保岡興治の発言 (憲法調査会)

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○保岡委員 最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員会における調査の経緯及びその概要について御報告申し上げます。
 本小委員会は、七月三日に会議を開き、参考人として、鹿島建設株式会社常任顧問英正道君をお呼びし、憲法前文について御意見を聴取いたしました。
 会議における参考人の意見陳述の詳細については小委員会の会議録を参照いただくこととし、その概要を簡潔に申し上げますと、
 参考人からは、
 現行憲法の前文は、戦後の日本に国民主権の思想を定着させ、民主的な諸制度を確立したという大きな功績があったが、無国籍で政治的な蒸留水のようなものであることから、現在ではアイデンティティー危機を招いていると考えられ、したがって、憲法前文に日本の価値観や新しい理想を盛り込むことには大きな意味があるとの認識が示されました。
 次いで、憲法に正統性を付与するためにも国民の手による憲法改正の経験を持つべきであって、その際には、だれにでも議論のしやすい前文から始めることが最適であり、また、今後、憲法前文を改正する場合には、その作成過程に国民を最大限参画させてもらいたいとの意見が述べられました。
 その上で、参考人から、新しい前文が果たすべき役割として、
 一、日本の伝統と文化の上に立つこの国の形を示す役割
 一、将来に向けて日本の進路を示す役割
 一、現在の閉塞感を破らせる活力を与える役割
 一、世界の中で日本の座標軸を明らかにする役割
 一、包容力と普遍性のある日本の理念を掲げる役割
が挙げられ、それらを盛り込んだ前文試案についての説明がなされました。
 このような参考人の御意見を踏まえての質疑応答を通じて、委員及び参考人の間で活発な意見の交換が行われました。
 そこにおいて表明された意見を小委員長として総括するとすれば、
 第一に、憲法前文と各条文とは一体不可分の関係にあり、憲法の解釈とは両者を総合してなされるべきものであるということは、各会派に共通の認識でありました。
 第二に、現行憲法の前文が有する理念につきましては、国民主権や民主主義の概念を我が国に定着させた点についてはほぼ評価が一致するものの、平和主義についての考え方にはなお各会派の間に隔たりが存するようであります。この問題に関しては、同日の午後に開会されました安全保障及び国際協力小委員会におきまして、自由民主党の近藤基彦委員から、人道上の人間の安全保障という考え方を未来志向の平和主義として提示してはどうかという提起があったことを付言しておきたいと思います。
 第三に、近代立憲主義といった普遍性と歴史や文化に代表されるような我が国の独自性とについて、両者の調和をどのように図っていくべきであるかについては、なお残された課題であるということであります。
 最後に、今後とも、憲法の調査に当たりましては、前文と各条文との関連性に留意しつつ議論を深めていく必要があるということ、また、将来、憲法を改正することとなった場合、前文にどのようなメッセージを込めて国内外に発信すべきかがいかに重要であるかを改めて認識した次第です。
 以上、御報告申し上げます。

発言情報

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発言者: 保岡興治

speaker_id: 16198

日付: 2003-07-24

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会