春名直章の発言 (憲法調査会)

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○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 最初に、四つの小委員会の設置について一言発言をさせていただきます。
 憲法の運用実態の調査というテーマについては、私は以前から、広範かつ総合的な調査を行う憲法調査会としての調査の主要な内容であると主張してきたものであります。ところが、提案されている小委員会の内容や手法は、それにふさわしいものとなっているとは言えません。
 運用実態を調査するためには、例えば基本的人権では教育権、労働基本権、男女平等など、一つ一つについて多面的、多角的に掘り下げる調査がどうしても必要です。ところが、幹事会での提案では、きょうは教育、次回は労働などについて学者の意見を聞き質疑するというものになっています。学者の意見だけではなく、もちろんそれも大事ですが、行政の実態、法律、現場の実態等々、多角的に調査しなければ、掘り下げた調査にはなりません。結局、残る二年間という調査期間の中で、全条文を調査したという実績をつくるものと思わざるを得ません。
 今回、新たに最高法規小委員会を設置しますが、憲法の最高法規性、明治憲法の制定経緯の検討がなぜ必要なのか疑問であります。月一回の総会での自由討論も、今述べた掘り下げた調査の上に立って討論するというものにならなければ、実りあるものにはなりません。これらはすべて最終報告書づくりが先にありきで、それに向けて調査日程を合わせたものと言わざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。
 さて、イラク問題と憲法について触れたいと思います。
 一月二十七日の国連査察団の国際原子力機関と国連監視検証委員会の査察結果報告は、大量破壊兵器保有の決定的な証拠は得られていないこと、同時に、イラクが査察に完全に協力していないということも指摘をしています。
 エルバラダイ事務局長は、IAEAですが、我々の仕事は着実に進展しており、査察は継続されるべきだ、適切な検証方法がとられ、イラクが自発的な協力を継続することで、今後数カ月以内にイラクに核兵器開発が存在しないという信用に足る確証を提供できるはずだ、その数カ月は戦争を避けるための価値ある投資となるだろう、こう述べています。ブリクス委員長、UNMOVICですが、ブリクス委員長は、イラクが査察のプロセスについて予想以上にUNMOVICに協力してきたと述べると同時に、実質的な協力が十分でないこと、幾つかの問題点があると指摘し、査察の有効性を強調し、それを継続する方針を示しております。また、アナン事務総長は、国際社会が一致結束して査察を進めることによって平和解決ができると述べています。査察団とイラク政府との間でも、共同声明で、今後の査察の段取りが合意をされています。
 したがって、今何よりも重要なことは、査察を必要で十分な時間をとって継続し、それを強化し、国連の枠組みの中でこの問題を平和的に解決するために、引き続き国際社会が努力を図ることであります。当然、イラクは国連憲章の平和解決の方向に沿って努力すべきであり、具体的には、国連の査察に対して無条件に協力を義務づけた決議一四四一を厳格に遵守することが必要だと考えます。
 アメリカが国連憲章の原則を乱暴に掘り崩し、国連を無視した一方的な武力行使計画を進めていることは、極めて重大であります。
 二十八日の一般教書演説の中でブッシュ大統領は、イラクが大量破壊兵器を廃棄しないなら、友好国を率いて武装解除すると述べました。パウエル国務長官も、査察報告を受け、二十七日、イラクは大量破壊兵器を保有し隠しているとして、もし国際社会が国連を通じ武力を行使しようとしなければ、アメリカは主権国家として、同じ考えを持つ国と武力行使の決断を下す権利があると態度表明しています。
 国連が査察によって大量破壊兵器の存在の有無を検証する努力を行っている最中に、一方的、独断的に大量破壊兵器を保有していると決めつけて、国連を無視した一方的な軍事力行使を公言するこのアメリカの態度は、国際社会が取り組んでいる査察による解決への努力を妨害するものになり、国連憲章、国連決議を無視するものとして許されないと考えます。
 こうしたアメリカの態度に対し、ドイツ、フランス、中国、ロシアなどから批判が広がって、中東諸国からもイラク攻撃反対の声が上がっております。アメリカの国内でも、おひざ元のワシントンで二十万人の集会が開かれ、民主党議員百二十二人が、査察の継続を求める手紙をブッシュ大統領に送っています。各地で大規模な集会が開催され、イラク攻撃反対は今や世界の大勢になっていると言っても過言ではないと思います。
 国連憲章は、平和解決が国際紛争解決の基本であることを明記しています。武力行使が可能な場合も、経済制裁を含めたあらゆる非軍事の措置をとる、それでも不十分と認め、かつ安全保障理事会の決定があって初めて許されるということ、四十二条、また、自国が攻撃されたときの自衛反撃で安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、五十一条に限っていることは御承知のとおりです。
 つまり、武力行使は極めて限定的、例外的であって、紛争は平和的解決を尽くすことが大原則であります。これが国際社会の到達点です。今、世界で起こっているイラク攻撃ノーの世論と運動はこの国連憲章の精神に合致したものでありましょうし、この線での努力こそ、今決定的に重要だと考えます。
 そのとき、日本政府はどうでしょう。小泉首相の答弁は、イラクが査察に応じ国連決議を守ることが肝心、国際社会と協力して臨むと、いわば様子見の発言しかしていないというふうに思えます。イラクに国連決議を守らせることは当たり前のことで、問題は、この局面の中で、アメリカも国連憲章を守れ、国連を無視した一方的な武力行使はするなとはっきり言明することではないでしょうか。
 それどころか、政府は、昨年十二月十六日、集団的自衛権の行使につながるとの懸念から派遣を見送ってきたイージス艦を派遣いたしました。エジプト・カイロ大学のアジア研究センター所長モハマド・セリム教授は、私どもの特派員のインタビューに答え、日本政府のイージス艦派遣には非常に失望した、日本は紛争解決でいかなる軍事的役割をも担うべきではなく、中立の立場で問題の平和的解決を目指すべきだったのに、アラブ世界で築いてきた友好なイメージをみずから破壊しているようなものと述べています。
 日本国憲法九条は、国際紛争の解決の手段として、国権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行使は永久にこれを放棄するとして、陸海空その他の戦力はこれを保持しないこと、交戦権はこれを認めないと、徹底した平和解決、平和主義の立場に立っています。イージス艦を含むすべての自衛隊を即時撤退させること、アメリカの無法に従うのではなくて、平和解決へ、国連憲章を守れとの立場で力を尽くすべきではないでしょうか。それが憲法九条の要請するところだと思います。憲法調査会は、このような現実に起こっている政府の憲法違反の実態そのものを深く調査すべきだということを申し上げておきたいと思います。
 次に、北朝鮮の核問題についてです。
 何よりも重要なことは、この点でも憲法九条に沿って平和的解決に全力を尽くすことだと考えます。
 NPTの脱退は許されることではありません。何よりも、北朝鮮の態度は、国際的な核問題の取り決めをすべて遵守するとした日朝平壌宣言に違反するものであります。日本政府は、みずから当事者として、北朝鮮に宣言を遵守させる責務があると考えます。NPTは、核兵器の全面廃絶の立場から見れば、特定の国の核兵器独占を認めるものであって、この条約そのものは問題があると考えていますが、一たん加盟していた国がそれを脱退することは、核兵器を持たないという立場を放棄し、新たに核を持つことを宣言するに等しいものであって、断じて許されるものではありません。
 一月七日、日米韓三国局長級協議後に発表された共同声明では、三国代表は北朝鮮に対して核兵器開発の廃棄を求めた、三国は問題の平和的かつ外交的解決を追求する意図を改めて表明したと明記しております。
 この問題のあくまでの話し合いによる解決を目指すということが確認をされておりまして、その努力を尽くすことが非常に大事だと考えます。それが唯一の被爆国としての日本の重要な責務だということを申し上げまして、私の発言とさせていただきます。

発言情報

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発言者: 春名直章

speaker_id: 1215

日付: 2003-01-30

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会