平井卓也の発言 (憲法調査会)
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○平井委員 私は、この国会における調査を振り返りまして、特に印象に残った点に絞って発言をさせていただきたいと思います。
まず、今国会におきましては、最高法規小委員会において、明治憲法の制定過程についての調査を行いました。これまで余り顧みられることのなかった明治憲法を調査のテーマとして取り上げて議論ができたことは、大きな収穫であったと思います。
私は、明治憲法の制定の過程において、起草に当たった先人たちが、海外各国の成法という普遍的な価値ばかりでなく、我が国の伝統や文化といった建国の体、すなわち国柄というものに非常に注意を払ったということに着目をしております。
坂野参考人の意見陳述によれば、明治憲法の根本には英国流の立憲主義の思想が流れていったということになろうかと思いますが、そこで思い起こされるのは、イギリスの十八世紀の思想家エドマンド・バークが歴史の中で時間をかけて生成された伝統に重きを置く立場から、ルソーに代表される社会契約論のような抽象的な思弁や、古い伝統を破壊する形でなされたフランス革命を徹底的に批判していることであります。恐らくや、バークにあっては、古きよき伝統を廃して新しいものを植えつけても、それは真に国民の間に根づくものではないという考えがあったからでしょう。
このことに関連して申し上げれば、先ほど、基本的人権小委員会についての大出小委員長からの報告では、お招きした小林参考人から、コミュニタリアニズムといういわば舶来の共同体主義についての御紹介があったようですが、これは大変参考になる考え方であると思います。できれば我が国古来の純風美俗といったものと親和的であるよう、議論を深めていきたいと感じた次第であります。
次に、これまでの憲法調査会における安全保障に関する問題についての議論についても、一言感想を申し述べたいと思います。
先日、多くの会派から賛同を得て、有事関連三法案が成立いたしました。国際テロリズムと大量破壊兵器の問題や北朝鮮問題を初めとする今日の緊迫した国際情勢にかんがみれば、私は、万が一、その一の事態に備え、国民の生命財産を守る体制を整えておくことこそが政治の責任であると考えております。そして、この政治の責任を踏まえれば、国民の生命財産を守る組織として、自衛隊を法的にきちんと位置づけることが最終的に求められるのであります。差し当たっては、有事法制の体系を整えることは国民に対する当然の義務であると考えます。
このような考え方に対して、日本を再び戦前のような軍国主義に向かわせる危険な考え方であるとの批判がございます。私も派遣委員として参加いたしました高松地方公聴会においても、九条を堅持するべきとの立場の方々からは、自衛隊の海外派遣は武力行使への道を開くものであるとか、憲法九条の精神をねじ曲げるものであるといった、有事法制反対の声が聞かれました。むしろ、私は、世界における経済大国としての我が国の国際協力への期待にこたえるものであると確信いたします。
敗戦から五十有余年が経過し、我が国の民主主義は非常に成熟し、制度的にもシビリアンコントロールが確立されており、何よりも、日本国民全体が紛争のない世界を望む平和主義者であります。このようなことを踏まえれば、私は、日本国民はもっと自信を持ってよいのではないか、またそのような正しい自信に裏打ちされた防衛体制の整備、国際協力は、近隣諸国にも必ずや理解されるものと思っています。
また、今回のイラクへの対応については、米国追従であるとの批判がありますが、我が国は、日米同盟を堅持するという基本的立場を踏まえつつ、国益を確保するという観点から、米国への支持を決断したものであります。今後ともこのような立場に立って、我が国の安全保障、ひいては北東アジア地域における平和と安全を確保するため対応していくことが重要であると考えます。
以上、私の感想を述べさせていただきましたが、最後に、改めて、憲法の議論は、我が国が歴史の過程でつくり上げてきた伝統や文化に依拠したものでなければならない、また、平和主義の考え方を堅持しつつ、現実的に平和を確立するために九条を改正するという方向で議論を進めていきたいという強い願いを表明いたします。
以上です。