2003-02-06
衆議院
森本敏
憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会
森本敏の発言 (憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会)
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○森本参考人 これまたわずかな時間で結論をお話しすると、テロの事件の後、アメリカを中心として抑止の理論というものが極めて変質しつつあることは御承知のとおりであり、従来、懲罰的抑止というもの、すなわち、Aなる主体がBに第一撃を加えた場合、Bがこれに対して報復をするということによって行う抑止の概念は、テロのような主体には適用できないという状況が起こっているために、懲罰的抑止という考え方をやめて、いわば拒否的抑止という、テロのような、ある主体が何らかの攻撃をする蓋然性が強く、かつ、その意図と能力をあわせ持っている場合、これらに対する拒否的な抑止によって未然に防ぐという抑止の理論を採用しなければ国際社会の安定は維持できないという抑止の理論の変質というものが起こりつつあるのではないかと思います。
したがって、そのことは、例えば我が国に対する武力攻撃、安保条約第五条に言う武力攻撃を前提にしたいわゆる我が国の自衛権の行使という概念を少し改め、武力攻撃に至らないような、つまりテロのように、必ずしも明白に、つまり、国連憲章上、武力攻撃とは概念しがたいような低レベルの攻撃に対しても、国家として自衛権を発動して行動しなければこの種のテロに対応できない場合、従来の抑止の理論をこれまた変えて、拒否的抑止という概念を自衛権行使の手段として適用できる方法を考えたとすれば、自衛隊の運用の仕方、あるいは国全体の自衛力だけではなく、例えば、先ほど申し上げたように、テロに対応する方法というのは、経済だとか資金だとか技術だとか情報だとか、あるいは防衛力だとか外交というものをトータルで国として有機的に機能させなければ対応できないことは明らかなので、そのような国家としての総合力を発揮してテロに対応する、国家としての拒否的抑止の概念というものを自衛権の中に包含するような形にしなければ、これからのテロに対応できないのではないかという趣旨を申し上げたわけで、その意味では、山崎先生の趣旨と全く同じことを私は申し上げたのではないかと思います。
以上でございます。