赤松正雄の発言 (憲法調査会)
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○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。
私は、きょうのテーマでありますもののうち、イラクをめぐる問題について主にお話をさせていただきます。
まず冒頭、エピソード的に一つのお話をさせていただきます。といいますのは、昨日、公明党は、駐日イギリス大使のゴマソールさんを招きまして、イラク問題をめぐるイギリスの対応についてお話を聞くとともに、私たちと意見交換をいたしました。
イギリスは、御承知のように、ブッシュ政権を強く支持する姿勢を示しております。国連の新たな決議が成立することが望ましいとしながらも、もしそれが不可能なら、各国は自分の責任で後は対処するしかない、急いで軍事行動に臨むということはないけれども、しかしまた、余り時間は残されていない、こんなふうなお話を述べられました。
これに対しまして、私を含めた公明党からの発言は、アメリカの最も親密な同盟国であるイギリスがもっと適切な助言をするべきであって、日本から見るとアメリカのよき同調者としての態度のみで終わっているようにしか見えない、軍事的攻撃を断念させるような態度強化を望むという意見が相次ぎました。
これに対しましてゴマソール大使は、軍事力をも辞さずとの強硬姿勢があってこそ、そういう姿勢があってこそ相手の邪悪な意思をくじくことができるんだという姿勢を強調されたわけであります。ただ、余りに執拗な軍事行動批判の発言が公明党の側から出ましたので、いささか辟易した態度をとられ、公明党の態度は一体どうなんだと逆に問い返されたわけであります。
それに対しまして私は、軍事行動も辞さずとする強い態度こそ相手の軟化を生み出すとの教訓というのは、あの九月十一日以降、日本も持つに至ったし、北朝鮮あるいはイラクに対しても同じことが言えるという点は認識をしている、したがって、イギリスの対応と基本は変わらないと述べました。ただ、イギリスに望みたいのは、フランスほどとまではいかないまでも、もうちょっとアメリカへの歯どめ役に徹してもらいたい、そういう思いがあるんだということを述べました。
イギリス大使はかなり不満の御様子で、招きながらこちらとしても言いたいことを言ってしまったなという後味の悪いものがあって、反省をした次第でございます。
こうした発言の背景には、アフガンへの軍事攻撃において、アメリカと全く軌を一にしたイギリスのいわゆる集団的自衛権の行使に強い違和感を持ったことが挙げられます。今の日本の憲法では到底なし得ないことをよくやるなという思いが私には強く残っているからであります。
公明党は、領土、領海、領空の領域保全に日本はその自衛力を行使すべきであって、他国の領域、海外での武力行使はできないという憲法解釈に立ちますし、これを今後も変えるべきではないとの立場に立っております。
ところで、日本自身に対する攻撃への防衛のための法としてのいわゆる自衛隊法の整備に加え、この数年、いわゆる周辺事態への対応としての周辺事態安全確保法や、それに関連した船舶検査法、さらには国際攻撃などに対応するための措置としての対テロ特別措置法等、順次整備をされてきました。
これは、湾岸戦争後の十年というものが、いわゆる、よく日本の経済という部分に関して言われます失われた十年という言い方を適用させるというか、それに関連して申し上げますと、私は、逆にこの過去十年というのが、日本の安全保障という観点からすれば、むしろ失われなかった十年、精いっぱいの十年であったというふうに、PKO法に始まる今日までの一連の安全保障上の措置はなされてきた、そういうとらえ方をいたします。
ただ、その上で、法整備の観点からすれば、今この国会でも引き続き論議の対象になります有事法制、これを早急に整備する必要がありますし、もう一つ欠けているものがあると考えています。
それは、国際の平和及び安全に対する脅威、つまり、大量破壊兵器など国際安全保障上の事態への対応、言いかえれば、国際社会の枠組みを壊す行為に制裁を加えようとする多国籍軍への協力をどうするかといった問題がもう一つ大きく残された課題であります。
これにつきましては、昨年の十二月十八日に、明石康さんを座長とする国際平和協力懇談会が報告書を出されました。その中での指摘、提言が極めて注目をされます。
これは、国連決議に基づき派遣される多国間の平和活動、いわゆる多国籍軍への我が国の協力、例えば医療とか通信とか運輸などの後方支援について、一般的な法整備の検討を開始すべきだという提案であります。この報告書は、国際平和協力の理念と枠組みや現状等の課題について、今の憲法の中でなされねばならないことを網羅的に示した画期的なものと高く評価できますし、政治が、立法府がどうこれを具現化するかがこれから問われてくると思います。
その中で、「憲法の前文を流れる積極的な平和主義や国際主義を思い起こす必要があると同時に、国際平和に寄与しようとする国民の願望が、ともすると抽象的・観念的なものになりがちであったことを踏まえ、それを現実のものとする意欲を新たにし、工夫をこらすために、国民的な議論を展開すべきであろう。」こういうふうに述べていますけれども、私たちは全くこれに同感をいたします。
この報告書に提起されましたもう一つの大事な点としては、現行PKO法をめぐる課題を踏まえた上で、より柔軟な国際平和協力の実施に向けて早急に法整備を行うべきだ、そういう意味合いのもとに、八つの提言がなされております。
例えば、そのうちの一つの大事な提言としては、「国際平和協力業務において、国際基準を踏まえ、「警護任務」及び「任務遂行を実力をもって妨げる試みに対する武器使用(いわゆるBタイプ)」を可能とする。」こういう提言があります。この提言に対しては、過去の政府の答弁、事務局が用意してくださったこの資料によりますと、このBタイプの武器使用について、衆議院テロ対策特別委員会における内閣法制局長官の答弁を見ますと、「任務遂行を実力をもって妨げる企てに対抗するための武器使用でありますが、それを我が国自衛官に認めることは、憲法九条との関係で問題があるという考え方でございます。」こういうふうな答弁があるわけでありますけれども、こういった問題を具体的にどう乗り越えていくのかということが差し当たって私たちが直面しているテーマではないか、そんなふうに考えております。
とりあえず、以上をもって御報告にかえさせていただきます。