坂上ハツ子の発言 (憲法調査会)

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○坂上ハツ子君 坂上でございます。
 発表の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私は、無党派です。
 私の生まれは徳島ですが、東京で家庭と仕事を両立させながら定年まで働き、平成五年、高松へ転居。以来、地域にどっぷり浸り、住みよい町づくり、暮らしづくりに微力をささげている全日制住民でございます。
 戦前戦後から平成の今日までの私の歩みを通し、世界のだれもが命の安全を脅かされることなく、人間らしく生き合うことができる保障、すなわち安全と人権の保障は必須不可欠と、いたく強く認識しておりますことから、非常事態(安全保障を含む)と憲法について、意見を述べさせていただきます。
 まず、この作業で踏まえておきたいことは、憲法についてでございます。
 憲法は、国家の統治体制の基礎を定める法、国家の根本法と辞書にありますが、国のあり方の根幹に係る最高のおきてであること。そして、我が日本国憲法は、前文で主権在民、平和の維持、人権尊重を高らかにうたい、国際社会で名誉ある地位を占めたいと思うと述べていますこと。加えて、どのようにして憲法がつくられたのかということでございますが、詳細は、当時草案作成にかかわりましたGHQのメンバーの一人でありましたベアテ・シロタ・ゴードンさんの著書「一九四五年のクリスマス」に記されておりますが、貧困や不平等や戦争のない平和な国づくり、世界づくりへ熱い思いを込め、寝食を忘れた努力のもと、世界に誇る人権と平和の憲法が誕生したことでございます。
 なお、ベアテさんは、この調査会関係で来日されましたほか、平成十年には高松市女性センター主催の男女共同参画推進講演で憲法草案作成に係るお話をされ、万丈の大きな共感と感動を呼びました。これは、憲法を見直す上での大きな足場と考えます。
 次に、テーマにつきまして、私の意見を述べさせていただきます。
 冷戦時代は終わり、一見、国際社会は安定した秩序を確立してきたかに見えましたけれども、残念なことに、衝撃的な米中枢同時テロ、日本の周辺でも北朝鮮の核開発、工作船事件やミサイル発射などが起き、一段と緊迫の度を増しております。また、日本を取り巻く安全保障環境も大きく変化しつつあります。
 その一方で、国の基本法制であります憲法は、五十六年前に施行されて以来今日まで、一度も改正されたことがありません。憲法の規定と現実との矛盾は、年々深まっているのではないでしょうか。憲法解釈に固執し続けることにより、安全保障の面で国益を害する事態が生まれております。
 例えば、持っているが使えないという集団的自衛権に関する内閣法制局の見解が端的な例でございます。日本は、アフガニスタンにおける国際テロとの戦いのため、自衛艦をインド洋に派遣し、米軍などへの支援を今も続けておりますが、これは集団的自衛権の行使だと思います。
 加えて述べさせていただきますが、国民の血税を搾り出し、百数十億ドルという巨額の財政支援をしましたのに、日本は小切手だけ切る国と言われました湾岸戦争、それから弾道ミサイルを撃ち込まれた際への自衛隊の対応に関し、最初は災害派遣を命ずるしかないなどは、対処が急がれる重要な課題であると思います。
 安全保障理事会は、フセイン政権に対する武力攻撃に踏み切った米英両国と、それに反対するフランス、ドイツ両国などの対立で、機能不全を露呈しました。小泉首相は、武力行使容認の新たな国連決議が採択されなかったにもかかわらず、米国を支持されました。国連決議を無視し続けたフセイン政権に非があることとあわせ、核開発を進める北朝鮮の脅威を念頭に置いたからだと思うのでございます。これは、正しい判断だったと思います。
 だが、イラクの戦後復興への自衛隊派遣に関しましては、国連決議を前提とすべきだと、きのうNHKの「日曜討論」でも論議されておりましたが、これは、自衛隊の活動はできるだけ抑制すべきだといった憲法解釈操作に基づく戦後政治の伝統的発想から今なお脱却できないでいることを物語るものだと思います。
 安全保障など、見直しを急ぐべき分野は当面解釈変更に対応するにしても、いずれは改正が必要になるのではないでしょうか。三日前、日本が他国から武力攻撃を受けた場合の対処方針であります有事法案が与野党の賛成多数で可決成立しましたことは、時代の流れであり、当然だと思います。
 読売新聞の「「憲法」本社全国世論調査」が昨年の三月二十三日から二十四日にかけて行われておりますが、その結果によりますと、憲法改正とそのための手続整備に賛成する人が約六割、賛成が六年連続で半数を超えております。
 改正の理由で最も多いのは、今の憲法では対応できない新たな問題の存在となっておりますが、回答者の、法体系の中での憲法の位置づけ、根本法であることによる読み方やリーガルリテラシーの問題などは、気になるファクターです。一般に法令等の解釈は難しく、憲法となりますとその道の専門家の意見も同じではなく、正直言いまして私にはさらに難しく感じますが、この調査結果からも、憲法改正論が国民の間に広く定着したことはもはや明らかであります。
 国家の課題は全国民の課題であり、主権者の理解がまずもって重要と考えます。どこがどのようにふぐあいなのかなど、具体的に意見を交換し、考え合うことで、理解が進み、すぐれた力強い合意形成に結びつくであろうし、このような場を計画的、発展的に推進、展開すべきと思います。法をつくるのも、使うのも、そして生かすのも人であり、内外の情勢、ニーズに柔軟に対応し、役立つものであることは当然と考えます。
 それでは、いかに対処するかでございますが、時代の潮流から、国際社会との協調、連携の重要性を踏まえ、国内法と国際条約との連携対処が適切と考えます。それから、憲法をどう考えていくかは国の将来像を描くことでもあり大切ですから、いま一度国民が主権者として憲法をしっかり読み解くべきだと思います。
 平成十一年六月公布、施行の男女共同参画社会づくりへの男女共同参画社会基本法制定の取り組みは、参考になる好例と思います。男女共同参画社会基本法は、世界女性の憲法と言われる国連女子差別撤廃条約の批准のもと、男女雇用均等法、DV法などの個別法を整備しつつ、国際的達成評価をあわせ、着実にその力を発揮しております。
 非常事態の概念や枠組みの明確化も求められるところですが、国の独立、国民の生命財産を脅かす事態などを想定いたしまして、国連決議に基づく、国際協力を組み込んだ国家安全保障基本法制定の検討を意見に添え、提案しまして、私の発表を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 坂上ハツ子

speaker_id: 11453

日付: 2003-06-12

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会