島聡の発言 (憲法調査会)
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○島委員 民主党の島聡でございます。
本日は、イラク問題、北朝鮮問題、国際情勢と国際協力につきまして、民主党の安全保障政策というのが九九年にまとまっておりまして、その憲法問題に関するところを御紹介しながら発言をさせていただきたいと思っています。
湾岸戦争から十二年たっています。当時と現在の大きな違いというのが、アメリカがイラクに対し予防的な先制攻撃というのをとる、そういうことを言っていることであります。昨年九月の米国の国家安全保障戦略では、テロに打ちかつためには、国際社会の支援をかち得る努力を続けるけれども、必要であれば先制攻撃による自衛権行使の単独行動をためらわないとしています。
この自衛権という考え方が先制攻撃というものに本当に一致するのか、これは非常に大きな議論になると思います。
国連憲章のもとでは、武力行使や武力による威嚇というのは全面的に禁止されています。例外が二つ。一つは自衛権の行使であり、もう一つは国連による集団安全保障上の強制措置であります。
自衛権の概念というのも、これは極めてさまざまに解釈されていましたが、厳しく制約されていると私は思っています。武力攻撃が発生した場合のみ自衛権の行使が認められ、武力行使のおそれだけでは先制的攻撃の自由は認められない、こういうのが今までの国連の慣行であるというふうに私自身は思っています。
アメリカは今、国際社会と協調しまして、問題の平和的解決に向け、ともかくあらゆる外交努力を払うべきでありますし、引き続きイラクに対して厳格な査察を継続する、そしてまた、イラクへ武力行使をする場合でも、国際社会への脅威となる具体的な根拠、それをきちんと示すとともに、新たな国連安保理決議の採択を求めるべきであると思っています。
日本の個別的自衛権というのは、皆さん、もう言うまでもありませんが、急迫不正の侵害があること、排除するためにほかの適当な手段がないこと、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、先制攻撃は認められない、これが政府見解であります。
とするならば、今回のアメリカ、もちろんアメリカのイラク攻撃は議会決議で大統領に授権されておりますし、米国憲法上、手続的には全く問題はございません。しかし、このいわゆる予防的な先制攻撃というのが、果たして今後、国際社会においてどういうような影響を与えていくのか。国連決議がない状況で武力行使に踏み切ったときには国連憲章違反の疑いがあるのではないか、そういうことすら私は思う次第であります。
アメリカはイラクを武力攻撃するには十分に慎重に、そして国連の決議が必要であるというのが思いでありますが、日本がきちんとアメリカに言うためには、日本自身が毅然としてテロと対決していくという態度を示さなくてはいけません。
民主党の安全保障政策、ともすればよく民主党は安全保障政策がばらばらであると言われる方が多いので改めて申し上げますが、民主党の安全保障政策はこう書いてあります。
国連安全保障理事会の決議に基づく武力行使を伴う多国籍軍については、憲法前文の国際協調主義を強調する立場、憲法九条に規定する国権の発動に当たらないとする考え方に基づき、積極的に参加すべきとの意見がある。しかし、多国籍軍はその指揮権は各国が持つことが通常であり、参加するか否かの選択が各国にゆだねられている状況において多国籍軍への参加を日本が決定することを考えると、国権の発動に当たらないとは言えない。このため民主党は、正式の安保理決議に基づく多国籍軍が現実に果たしている役割については一定の評価をしています。しかし、日本が多国籍軍に参加し武力行使を行うことについては憲法九条が許容していない、そう考えております。
したがって、現在のインド洋で続ける協力とか国際治安活動に対する後方支援、国連PKOに対する協力、これは拡大も含めてですが、それは積極的にすべきでありますが、武力行使を行うことについては憲法九条が許容していない、そのように考えております。
北朝鮮の問題について申し上げます。
今、中川議員からもありましたが、NPTからの最終的な脱退や、兵器、プルトニウム抽出につながる再処理施設を再稼働させることなんかをにおわせております。特に、北朝鮮の核、ミサイル脅威は、日本の安全保障に対する直接の脅威であるということを忘れてはならないと私どもも思っています。
先ほど、憲法九条の問題について中川議員からございましたが、私どもは、憲法九条の解釈に関しましては、国会、学界における論争においてさまざまな考え方が示されましたが、外国からの違法な侵害を受けた場合の個別的自衛権の行使まで放棄したものではない、それは当然であると思っております。したがいまして、ミサイルの発射におきまして、座して死を待つべきではない、そしてまた、いつをミサイルの発射と見るか、注入したときかどうか、そういうことに関しましては、末松議員が予算委員会でただしているところでございます。
最後に、集団的自衛権について申し上げます。
インド洋に給油のために補給艦を派遣するということを日本は決めて、現在も施行しております。これは、あくまで武力の行使ではないということでございます。後方支援であるということでございますが、政府は、憲法九条が認める自衛権の行使は、我が国を防衛するための必要最小限の範囲にとどまるものであり、集団的自衛権の行使は、その範囲を超えるものであり、憲法上許されないとの立場に立っています。
私どもは、集団的自衛権に関しまして、憲法解釈の変更により安易に行うべきではないと考えております。つまり、もし集団的自衛権というものをきちんとするならば、ここできちんと議論をして、憲法解釈をして、きちんと解釈を変更すべきである、そういうのが私どもの立場であります。
今、今回のイラク、北朝鮮の問題等について、例えば、最初に申し上げた先制攻撃ということについて日本はどう考えているかということに関しましては、小泉首相は昨年十一月の党首討論で、先制攻撃がなされていない段階では判断は差し控えたいと述べられました。
安全保障の議論というのは、常に仮定、ネバー・セイ・ネバー、いろいろなそういう状況のもとの議論であります。そしてそれが、このような、いわゆる仮定だからやらないというようなことをしているのが、もしも憲法の議論があるということで問題になるならば、これはこの憲法調査会において、イラク情勢に関しても、そしてまた今の集団的自衛権に関しても、きちんと議論をして、憲法調査会で整理をして、国会で議論が封殺されることがないようにすべきだと考えております。
今回は党の方針に沿っての発言でございますので、以上、私どもの安全保障基本政策ということに関しまして、それを基盤にお話を申し上げました。民主党は、九九年にこの安全保障基本政策を党としてきちんと正式に決定いたしております。したがいまして、民主党が、よく言われるように、安全保障政策に一致していないということは全くの誤解でありまして、このような安全保障基本政策に基づいて今後もきちんとした対応をしていくということを最後に申し上げたいと思います。
以上です。