鈴木俊一の発言 (環境委員会)

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○国務大臣(鈴木俊一君) 去る九月三十日に環境大臣及び地球環境問題担当大臣を拝命いたしました鈴木俊一でございます。
 地球温暖化問題や循環型社会の形成など、山積する課題の解決に向け、環境大臣としての職責を果たすべく全力を尽くしてまいる所存でございます。小宮山委員長始め委員各位の御指導、御鞭撻をよろしくお願いを申し上げます。
 さて、第百五十五回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ちまして、環境行政に対する私の考えを申し述べさせていただきます。
 私たちの生存基盤である環境は、大気、水、土、生態系などが相互に絡み合って成り立っており、例えば川の上流の山や森の荒廃による影響がその下流や海、さらには魚にも及んだり、人間活動により排出された汚染物質が北極圏など遠く離れた地域にも到達するなど、その一部に影響を与えた場合には他の部分にも波及し、ひいては全体が損なわれるおそれがあります。こうした環境問題に取り組むとき、私は、環境の構成要素が相互に深く関連し合っていることを念頭に置き、目の前の事象のみにとらわれるのではなく、全体を見通した幅広い視点に立って取り組んでいくことが肝要と考えます。
 今日、私たちが直面している環境問題は、国民の日常生活や通常の事業活動に根差しております。このまま現在の生産と消費のパターンを続けていけば、私たちの生存と活動の基盤である環境を一層破壊し、社会経済の行き詰まりをもたらすことになると考えます。このため、今こそ社会の在り方そのものを持続可能なものに変革していかなければなりません。とりわけ、私は、環境問題を経済の制約要因ではなく新たな成長要因ととらえ、環境の保全と経済の活性化とを一体化させたいと考えます。このような環境と経済の統合を実現するためには、環境配慮をすることにインセンティブが働く経済社会を構築することが重要課題であり、国全体の環境意識を向上させ、私たち自身のライフスタイルや社会経済活動の在り方を変革していく必要があると考えます。
 次に、個別の施策分野の取組の方向を申し上げます。
 まず、人類の存続にかかわる重大な問題である地球温暖化問題への対応は現下の最大の課題の一つです。
 我が国としては、本年六月に締結いたしました京都議定書の六%削減約束を確実に達成するため、温室効果ガス排出抑制等のための取組を進めるとともに、環の国くらし会議などを通じ、国民一人一人の生活の見直しに向け、理解と行動を呼び掛けてまいります。
 また、十月二十三日からインドのニューデリーで開催されたCOP8において、条約の実施状況についてのレビューやクリーン開発メカニズムに関する手続の討議などが行われました。私自身も、国会のお許しをいただきまして閣僚級円卓会合に出席するとともに、この機会を活用して二国間会談を積極的に行い、京都議定書未締結国に対する同議定書の早期の締結や、京都議定書第一約束期間後における途上国を含めた世界的な行動についての検討の開始を働き掛けてまいりました。今後とも、地球温暖化対策の国際的連携に最大限努力してまいります。
 さらに、ヨハネスブルグ・サミットの成果を踏まえ、持続可能な開発のための教育の推進など、持続可能な社会に向けて、国内における取組とともに国際協力を展開してまいります。
 次に、大量の廃棄物の排出、最終処分場の逼迫、不法投棄の多発など、廃棄物問題が深刻化しており、循環型社会の形成が喫緊の課題となっております。
 このため、その道筋を明らかにする循環型社会形成推進基本計画を前倒しして策定するとともに、廃棄物・リサイクル制度の基本問題について、リサイクルの一層の推進、不適正処理の防止に向け、必要な制度改正も視野に入れて検討を進めてまいります。
 また、大規模、広域的な不法投棄事案に適切に対処するとともに、さきの国会で成立いたしました自動車リサイクル法の円滑な施行、PCB廃棄物の処理体制の整備、健全な水循環に資する合併処理浄化槽の整備を進めてまいります。
 また、以上のような対策の基盤となるものとして環境ビジネスの活性化や環境研究・環境技術開発を促進していくことにより、環境の保全と経済の活性化とを一体のものとして取組を進め、持続可能な社会の実現に努めます。
 さらに、自然と共生する社会の実現も重点的に取り組むべき課題であります。
 本年三月に策定された新生物多様性国家戦略に基づき、自然環境の各分野の施策に生物多様性保全の観点を組み込んでまいります。また、失われた自然を積極的に回復していくため、自然再生の取組を強力に推進するとともに、その制度的な枠組みとなる自然再生推進法案の早期成立を期待しております。
 さらに、バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書の締結に向け、遺伝子組換え生物による生態系影響を防止する国内措置の検討を進めます。加えて、生態系保全の観点からの化学物質対策の拡充に向けた検討を進めます。
 地域環境の安全性と国民の安心の確保も重要な課題です。
 十月二十九日に東京大気汚染公害訴訟に係る第一審判決がありました。大都市の大気汚染については、環境基準の達成状況がいまだ十分でなく、更なる改善の努力を要する状況にあります。このため、世界で最も厳しい自動車排出ガス規制の実施、自動車NOx・PM法に基づく施策の総合的な推進、燃料電池車など低公害車の普及を一層促進します。
 また、さきの国会で成立しました土壌汚染対策法の着実な施行、化学物質による環境リスクの低減及びリスクコミュニケーションの一層の推進、さらには公害健康被害の補償と予防の着実な推進を図ってまいります。
 さらに、地域における自発的、積極的な環境保全活動を活性化させることも持続可能な社会を構築する上で欠かすことのできないものであります。このため、国民一人一人の環境保全活動の促進のための基盤整備、環境NPOを始めとする各主体の連携、協力による活動の推進などが効果的かつ効率的に図られるような仕組み作りについて検討を行ってまいります。
 このほかにも、環境省として取り組むべき課題は山積しております。こうした課題に的確に対応するため、環境省の組織体制の充実強化を図ってまいります。
 私は、環境行政に責任を持つ者として、持続可能な社会の構築に向け、環境の保全という見地から、言うべきことははっきりと言い、実行すべきことはきちんと実行してまいる決意であります。
 委員各位におかれましても、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 鈴木俊一

speaker_id: 5579

日付: 2002-11-05

院: 参議院

会議名: 環境委員会