伊吹文明の発言 (特殊法人等改革に関する特別委員会)

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○伊吹委員 これが政府であろうと独立行政法人であろうと、あらゆる仕事は効率的でなければならない、これは当たり前のことなんですよ。国民の税金を使っていますから、最小限の税金で最大限の行政効果を上げてもらう。しかし、行政効果と利益は違うんですね。ここのところは間違っちゃいけないと思うんですよ。
 だから、商法上の法人の最終的な効率化は、利益を目的とする効率化です。政府や独立行政法人の効率化の目標は、利益ではない、何か国家にとって大切な役割なんですね。この抽象的な計量化できない国家目的というのが何かということ、これは人によって違うんですよ、みんなイズムが違いますから。これを歴史認識と深い見識を持って示すのが、一国の総理であり政治家の役割なんですね。
 そこで、総理も学ばれた慶応の先輩である、先輩というか教授であった文化勲章受章者の永井荷風は、「断腸亭日乗」という日記を書いています。この中で、非常におもしろいことを書いていますね。政府新しきことをたくらむことあれど、何事も利害相半ばするものなりと。効果もあれば副作用もあるということを言っているわけですよ。効果だけねらっても、必ず副作用は出てきますからね。
 今、大島農水大臣が来ておられるが、環境庁長官もやられました。この法律の中で緑資源機構法案というのがありますね。今、植林をしたりするということは、この自由化のもとじゃ、全く市場経済では成り立たないですよ。しかし、森があるということで災害が防がれ、そして京都議定書の計算ができるんですね。だから、効率化というのは何なんだということになると、よくこの辺考えないと、利益は出ないけれども国家のために大切だということはいっぱいあります。
 これからいずれ、大学の行政法人化が出てくるでしょうね。そうすると、工学系統、医学系統、あるいは社会のビジネスの要請があるロースクールだとかビジネススクールというのは花盛りになりますよ、効率化だから。しかし、人間の機微もわからない人に裁判官をやられちゃ困るんで、弱い人の弱みがわからない人に経営者をやられちゃ困るわけですね。ですから、こういうものはやはり全然市場経済には乗らないけれども、お経を読んでいるとか哲学書を読んでいるとか、あるいは永井荷風でいえば「墨東綺譚」のように江東のちまたをさまようとか、こういうことがみんな深い基盤になって出てくるんですよ。
 だから、今の総理の改革というのは、私は基本認識を同じくして、ぜひ成功してもらいたいと思いますが、やや利益とか効率とかということにウエートがかかり過ぎているように思う。やはり、もう少し深みのある日本社会、品性のある社会というものをつくる、そういう自民党総裁であってもらいたいし、そういう日本国のリーダーであってもらいたいと思います。
 時間がありません。最後に御感想を伺って、質問を終わります。

発言情報

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発言者: 伊吹文明

speaker_id: 3636

日付: 2002-11-11

院: 衆議院

会議名: 特殊法人等改革に関する特別委員会