角田義一の発言 (本会議)

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○角田義一君 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合の三会派及び西岡武夫君外一名を代表し、ただいま議題となりました内閣総理大臣小泉純一郎君に対する問責決議案について、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、決議案文を朗読します。
  本院は、内閣総理大臣小泉純一郎君を問責する。
   右決議する。
 我が国はいまだかつてない、経験したことのない未曾有の混乱と危機に陥っておると言っても決して過言ではありません。デフレは長引き、企業倒産は相次ぎ、失業者は急増しております。希望を失い自殺をする人々の増加もまた同様に深刻な事態であります。バブルの宴に酔いしれた銀行の経営陣や企業の経営者のモラルは今や地に落ち、銀行には膨大な不良債権が積み上がったまま、いまだその処理のめどさえ立っておりません。この現状に若者は夢を失い、さらに、ここまで堕落したかと思わせる政官業の癒着に対し、国民は政治に対する失望と無力感を抱いているのであります。
 こうした中で政府は、国民に将来、人生設計をどのように描けというのでありましょうか。正にお先真っ暗でありませんか。この状況をもたらした最大の責任者である内閣総理大臣小泉純一郎君が日本のかじ取りを続ける限り、我が国に明るい未来が待っているとは私にはどうしても思えないのであります。
 昨年四月に成立した小泉内閣は、いっとき八〇%を超える支持を集めましたが、この一年で、果たせるかな、つるべ落としのように急降下しました。これは決して国民の気まぐれから来たものではありません。正しく、小泉総理、あなた自身が招いた自業自得の産物であります。
 言うまでもなく、総理大臣たる者、国家国民のためにその一身をささげる覚悟があって当然であります。しかし、総理は、自らが犯した数々の失政を国民に押し付けることによってその身を守ろうとしておられます。もはや、改革なくして成長なしと訴えるあなたに国民は疲弊し、創造的破壊が経済成長の源泉であるとの言葉はむなしく聞こえ、何ら実績の上がらない政治に怒りを訴える声が沸々として沸き上がっているのであります。
 自信に満ちた日本、明るい展望が描ける日本のためには、小泉純一郎君がその責任を取って、今日、即刻辞職する以外に道は残されていないのであります。
 以下、具体的に問責の理由を申し上げます。
 問責の第一の理由は、小泉内閣の経済財政運営の失敗であります。
 十四年度末時点で国債の残高が四百十四兆円、国、地方合計の長期債務残額も六百九十三兆円に達しようとしている現在、政府・与党は、相次いで追加デフレ政策やいわゆる骨太の方針第二弾を打ち出しました。しかし、中身といえば、以前どこかで見た政策の前倒しや寄せ集めにすぎず、デフレ脱却への政治的意気込みも戦略も感じ取ることができません。
 日本経済を覆うデフレ危機は、戦後、主要先進国にも体験したことのないたぐいのものであります。政府は、景気にかすかな明るさが出てきていると言っておりますが、厳しい現実に変わりはありません。今の内閣ではデフレを克服できるはずがないのであります。現に、無策に失望した証券市場では株価が低迷し、かえって資産デフレをあおる結果となっているのであります。
 また、経済財政諮問会議と政府税調あるいは自民党税調の間でどたばた劇を演じ、歳入改革である税制改革についても明確な方針を出すことができず、挙げ句の果てに出てきているのは、ただただ庶民いじめの強い増税姿勢であります。
 負担と給付についての理念がなく、総理は一体、この国で働き、まじめに生活している人々を一体どこに連れていこうとするのですか。構造改革という名の下に、あなたは国民の生活を不安と失望で満たしているにすぎないのであります。
 問責の第二の理由は、内閣におけるあなたの統率力のなさであります。
 一年前、自民党をぶっつぶすことを掲げて登場した小泉総理は、政策決定に当たり強烈に内閣主導を打ち出しました。しかし、佐藤元主任分析官や前島元課長補佐の逮捕に象徴される外務省の腐敗、瀋陽総領事館事件、農林水産省の無策が引き起こしたBSE問題、防衛庁情報公開リストに関するずさんな情報管理、福田内閣官房長官の非核三原則見直し発言、さらには帝京大学医学部入学試験をめぐる宮路前厚生労働副大臣の口利き問題など、あなたの内閣になってから一体幾つの問題、不祥事が発生したんですか。国民世論を頼みとするあなたの内閣支持率が低下するのは当然であります。
 そして、支持率の低下とともに、あなたは霞が関、永田町という旧来のシステムに頼り始め、それがますます改革に期待する国民の失望と不信を招く悪循環に陥ったのであります。当初の高い支持率は、今や単なる森前内閣の不人気の反動であったことが明らかとなっておるのであります。
 かつて総理は、事あるごとに自民党を変える、日本を変えると発言されました。しかし、国民のための行政をすっかり忘れ、私利私欲のために組織防衛に走る外務省に対しては、単に外務大臣の首のすげ替えで事を終えようとするなど、根本的な改革に何らの手を付けていないのであります。国外からは、日本の外交は利権の巣窟とみなされ、瀋陽総領事館事件でも、日本は何もしない国とみなされたことは、著しく国益を損なったと言わざるを得ないのであります。
 また、BSE問題では、国民が牛肉を食卓に上らせることをちゅうちょしてしまうほど政府に対する不信感を高めたにもかかわらず、武部農林水産大臣の責任を一切問わず、続投させ、関係者に大きな打撃を与えました。小泉総理、あなたはこの苦悩が理解できているのでしょうか。
 さらに、防衛庁リスト問題では、自民党の山崎幹事長が防衛庁に対して意見は言ったと認めながらも、報告全文の隠ぺいの指示ではないと苦しい発言をしています。正に、政府・与党はすべてを防衛庁に責任をかぶせ、知らぬ顔の半兵衛を決め込もうとしております。しかし、そうした中でも総理は相変わらず、よく調査をしてすべてを明らかにしなさいと指示したの一点張りであります。BSE問題と同様、開かれた行政を求める国民意識の高まりになぜ顔を背けるのですか。総理の指示が与党にも大臣にも官僚にも無視される状況になぜ平然としていられるのですか。無責任極まりないとはこのことであります。
 あなたは、大相撲やサッカーワールドカップの場面場面で感動したと言われました。そして私は今あなたに率直に申し上げたい、私どもは失望したと申し上げるのであります。
 問責の第三の理由は、一連の政治腐敗にあなたは何ら有効な手だてを打っていないということであります。
 鈴木宗男衆議院議員については、北方領土の支援事業に絡む疑惑が次々と明るみに出てきているのは御承知のとおりであります。そして、製材会社から金を受け取り、林野庁への処分の緩和など働き掛けていた疑惑で、ついに逮捕されたのであります。また、加藤紘一前衆議院議員は、事務所の元代表が逮捕され、加藤氏自身にも政治資金を私的に流用していた疑いが持ち上がり、議員辞職に追い込まれました。誠に残念なことに、井上裕前参議院議長も、政策秘書が逮捕された責任を取って議員を辞職したのであります。最近では、あなたのかつてのパートナーであった田中眞紀子前外務大臣の秘書給与流用疑惑も、いまだ解明されぬままであります。
 総理は、疑惑が報道されるたびに、きちんと説明することが大事だ、出処進退は本人が判断することだと繰り返し述べられております。自らの責任問題に発展することを極力避けようとする態度を取り続けておられます。しかし、国民は、この姿勢を、総理が政治と金の問題に主体的、積極的に取り組んでいないと受け止めておるのであります。
 政官業の癒着体質や金権体質、甘えがこれほどはっきりと現れたにもかかわらず、総理はこれをどこ吹く風とし、今や、自民党総裁でもあるあなたがこの問題で何ら指導力を発揮しないことに対し、世論の不満は頂点に達しているのであります。並の総理ならいざ知らず、自民党を内から壊すと言い放った総理、あなた自身が責任逃れにきゅうきゅうとしているさまは哀れすら感じるのであります。あれは口先だけのことだったのかと憤っているのは、決して私一人ではありません。
 問責の第四の理由は、総理の政治手法のまずさであります。
 内閣はこの国会で、有事法制、個人情報保護、健康保険改革の各関連法案を成立させようとしました。しかし、これらの提出は正に拙速の一語に尽きるのであります。現に、与党内からも、なぜこの時期に急いで制定しなければならないのかという疑問が出され、自民党内でも混乱しているではありませんか。総理には、何ゆえ今このテーマに取り組むのかという確固とした政治哲学が感じられません。そうであるからこそ、状況次第で簡単に現実的な妥協を容認することとなります。そのときの総理の言葉は、相も変わらず、小泉が変わったわけではない、抵抗勢力がこちらに歩み寄ってきた、でしかないのであります。聖域なき構造改革という言葉とこれらの法案とは何ら脈絡がなく、あなたの政治手法は手当たり次第の食い散らかしであり、何らの成果も出ていないのは当然のことと言わざるを得ません。
 そして、国会の審議に当たっても、自民、公明、保守の三党の数の暴力によって健康保険関連法案を強行採決するなど、党利党略を全面に打ち出す暴挙によってむちゃくちゃな国会運営を先導したことは、断じて許し難いところであります。
 こうした政治姿勢に国民はいつまでも我慢してはいられません。あなたが大上段に構え、人々の耳目を集めた数々の言葉や語録そのものが今や、総理、あなた自身をじわじわと追い詰めているのであります。
 以上、四点にわたり問責の主な理由を申し上げてまいりました。
 このように、小泉内閣が、内政、外交の全般にわたって失政を続け、世界における信用を著しく失墜させ、ひいては議会制民主主義への信頼を失わせた責任は極めて重大であります。リストラや合理化の名の下に職を奪われる中高年の完全失業率は依然として高く、若者や女性の就業機会も氷河期と言われるほど厳しい状況にあります。また、小泉内閣成立時から比べても、株価は一向に回復する兆しが見えません。
 総理が現実の厳しさを自覚し、真摯に努力するなら、国民はまだ少しは辛抱するかもしれません。しかし、唐突に増税や負担増を出してくるのは、正に善良な国民をいじめるものでしかないと私は言わざるを得ないのであります。
 マスコミも小泉改革をしぼみ癖と形容し、まずは大ぶろしき、次いで抵抗勢力と調整、最後の果実はわずかと論評しておるではありませんか。将来の大増税や負担増に不安を感じ、消費を控え、何とか生活を守ろうと苦労している庶民の姿があなたには見えないのですか。国民の意思はとうに小泉内閣を見限っているのであります。
 ここに本院は、危機的状況にある日本経済を立て直し、国民の政治に対する信頼を回復させるために、内閣総理大臣小泉純一郎君を問責すべきであると考えます。
 何とぞ、本決議案に対し、良識ある議員の方々、明日の日本のために、それぞれの立場を乗り越えて、勇気を持って御賛同賜りますよう訴えて、趣旨説明を終わります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 115415254X04320020731_019

発言者: 角田義一

speaker_id: 9204

日付: 2002-07-31

院: 参議院

会議名: 本会議