仙谷由人の発言 (憲法調査会)
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○仙谷委員 団長にかわり、派遣委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、中山太郎会長を団長として、幹事葉梨信行君、委員平井卓也君、幹事古川元久君、委員遠藤和良君、委員武山百合子君、委員春名直章君、委員金子哲夫君、委員山谷えり子君、それに私、仙谷由人を加えた十名であります。
なお、現地において、近藤基彦委員が参加されました。
地方公聴会は、六月九日午後、高松市の高松国際ホテルの会議室において、日本国憲法について、特に非常事態と憲法、統治機構のあり方及び基本的人権の保障のあり方をテーマとして開催し、まず、中山団長から今回の地方公聴会開会の趣旨及び本調査会におけるこれまでの議論の概要の説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序を含めてあいさつを行った後、弁護士草薙順一君、四国学院大学教授根本博愛君、学生高木健一君、元中学校社会科教師西原一宇君、主婦坂上ハツ子さん及び香川大学法学部助教授鹿子嶋仁君の六名から意見を聴取いたしました。
各意見陳述者の意見内容につきまして、簡単に申し上げますと、
草薙君からは、平和の維持には、秩序ある、力を伴う法の支配が必要であり、日本の安全保障は将来創設される国連軍により保障されることを目標としつつ、それに至る過程として、北東アジアの地域的安全保障体制を構築すべきである、また、九条改正には反対であるとの意見、
根本君からは、新しい人権の保障に必要なことは、憲法上に規定することよりも立法化による具体化である、人権を制限するよりも人権を最大限尊重することを通して生まれる公共の福祉が大切である、また、国内における人権保障の充実が積極的な国際貢献につながるとの意見、
高木君からは、戦後の日本の平和は、九条によるものではなく、日米安全保障条約の恩恵によるものであるが、在日米軍は九条との整合性において問題があるので憲法を改正すべきである、また、九条改正により、自衛隊を正式に軍隊として明示すべきであるとの意見、
西原君からは、教育権は、平等権の保障の前提となるほか、主権者としての権利行使の前提として大切であるが、現実には、不登校、低学力の問題など憲法や教育基本法の軽視に起因する弊害が生じており、憲法を改正するよりは、憲法を生かすよう努力すべきであるとの意見、
坂上さんからは、日本を取り巻く安全保障環境が大きく変化する中で、憲法と現実の矛盾が深まっていることを踏まえ、安全保障の分野など見直しを急ぐべき分野は、当面、解釈変更で対応し、その後、世論等を踏まえて憲法改正を考えるべきであるとの意見、
及び
鹿子嶋君からは、合併による地方自治体の規模拡大は、財政問題等から必要な場合があるとしても、住民自治の実質化の観点から、その具体的仕組みや、地方自治は直接民主制を基本とすることを憲法に規定すべきであり、また、基礎自治体の強化の観点から、法律と条例との関係や課税自主権を憲法に規定し、一定の行政組織権限が地方自治体に認められるようにすべきであるとの意見
がそれぞれ開陳されました。
意見の陳述が行われた後、各委員から、今後の社会保障のあり方、地方自治の本旨の意味、我が国の今後のあり方、新しい人権を憲法に明記することの是非、教育問題が生じている原因、憲法の平和主義を踏まえたイラク問題への対処のあり方、武力攻撃事態法に規定されている首相のいわゆる代執行権限と地方自治との関係、教育の現状と勤労観の関係などについて質疑がありました。
派遣委員の質疑が終了した後、中山団長が傍聴者の発言を求めましたところ、傍聴者から、憲法を踏まえた主体的な外交の必要性、軍事力ではなく外交や信頼醸成による自衛の必要性、米国追随的な行動により国益を見失うことへの懸念、憲法に基づき政治を行うことと世界の共有財産として日本国憲法を大事にすることの必要性等についての発言がありました。
なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと思います。また、速記録ができ上がりましたならば、本調査会議録に参考として掲載されますよう、お取り計らいをお願いいたします。
以上で報告を終わりますが、今回の会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、円滑に行うことができました。
ここに深く感謝の意を表する次第であります。
以上、御報告申し上げます。