佐藤行雄の発言 (憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○佐藤参考人 きょう、こういう機会をお与えくださいまして、どうもありがとうございました。
 私は、きょうは国連についてお話をさせていただきたいと思います。
 ただ、お断りしておかなければなりませんことは、国連は日々と言いますと若干言い過ぎかもしれませんが、常に変化をしている組織でございますので、私が知っておりました、経験をいたしました国連というのは一九九八年の秋から昨年の夏まででございますので、その意味でも経験が限られているということを申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つ、私が経験をいたしました国連はニューヨークにおける国連でございまして、国連に関連する機関はジュネーブにも、ほかにもございます。あるいは今菅波さんが活躍されているような、現場で働いている国連というものもございます。その意味でも、私の知識、経験は極めて限られているということだけ、あらかじめお断りをさせていただきたいと思います。
 そこで、私、四年ほど国連におりまして、つくづく感じましたことから申し上げたいと思うんですが、国連はまだまだ未完成な組織であるということであります。その点について、私は、日本の国内で国連について抱かれているイメージと国連の実態ということは大変違うという感じがいたします。
 ちなみに、国連という言葉でもう皆様方御承知のとおり、我々国連と言いならわしておりますけれども、日本語は国連の公用語ではございませんし、その意味で、国連というのは日本の訳語でございます。今ここに持ってまいりました、国連協会が出しました国連憲章の訳文におきましても、一番冒頭の表現は、「われら連合国の人民は、」という言葉で始まっております。
 国連ができましたのも、サンフランシスコで調印されましたのは一九四五年六月二十六日、まだ日本が第二次大戦を戦っているさなかでございます。そういう意味で、国連というのは第二次世界大戦の連合国がつくった組織である。それを我々、先達たちの御苦労がおありだったんだろうと思いますが、新しい希望を託して国際連合と訳された、そういうものであるということはまず認識しておかなければいけないと思います。
 それで、国連が今まだ未完成な組織だと申し上げましたが、例えば、例示的に申し上げますと、国連憲章第七章に想定されているような国連待機軍という制度は実現しておりません。一九四〇年代の後半、国連ができた当初にはこれについて何とかしようという議論があったようでございますが、朝鮮戦争を経て、その後、国連の場においてもこの待機軍をどうしようかという議論は一切行われていないと言ってよろしいんじゃないかと思います。そういう意味で、一番肝心の第七章に規定している待機軍ができていない、このこと一つとっても、国際連合というのはまだまだ未完成な組織だと言えるんじゃないかと思います。
 それからもう一つ、御承知のとおり、安全保障に関する面では、安全保障理事会というのがございまして、そこで常任理事国が絶大なる権限を持っている。その常任理事国は、言い方はちょっと難しいんですが、第二次世界大戦の戦勝国である。もちろん中国は中華民国から中華人民共和国に変わり、ソ連はロシアに変わっておりますが、いずれにせよ、五大国が安全保障理事会を牛耳っている、この点につきましても、私は、これはまだその後の世界の状況を反映し切れていない組織だと言わざるを得ないと思います。
 それからもう一つ、我々には非常に気になりますのは、やはり少数の先進国が国連の予算の大半を負担している。九三年度のことで数えてみますと、アメリカ、日本、ドイツ、フランス、イギリス、イタリーの六カ国で約七割弱を負担しております。アメリカと日本二カ国で四割強を負担していることは御承知のとおりであります。これも決して世界の変化を十分反映し切っている状況ではないと思います。
 そういう意味で、今例示的に申し上げましたけれども、国際連合という組織はまだまだ変化をしつつある、国連憲章に描かれた理想に照らしても決して完成した組織ではない、この点を私は現場でつくづく感じました。
 それからもう一つは、国連と我々とかく一概に申しますけれども、国連にはいろいろな姿といいますか、あるいは層といったものがある気がいたします。私よく、国連の三つの層、あるいは三つの姿ということで、事務総長を頂点とする国連事務局あるいは国連関連機関を一つのグループ。それから、総会あるいは経済社会理事会等々、加盟国の間でコンセンサスをつくり、合意をつくっていく、ただそれは基本的には加盟国に対しての勧告を行う動き。そして三番目に、世界の平和と安全保障の問題をほぼ専管的に扱っている安全保障理事会。この三つはそれぞれ動きが異なります。そういう意味で、国連と言ったときにどれを指すのかということをよく考えなければいけないという気がつくづくといたします。
 例えば、事務総長を頂点とする国連の事務局、諸機関につきましても、ほかには見られない活動が行われております。ほかのというのは、安全保障理事会とか総会の動きとは違う動き方が見られます。まず、アナン事務総長以下の方々は国連憲章の目標を達成しようとして努力している、あるいは国際社会の当面している課題を国際社会に対して提示していこうというような動きをしております。
 西暦二〇〇〇年に国連ではミレニアム総会というのがございました。そのときには首脳会議も行われまして、百四十カ国か百五十カ国の首脳が集まったという非常に珍しい機会がございましたが、その際にミレニアム宣言というものが採択されました。これは、国際社会が今後十年、十五年の間、二十一世紀の立ち上がりに何と取り組んでいかなければいけないかということを示したものであります。環境とか貧困の撲滅とか、いろいろ書かれております。私が申し上げたいのは、その報告は、実は、それに先立ってアナン事務総長が国連加盟国に対して出した報告、国連では報告という言葉を使いますが、提言でございますね、そのアナン事務総長が出した提言が一つの下敷きになっております。
 そういう意味では、常に国際社会に対して将来の課題を提起していくという役割を事務総長は果たしている。
 あるいは、この委員会の課題であります世界の平和と安全保障の問題に関連しましても、例えば紛争の予防あるいは解決というところで、事務総長は、自分の特別代表を派遣したり、調査ミッションを出したりして、その結果で安全保障理事会に勧告をしたりしております。
 中東問題では、最近カルテットという言葉をよく聞きます。アメリカとロシア、EUそして国連、この四者が一緒になって中東和平を追求していこうという動きでありますが、そこでは、国連の事務総長は一つの存在として参加しているわけであります。
 また、紛争が解決された後の再発防止あるいは平和の維持、復旧、復興というところでも、例えば、安全保障理事会が授権をいたしまして創設します平和維持活動は、創設された後は事務総長の統括のもとに置かれます。あるいは国連が出す政治ミッションも同じであります。そしてまた、復旧、復興の段階では、あるいはその手前からでも、難民問題についてのUNHCR、御承知の緒方さんが十年間トップの座を占めておられましたUNHCR、あるいは子供の問題について非常に活躍しているユニセフ、あるいは開発問題をやっているUNDPといった国連の機関が、この難民問題から復旧、復興に至る過程で大変な努力をします。ただ、これはすべて最終的には事務総長の統括のもとで行われるということになります。
 そういう意味で、今、単に一部の、例示的に申し上げましたけれども、国連事務総長を頂点とする国連事務局というのは、平和あるいは安全保障の分野で大変大きな役割を果たしているということを、これまた私、現場で痛感をいたしました。
 そこで、日本はそれに対して何をやっているか。一番の大きな貢献は財政支援だと思います。先ほど菅波さんがおっしゃられたことを引くようですが、国連におりますと、お金というのは非常に大事でございまして、私、よく報道関係の人からは、小切手外交、お金だけ出して何もしないから小切手外交ということで批判を受けることがありましたけれども、国連の場で日本がやっていることが小切手外交だとやゆされたことは、これは本当に一回もございません。むしろ、いろいろな場でお金を日本が出してくれている。かつ、日本は一たん決めますと継続的に出しますので、それに対する感謝は随分受けました。
 ただ、今申し上げましたような国連事務総長を頂点とする国連の機関の活動を支えているのは、やはり何といってもお金でございまして、その点について日本の税金は有益に使われていると、私は少なくともニューヨークでの経験からすれば申し上げることができるのではないかと思います。
 他方、人的な面での貢献はまだまだ努力すべき余地が多くに残されているのではないかと思います。
 平和維持活動についての自衛隊の活用という点については、数の上では、例えばG7の先進国の中では日本が一番多いと思います。ただ、御承知のとおり、先進国は、もはや平和維持活動よりもその一歩手前の多国籍軍に多くの人を出す。PKOに人を出している国は、一番多いのが今ではパキスタンです。パキスタン、バングラデシュ、ナイジェリア、インド、ガーナ、上のトップテンをとりますと、オーストラリア以外はすべて途上国です。それに対して、多国籍軍の方でむしろ先進国が兵力を派遣している、こういう状況になっております。
 私は、今この場で多国籍軍に人を出してくださいと申し上げるつもりで申し上げたわけではありません、これは政治のお決めになる話でございますが。現状といたしまして、PKOに対する自衛隊の派遣の数については、一応先進国としては遜色のないところにまで参りました。ただ、まだまだほかでは需要がある。
 例えば、文民警察官の問題。私自身も県警本部長をやらせていただいたことがございますので、今の警察法の建前からの問題、あるいは警察庁と県警との関係、いろいろな問題があって、文民警察官を出すということがそれほど簡単な話ではないということはよく承知しておりますが、世界では、日本の警察が高度だと、シンガポールでも交番ができたりしておりますので、文民警察官に対する期待がある。
 あるいは、このごろは、平和維持活動も、国づくりということで、例えば司法官とか、法律づくりとかいろいろな幅広い分野での、行政官も含めて、司法官、行政官についての要望というのも出てきておる。
 そういう意味では、人的貢献というのはまだまだ期待は高いということは申し上げた方がよろしいかと思います。
 それからもう一つ、資金との絡みで私が一番重点を置いてまいりましたのは、国連における邦人職員の増強の問題であります。
 国連は、各国の分担金とか人口に合わせて、特定の国に対しては、ここからこれの、例えば一定の範囲の人が国連の職員として働いていることが望ましいということを毎年発表いたしております。それに対して、日本はまだまだ達していない。例えば二〇〇二年でいいますと、国連の事務局では二百五十六人から三百四十六人の邦人職員がいるのが望ましいというのが計算上出ているわけでありますが、それに対して、日本人はまだ百十二しかおりません。言うなれば、望ましい範囲の下限の半分以下であります。こういう望ましい範囲と実際上の数、実際いる数との間が三けたというのは日本しかありません。
 そういう意味で、アナン事務総長もこの問題を非常に深刻に受けとめておりまして、日本についてだけは、例えば特別の採用ミッションを送ったり、あるいは、私が聞いたところでは、空席があって採用するときは、まず日本人を考えろというような指示を流してくれたこともあったようです。ただ、いろいろな事情でなかなかふえておりません。
 私がおりますときに、三年十カ月一生懸命やりまして、国連にある事務局とその他の関連機関四つで、たしか五十一名だったと思いますが、ふやすことができましたけれども、まだまだこれで満足できるわけではないと思います。特に分担金の支払い、後で申し上げることで、最も直接的に見合ってくるのは邦人職員の数だと思いますので、この点はもっともっと努力をしていかなければいけないと思います。
 ところで、もう一点、事務総長との関連で申し上げておきたいのは、アナン事務総長は毎年日本に来る。アジアでは、アナン事務総長が毎年訪ねるのは中国と日本しかありません。中国は常任理事国、そういう意味では、日本をいかに重視しているかということのあらわれだろうと思います。
 それからもう一つ、先ほど三つの層、三つの姿と申し上げましたが、もう一つが、総会あるいは経済社会理事会、それから、今は実際活動をほとんどしておりませんが、信託統治理事会というのがございます。
 総会と経済社会理事会というのは決して同じ組織ではありませんが、先ほど申し上げましたように、加盟国に対する勧告権限しかないという点で一くくりにしてお話をさせていただきたいと思うんです。
 このやっていることは何か。基本的には、一言で言って、国際社会の主要な問題についてどうするかということについての加盟国の間の合意を形成していく努力。環境問題でも、リオに始まる国連特別総会が一つの軸になってここまで来ている。貧困、女性、いろいろな問題について加盟国の間のコンセンサスをまとめていく役割が、こういう総会を中心とする、あるいは経済社会理事会で行われている。経済社会理事会は、特別のこととして、開発問題と人権問題について特に焦点を当ててやっております。そういう意味では、それだけの独自の役割があると思います。
 それから、もう一つ大きな役割は、総会では国連の予算を決めるということであります。国連の予算というのは、通常予算とPKO予算、平和維持活動に関する予算の二本立てになっておりますが、これについて国連総会が決めていく。ここでは、率直に申しまして、日本の発言権は大変大きいと思います。
 例えば、我々は、当たり前のことのように日本国内では受けとめられておりますが、日本はいろいろな選挙に出ます。安全保障理事会は毎回出てはおりませんけれども、いろいろな選挙に出て、ほとんど落ちたことがないと思います。それは、国連加盟国の目から見て、やはりいろいろな問題を議論する場に日本という国が入っていることが大事だという認識があるからだと思います。もちろん、皮肉な言い方をすれば、日本は援助をして、援助をてこにして選挙に通っている、率直に言ってそういう面が全くないとは私も申しません。
 ただ、やはり国連の場で各加盟国の代表たちと話していますと、いろいろな問題について日本の意見が反映されることが大事だという意識はあると思います。それが結果としていろいろなところで選挙に選ばれているということなんだろうと思います。
 それでは、今は発言権でございまして、発言力があるか。これは、まあ私として自分に対する反省も含めて申し上げれば、もっともっと発言をし、日本の考え方を反映させていく努力をすることが必要であったのではないか。これは、私がニューヨークで自分が代表をしておりましたので、自分への反省も含めてのことでございますが、発言力はもっともっと発揮する余地がまだあるし、努力しなければいけないと思います。
 例えば、予算面で日本とアメリカが非常に大きな力を持っております、日本とアメリカで四割以上払っているから当然といえば当然なんですが。例えば、一九九四年から二〇〇一年まで八年間国連の予算はゼロ成長でございました。国連の通常予算は、さっき、通常予算とPKO予算と二つあると申し上げましたが、通常予算は二年を一単位として一会期二年でございます。そういう意味では、四会期、八年間にわたって国連の予算をゼロ成長にした。これは、日本とアメリカが中心的な役割を果たして主張して、それを通じて国連の経費の節約あるいは合理化を達成したわけであります。さすがに八年やりますとこらえ切れなくなり、かつ新しいミレニアムサミットの目標が出てきたり紛争問題が出てきたりということで、若干その後増加しつつはありますけれども、今のようなことは日本の主張に基づいて行われたということは言えると思います。
 そこで、最後に、もう一つの問題は、安全保障理事会でございます。
 これは、全くほかの機関とは違う動き方をいたします。簡単に申しますと、安全保障理事会が決議をしたことはすべての加盟国を拘束するということです。そして、御承知のとおり、安全保障理事会には、常任理事国五カ国が拒否権という絶大な力を持って存在している。一言で言えば、常任理事国が牛耳っていると言ってもよろしいんじゃないかと思います。通常の場合には、大きな問題については常任理事国五カ国の間で話し合って、いずれもが拒否権を使わないでいいというような妥協案をつくってから非常任理事国に提示される、それが安全保障理事会の残念ながら動き方です。
 それが行われなかったのがこの間のイラクでして、特定の国が何が何でも拒否権を使うんだということを言った結果、常任理事国の間の妥協が成立しなくなった。結果として、非常任理事国に圧力がかかったということがございます。ちなみに、安全保障理事会の非常任理事国というのは二年の任期でございます。日本は、今まで八回だったと思いますが、非常任理事国を務めておりまして、これは、たしかブラジル、ブラジルは正確ではないかもしれませんが、少なくとも回数としては最大でございます。
 ただ、二年だということで、非常任理事国の知識には非常に限度がある。例えば、イラク問題のように十二年間やっていた過去の経緯について全部知っているのは五つの常任理事国しかない。その過程で常任理事国の間の取引もいろいろな形で行われていると思いますが、これは常任理事国しか知らない話であります。これが非常任理事国にとっては大変な苦痛である。苦痛と言ってはあれですけれども、安保理事会に座っていてもなかなか状況がわからないことにつながってきているんだろうと思います。
 まして、安保理事会に入っておりませんと、外からの発言力はほとんどありません。安全保障理事会は時々公開討議というのを開きます。そのときにはメンバーでない国も行くことができるんです。
 ただ、例えば、こういうことがありました。九月の十一日、先ほど菅波さんが言われた有言実行との絡みでございますけれども、九月十一日の翌日に安全保障理事会が公開討議をやることになっておりまして、私たちも登録をして準備していたんですが、その日の朝になりまして議長国から通告がありまして、発言は安保理メンバー十五カ国だけにすることにした、何となれば安全保障理事会として急いでやはり決議案をまとめなければならない、だから、各国に発言を許していると時間がかかり過ぎるので、もう十五カ国だけでやる。安全保障理事会としてそう決められますと我々どうしようもない。
 結局、当時の議長国のフランスと交渉をいたしまして、日本がもし発言を持ってきてくれれば記録には載せるというところまでとりました。そこで私は、それを非常に短い発言にしまして安保理事会に登録すると同時に、全加盟国にファクスで送りまして、報道関係にも配った。したがって日本の夕刊には何か私がしゃべったように出ているんですが、実はその日の朝の決定で発言は許されなかった。有言実行をしたくてもできないことがある、安全保障理事会に入っていないと発言ができないということがございます。
 私は、有言実行が大事だということは全くそうなので、ただ、安全保障理事会に入っていないとどういうことがあるかということをちょっと申し上げました。
 もっとも、外からでも働きかけることができまして、例えば、東ティモールのときには、当時はその存在も表に出しておりませんでしたけれども、我々、英語でコアグループと呼んでおりましたが、内々のグループで、アメリカ、イギリス、日本、オーストラリア、ニュージーランド、それと国連事務局で頻繁に会議をいたしまして、東ティモールについて安保理事会としてどういう動きをしていってもらうかということを協議しました。そういう意味では、外から少し安全保障理事会の動きに参画することができました。
 あるいは、アフガニスタンでは、御記憶のとおり緒方貞子さんが議長をされた日本における支援国会議、ああいう問題を通じて、アフガニスタンについては、特に復旧、復興の面で日本が主導的な役割を果たすということを明確にしておりましたので、安全保障理事会におけるあるいは国連におけるアフガニスタン問題についての議論についても、日本の意見をかなり外から反映させることができたと思います。ただ、これは極めて例外的であり、かつその都度大変な努力をしていかなきゃならない問題だと思います。
 そういうことで、安全保障理事会というのは、入っていなければなかなかそこに日本の意見を反映させることができないという問題があります。
 一つ、この関連で私、気になりますのは、例えば北朝鮮の問題。私は、北朝鮮の問題について安全保障理事会が圧力をかける方向で動いていくことは大事だと思います。ただ、今安全保障理事会がどういう構成か、あるいは安全保障理事会に北朝鮮の問題をかけたときにどういうことが起きるのかということを想定いたしますと、まず、中国とロシアのこの問題に対する発言力が断然高くなることは間違いない。日本はその外であります。韓国も入っておりません。
 我々は、従来、朝鮮半島の問題、北朝鮮の核開発の問題については、日米韓が中心になってやってきたわけですが、安全保障理事会に入った途端に、アメリカはおりますけれども、韓国も日本も外におる。そして、常任理事国として中国やロシアの発言力が高まる。こういう点が一つあります。
 それから、非常任理事国について、アジアから今選出されている国はどこか。パキスタンとシリアであります。なぜシリアかと思われるかもしれませんが、国連の地図ではレバノンから東がアジアということになっています。シリアは、北朝鮮からミサイルを買っていることが疑われている国であります。パキスタンは、北朝鮮に核ウラン濃縮の技術を提供したのではないかと疑われている国であります。
 この二つの国がアジアを代表しているわけでありまして、例えば、常任理事国の間で意見が十分まとまらず、一部は棄権をする、したがって、安全保障理事会の決議を通すために非常任理事国に対する多数派工作をする、そういうような事態に仮に物事が動いていった場合に、今の状態で、そういう状態の安全保障理事会に日本としてどういうふうに対応するんだろうかということを私は考えざるを得ません。
 その中で、アメリカが日米韓という協力を通じて日本の立場を一番よく理解していると思いますから、アメリカを通じて日本の意見を反映させていくということなんだろうと思いますが、安全保障理事会というのは、その都度の組み合わせによって、かなり議論の内容も変わってくる組織でございます。
 そういう意味で、安全保障理事会に判断をゆだねるということを考えるときに、ただ安全保障理事会は絶対なんだという意識で判断をゆだねていいものかどうか。私は現場にいた者として、少しその点について疑問を感じざるを得ないところであります。
 私、もうこれで三十分しゃべりましたのであれなんですが、もし当初の菅波さんの残された十分をいただければ、残りの安全保障理事会の改革の問題についてお話をさせていただきたいと思いますが。

発言情報

speech_id: 115604185X00420030508_004

発言者: 佐藤行雄

speaker_id: 8964

日付: 2003-05-08

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会