小林温の発言 (国際問題に関する調査会)
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○小林温君 この会で何回にもわたってイスラムと日本の、イスラム世界と日本の対応についていろいろ学ばせていただいたわけでございますが、結論として、イスラムのプレゼンスというのはこれからもますます上がっていくだろうということが一つあるんだろうというふうに思います。
それから、アフガンあるいは中東の問題が今現実に起きている時期に、このテーマについてこういう集中的に議論をしたり学んだりする機会をいただいたということにまた改めて会長始め理事の皆さんに感謝を申し上げたいと、こういうふうに思うわけでございます。
それで、今回いろいろと勉強させていただいて、イスラム、いろんなプレゼンスが増大していくと。これ地域的に見ると、中東はもとよりアフリカ、ヨーロッパ、中央アジア、イスラム国家であるアジアの諸国とかかわった問題であると。また、それにかかわるプレーヤーも、今申し上げたような地域だけではなくて、例えばアメリカやロシアを中心とした旧ソ連あるいは中国も、あるいはヨーロッパも含めて、イスラム世界についての国際関係のキープレーヤーになってくると。日本もその一員であるわけですが、結論としては大変影が薄いというのが現状であろうということ。それから、イシューについても、これは日本がかかわる部分でも、外交のみならず防衛あるいはエネルギー、経済関係についても非常に深いものがあるということを学ばせていただいたわけです。
その上で、少し感想あるいはちょっと提案めいたことを申し述べさせていただきますと、やはり先ほど来話がありますように、この地域あるいはイスラム世界に対する研究の重要性というものをもう一度認識すべきだということがあるんだろうと思います。
これは、確かに今まで日本にとってはなじみの薄かった分野でもございますし地域でもあったために、あるいは言葉の問題も含めて、どちらかというと一部のプロフェッショナルの皆さんのみが知識を持っていらっしゃったと、これをどのように国民的な課題として広げていくのかと。あるいは国際関係を見るときの切り口として、このイスラムというものをどういうふうに位置付けていくかということを、これから地域研究を深めていくと同時に考えていく必要があるんだろうということでございます。
もう一つは、アフガン、中東と大きな国際的な出来事が重なった中で、日本自体の外交政策の在り方をイスラム社会との関係を通じてどういうふうに考えていくかということで貴重な示唆もあったんではないかと、こういうふうに思います。先ほど申し上げたような地域研究をやはり前提にして、総合的な外交あるいは戦略的な外交、主体的な外交というものをどういうふうに作るべきかと。
これは日本の外交全体に問われている問題なんだろうというふうに思うわけでございますが、まず一つ、総合的な外交ということでございますが、今回もいろんな学識経験者の方あるいは役所の方にもお越しをいただいたわけですが、例えば外務省の方と経済産業省の方が並ぶと、やっぱり縦割りの意識があって、なかなか質問に対しても総合的な答えが返ってこないというところもあったのかなと思います。
これは同時に、例えば外務省の中でも、先ほど申し上げたような地域的なかかわりの中でそれぞれの専門の分野があるということも大きな縦割りの現状なんだろうと思います。今、チャイナスクールとかロシアスクールとかということが一つの日本の外交の在り方の中で問われているわけでございますが、このイスラムという奥の深い問題を考えるに当たって、やっぱり総合的な外交の在り方とはどういうものかということを考える必要があるんじゃないかというふうに思いました。
それから、戦略的外交、これは日本はこの部分が非常に欠如していると言われて久しいわけでございますが、イスラムにかかわる中で日本にとっての国益とは何なのかと。例えば、中東における石油を通じたエネルギー安保だけなのかと、もっとそれ以上に、例えば国際社会における日本の立場というものをどういうふうに考えるかというところまで広げていくのかも含めて、日本の国益、イスラム社会とのかかわりの中でどうあるべきかということについても問い直していく必要があるんじゃないかと、こういうふうに思います。
そして、三番目には、主体的な外交ということでございますが、これは戦略性があって初めて主体的な外交というものが可能なんだろうというふうに思うわけでございますが、アフガンあるいは中東においては、国際社会において実は日本独自の役割というものを求められた気配もあったわけでございますが、これも結果からいうと実現をできなかったと。この戦略性、主体性の欠如というものは、ある意味でいうと、今は余り話題になりませんが、例えば国連の安保理常任理事国、日本はどうかという話が例えば一つのテーマになったときに、昨年の九月十一日のテロ以来の日本の対応というものが果たして主体的に安保理の理事国としての責任を担える対応だったかということも今後やはり問われてくるんだろうと、そういうふうに思うわけでもございます。
ですから、やはりその主体性という観点からいうと、例えば今現実に起きている中東和平において、いま一度日本というのはもっと目に見える貢献をできないものかと、こういうことを問い直してもいいと思いますし、だんだん現実味を帯びてまいりますイラクへの攻撃に対して、日本は果たしてアフガンに対する侵攻と同じスタンスで対応してもいいのかということも含めて、具体的に今考えなければいけない時期にあるんじゃないかと、こういうふうに思うわけでもございます。
いずれにいたしましても、今後この機会を通じて、是非イスラムを絶えず念頭に置いて国際社会の動きを見ていくという考え方を私自身もしっかりと身に付けていきたいと思うと同時に、やはり日本外交の中でイスラム社会との関係はどうあるべきかということについて現実的にとらえていく必要があるんじゃないかというふうに思いました。
以上でございます。