速水優の発言 (財政金融委員会)

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○参考人(速水優君) 今、よく九〇年代のことを失われた十年と、皆さんそう思っておられるんだと思います。私もそうだと思いますけれども。
 こうやってこの十年間の経済成長を四半期ごとに取ってみますと、九二年ごろから下がって、それが九五年、六年と、四半期で見ますと年率四%から三%台で伸びているんですね。それが一年半近く続いて、それがまたすとんと落ちていく。
 落ちていくのは、やっぱり山一とか、九六年、七年、金融システムが不安になっていくとか、あるいは、これまで公共投資や金利の急速な引下げで資金が出ていったのが、先ほど申し上げたように、資金は潤沢に出ても、それを使う民間の需要、企業家やあるいは消費者というものが先を見てなかなか新しいことをやっていこうとしない。もうベルリンの壁が崩れて東西南北は一つの市場になっているにもかかわらず、それを、規制の撤廃・緩和というのもスピードが遅かったということもあるのかもしれませんけれども、実体経済の方でなかなか改革が行われていっていない。こういうところへちょっとしたことが起こってきますと、これがまたすとんと落ちてしまうんですね。
 これは九七年、八年とまたすとんと落ちたんですけれども、九九年になってまた上がったんです。四半期で見ますと、例えば二〇〇〇年一—三月は四%のベースで上がっているんですね。二四半期続いて、またすとんと落ちているんですけれども。今度が三度目の底をついたということになるのかどうか、まだアメリカの動きがよく分かりませんからあれですけれども、数字で見る限り、日本の経済は少し明るさを加えてきていることは事実であると思います。
 二度目のときにも、やっぱりIT過剰というのは、これまた世界の市民にとっても企業家にとっても初めての経験であったと思うんですけれども、あれだけIT、ITと作って売りまくって、それが、気が付いてみたら過剰生産であり過剰在庫になっていた。それが二〇〇〇年の暮れに分かって、アメリカが慌てて金利を下げる。それがまた全世界に広がっていって、下げてしまったと。
 私どもも二〇〇〇年の夏にはゼロ金利解除したんですね。これはずっと上がっていくだろうと思っておったわけですけれども、不幸か、ついてなかったというのですか、暮れになってそういうアメリカも予想していなかったようなIT生産の過剰ということが起こって、それが貿易を減らし、輸出を減らし、世界全体が不況になってしまった。そしてまた、それが少し終わろうとしているときにまたテロ事件が起こってしまったといったようなことで、二〇〇一年ずっと悪化していたのが、ここへ来て少し持ち直し始めたかなというのが現状でございます。
 これから一年どうなっていくか分かりませんけれども、中央銀行としましては、こういう流れの中で、中長期的な視野に立って経済の背後に流れる大きな変化をとらえることは適切な金融政策運営上極めて重要なことだと思います。
 ここ数年の世界的な経済環境、今申し上げたようにIT分野を中心とした急速な技術革新が行われているということ、また経済の一段のグローバル化が進んだということ、そして金融の自由化の更なる進展といったような点が挙げられると思うんです。日本経済もこういった環境変化に直面しておるわけですけれども、更にここに不良債権問題というのが認知されて、いわゆるバブル時代の負の遺産が残っている、解決すべき課題がなお多く残っているということがはっきりしてきたわけでございます。
 私としては、こういった環境変化やその下での課題を念頭に置きながら、物価の安定と信用秩序の維持という日本銀行の使命を達成すべく最大限の努力を行ってきたつもりでございます。今後もその姿勢を貫く方針であります。
 ただ、その際に、現在の超金融緩和の背後で生じつつあるかもしれない企業や家計の行動変化、これらについてはよく目を凝らして政策運営に誤りなきを期していきたいと思っております。金融面でも、流動性は潤沢に供給されていても、これが一面では市場の機能を一部低下させている、コール市場が小さくなっているというのはその一つの現れかもしれませんし、言い換えれば金利機能が若干後退しているということも言えるかもしれません。こういったことが長く続いていくということは余りいいことではないと私は思っております。
 そういったのが今の、まだ終わっておりませんので、あと何か月か残っておりますけれども、私の考えていることであり経験してきたことでございます。
 少し長くなりましたけれども、お許しください。

発言情報

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発言者: 速水優

speaker_id: 13832

日付: 2002-07-11

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会