田坂広志の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○参考人(田坂広志君) 税制等についてはもう言われている部分多々あると思いますし、恐らく米倉さんの方からもいろんなまた深い見識を語られるかと思いますので、あえて貴重な機会ですので、私がいつも思っている、日本では思い切ったこの規制と呼ぶか仕組みを変えられてはいかがかと思うことを申し上げます。
 私はアメリカのシンクタンクに何年かいたんですけれども、バテル記念研究所と呼ばれるところですが、世界的に有名な業績でいえば例のゼロックスを開発したような研究所で、世界で今一万名ぐらい研究員がいて、四研究所があります。これは民間のシンクタンクなんですが、御存じの方がいらっしゃると思いますが、実はアメリカの国立研究所を現在三つ運営しております。これは、私自身も初めて着任したときには驚きだったんですが、分かりやすく言えば、日本の民間のシンクタンクが例えば日本原子力研究所を運営しているようなそういう仕組みです。
 これはアメリカではもう昔からやられていることで、国立研究所はすべて民間が運営をするというやり方で何年かに一度公開でビットが行われまして、分かりやすく言えば、社名を出すのはあれかもしれませんけれども、日本原子力研究所については民間のA社、B社、C社が応札してきたと。いろんな審査をした結果、これから五年間はこのA社に運営を委託しようと。五年間なら五年間たったときに見直しをして、パフォーマンスを評価して、また公開でほかの今度はB社が勝つということもある、また継続で勝つこともある。幸い、バテルの記念研究所というところはもうずっとパシフィック・ノースウェスト国立研究所と呼ばれるところをもう何十年にわたって運営を継続している、毎回ちゃんと審査を受けていますが、というようなことが行われております。
 これは規制と呼ぶべきか何か分かりませんが、思い切って日本の国立機関というものを民間に運営をゆだねるということを私はなさるべきだと思います。
 といいますのは、なぜ日本の技術の国際競争力が弱いか。いろんな理由があります。
 よく短絡的に考えるのは、日本でもノーベル賞が出せる人間を育てようとなさるんですが、それはもちろんやられてもいいですけれども、競馬に例えて言えば大穴を当てるようなことを議論されているんで、むしろそうではなく、むしろテクノロジーマネジメントの水準を高めることをなさるべきです。
 今、国立研究所を一つ見ても、大変失礼な表現かもしれませんが、やはり予算の使い方一つでも効率性は欠く、出てきた成果についてのきちっとした評価が甘い、客観性が弱い。こういう中で、どうしても国立研究所のマネジメントをなさる方々というのは、余りマネジメントの専門の方ではない。むしろ、素人と言ってもいいような方々がなさっているわけです。
 アメリカのようにドラスティックに民間企業に、もちろん守秘義務契約等物すごい厳しいものがありますので、これもやろうと思えばできます。ドキュメンテーションもきちっとした体系があります。セキュリティーチェックなど、私ももう銃を構えたガードマンに何度チェックされたかというようなことをやっていますけれども、そういうことはきちっとできますので、民間にきちっとゆだねて、民間のテクノロジーマネジメント能力を国の技術開発の根幹の部分に使われるような仕組みを作られるべきかと思います。これはもちろん、また十年の計で効果が現れるようなことではありますが、今のままでは、どれほどノーベル賞級の学者を増やそうとか研究費を増やしてみても、効率的に使われない。
 むしろ、アメリカのように、テクノロジーマネジメントで私が非常に感心したのは、非常に高名な学者がその研究所に移るといううわさを聞いて、あの学者はすごい、もう功成り名遂げた方だから、これは是非来ていただいたらいいんじゃないかと人事に話をしたら、そのバテルで、あっさり言われたのが、審査をしたと。彼は採用しないと。どうしてですかと。いや、彼はもう過去すばらしい業績を上げたけれども、今もう下り坂だと。うちの研究所で雇っても、もうこれから大した成果は出ないだろうと。なかなかに厳しいですけれども、そういう形で人件費一つでもきっちり審査して使っていく。優秀な若い可能性のある人に投入していく。お金の使い道も、やはり優れた技術開発をしたところにはどんどん投入していくけれども、そうでないところはきちっと縮小していくという、このめり張りの利いたマネジメントというのは、もちろん民間企業でもまだまだ甘いんですけれども、国に至ってはほとんどノーチェックという感じが私はしています。
 ですから、思い切って、民間にも頑張れという意味も込めて、民間が国立研究所を運営するということは決して荒唐無稽な発想ではありません。アメリカではもう何十年にわたってそれがなされ、それこそがアメリカの国立研究所なり国の科学技術関係の予算の効率的な活用につながっているんだと。このことを、せっかくの機会をいただきましたので、規制緩和という、ちょっとテーマはずれますが、一度先生方に御検討いただければと思います。

発言情報

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発言者: 田坂広志

speaker_id: 11465

日付: 2002-04-10

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会