武山百合子の発言 (憲法調査会)

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○武山委員 自由党の武山百合子です。
 昨晩、自由党は民主党と合流というニュースが流れましたけれども、私は、きょう、自由党の新しい憲法をつくる基本方針について述べたいと思います。
 まず第一に、国及び国民のあり方についてお話ししたいと思います。
 憲法に前文を設け、国及び国民のあり方について、基本理念を明記します。
 現憲法の基本原理を継承し、発展させるとともに、日本の文化、伝統を尊重し、自由で創造性あふれ、思いやりのある自立国家日本をつくることを宣言します。
 日本は、戦後一貫して経済発展を国家目標に掲げ、それに専念してきました。それによって失ったものも多く、いわゆる戦後政治は経済発展による利益の配分に終始しています。その結果、日本人は、社会共同体の構成員としての生き方、教育のあり方、安全保障の確保などをおろそかにしてきました。今、日本は方向性を失い、混迷のふちをさまよっています。一日も早く戦後政治と決別し、新しい国家目標を掲げて、自由で創造性あふれる自立国家日本をつくらなければなりません。
 次の事項を新しい憲法をつくるための指針といたします。
 まず第一に、日本人の心と誇りを取り戻す。自己中心的な社会から、規律ある自由に基づく開かれた社会に改める。経済の活力を回復し、だれもが生きがいを持って暮らせる社会をつくる。地球の平和と環境にみずから進んで貢献する。この指針に沿って、政治、行政、司法、地方自治、経済、教育等のシステムを抜本的に改革します。
 二、天皇について。
 天皇は、国民統合のための歴史的、文化的存在であります。国家元首として位置も定着しており、国政に関する機能を有しないこと、及び国事に関する行為の委任等について、現憲法の原則を変更する必要はありません。
 三、国民の権利と義務について。
 国民の諸権利と義務は、人類の普遍的原理に基づいて、日本のよき文化と伝統を踏まえるものです。公共の福祉の概念を明確にし、用語を見直します。思想、信教の自由は、政教分離の原則の意義を明確化し、価値多元化社会に適応する自由を確保します。自由で公正かつ規律ある経済活動を確保し、勤労者の社会的権利の拡大と経済的発展によって、国家社会の安定を図るものとします。主権者たる国民の納税の義務についての認識を高める。
 四、安全保障について。
 二十世紀に人類が起こした悲劇を繰り返さないために、現行第九条の理念を継承する。国家の責務は、国の名誉と国民の生命と財産を守ることであり、そのために必要な体制を整備します。同時に、新世紀において、日本が平和を維持し、存続していくためには、国際社会との真の協調を図らなければなりません。
 そのために、日本は外交努力に全力を尽くし、国連による集団安全保障体制の整備を促進し、国連を中心としたあらゆる活動に積極的に参加します。さらに、日本が率先して国連警察機構創設を提唱します。同時に、人類を破滅に導く大量破壊兵器の全廃を推進します。
 自衛隊の権限と機能、内閣総理大臣の指揮権を憲法に明記し、シビリアンコントロールを徹底させます。日本が侵略を受け、国民の生命及び財産が脅かされる場合のみ、武力により阻止することとし、それ以外の場合には、個別的であれ、集団的であれ、自衛権の名のもとに、武力による威嚇またはその行使は一切行わないことを宣言します。非常事態の制度を憲法に明記します。
 五つ目、立法権について。
 国会活性化法の制定は憲法慣例の改革であった趣旨を憲法に明記し、国民の選挙によって構成される国会が国権の最高機関として名実ともに機能するよう抜本的な整備を行います。代表民主制度の基本を維持し、社会状況の変化、進展に伴い、直接民主制度による補完によって、形骸化した議会制民主主義の真の民主化を図り、国民主権を確立します。
 現行の両院制は抜本的に改善します。両院の権限や機能の分担を徹底させ、参議院の役割を国政に対して大所高所から進言、指導するものとし、衆議院に対するチェック機能を発揮させることにより国政運営の民主化と効率化を図るものとします。
 議員の権限や責任、議事運営等について、二十一世紀の新しい社会状況を踏まえ、全面的に見直しを行い、政治倫理の確立については、議院の自浄機能として憲法上の制度を整備します。特定の要件に限定して国民投票制度を導入します。
 六つ目に、行政権について。
 首相、国家の最高権力者の選出は、代表民主制度によることが日本の歴史や民族性から適切です。
 国民の多く、そして国会議員自身が、行政権が国会より上位であるとの意識を持っています。これが日本の官僚主導の規制社会を形づくっている最大の要因です。いわゆるお上意識を打破するため、立法権優位の原則に基づいて、行政権の位置づけを明確にします。
 中央行政府の役割を国家の維持と発展に必要かつ最小限なものとし、大胆な地方分権を断行します。
 縦割りとしがらみによって硬直化した官僚支配体制を改革するために、内閣の総合調整機能を強化し、首相の行政各部に対する直接的指揮監督権を確立させます。
 司法権について。
 日本は現在、世界経済が全地球を統合する形で大競争の時代に入り、それに伴う法的処理の増加と多様化、また犯罪の国際化や凶悪化などに対して、従前の司法システムでは適切に対応できない状況です。真の司法権の独立と新世紀の法秩序を維持するための憲法の見直しを行います。
 憲法裁判所を設置し、形骸化した違憲立法審査権の機能を再生させるとともに、特定の行政訴訟等も担当するものとする。これにより、一般裁判所の業務を軽減することになり、迅速で適切な事案の処理が可能となります。
 八つ目、地方自治について。
 健全な民主主義の発展と豊かな国民生活の実現、そして日本人の伝統と文化の継承は、地方分権の推進と真の地方自治の確立によって可能になります。地方自治体が中央政府に従属する関係から対等となる関係に改めるために、憲法において、地方自治の意義と中央政府と地方自治体の役割を明確にします。
 地方自治体がその行政を一貫して自主的、自律的に企画、立案、調整するためには、行政基盤を強化しなければなりません。そのための整備は中央政府の責任であり、それに必要な根拠規定を設けます。
 九つ目、財政について。
 激動する内外の諸問題に対処するため、国の財政運営が公正で健全でなければなりません。現在の日本の無定見な財政・経済運営が原因です。また、予算の単年度制度による消化ノルマの弊害も原因の一つであり、単年度予算制度及び財政状況の報告制度について見直しを行います。公正にして簡素な新しい税体系を構築します。
 会計検査院を国会の機関とし、公正を確保し、責任の明確化により、国民の立場による検査を確保します。
 十番目、教育及び文化について。
 人づくり、国づくりの基本は教育にあります。教育及び文化の章を憲法に設けて、教育の基本理念と教育・文化行政のあり方について明記します。
 人間は、進化の過程で、長期間の教育としつけが欠かせない動物となりました。
 日本人の心と誇りを取り戻すことが必要です。その上に新たな文明を築いて、人類に貢献しなければなりません。祖国と世界の平和と繁栄に寄与する知識と志と活力を持つ青少年の育成が教育の目標です。家庭や郷土や国家共同体は、青少年にしつけを通して人間形成の基本を学ばせる場なのです。
 特に重要なのは義務教育であり、基礎学力を重視するとともに、日本人の伝統的な資質をはぐくみ、次の時代を担い得るよき日本人を育てる責任を持っています。
 環境、社会保障について——ちょっと時間が来てしまいましたので、最後にもう一つ、改正手続についてお話ししたいと思います。
 現行の改正規定は、制定過程の特殊事情により、異常な改正手続となっております。各議院の三分の二以上の賛成という発議要件を過半数の要件に改める。国民投票による承認制度は存続させる。なお、現行憲法の改正手続制度、国会法の改正、憲法改正国民投票法が整備されておらず、早急に関係法規の制定を行う。
 以上です。

発言情報

speech_id: 115604184X00920030724_017

発言者: 武山百合子

speaker_id: 16992

日付: 2003-07-24

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会