森山眞弓の発言 (本会議)

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○国務大臣(森山眞弓君) 江田議員にお答え申し上げます。
 まず、いわゆる大阪・池田小学校児童等無差別殺傷事件の直後の小泉総理の発言内容と本法案との関係についてお尋ねがございました。
 心神喪失等の状態で重大な他害行為が行われる事案につきましては、被害者に深刻な被害が生ずるだけではなく、精神障害を有する人がその病状のために加害者となる点でも極めて不幸な事態でございます。
 そこで、精神障害に起因する事件の被害者を可能な限り減らし、また、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者が精神障害に起因するこのような不幸な事態を繰り返さないようにするための対策が必要であり、御指摘の総理の御発言もそのような趣旨であったものと理解しております。
 このような総理の御発言や、この事件をきっかけとする国民各層からの御意見、与党プロジェクトチームによる調査検討結果等をも踏まえまして、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する適切な処遇を確保するため、本法案を提出させていただいたものでございます。
 刑法の見直しという小泉総理の指示が誤りではないかとのお尋ねがございました。
 御指摘の総理の御発言は、具体的に刑法の見直しを指示されたものではなく、一般論として、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者が精神障害に起因するこのような不幸な事態を繰り返さないようにするための対策が必要であるとの御趣旨であったものと理解しております。
 次に、小泉総理の発言が精神障害者に対する差別等を助長したのではないかとのお尋ねがございました。
 御指摘の御発言は、池田小学校の事件が精神障害に起因して行われたものと断定して述べられたのではなく、一般論として、精神障害に起因する事件に関する対策が必要であるとの御趣旨であったものと理解しております。
 本法律案は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者につきまして、国の責任において必要な医療を統一的に確保し、不幸な事態を繰り返さないようにすることにより、その社会復帰を図ることが肝要であるとの考えに基づきまして、適切な処遇を決定するための審判手続等を定めるとともに、その医療を確保するための機関、制度等を整備するものでございます。このように、対象者の早期の社会復帰を図るための適切な体制を整備することは、長期的にはむしろ差別や偏見の解消につながっていくものと考えております。
 さらに、本法案が大阪・池田小学校児童等無差別殺傷事件の容疑者にどのように適用されるのかとのお尋ねがございました。
 御指摘の事件は、責任能力が認められるものとして起訴されたと承知しておりますが、同事件につきましては、現在、公判係属中であり、この点も含め、最終的には裁判所によって判断されるべき事柄でございますので、お尋ねの点について法務大臣として答弁することは適当ではないと考えております。
 また、本法案が心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者のみを対象としていることについてお尋ねがございました。
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者は、精神障害を有していることに加えて重大な他害行為を犯したという、言わば二重のハンディキャップを背負っている者でございます。そして、このような者が有する精神障害は一般的に手厚い専門的な医療の必要性が高いと考えられ、また、仮にそのような精神障害が改善されないまま再びそのために同様の行為が行われることとなれば、本人の社会復帰の重大な障害となることからも、やはりこのような医療を確保することが必要不可欠であると考えます。
 そこで、このような者については国の責任において手厚い専門的な医療を統一的に行い、また、退院後の継続的な医療を確保するための仕組みを整備すること等によりまして、その円滑な社会復帰を促進することが特に必要であると考えられますことから、このような者を本法案における対象者とすることとしたものでございます。
 次に、精神鑑定の現状とその適正化の必要性についてお尋ねがございました。
 検察当局におきましては、精神障害の疑いのある被疑者による事件の捜査、処理に当たり、精神鑑定を行う必要があると認められる場合には、事案の内容や被疑者の状況等に応じて、簡易鑑定によるか鑑定留置の上で本鑑定を行うかなど、精神鑑定の手段、方法を選択していると承知しております。
 精神鑑定につきましては、特に簡易鑑定に対し、適正に実施されているかなど、様々な御意見や御批判があることは十分に承知しており、法務当局といたしましても、一層その適正な運用を図り、不十分な鑑定に基づいて安易な処理が行われているとの御批判を決して招くことのないようにする必要があると考えております。
 このような観点から、専門家の意見等をも踏まえつつ、捜査段階において精神鑑定が行われた事例を集積し精神科医等も加えた研究会等におきましてこれを活用すること、検察官等に対しいわゆる司法精神医学に関する研修を充実させること、鑑定人に被疑者に関する正確かつ必要十分な資料が提供されるような運用を検討すること等の方策を講ずることを検討したいと考えております。
 精神鑑定の充実と適正化に関し、民主党案をどのように評価するかとのお尋ねがございました。
 民主党案につきましても様々な御意見があるかと思いますが、私といたしましては、御提案された精神鑑定の質の向上による適正な鑑定の確保につきまして、種々の御意見や御批判を真摯に受け止め、先ほど申し上げたような方策を講ずることを検討したいと考えております。
 新たな処遇制度に保護観察所が携わることについてお尋ねがございました。
 本制度におきまして、保護観察所は、通院患者に対する継続的な医療を確保するため、医療機関はもとより、地域社会で精神障害者に対する援助業務を担っている保健所等の関係機関とも連携しつつ、精神保健観察等の事務を行うこととしております。これらの事務は、本人の社会復帰を促進することを目的とするものでありまして、犯罪者の改善更生を促すことを目的とする保護観察とは本質的に異なるものでございます。このため、保護観察所には精神障害者の保健、福祉等に関する専門的知識を有する職員を新たに相当数配置いたしまして適切な処遇を行うこととしているところでございまして、御指摘のような懸念は当たらないものと考えております。
 また、本制度による処遇については、国の機関が中心となって行うことが適当と考えられますこと、保護観察所は全国五十か所に設置されておりまして、そのネットワークによって統一的かつ円滑な処遇の実施が可能であることなどを総合的に考えますと、本制度による処遇を担う機関としては保護観察所がふさわしいものと考えております。
 修正案に基づく入院患者の数についてお尋ねがございました。
 入院等の決定は、処遇事件を取り扱う裁判所の合議体が個々の事件に応じて判断するものでございますから、現段階において、入院等の決定がなされる者の数について確定的なことを申し述べることは困難でございます。
 もっとも、修正案は、政府案に対する様々な批判を踏まえまして、本制度における入院等の要件を明確化し、本制度の目的に即した限定的なものといたしましたものと承知しておりまして、入院決定を受ける者の数につきましても、その趣旨に沿ったものになるものと考えられます。
 新たな処遇制度の整備と精神障害者全体に対する施策の関係についてお尋ねがございました。
 先ほどもお答え申し上げましたとおり、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者については、国の責任において統一的に手厚い専門的な医療を行うこと等によりまして、その円滑な社会復帰を促進することが特に必要であると考えられ、そのための適切な施策を早急に講ずる必要がありますことから、本法案により新たな処遇制度を整備することとしたものでございます。
 一方で、御指摘のとおり、精神障害者全般に対する施策を推進していくことも大変重要なことと考えております。この点については、衆議院における修正によりまして、一般の精神医療等についてもその水準の向上等を図るべき政府の責務が明記されまして、また、厚生労働省からもこれらに努めていくとの御決意を伺っているところでございまして、本法案の成立により、今後これらが推進されていくものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115515254X01320021211_029

発言者: 森山眞弓

speaker_id: 5778

日付: 2002-12-11

院: 参議院

会議名: 本会議