武部勤の発言 (農林水産委員会)

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○国務大臣(武部勤君) 来年三月に予定されておりますWTO農業交渉のモダリティー確立に向けまして、ゴールデンウイークを利用してヨーロッパに行ってまいりました。
 ムーアWTO事務局長及びハービンソンWTO農業委員会特別会合議長と会談いたしまして、日本提案についていろいろ説明もし、理解を求めた次第でございます。
 ムーアWTO事務局長の印象は、やはり全体のバランスということを強調しておりました。しかし、私ども今回EUに参りまして感じたことの印象を一、二お話しいたしますと、新たにEUに旧東欧諸国が参加するというような動向を踏まえまして、従来のような直接補償といいますか、という考え方よりも、農村振興とか環境とか食料の安全というようなことについて非常に傾斜的に政策を展開していこうというような動きがあるように思いました。これはある意味では、我が国が主張しております農業の多面的な機能、多様な農業の共存、あるいは食料安全保障ということと符合するわけでございまして、その意味では意を強くいたしましたが、同時に、英国などは、環境・食料・農村振興省、農村地域省とも言うんですね。農業省とか漁業省とかというのは、もうヨーロッパでは余りそういう呼び方をしないぐらいに考え方というものは変わってきております。つまり、農業に対するあるいは農村に対する見方が変わってきているなという印象でありまして、たまたま英国でコッズ・ウオルズ地方の酪農地帯の視察をしてまいりましたし、肥料を使っているところでありますとか、耕地をまた森林に復元しようとしているその事例でありますとか、小さな池、池を見に行かないかと言われましたから行きましたら、まあこのぐらいの水たまりです。それを作って、そこにカモが来るようにするために百万円年間直接補償でいただいているというような話も聞きまして驚いたんでありますけれども、ハービンソンさんは英国の出身でありますので、そんな話をいたしまして、なかなか議長という立場で明快なお話がしづらい立場にある方であろうと思いますが、私どもに対しまして率直な意見を述べていただきまして、私ども非常に意を強くした次第でございます。
 EU議長国でありますスペインのカニェテ農業・漁業・食料大臣との会談におきましても、今後、EUと日本とのスタンスというのは非常に近いんだというようなことで、これを更に強化していこうということを確認したところでございます。
 英国の食品基準庁のクレブス議長ほかとの会談におきましては、食の安全性確保のための食品行政の在り方について率直な意見交換を行うことができたのでありますが、我田引水になるかもしれませんが、この食品基準庁というのは、閣僚や政治家を排除するということを一つの大きな看板に掲げて仕事をしているところなのでありますけれども、私どもとかなりの激論といいますか、中身の濃い議論をいたしまして、政治家の存在ということも認識を新たにしていただいたんじゃないかと、このように思っております。
 いずれにいたしましても、今回の訪欧によりまして、今後のWTO農業交渉、非常に大変だという思いを強くいたしましたが、WTO関係者の我が国の提案内容に対する理解の促進でありますとか、日本とEUの関係の連携につきましても、今度行ってみてEUも変わってきているぞ、ある種去年とは違うぞという、そういう印象も受けましたが、なおかつ我が国も変わっているということが、BSEを契機に、「「食」と「農」の再生プラン」についても私どもいろいろ披露して、議論を深めさせていただきましたので、EUも、日本も変わってきているぞという、そういう、ともに変わってきているぞという認識の下に連携の強化ということが私は深まったと、このように認識しておりまして、大変有意義なものであったと、このように考えているわけでございます。
 御質問にはございませんが、アメリカの新農業法の問題も、私は別の角度でもう少しこの中身を注目する必要があると思います。調査する必要があると思います。どういう考え方でアメリカが今度の新農業法に基づく保護水準といいますか、単なる保護水準なのかどうか。やはり農業の多面的機能とか、農村地域の振興とか、環境とか、食の安全とか、そういうふうなことが一つの流れになってきているような気がいたしまして、その中身をよく吟味した上で、今後、WTO交渉の場で私どもは話合いを、議論をする必要があるように思います。それも今度の訪欧で感じた一つの印象でございます。

発言情報

speech_id: 115415007X00920020521_150

発言者: 武部勤

speaker_id: 7886

日付: 2002-05-21

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会