題は個人責任ではなくて、そういう土壌を作っていった管理責任もはっきり追及してやっていこうということで、現在、懲戒委員会はその方向性で進めております。
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櫻井充#17
○櫻井充君 内部の委員会でも分かると思うんですね。つまり、ここの今日の場の中で、この主任教授がどうであったかという報告も私はあってもいいと思うんですよ。その点もございません。
 それから、こういう報告もありますけれども、市民団体の医療事故市民オンブズマン、メディオからですけれども、私立大学病院が東京地裁でここ四、五年間の中で医療事故訴訟を抱えていた、その中の一番多いのが、申し訳ございませんが東京女子医大の十九件でございます。この中で、医療訴訟の多い医療機関は患者に対する事故後の対応に相当な問題があった、だからこういうことになるんだという指摘がありますけれども、この点についていかがでございましょう。
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林直諒#18
○参考人(林直諒君) その記事に関しましては何度も院内で取り上げて話しているわけですけれども、とにかく、それだけ多いということは、理由は何であれ、そうであれば一層そういう事故がゼロになるように努力しようという強い意向をみんなで持たなければいけないというふうに思っております。
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櫻井充#19
○櫻井充君 私は、医者も含めて、神様じゃありませんから、事故を起こすというのはこれは至極当然のことなんだと思うんですよ。至極当然と言うとちょっと皆さんに怒られるかもしれないけれども、どんなに努力しても解決できないことはあると思っています。事実、私もがんを見落としたこともございます。患者さんにその旨はきちんとお話しさせていただいたこともあります。そうなってくると、あとはその後にどれだけ誠意を尽くして患者様の方に説明をするかどうかということなんだろうと思うんですよ。そういう果たして体制ができているのかどうかということと、私は、先ほど川崎協同病院の話をお伺いしていて、結局、病院長が替わったら問題がはっきりしたわけですよ。
 私は、今の病院長の姿勢というものが物すごく問われると思っているんですけれども、その点に関していかがでございますか。
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林直諒#20
○参考人(林直諒君) 誠に申し訳なく思っております。
 私は、言い訳になってしまうかもしれませんけれども、病院長になったのが昨年の四月でございます。しかしながら、職務責任としてあるということで一生懸命改革に取り組んでおりますけれども、深く責任は感じております。
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櫻井充#21
○櫻井充君 厳しいかもしれませんが、天下の女子医大ですから、そういうことを、その名前があるからこそ、多くの患者さん方がこの病院に行けば間違いないんだと思って通院されるわけですよね。だからこそあえて厳しいことを言わせていただいております。
 そして、その天下の女子医大でもこういうことが起こってくると、医療界全体が不信感に包まれてしまうということを是非改めて御認識いただきたいと思っておりますし、特定機能病院の返上だけではなくて、私は、正直なところ、今日のこの対策だけを見ていると、研修病院としてもおやめになった方がいいんじゃないかと思うんです。なぜかというと、どう見ても、これを見てもいわゆる大きな官僚組織がある個人だけに責任を押し付けて、それで終わらせてしまおうというような体質が見え隠れするからなんです。
 私は、先ほどの川崎協同病院の報告を聞いて、かなりきちんとした分析をされているところと大分違ってきているんじゃないだろうかという気がいたしますけれども、まあ余り厳し過ぎるかもしれませんけれども、いかがでございますか。社会の見る目はそのぐらい厳しいと思いますよ。
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林直諒#22
○参考人(林直諒君) 十分認識しております。
 私も、最近、この病院として今までの機能、特にセンター方式ということで技術優先で来たことが非常に問題だということで、こういうことも組織的な改革もしていかなければいけないというふうに考えております。
 その点は、今までの面では非常に反省しておりまして、センター方式とかそういう閉鎖性をとにかく取っていくという方向と、組織も少し変えなきゃいけないと、それと、医局制度を変えて病院部と医学部とを少し分けなきゃいけないかというふうにも思っております。非常にその認識が後れてきたために大変御迷惑をお掛けしていると深く認識しております。
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櫻井充#23
○櫻井充君 是非、きちんとした対策を取っていただきたい。もう今までのことは今までのことで仕方がないと思いますが、これからこういうことが起こらないようにお願いしたいと思います。
 済みません、あと一点だけ川崎協同病院にお伺いしたいんですが、この方は今回まあ安楽死ではないと先ほどお話しになっていましたけれども、こういうことというのは今回が初めてのことなんでしょうか。つまりは、筋弛緩剤などの投与というのが行われたというのは今回が初めてのケースなんですか。
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佐々木秀樹#24
○参考人(佐々木秀樹君) 実は、私どもは、当該主治医が受け持って亡くなった患者さんすべてのカルテをもう一回見直す予定でおりました。ところが、途中で警察捜査の方でカルテを我々が見ることができなくなってしまいましたので、今その作業は中断した状態であります。
 ただ、我々の調査が開始する以前に病院管理部の方で、これは五年分についてですけれどもやっておりますけれども、そういうような注射などをしたケースというのはないというふうに聞いております。
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櫻井充#25
○櫻井充君 終わります。
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草川昭三#26
○草川昭三君 公明党の草川でございます。
 恐らく国会始まって以来、参議院でもそうだと思いますが、今日のような不幸な審議は初めてではないだろうかと私は思います。大変亡くなった患者の方々の御冥福もあり、また今後の日本の医療をどう信頼すべきかという重大な役割を担った者として、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 それで、時間が短いので佐々木参考人に二、三点集中してちょっと御質問させていただきたいんですが、先ほど法的には殺人事件に該当する可能性があること、安楽死の要件を明白に欠いていること、医療界の歴史に残るような深刻な事件であるということを認識したと。これはいつ認識をされたんでしょう。
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佐々木秀樹#27
○参考人(佐々木秀樹君) その言葉につきましては、中間報告で見ていただきますと、昨年の十月末にこの問題が再発覚をしております。その後、管理部を中心にして少しいろいろ調査をしたりしているんですが、今、委員が挙げられましたような言葉につきましては、本年二月の時点でそういう認識に達したというふうに我々は聞いております。
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草川昭三#28
○草川昭三君 ですから、私がちょっと申し上げたいのは、事件発生後かなりの日数がたっているわけでありまして、私ども、今日の報告と先生の方から川崎市の方に出されております中間報告書をちょっと見てみますと、川崎市に対して出しておる方がかなり詳しく書いてあるようでございます。今日のは要約されているところが率直にあるんですが、川崎市に出されましたこの中間報告書の中にはもう少し、生々しいというと大変恐縮でございますが、経緯が書かれてございます。それで、昨年の十月段階で事態を再認識しようというときにも、「副院長二名はいずれも本件は刑法上の問題がある深刻な事態と認識している。」という、こういう記述もございます。
 ですから、事件発生から少したったこの昨年の事態でも、私はこのような内部調査が行われるならば速やかに関係省庁に事態を届出をされるべきではないだろうか。それがどうしてずっと、私厳しい言葉で言えば隠ぺいというんですか、隠されてきているのかということをお伺いしたいと思うんですが。
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佐々木秀樹#29
○参考人(佐々木秀樹君) その点につきましては、内部調査委員会の報告書にも書かれておりますように、私どもも昨年の十月以降のことに関しても問題がなかったということは全く申しておりません。
 そのときの評価として、ちょっと短いですので読み上げさせていただきますけれども、平成十年当時の院長らの態度に比べ、事態をより正しく認識し把握する努力がなされている、しかし病院管理会議できちっと事件の重大性を認識したのであるから、綿密かつ迅速な事実調査が求められていた、にもかかわらず十分な調査がなされていないということは、やはり事態認識が必ずしも十分ではなかったんだというふうに私たちも考えております。
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