仙谷由人の発言 (憲法調査会)
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○仙谷委員 団長にかわりまして、派遣委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、中山太郎会長を団長といたしまして、幹事葉梨信行君、幹事中川昭一君、委員桑原豊君、委員遠藤和良君、委員一川保夫君、委員春名直章君、委員金子哲夫君、それに私、仙谷由人を加えた九名であります。
なお、現地において、奥田建議員が参加されました。
地方公聴会は、五月十二日午後、金沢市の金沢全日空ホテルの会議室において、日本国憲法について、特に非常事態と憲法、統治機構のあり方及び基本的人権の保障のあり方をテーマとして開催し、まず、中山団長から今回の地方公聴会開会の趣旨及び本調査会におけるこれまでの議論の概要の説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序を含めてあいさつを行った後、山本利男君、福井県立大学教授島田洋一君、弁護士岩淵正明君、弁護士松田智美さん及び大学教授鴨野幸雄君の五名から意見を聴取いたしました。
なお、意見陳述を予定されておりました蓮池ハツイさんは、お身内に御不幸があったことから欠席されたため、意見陳述応募の際に寄せられた意見の要旨を事務局をして朗読させ、意見の概要を紹介いたしました。
各意見陳述者の意見内容につきまして、簡単に申し上げますと、
山本君からは、憲法を改正すべきであるとの立場から、前文における不自然な文言については削除すべきである、愛国心、郷土愛及び利他の心を明記すべきである、憲法改正手続を他の項目に優先して改正すべきであるとの意見、
島田君からは、北朝鮮による邦人拉致は重大な人権問題であり、この問題の解決のためには、最終的には武力行使をも辞さないとの強い態度で臨むべきであって、そのためにも、前文及び九条を削除すべきであるとの意見、
岩淵君からは、今求められているのは、日本と世界の現実の中で憲法の理念を確認して生かすことであり、北朝鮮問題についても、憲法の求める武力によらない平和的解決の手段を模索すべきである、九条の改正は歯どめなき軍事拡大路線へと進む可能性が大きく、断じて認められないとの意見、
松田さんからは、憲法十三条が規定する幸福追求権により、新しい人権を保障することは可能であり、同条で保障された人権を具体的に立法化することによってその目的は達成できる、また、現在、国会で審議されている個人情報保護法案については、真に国民のプライバシー権を保護できるか否かという観点から、再検討すべきであるとの意見、
及び
鴨野君からは、地方自治は、住民の自己決定権という人権保障の原理及び国民主権の原理に由来するものであって、地方自治体には国と対等、並立の関係に立って国民に対して協働する権限がある、
現行法制で不十分な点については、実定法による補充が必要であるとの意見
がそれぞれ開陳されました。
なお、蓮池さんから意見陳述応募の際に寄せられた意見の内容は、自分の息子が北朝鮮によって拉致され、二十四年間もその帰りを待ち続けた経験から、北朝鮮による邦人拉致は基本的人権侵害のきわみであり、国家主権の侵害である、また、到底許すことのできない凶悪犯罪であり、国家テロであって、基本的人権を保障するのが国家の役割だというのであるならば、日本国憲法など、この国では遵守されていないと言っても過言ではないというものでありました。
意見の陳述が行われた後、各委員から、教育のあり方、北朝鮮による邦人拉致や核開発の問題についての解決策のあり方、北東アジア地域における平和構築のための方策、地方分権改革のあり方、市町村合併のあり方、新しい人権の保障のあり方や憲法への明記の是非などについて質疑がありました。
派遣委員の質疑が終了した後、中山団長が傍聴者の発言を求めましたところ、傍聴者から、憲法の条文中には問題があるものが多いとの認識からの憲法改正の必要性、憲法の掲げる平和主義の立場からの拉致問題解決の必要性、国際的な人権侵害については武力ではなく国際法によって対処することの必要性、過去の戦争に対する反省をもとに憲法の理念を発展させていく必要性等についての発言がありました。
なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。また、速記録ができ上がりましたならば、本調査会議録に参考として掲載されますよう、お取り計らいをお願いいたします。
以上で報告を終わりますが、今回の会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、円滑に行うことができました。
ここに深く感謝の意を表する次第でございます。
以上、御報告申し上げます。