合田宏四郎の発言 (経済産業委員会)

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○合田参考人 日本ガス協会の合田でございます。
 本日は、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案に関しまして、ガス事業者としての考え方を述べさせていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。
 最初に、これまでのガス事業に関する規制緩和に対するガス事業者としての取り組みについて御説明をさせていただきます。
 まず第一弾の規制緩和でございますが、平成六年六月にガス事業法が改正されまして、年間契約数量二百万立米以上の大口供給が自由化をされ、小売の自由化がスタートいたしたわけでございます。
 その後、第二弾の規制緩和といたしまして、平成十一年五月に再びガス事業法が改正をされまして、自由化の範囲が年間契約数量百万立米以上にまで引き下げられました。あわせて、ガス事業者の導管を第三者が利用する際の条件の明示、すなわち託送約款の作成、公表が、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスの大手四社に義務づけられました。また、百万立米未満の小口の規制分野でございますが、それまでは認可制でありましたガス料金の改定手続につきまして、値下げの場合には届け出で可能であるという改正が行われたところでございます。
 このような規制緩和の結果、平成十三年度末時点で、全国の都市ガス供給量の三九%が自由化領域となっており、従来からの、電気、石油、LPG等の他のエネルギーとの競争に加えて新規参入が実現をし、競争が大変活発化いたしております。
 具体的に申し上げますと、平成十五年四月三日現在の時点でございますが、十一社三十八件の新規参入が実現いたしておりまして、このうち、一般ガス事業者の供給区域の中への参入は十一社三十一件に上っております。新規参入者は、東京電力、関西電力、中部電力、帝国石油、石油資源開発、岩谷産業等々でございまして、電力会社を初めといたしまして、石油会社、国産天然ガス会社、LPガス会社など、顔ぶれは極めて多彩になっております。
 こうした新規参入による大口供給量でございますが、全国の大口ガス供給量に占めるそれの割合は、平成十三年度の実績で約二%でございます。平成十四年度実績はまだ確定いたしておりませんが五%程度にまで達する見込みでありまして、自由化された大口分野では大変厳しい競争が展開されているところでございます。
 また、このような大口供給の規制緩和とともに、規制分野の家庭用などの小口料金の分野につきましても、大口ガス事業者を中心に約五%から九%程度まで料金引き下げが実施されております。
 これらの事業者を含めまして、平成十一年の値下げ届け出制の創設から本年四月一日までに四十九件の料金引き下げの届け出がなされまして、全国の需要家件数の約八〇%が料金値下げのメリットを享受されているところでございます。
 しかしながら、私どもガス事業者といたしましては、これで十分であるとは決して考えておりません。今後の規制改革に対応しつつ、今回の法改正の基本的な視点であります効率的なガス供給基盤の整備とその有効利用、消費者すなわちガス利用者の選択肢の一層の拡大に向けてたゆまぬ努力を続けてまいる所存でございます。
 次に、今回のガス事業法の改正に先立って行われました都市熱エネルギー部会におきまして私どもが検討を行う際の留意点として申し上げてまいりました項目の中で、特に重要と考えております三つの項目について御説明をさせていただきます。
 第一は、エネルギーセキュリティーの確保でございます。
 我が国は天然ガスの九七%を海外からのLNGに依存いたしております。また、天然ガスは中東依存度が二〇%と低く、供給安定の面からもすぐれたエネルギーでございますが、海外からのLNGを将来にわたって安定的に調達していくためには、長期的な需要見通しに基づいてLNGプロジェクトが海外でタイムリーに立ち上がっていくということが不可欠でございます。
 この海外のLNGプロジェクトの立ち上げには、最低五年程度の期間と四千億円ないし一兆円の大規模な初期投資が必要になります。そして、こうした大規模な初期投資を確実に回収していくためには、国際的な金融機関がLNGの売り主に対して十五ないし二十年の長期契約を要求する構造になっておりまして、この関係は今後も変わらないというのが専門家の見方でございます。
 このような状況の中で、自由化の急激な進展によって我が国の将来のガス需要見通しが不確実になりますと、我が国が長期契約で引き取る保証が困難となり、産ガス国の新規のLNGプロジェクトを立ち上げることも困難になるわけでございます。
 また、エネルギー構造がこのように脆弱な我が国におきましては、この長期契約によりましてLNGを長期間にわたり安定的な価格で調達ができるというメリットは極めて重要だと考えております。
 と申しますのは、カリフォルニア州の電力危機はまだ記憶に新しいところでございますが、当時のカリフォルニア州の天然ガスの価格に注目をいたしますと、火力発電用の燃料でございます天然ガスに対する需要が急増したこともございまして、その結果、カリフォルニア州の州境での天然ガスのスポット価格が、電力危機以前の二〇〇〇年六月、百万BTU当たり、一つの単位でございますが、四・七ドルでございましたのが、年末の十二月には五十九・四ドルと実に十三倍にまで上昇いたしたわけでございます。
 カリフォルニア州では天然ガスの自給率は一五%でございまして、我が国の三%と比べてかなり高いのでございますが、そのカリフォルニア州ですら天然ガスが今申し上げた十三倍に高騰したという結果を見ますと、天然ガスの自給率がわずか三%しかない我が国では、脆弱なエネルギー構造を認識した上で自由化を段階的に進めていくことが必要と考えております。
 第二点目は、環境への適合でございます。
 一昨年の七月に長期エネルギー需給見通しの中で、天然ガスにつきましては、環境負荷が小さく供給安定の面からもすぐれたエネルギーとして、一層利用拡大していくべきであるという政策的位置づけが行われたところでございます。私どもガス事業者といたしましても、天然ガスコージェネレーションや天然ガス自動車の普及拡大、燃料電池の技術開発が必要であると考えております。
 特に天然ガスコージェネレーションにつきましては、我が国におきましては全発電設備容量に占める割合がわずか〇・九三%、一%にも達しない水準でございまして、オランダはこの割合が三三%、デンマークが一八%と比べまして極めて低く、アメリカ、イギリス、イタリアにおきましても大体三ないし五%の水準でございまして、これと比較をしても、我が国の普及状況は非常におくれている状況でございます。環境対策の面から、天然ガスコージェネレーションの普及拡大に向けた政府の支援策の拡充がぜひとも必要と考えております。
 第三点目は、保安水準の維持向上でございます。
 欧米では、ガス事業者の保安責任は需要家のガスメーターまでと限定されておりまして、仮に屋内でガス漏れが発生をいたしました場合に、ガス事業者は需要家のメーターコックを閉めるだけで帰ってしまいまして、壊れた内管の修理あるいはメンテナンスというのは需要家の責任において行うことになっております。
 一方、我が国では欧米と異なりまして、ガス事業者の保安責任はガスメーターよりさらに下流の需要家の皆さんの屋内のガス栓までとなっておりまして、日本のガス事業者は、需要家の資産である内管、敷地の中のガス管につきましても保安責任を背負っておるところでございます。これに加えて、同じく需要家の資産でありますガスコンロあるいはガス湯沸かし器等のいわゆるガス器具につきましても、その調査あるいは安全周知を定期的に行うことがガス事業法で義務づけられているところでございます。
 このように、ガス事業者に重い保安責任を負わせることによって、我が国の保安水準は、需要家百万件当たりのガス事故による死亡者数、これを一年間で比較しますと、我が国は〇・四人と極めて少ない水準でございますのに対しまして、アメリカの場合は六・四人で日本の十六倍、フランスは五・六人で日本の十四倍、イギリスは一・九人で日本の五倍となっております。この我が国の高い保安水準につきましては、今後規制改革が進みましても、お客様が安心してガスをお使いいただけるよう、これまでどおり維持向上させていかなくてはならないと考えております。
 以上、御説明を申し上げましたが、この都市熱エネルギー部会では、都市ガス業界だけでなく、電力業界、国産天然ガス業界、石油業界、LPG業界、消費者、さらには学識経験者の方々から多様な御意見をいただいたところでございます。そうしたさまざまな御意見のある中で、部会長である植草東洋大学教授、ガス政策小委員長できょう御出席の鶴田専修大学教授、ガス安全小委員会委員長の秋田東京大学名誉教授の御尽力によりまして報告書として取りまとめられたものでございまして、今回のガス事業法の改正案は、この報告書の中から速やかに実施すべき項目を取り上げて法案として策定されたものでございます。
 私どもガス事業者といたしましては、今回の法改正の趣旨にのっとり、これまで以上に営業努力や技術開発による需要拡大、コストダウンや要員効率化等の経営効率化に努めまして、これからも需要家の皆様方から選択していただけるようなエネルギーとしてさらに業界を挙げて努力してまいる所存でございます。
 本日はまことにありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 合田宏四郎

speaker_id: 14149

日付: 2003-05-13

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会