金子哲夫の発言 (憲法調査会)
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○金子(哲)委員 今お話しになっている問題、このイラクの問題に関して、私は、これからの国際秩序がどうあるべきかという極めて重要な分岐点に立っていると思っております。つまり、国連憲章や国連決議また憲法を中心とする法の支配のもとにこの国際社会をつくっていくのか、先ほどどなたかの発言にもありました、力による支配を認めていくのかという、極めて重要な時点に立っているというふうに思います。
少なくとも、今やろうとしているイラクへの軍事行動というのは、国連憲章や国連決議、先ほど来話がありますように、これらに基づくものとは到底言いがたい状況にあると言わなければならないと思います。もし仮にこれが許されるとすれば、法の支配による国際関係の秩序をつくることはできないというふうに考えております。
戦争ということになるわけでありますから、戦争についても、国連憲章では、いわば一定の許される状況というものを、先ほど来話がありますように、受けた武力攻撃に対して自衛権を行使するか、平和を脅かす者に対して国連安全保障理事会が武力制裁を決めた場合のみと限定をしているわけでありまして、これまでのこうした戦争のルールすら無視することになると思います。
特に、この間の国会の決議でも、国連決議一四四一、先ほど来ありますように、これで武力行使はできないということは何度も政府も答弁をしてきていながら、今この段に至って、それがイラクの攻撃を容認する決議かのごとく発言をすることは、まさに法の解釈そのものを無視するということになっていき、そのことはこれからの秩序を崩壊させていくことになるのではないかと思います。
これまでのアメリカの主張をつぶさに見てみますと、攻撃目標がかなり変化をしてきていると思います。当初はテロとの関連が主張され、そして大量破壊兵器の問題が行われ、今主張されているのはフセイン体制の打倒ということに大きな目標が掲げられている点を考えてみますと、私たちは冷静に見ていかなければならない。何の目的で今米国がこの戦争を開始しようとしているかということであります。
国際社会も必ずしも、例えば米国が最初に言ったテロの問題に対しても、全くそのことを無視したわけではなくて、例えば、テロという組織犯罪に対する問題を解決するためには、国際刑事システムの構築ということを行い、昨年の六月に国際刑事裁判所というものがつくられたわけであります。しかし、これに対して米国は、参加をしないということを表明しております。
さらに、米国の現在のユニラテラリズムと言われる主張の中には、これまでの国際社会が築いてきた国連憲章や国連決議やさまざまな国際間の約束に対して、残念ながらそれを拒否する方向を、先ほど申し上げました国際刑事裁判所への参画拒否のみならず、例えば地球温暖化問題における京都議定書からの離脱、さらにはCTBT、大量破壊兵器とかかわりの深いCTBT、核実験全面禁止条約の未批准の問題などなどを考えてみますと、米国のこの間のとってきたさまざまな国際社会における政策というものが、本当に国連憲章や国連中心という政策の方向に行っているのだろうか。このことについて、やはり日本政府としてはしっかりと検証して態度を示していくということが極めて重要だと私は考えております。
そうした点からいいましても、またそうした問題を考えるとき、これは憲法調査会でありますので、先ほど憲法の平和主義というものを金科玉条のごとくという発言もありましたけれども、私は、日本政府がさまざまな態度を決めるときに、憲法をもってしてその態度を決めなければならないというのは当然のことであるというふうに考えておりますし、その際、日本国憲法は、何度も繰り返して申し上げておりますけれども、国際紛争の解決の手段としての武力を行使しないということを憲法の精神としてうたっておりますし、これは日本の国是であると考えております。
そうした意味でいえば、そうした日本の国是の立場に立って今日の状況というものをしっかり見、そして対応するということが極めて重要で、この間の小泉首相の対応というのは、国連憲章、また憲法に基づいても、まさに法に基づく考え方を示しているとは到底言いがたいというふうに考えております。
以上であります。