中川昭一の発言 (憲法調査会)

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○中川(昭)委員 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会における調査の経過及び概要について御報告申し上げます。
 二月六日に会議を開き、参考人として、拓殖大学国際開発学部教授森本敏教授及び法政大学法学部教授五十嵐敬喜教授をお呼びし、特にテロ等への対処を中心として、非常事態と憲法について御意見を聴取しました。
 参考人の意見陳述の詳細については小委員会の会議録を参照いただくこととし、その概要を申し上げますと、
 森本参考人からは、
 複雑かつ過激化し、また我が国にも対岸の火事ではなくなっているテロへの対応については、国家主権と国民の生命財産を守る観点からも、各国家機関を統一方針のもとに総合的かつ有機的に運用する必要があり、そのためには、国内法の整備、国家・社会体制の確立及び国民の意識啓蒙等が重要であるとの意見が述べられました。
 特に、国内法の整備については、
 第一に、非常事態における対応や権利義務関係の基本に関する原則的事項を憲法に明記すべきである、
 第二に、非常事態への包括的対応を可能とするため、当面、国家安全保障基本法を制定し、そのもとに、外国からの武力攻撃への対処を定める有事法と、テロ、自然災害等への対処を定める緊急事態対処法を制定すべきである、
 第三に、テロ対応に当たっては、自衛権という従来の形によるのではなく、非常事態に関する法整備を通じた抑止の戦略をとるべきである、
との意見が述べられました。
 五十嵐参考人からは、
 依存型社会である特に都市部で非常事態が発生した場合は、途方もない被害が発生することを直視した上で非常事態について考えるべきであるとの認識のもとに、危機対応に当たっては権限集中とともに事後点検をも重視しつつ、危機対応組織としてアメリカ連邦緊急事態管理庁を、危機管理体制として首相への権限集中と連邦議会によるチェックを規定するドイツ基本法の緊急事態条項を参考にすべきであるとの提案がなされました。
 また、有事に際しては、軍事によることは最低限とし、国連安全保障体制への積極的な関与、外交努力等の有事予防に万全を期すべきであるとの意見が述べられました。
 さらに、包括的な危機管理法の制定や、危機管理への包括的対応を可能とするための関係各機関から成る危機管理庁の設置について提案がありました。
 その後、参考人の意見陳述を踏まえ、質疑及び委員間の自由討議が行われました。
 総括すれば、さまざまな非常事態対応につきましては、その予防措置をも含め、何らかの措置を講ずる必要があるとの認識は各小委員が共有していると思われる一方で、その具体的手段をめぐり、非常事態法制を整備すべきとの見解、前文及び九条の精神から有事を生じさせない努力をすべきであるとの見解も示されました。
 また、国際的枠組みにおけるテロ対策のあり方に対する考え方についても、抑止論の是非、日本の協力参加のあり方等をめぐり、多様な見解が示されました。
 しかし、テロ活動が過激化かつ国際化するなど国際情勢が大きく変化しこれに積極的に対応する必要があること、国民の生命財産を守ることが政治の責務であること等にかんがみれば、引き続き総合的見地から議論を進めることを通じて、早急に合意形成を図る必要があると感じました。
 今後も、これまでの議論や、本小委員会の次回のテーマである自然災害等への対処を中心とした非常事態と憲法に関する議論を踏まえた上で、我が国の安全保障及び国際協力等のあり方について、さらに議論を深めていくことが必要であると考えております。
 以上、御報告を終わります。

発言情報

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発言者: 中川昭一

speaker_id: 18912

日付: 2003-02-27

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会