戸波江二の発言 (憲法調査会)
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○参考人(戸波江二君) ちょっと難しいですけれども、簡単にお話しさせていただきます。
二重の基準論と申しますのは、これは基本的にはアメリカの憲法判例で展開してきた議論で、修正一条の権利、つまり表現の自由だとか、集会の自由だとか、信教の自由だとかという精神活動にかかわる人権を保障した修正一条というアメリカの人権規定を重視するという考え方で、したがってそれを制限するような法律については厳格な違憲審査基準を適用して違憲とするという論理が二重の基準論の根幹であります。その反面として、その修正一条以外の権利については緩やかな審査基準だということになって、日本の場合には経済的自由と精神的自由を二つに分けて、経済的自由については緩やかな審査基準を使うんだという議論として展開しております。
これについては、学説は広く支持しておりまして、それから判例でも精神的自由について厳格な審査基準を使ったという例がないですから、判例が採用しているかどうかというのはちょっと問題もあるんですけれども、判例の言い方でも支持されているところであります。
この二重の基準論の考え方は、これも人間生きていくためにはお金の方が大切じゃないか、食べるものだとか住むところがなきゃしようがないじゃないかという形で、経済的自由の方が価値があるんじゃないかという考え方だとか、そもそも価値の優劣などは学問的に決められないじゃないかと、いろいろな議論はありますが、やっぱり西洋型の憲法の考え方ですと、やはり民主主義を支える言論の自由をより保護していこうと。逆に、経済活動については、やはり社会的ないろいろな関連性があり相互の調整も必要となると、そのために法律による規制が必要だとするのが現代の経済的自由ですので。
だから、その二重の基準論というのは原則としてやはり維持して、経済活動を維持するということは、つまり違憲審査の場で裁判所が経済活動の規制の仕事は議会の仕事だと、国会の仕事だと。だから、その国会の判断を尊重して、違憲審査権を緩やかに、違憲審査権を消極的に行使するんだ、なるべく憲法違反とはしないという考え方につながるわけで、その考え方というのは日本国憲法でも取られていますし、今日のお話でもしましたように、基本的には経済活動についてやっぱり維持すべきである、それから精神活動についてはやはり国民の表現の自由、それから精神活動ということですからなるべく保護していこうということになるかと思います。