憲法調査会

2003-02-27 衆議院 全83発言

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会議録情報#0
平成十五年二月二十七日(木曜日)
    午前九時七分開議
 出席委員
   会長 中山 太郎君
   幹事 杉浦 正健君 幹事 中川 昭一君
   幹事 葉梨 信行君 幹事 平林 鴻三君
   幹事 保岡 興治君 幹事 大出  彰君
   幹事 仙谷 由人君 幹事 古川 元久君
   幹事 赤松 正雄君
      伊藤 公介君    奥野 誠亮君
      倉田 雅年君    小西  理君
      近藤 基彦君    下地 幹郎君
      谷川 和穗君    谷本 龍哉君
      中曽根康弘君    中山 正暉君
      長勢 甚遠君    額賀福志郎君
      野田 聖子君    野田  毅君
      平井 卓也君    福井  照君
      森岡 正宏君    大畠 章宏君
      桑原  豊君    小林 憲司君
      今野  東君    島   聡君
      末松 義規君    中川 正春君
      中野 寛成君    伴野  豊君
      水島 広子君    山内  功君
      太田 昭宏君    斉藤 鉄夫君
      武山百合子君    藤島 正之君
      春名 直章君    山口 富男君
      金子 哲夫君    北川れん子君
      井上 喜一君
    …………………………………
   衆議院憲法調査会事務局長 内田 正文君
    —————————————
委員の異動
二月六日
 辞任         補欠選任
  井上 喜一君     山谷えり子君
同日
 辞任         補欠選任
  山谷えり子君     井上 喜一君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  北川れん子君     山内 惠子君
同日
 辞任         補欠選任
  山内 惠子君     北川れん子君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  山口 泰明君     小西  理君
  首藤 信彦君     山内  功君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     山口 泰明君
  山内  功君     首藤 信彦君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 日本国憲法に関する件
 小委員長からの報告聴取

     ————◇—————
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中山太郎#1
○中山会長 これより会議を開きます。
 日本国憲法に関する件について調査を進めます。
 本日は、各小委員会において調査されたテーマについて、各小委員長からの報告を聴取し、委員間の討議に付したいと存じます。
 本日の議事の進め方でありますが、小委員会ごとに、まず小委員長の報告を聴取し、その後、そのテーマについて自由討議を行います。
 なお、各テーマごとの自由討議における最初の発言者については、幹事会の協議決定に基づき、会長より指名させていただきます。
 自由討議の際の一回の御発言は、五分以内におまとめいただくこととし、会長の指名に基づいて、所属会派及び氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いいたします。
 御発言を希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。
 発言時間の経過につきましては、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせ申し上げます。
    —————————————
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中山太郎#2
○中山会長 それでは、まず象徴天皇制について、最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員長から、去る六日の小委員会の経過の報告を聴取し、その後、自由討議を行います。最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員長保岡興治君。
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保岡興治#3
○保岡委員 最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員会における調査の経過及びその概要について、御報告申し上げます。
 本小委員会は、二月六日に会議を開き、参考人として、國學院大学講師・東京経済大学講師・元共同通信記者高橋紘君をお呼びし、象徴天皇制について、特に天皇の地位、皇位継承を中心として御意見を聴取いたしました。
 会議における参考人の意見陳述の詳細については小委員会の会議録を御参照いただくこととし、その概要を簡潔に申し上げますと、
 参考人からは、
 まず、皇位の継承について、現在の憲法及び皇室典範の規定では、皇位は男系男子にしか継承できず、このままの状態で推移すれば、将来、皇位継承者はいなくなってしまうことから、皇室典範を改め、女子にも継承できるようにすべきである。その場合、皇統が男系から女系に変わることになるが、皇位は世襲という伝統が変わることはない。また、皇族の女子は結婚により皇籍を離れることになっているが、皇族が余りふえないよう配慮しつつも、結婚に際して皇族女子による宮家創設を認めるべきである。なお、皇位継承権は、男女の別なく長子優先とすべきであるとの意見が述べられました。
 次いで、象徴天皇について、天皇は、古来より象徴としての性格を有していたのであり、明治天皇のような軍服を着た天皇は歴代の中でごくわずかであった、また、現在の天皇は皇太子時代から象徴天皇のあり方を模索しており、その意味において伝統的な天皇の形をつくられ、日本国憲法のもとで即位した初代の象徴天皇と言ってよいとの意見が述べられました。
 なお、政治に対する要請として、
 天皇及び皇族の外国訪問から皇室外交と言われるような政治色を排除してもらいたい、
 国会では本来あるべき象徴天皇についてきちんと論議してもらいたい、
 皇室典範を改正し、皇位の安定を図ってもらいたい、
との意見が述べられました。
 このような参考人の御意見を踏まえて、質疑及び委員間の自由討議が行われ、委員及び参考人の間で活発な意見の交換が行われました。
 そこにおいて表明された意見を小委員長として総括するとすれば、まず、象徴天皇制全般については、天皇が我が国の元首であるか否か、天皇が元首である旨を明記すべきか否か、また、将来的にも天皇制を維持していくべきか否かといった点については見解が分かれるものの、現行の憲法第一章についておおむね維持すべきであるというのが各会派に共通した認識であったように思われます。
 次いで、女性による皇位継承を認めることについては、これを認容する意見が多く見受けられましたが、一方で、慎重に検討すべきであるとの意見もございました。また、女性による皇位継承を認めるとしても、その継承順位について、長子優先とすべきか、男子優先とすべきかについては見解の分かれるところでありました。
 今後は、皇室典範の改正の問題も含め、高橋参考人も言われていたように、ありのままの天皇制についての議論を深めていく必要があるのではないかと感じた次第です。
 以上、御報告申し上げます。
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中山太郎#4
○中山会長 これより、象徴天皇制について、特に天皇の地位、皇位継承を中心に自由討議を行います。
 まず、森岡正宏君。
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森岡正宏#5
○森岡委員 私は、自由民主党の森岡正宏でございます。
 私は、天皇制に関して次の二点を申し述べたいと思います。
 第一は、天皇が我が国の元首であることを憲法に明記するべきであるということであります。
 小委員会の質疑の際にも申し上げましたが、私は、我が国において天皇制が果たしてきた役割は非常に大きかったと評価しております。我が国は、いつの時代も天皇を精神的な中心に置き、世界に誇るべき国柄をつくってきたように思います。また、天皇は、国民の敬愛の対象として非常に立派な務めを果たされてきたと思いますし、みずからは権力を振るうことなく、専らその時々の権力者に権限を与える立場にございました。
 ところが、明治憲法は天皇に権力と権威の両方とも与え、それが結果として強大なリーダーシップを発揮させ、日本の繁栄につながったのでありますが、軍の統帥権まで持たせたことが天皇を政治的に利用する道を開いてしまったことも事実であります。したがって、現行の憲法第一条の「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、」という文言は、私もこのままでいいように思います。
 しかしながら、その一方で、私は、この際はっきりと、天皇は日本を代表する元首であるということを憲法に明記すべきではないかとも考えております。
 先日、高橋参考人は、天皇に関する憲法の条文は基本的に変えなくていい、意識の中で天皇は元首であると思っておればいいのだというようなお話でありました。少なくとも、外国からは天皇は元首としての扱いを受けておられる、にもかかわらず、国内ではあいまいな形になっている状態は不自然であり、日本国を代表するお立場であることを憲法上はっきりさせるべきだというのが私の思いであります。
 第二は、女性による皇位継承につきまして、私はそれ自体を否定するものではありませんが、皇位継承という重大な問題にかんがみれば、その検討は慎重になされるべきだということであります。
 私は、この問題を、ただ単に男女同権の世の中であるからとか、あるいは皇室の構成が現状のまま推移すれば皇位継承権者が途絶えてしまうからということだけで女性にも皇位継承権を認めるべきであると論じるべきではないと考えます。
 また、私は、女性の天皇を容認するということになりますと、その配偶者をどう扱うかということが一番大きな問題ではないかと思います。皇位継承をめぐって皇族内部に確執が生まれるなどのさまざまな問題が生まれてくるのではないか、そのような危惧を持つものであります。
 高橋参考人は、皇室典範を第一子が皇位を継承すると改める案を出しておられました。仮に、第一子が女性だと、女帝が誕生し、女性天皇としての帝王学を身につけられる。ところが、続いて第二子が男性だとすると、女性天皇の配偶者、すなわち義兄との関係がどうなるのか。皇族の内部で皇位をめぐって波風が立つことのないよう、象徴天皇があくまで国民の敬愛の対象であり続けられるよう願うものです。
 したがって、皇位の継承に関しましては、これまで皇位の継承がずっと男系男子に限られてきたという歴史の重みを重く受けとめた上で、女性天皇を認めるべきか否か、認めるとするならば皇位継承の順位や皇族の範囲をどうするのかなど、皇室制度のあり方そのものにかかわる根本的かつ精密な議論が必要と考えます。
 最後になりますが、今後は、天皇制に関しましては、現行の規定を尊重しつつ、天皇が我が国の元首であることを明記することの是非について議論を深めていくべきであるということを重ねて申し上げ、私の発言を終わります。
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中山太郎#6
○中山会長 ただいまの森岡君の御発言は、天皇が元首であることを明文化することの是非及び女性による皇位継承の是非とこれに係る諸問題でありました。
 そこで、まず第一の問題、天皇が元首であることを明文化することの是非を中心に御発言をちょうだいしたいと存じます。
 御発言を御希望の方は、名札をお立ていただきたいと思います。
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山口富男#7
○山口(富)委員 会長の方から議事の整理がありましたものですから、私は、もう少しいろいろ発言したかったんですが、とりあえず今提起された問題について考えてみたいと思います。
 私は、憲法規定の問題として、天皇について元首規定を設けるということについては反対です。
 といいますのは、日本国憲法は主権在民の憲法です。元首についての明文規定はありませんけれども、内政でも外交でも、国を代表するとなれば、当然内閣総理大臣がそれに当たるということは明瞭だと思います。
 それから、保岡小委員長の方から報告がありましたけれども、やはり、高橋参考人が述べましたように、主権在民下の初めての象徴天皇なんですね。ですから、一番最後におっしゃられましたありのままの天皇制についての議論を深めていく必要があるというのは、憲法に定められた天皇規定とは何かという点での議論だというふうに私は思うんです。
 その点では、国政に関与しない問題ですとか、国事行為について十項目きちんと定めている問題ですとか、そういうものをきちんと踏まえた天皇制論が必要であるというふうに考えます。
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仙谷由人#8
○仙谷委員 二点、今の森岡委員の御提起に対しての発言をさせていただきたいと思うんです。
 一つは、元首性の問題でございます。
 日本国の元首を、天皇に対して元首性を与えるという主張でありますが、この場合の元首とは、現在の日本国憲法六条、七条に具体的に定められているいわゆる国事行為のほかに、何らかの権限を与えるということなのかどうなのか。つまり、実質的にどういうことを指しておっしゃっておるのかということを明らかにする必要があるのではないだろうかというふうに私は一つ考えております。
 それからもう一点は、女性の天皇を認めるかどうかということであります。
 今、山口委員の方から、国民主権下の天皇制、主権在民下の天皇制という提起をされたわけでありますが、私もその点ははっきりとより明確にさせた方がいいと思います。大日本帝国憲法下というのは、女性が参政権も認められない、そういう憲法秩序といいましょうか体制であったことは御承知のとおりでございますし、家制度のもとでその他のいろいろな諸権利を女性が認められていなかったこともまた事実であります。そういうところから日本国憲法が制定され、民法で最も劇的な制度改革といいましょうか変革を迫られたのは民法第四編でございますが、要するに、家族法、親族法の世界であったことも明らかであります。
 日本が今、私は、もろもろの事情といいますか、過去からの積み残しの中でこういう閉塞感にあえいでいる相当大きな問題の一つに、日本があくまでも男性中心社会を維持しよう、システムのもとで維持しようというある種の社会意識から含めて、制度に相当の問題があると見ております。これは、少子高齢社会と言われる少子の方の問題は、女性にしかるべく日本の社会の中で位置づけをしないというところに相当大きい問題があると思っておりまして、そういう観点からも、皇位の問題も男性女性変わることないんだということを内外に明らかにする方が、二十一世紀の日本の生きる姿として、あるいは象徴天皇制をもう一遍リフレッシュするものとしてはふさわしい、そういうふうに考えておるところであります。
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島聡#9
○島委員 中山会長の差配では、いわゆる元首の問題についてですけれども、そちらについて今御発言された森岡さんにお聞きしたいと思います。議院内閣制と元首の関係をどう考えているかということであります。
 御存じのように、議院内閣制というのは、バジョットの憲政論以来から権力と権威というのを分けるということであります。いわゆる権威を持つ者がイギリスでいえば王室、そして日本でいえば天皇であると私は考えます。選挙で選ばれた議院内閣制における首相が権力というものを行使する。権威と権力が分かれているという議院内閣制下における象徴天皇制というのは、非常にこれはいい形ではないのか。したがって、日本国憲法の第一条というのはこのままでも非常にいいんじゃないかと私自身は思っています。
 だから、森岡さんにお聞きしたいのはその一点でありまして、議院内閣制との関係をどう考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
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森岡正宏#10
○森岡委員 島委員の御質問にお答えをしたいと思います。
 先ほど山口委員からも、国を代表するのは内閣総理大臣でいいじゃないかというお話がございました。しかし、アメリカのクリントン大統領が二期八年お務めになりました間に、日本の総理大臣は七人かわっているわけでございます。また、平成になりましても十三人の総理大臣がかわっております。
 このような方が、確かに権力は持っておりますけれども、日本国を代表する人だ、日本国を代表する資格を持った国家機関だということを対外的に言えるのか。私は、やはり日本国におきましては象徴天皇である、そして対外的に、少なくとも外国からは日本国を代表する人は天皇だと見られているわけでございますから、そういう人が元首だと呼ばれるにふさわしい、そんなふうに思っているわけでございます。
 以上です。
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金子哲夫#11
○金子(哲)委員 私は、この憲法調査会でも、会長自身からも何度も確認されておりますように、主権在民主義という憲法の極めて基本的な意味というものは失われていないし、また、これは今後にあっても最も大切にされなければならないということが言われております。そういう意味で、この天皇制の第一章第一条にはまさに、主権の存する国民の総意に基づいてこのことが規定をされているということ、天皇象徴制も含めてあるということになっていますから、まず私は、大事なことはやはり、主権在民主義ということについて、主権が国民にあるということを改めて確認しながら、その中の天皇の位置づけというものを、この第一章にうたわれているようなことを考えるべきだというふうに考えております。
 先ほどの討論の中でも、政権の交代とかいろいろなことが言われましたけれども、それはあくまでも国民の意思による、主権者たる国民の意思によって決定をされたことと考えなければならないというふうに考えますから、そのことと元首の問題とは別の次元で考えなければならないというふうに考えております。
 さらに、やはり憲法の今の条文を見ましても、そしてまた現実の政治の世界においても、天皇の政治的利用にかかわる問題については厳しくお互いが戒め、そしてまたそういうことに至らないことをやってきたと思います。それはやはり、明治憲法下における天皇制ということに対する深い反省の中からこのことがうたわれているというふうに私は考えます。
 そうであれば、二十一世紀の時代はむしろ、より天皇を別格に置くことよりも、国民に近づける努力をどうするかということの方が私自身は二十一世紀にとっては重要だというふうに考えておるということを意見申し上げたいと思います。
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奥野誠亮#12
○奥野委員 元首を規定するか規定すべきでないかということについては、いろいろな意見が出ているようでございますから、この制定の経過について私の承知していることをまず最初に申し上げたいと思います。
 マッカーサー元帥が三原則を示してスタッフに憲法原案を書かせた。そのときには、天皇は元首とすると書いてあったのであります。ところが、スタッフがいろいろ考えて、元首と書くと明治憲法と同じように誤解されるというようなことから、知恵を絞って今のような規定になっておるわけでございます。
 同時に、制定の過程におきまして、ソ連というよりも極東委員会と言った方がいいのかもしれませんが、「国民」の上へ「主権の存する」という言葉を入れることを求めたわけでございまして、その要請を受けまして、国会が「主権の存する」という言葉を入れたわけでございました。同時に、当時の政府答弁を見ておりますと、「国民」というのは天皇を含む国民だ、こう答えているようでございます。
 こういう経過から、だれが日本国を代表するのかはっきりしないような姿になっておるわけでございますけれども、海外はみんな、天皇だ、こういうふうに理解して折衝が行われているように私には思えるわけでございます。
 やはり、元首という言葉を使うか使わないかは別といたしまして、内閣総理大臣を任命するのは天皇でございますから、また、外国の使臣を接受するのも天皇でございますから、国民を代表する地位にあるのは天皇だということを明確にした方が私はいいと思いますので、意見としてそれを加えさせていただきます。
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中川昭一#13
○中川(昭)委員 今の金子委員の御発言でございますけれども、金子議員が所属しておられる、あるいはその前の流れをくむ政党時代からの年来の、もう数十年にわたる御主張でございまして、国民の一部の方々がそういう御意見を持っていることも事実だろうと思います。ただ、今の御発言というのは、ある意味では、国民に対して間違ったメッセージを与えるのではないかというふうに私は言わなければならないと思っております。
 つまり、主権在民を否定する国会議員あるいは国民は、国民についてはほとんどという言い方をしますけれども、国会議員では私はいないと思います。そのことと、権力の最高保持者である元首、イコール天皇というふうに短絡的に結びつけるのは、私は誤解を招く論法ではないかというふうに思います。
 あくまでも第一条は、「国民の総意に基く。」というのは、基づいている、そしてまた、これは国民によってそういうふうに決められているものであると。したがって、もっと言うならば、国民がそうでない場合に云々ということは、この条文からは私は読みとれない。あくまでもそういう前提でこの憲法が成り立ち、また、天皇陛下が存在するというふうに私は解釈すべきだろうと思います。
 それから、天皇を政治利用してはいけないというのは、私は、いろいろな意味でそのとおりだろうと思います。
 むしろ、天皇イコール元首、だからけしからないという立場の方々の方が、ある意味では天皇を政治利用しているというふうに私は思います。例えば、戦前のことと現在とを結びつけてであるとか、一部の外国あるいは外国人が日本の政治あるいは天皇について批判をすること等を援用して、そして、そのことと天皇の地位あるいはまた政治との関与というものを、誤解を招くような形で、現在の天皇に対しても政治利用をしているというふうに私は判断せざるを得ませんので。
 まさに、現在の天皇制度というのは国民の総意に基づいておりますし、また今後、その地位を、より我々の総意として何をしていただくか、あるいは何をしていただかないかということについて、より明確にするという意味で、私の言葉の定義において、元首という必要性、これは何も最高権力者ではない、国民の総意に基づいて元首としてどういうことをやっていただけるか、いただけないかということをより前向きに考えるべき、議論すべきことだろうというふうに考えております。
 以上です。
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平井卓也#14
○平井委員 この憲法の第一章の議論をするときに、やはり前回もお話ししましたが、天皇制は日本の国の文化であり、ナショナルアイデンティティーである。つまり、日本とは何かという、日本という国柄を踏まえた憲法の問題としてとらえるべきだと思っています。その意味において、第一章に象徴天皇制度ということが来ているということは、非常に大きな意味があるのだと思います。
 我々は日常ではなかなか意識していませんが、日本の皇室が、求心力と統合力といいますか、日本人の一つのユニティーみたいなものに与えている影響というのは非常に大きいと私は思います。ただし、そのことは、ふだんなかなか議論もしませんし、気づかない方も多いと思いますが、日本という国を考えた場合に、私はそこは非常に重要なことではないかと思います。
 また、元首の問題については、言葉の定義の問題等もあると思いますが、一方では、日本は世界の中で最大最古の君主国であるという見方も、これは正しいわけでありまして、その意味においては、君主とは国家元首の地位を世襲する者を指すという意味において、天皇陛下は、現行憲法下にあっても、対外的に我が国を代表するとともに、日本国及び日本国民統合の象徴としての国家の尊厳を体現し、かつ、国家統治についても重要な権能を有しておられる元首であるという見方は成立しているのではないかと思います。
 このことは、何よりもほかの国々の方々も認めていることであって、私は、憲法論としては、日本は世界最大最古の君主国であるという自己認識が基礎になった方が、国民の理解は得やすいのではないかと思っています。
 以上です。
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谷川和穗#15
○谷川委員 憲法は、国権の最高法規であると私は理解をいたします。その憲法の中で象徴であっても、対外関係において、一般的に国を代表する者としての元首として理解される、その地位に天皇がおられるということは、それは解釈として一つも矛盾するものではない。私は、やはり天皇が一般的に国を代表する者としての元首であるというふうに規定した方がよろしい、こう考えております。
 それから、二つ目の問題として、国民主権と民主主義を混同すべきではない。立憲君主制というのは、現在でも恐らく十六カ国ぐらいあるのではないかと思いますが、その立憲君主国においても立派な民主的国家というのは幾つも存在するものであって、民主主義というのは、国権発動の形式の問題だというふうに私は理解をいたします。
 そして最後、明治憲法と今日の憲法との関係で非常に大きな問題は、統治権の総攬者として天皇を位置づけるのか位置づけないのか、そこに大きな問題があるのであって、この問題さえ議論すれば、天皇が元首であるということに対しては、私は一つも気持ちの上で整理がつかないということはございません。
 以上です。
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野田毅#16
○野田(毅)委員 二つ意見を述べたいと思います。
 一つは、権威と権力という問題。この点について、必ずしも最高の政治権力がイコール権威ということではない。そういう意味で、元首というものを政治権力の最高の政治権力者であるという規定をすればいろいろな話が出るかもしれないけれども、今日では、おのずから異なっていると思っています。
 このことについて、外国の認識とそれから日本国内における認識と両面から見ても、今日、既に天皇陛下に対する諸外国の認識は、当然のことながら、最高の政治権力者としての認識ではない。しかし、明らかに元首としての認識ですべてがとり行われていると私は認識をいたしております。そういう意味で、定着しているのではないかということが一つ言えると思います。
 それからもう一つ、国内的に言えば、少なくとも日本の歴史の中で、これは実効上積み重ねられてきた一つの歴史があるわけで、それが日本の独特の我々の誇る文化と歴史と伝統の原点ということでもあると思っております。そういう点で、皇統の重みということも先ほどお話がありましたけれども、カリスマを感ずるか感じないかということの原点は必ずしも権力ではないのであるということを、我々はもう一遍思いをいたすべきではないかと思っています。
 そういう点で、主権在民という言葉が出ている、この主権在民という場合の主権というのは、明らかに政治権力ということを意味していることでありますから、そういう点で、私は、この際はっきりと元首ということを明記する形の中で、憲法問題、改正問題については臨んだ方がいいと考えております。
 以上です。
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藤島正之#17
○藤島委員 天皇と元首の問題ですけれども、今までいろいろ議論が出ているわけですけれども、先ほど奥野委員がおっしゃったように、条文がいろいろありますから、それを見れば大体、元首制というのはわかるわけですけれども、やはりこの際はっきり元首はということを明記する方が、すっきりしてわかりやすいんじゃないか、こう思いまして、奥野委員の意見に賛成でございます。
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北川れん子#18
○北川委員 私自身は、今、皆様方の御議論を聞かせていただいていて、最高権力者じゃない元首という定義の仕方がわからない。
 それで、元首というのは、先ほどどなたかのお言葉の中に、使うか使わないかは別としてという御発言をされた方もいらっしゃいましたし、元首という言葉の定義が今の議論をされている皆さんの中で一致をしたものではない中で賛成するとかしないとかと言うのもまた難しいという、先ほど島委員が聞かれた御質問に対しても、明確な回答というのを、言葉の定義と法律用語的にどうだというのを今論じることが不可能であるならば、賛成するとかしないとかという言い方をこの場でするのはとても難しいというふうに私は感じています。
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葉梨信行#19
○葉梨委員 第一条の条文を読みますと、「象徴」という言葉でございまして、象徴というのは、権力は持っていないということだと思います。国民の総意に基づくという存在であって、象徴であるけれども政治権力を持っていないというふうに素直に読み取れると思います。
 そして、逆に、元首という言葉を使ったら天皇には権力がつくのかといえば、そういうことではない。現に、世界各国、王制あるいは大統領制をしいているところを見まして、王制をしいているところでも、元首という地位を持っておられて、しかも政治権力者は大統領であったり、あるいは首相であったりという国がたくさんあるわけでございます。そういう意味では、元首という言葉を使ったから大変なことになるとかおかしなことになるというようなことはないわけでございまして、元首の意味はそういうことだとはっきり解釈すれば、もう何も問題はない。
 私は、そういう意味では、元首という言葉を使ってもよいし使わなくても、この条文から素直にそういう御存在だということは読み取れると思います。
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中川正春#20
○中川(正)委員 まず、先ほどから議論の中に出てくる元首という言葉の定義が、それぞれの思いの中で統一したものにはなっていないんじゃないかなというふうに思います。
 まず、そういう意味で、第四条で規定されている、国事に関する行為のみを天皇は行い、国政に関する機能を有しない。これは正しいことだと思います。これは基本だと思うんですが、それ以外に、先ほどから議論に出ているように、海外から日本を見た場合のいわゆる象徴としての、あるいは国を代表する一つの主体といいますか、やはりそういう意味での天皇というもの、それからもう一つは、国民を統合していく、法治国家として国家権力を行使するものとは違った形の、いわゆる精神的な統一主体としての、いわば我々の文化や心のよりどころとしての天皇、そういうイメージがあると思うんですね。
 それを世界的に考えてみても、さっきのような話を全部統合した形での元首という言葉を使って、例えば大統領制のもとでの大統領というものを定義している国もあるかというふうに思いますし、そうではなくて、日本のように、その二つ、いわゆる法治国家として、国家権力を行使する国会であるとかあるいは総理大臣であるとかというものと天皇とを分けて考えていくような国がある。これは、同じ元首という言葉を使っても、それぞれ世界的にその言葉の使い方が違うんだというふうに思うんですね。
 そういうことを前提にしていくと、素直に、この憲法の中に元首という言葉を使って表現するということが、注意深くならなければならないというふうに思うんです。その定義をはっきりした上で使っていくということ、これが大切なんだろうというふうに思います。
 そういう意味では、現在の第四条で決められているような表現の仕方というのは、これはそのままはっきりとした私たちのこの憲法の中で定める天皇としてのイメージを規定している言葉でありまして、これはこれでいいんじゃないかなというふうに思うんです。
 そういうことを申し上げて、少し我々の議論の中で、この元首という言葉についての再定義をさらに深める議論をしていかなければならないんじゃないかということを提起させていただきたいというふうに思います。
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中山太郎#21
○中山会長 時間の関係もございますので、冒頭の森岡君の御発言の第二の問題、女性による皇位継承の是非とこれに係る諸問題も含めて、これから御発言を願いたいと思っております。
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島聡#22
○島委員 第二の問題である、女性天皇を認めるかどうかということに関しましては、私は、これは賛成であります。
 二〇〇一年五月に雅子様が御懐妊されたときに、私はもう内閣委員会で、この問題について、皇室典範を改正すべきだということを聞きました。憲法は決して男性だけに規定しているわけじゃないということも答弁としていただいております。
 理由は二つあります。
 一つは、世界的な流れでありまして、ノルウェーも、王位は直系かつ男系の嫡出の男子のみに継承という憲法六条があったんです。それが一九九〇年に改正されています。ベルギーも同じように、男子から男子へとなっていたのを一九九三年の憲法改正によって女王誕生への道を開いています。スウェーデンも、一九七九年に王位継承法を改正しまして女子にも王位継承権を可能にしております。そういう世界的な流れがあります。
 大日本帝国憲法と現在の憲法を比べますと、大日本帝国憲法の方には、第二条で「皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス」と、「男子」という言葉があったわけですが、日本国憲法にはないわけです。ですから、女性天皇陛下が出るということは非常にいいのではないかというふうに私自身は思っています。
 今、大日本帝国憲法の話をしましたので、もう一つ、さっきの元首の話をしますが、元首という言葉が憲法上あらわれているのは大日本帝国憲法第四条であります。「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ」とあります。
 大日本帝国憲法で「元首」、先ほど言葉の定義というのが随分ありましたが、憲法上あらわれているのは大日本帝国憲法の元首ですから、これとどう違うのか、あるいは同じなのか、そういうことの議論をしない限り、それに対して賛成か反対かということは言えないというふうに思うわけです。奥野先生おっしゃったことも私も重々承知いたしておりますが、元首の問題につきましては、そういう意味がありますので、言葉の定義をきちんとして、大日本帝国憲法の元首とどう違うのか、それをきちんとしないと賛成とも反対とも言えないので、慎重な議論をすべきであるというふうに思う次第であります。
 以上です。
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近藤基彦#23
○近藤(基)委員 島委員と、世襲問題、女帝に関しては同意見であります。
 第二条で、皇位は世襲のものである、それ以外は皇室典範で決めるという話でありますので、現段階で、愛子内親王がお生まれになったことは大変喜ばしいことではありますが、男系に限るという話で、現皇室典範上いくと、このままの形では、もう既に現実的には二代後にはなかなか難しい話になってくるのかなと。
 私は、天皇制をずっと続けていただきたいと思っている一人であります。ですから、そういう意味では、憲法論議というよりも皇室論議という話に恐らくなるんだろうと思いますし、森岡委員の危惧されている皇室内での確執、これはやはり法律上きちんと定めをしておけば、そう問題があることではないんだろうと思っております。
 ですから、今の世界的な流れ、あるいは日本の国内の流れを見ても、女帝を頭から否定なさるという国民は少ないんだろうと私は想像をしておりますので、女帝でも一向構わないのかなと。ただ、その決め方が非常に難しいことは森岡委員の指摘なされているところで、一子、二子の問題、あるいは極論で言えば男女の双子が生まれたときとか、いろいろな問題があるんだろうと思いますので、それは憲法論議というよりも法律問題としてこれから議論を深めていくべき問題かな。
 ただ、元首の問題に関しては、前文で既に、国会における代表者を通じて我が国は行動する、そして主権が国民にあることを宣言しているわけであります。その後、その権威は国民に由来し、権力は国民の代表者が行うと。権威と権力をはっきり分けて、そして第一条で、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴ということでありますから、その権威は国民に由来し、そして総意として天皇が誕生なされておるということ、それは権威の部分であり、そして権力は国民の代表者、これがすなわち、内閣ではない、内閣総理大臣、いわゆる国会における代表者を通じ行動するという部分で、議院内閣制と分けて考えてもいいのではないのかなという私の持論であります。
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中山太郎#24
○中山会長 時間の関係もございますので、象徴天皇制に関する御発言は、現在名札を立てておられる委員に限らせていただきたいと存じます。
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井上喜一#25
○井上(喜)委員 まず、天皇制でありますが、現行憲法の天皇についての規定というのは明治憲法と全く違うわけですね。明治憲法の場合は天皇が元首である、これはもう明らかになっておりますけれども、現行憲法の第一条というのは違う。しかも、この規定というのは大変よくできていると思うのでありまして、歴史的な天皇制、あるいは国民が天皇に持っております感情といいますか考えというようなものを集約して書いているような感じが私はいたします。恐らく、外国の受けとめ方も、この一条に書いてありますようなことで天皇というものを理解していると思うんですね。
 現行憲法では元首の規定がないわけでありまして、そういったことから、元首はだれなのか、天皇なのかあるいは内閣総理大臣なのかといったような議論があるわけでありますけれども、先ほども議論が出ておりましたが、私はやはり、元首という定義をはっきりさせないと、どうも議論が収れんをしていかないんじゃないかと思うんですね。そういうことで、元首なるものの定義といいますか考え方をもう少し掘り下げて議論をしていくべきじゃないのか、こんなふうに思います。
 それから、皇位の継承問題で女帝の話がありますけれども、この種のことというのは余り早過ぎてもいけないし遅過ぎてもいけないのでありまして、こういったところで議論されることはいいかと思うのでありますが、いま一つ私は国民の世論というのがよくわからないんですね。よくわからないといいますか、はっきりしてきていないと思うのでありまして、そういう世論の動向とともに、この憲法調査会で議論を深めていくべきじゃないかというふうに私は思います。今、右にするか左にするか、この議論は結論を出すのにはいささか早いんじゃないかな、こんな感じがいたします。
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中山太郎#26
○中山会長 象徴天皇制について、特に天皇の地位、皇位継承を中心としての自由討議は、一応本日は終了させていただきます。
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中山太郎#27
○中山会長 次に、非常事態と憲法について、安全保障及び国際協力等に関する調査小委員長から、去る六日の小委員会の経過の報告を聴取し、その後、自由討議を行います。安全保障及び国際協力等に関する調査小委員長中川昭一君。
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中川昭一#28
○中川(昭)委員 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会における調査の経過及び概要について御報告申し上げます。
 二月六日に会議を開き、参考人として、拓殖大学国際開発学部教授森本敏教授及び法政大学法学部教授五十嵐敬喜教授をお呼びし、特にテロ等への対処を中心として、非常事態と憲法について御意見を聴取しました。
 参考人の意見陳述の詳細については小委員会の会議録を参照いただくこととし、その概要を申し上げますと、
 森本参考人からは、
 複雑かつ過激化し、また我が国にも対岸の火事ではなくなっているテロへの対応については、国家主権と国民の生命財産を守る観点からも、各国家機関を統一方針のもとに総合的かつ有機的に運用する必要があり、そのためには、国内法の整備、国家・社会体制の確立及び国民の意識啓蒙等が重要であるとの意見が述べられました。
 特に、国内法の整備については、
 第一に、非常事態における対応や権利義務関係の基本に関する原則的事項を憲法に明記すべきである、
 第二に、非常事態への包括的対応を可能とするため、当面、国家安全保障基本法を制定し、そのもとに、外国からの武力攻撃への対処を定める有事法と、テロ、自然災害等への対処を定める緊急事態対処法を制定すべきである、
 第三に、テロ対応に当たっては、自衛権という従来の形によるのではなく、非常事態に関する法整備を通じた抑止の戦略をとるべきである、
との意見が述べられました。
 五十嵐参考人からは、
 依存型社会である特に都市部で非常事態が発生した場合は、途方もない被害が発生することを直視した上で非常事態について考えるべきであるとの認識のもとに、危機対応に当たっては権限集中とともに事後点検をも重視しつつ、危機対応組織としてアメリカ連邦緊急事態管理庁を、危機管理体制として首相への権限集中と連邦議会によるチェックを規定するドイツ基本法の緊急事態条項を参考にすべきであるとの提案がなされました。
 また、有事に際しては、軍事によることは最低限とし、国連安全保障体制への積極的な関与、外交努力等の有事予防に万全を期すべきであるとの意見が述べられました。
 さらに、包括的な危機管理法の制定や、危機管理への包括的対応を可能とするための関係各機関から成る危機管理庁の設置について提案がありました。
 その後、参考人の意見陳述を踏まえ、質疑及び委員間の自由討議が行われました。
 総括すれば、さまざまな非常事態対応につきましては、その予防措置をも含め、何らかの措置を講ずる必要があるとの認識は各小委員が共有していると思われる一方で、その具体的手段をめぐり、非常事態法制を整備すべきとの見解、前文及び九条の精神から有事を生じさせない努力をすべきであるとの見解も示されました。
 また、国際的枠組みにおけるテロ対策のあり方に対する考え方についても、抑止論の是非、日本の協力参加のあり方等をめぐり、多様な見解が示されました。
 しかし、テロ活動が過激化かつ国際化するなど国際情勢が大きく変化しこれに積極的に対応する必要があること、国民の生命財産を守ることが政治の責務であること等にかんがみれば、引き続き総合的見地から議論を進めることを通じて、早急に合意形成を図る必要があると感じました。
 今後も、これまでの議論や、本小委員会の次回のテーマである自然災害等への対処を中心とした非常事態と憲法に関する議論を踏まえた上で、我が国の安全保障及び国際協力等のあり方について、さらに議論を深めていくことが必要であると考えております。
 以上、御報告を終わります。
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中山太郎#29
○中山会長 これより、非常事態と憲法について、特にテロ等への対処を中心に自由討議を行います。
 まず、藤島正之君。
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