2003-05-08
衆議院
佐藤行雄
憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会
佐藤行雄の発言 (憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会)
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○佐藤参考人 どうもありがとうございます。
そこで、安全保障理事会をこのままにしておいていいのかということが日本にとっての大きな、あるいは国連にとっての大きな課題だと私は思います。私自身、日本自身が常任理事国入りを目指すかどうかについては国内で意見が割れていることは十分承知しております。したがって、私自身がこれから申し上げることは、日本の常任理事国入りを目指すという見地からの意見とは思わないでいただきたいと思うんです。むしろ、国連のために安保理事会をこのままでほっておいていいのかという見地からの問題だと御理解を願いたいと思います。
実は、安全保障理事会を改革しようということは、国連の場で一九九四年の一月から議論をしております。その発端となりましたのは、九三年にインドが出した決議案です。やはり冷戦が終わって三年たったところで、安全保障理事会をもっと今日的なものにしようという意見だったんだろうと思います。国連の全体の意見、総会での決議が通りまして、それ以来議論をしている。ことしの夏で十年の議論を終えようとしております。一言で言えば、議論は停滞をしている。三つの問題をめぐって停滞をしている、というか議論がかみ合わない。
一つは、今十五ある安全保障理事会を一体幾つまでふやすのか。日本は二十四と言っております。そこまで入りますと細かいので申しませんが、アフリカのような国は二十六というようなことを言っております。したがって、二十四から二十六の間にまで広げたいというのが一つの議論です。
それからもう一つは、一体どこの国を新しい常任理事国にするんだろうか。
これについて、日本国内の議論は別に横に置きまして、国連の場では、安全保障理事会が改革された場合に日本が常任理事国になるのは当然というのが大多数の意見だと思います。正面からこれに反対しているのは北朝鮮だけであります。中国は黙っておりますが、これは私の全くの個人的な見方でありますが、世界の大勢が日本の常任理事国入りを認める方向に動いたときに、中国がひとり拒否権を使って反対するという事態は想定できないと私は思います。ただ、これは私の全くの個人的な意見です。
むしろ、先進国の間では、ヨーロッパで一体どこにしようか、長いことドイツと言われていたわけですが、イタリーあるいはスペインがこれに反対しております。あるいは、アフリカでは、ナイジェリア、南アフリカ、エジプト、この三カ国の間で一種のせめぎ合いがあります。ラテンアメリカについても、ブラジル、アルゼンチン、メキシコの間での争いがある。アジアでは、インドに対してはパキスタンが絶対反対ということを言っております。そういうところで常任理事国をどこにするかということも絞り込めていない。
三番目に、拒否権の問題で、ほとんどの国が常任理事国が持っている拒否権については何らかの形で制限をしたいと思っていると思います。今、評決すれば、国連加盟国総数百九十一ですが、百八十六対五だと私は思います。百八十六の国は、何らかの格好で拒否権について制限をしたい、あるいはやめさせたい。それに対して、五カ国、常任理事国は、自分の既得権に影響があるようなことがあったらこれは絶対に認めないということだと思います。
ちなみに、安全保障理事会を改革するための憲章改正には、加盟国三分の二の賛成プラス五つの常任理事国の賛成が必要です。逆に言いますと、常任理事国は安全保障理事会を改革するための憲章改正にも拒否権を使うことができるということであります。
そういう状況の中で、どう考えましても、安全保障理事会の改革ということは大変時間がかかる。ただ、この問題は国連のために日本が旗を振っていくべき課題だと私は思っています。
まず、なぜあきらめてはいけないかなんですが、安全保障理事会の改革をあきらめるということは、第二次世界大戦の戦勝国の五カ国が拒否権というものを持って安全保障理事会を牛耳っているという現状を認めるということです。これは、やはり時間がかかっても改革をしていかなきゃいけないと私は個人的には思います。
では、なぜ日本が旗を振るべきか。これは国連の中で話をしておりましても、大体、常任理事国になって当然と思われているような国が旗を振らないと、多くの国がついてこない。それからもう一つ、アメリカを説得できる国がやらないと、なかなか動かないというのが多くの国の人が言われることです。
そういう意味で、日本とドイツが最適だったわけですが、ドイツは、最近急速に安全保障理事会の改革に対する関心を低くしている。その意味で、日本が進めていくのが国連のためにも大事だと私は思います。
ちなみに、日本の国内ではほとんど気づかれませんでしたけれども、小泉総理が初めてブッシュ大統領に会ったとき、あるいは森総理が初めてブッシュ大統領に会ったときに出された共同新聞発表の中では、安全保障理事会の改革の重要性についての言及があります。そういう意味で、あのころ、私見ておりまして、ブッシュ政権が成立した直後に会った各国の首脳の中で、安全保障理事会の改革問題を取り上げたのは日本だけだったのではないかと思います。
ただ、その後、九月十一日の問題があり、いろいろな意味で事態が停滞をしております。それから、先ほど申し上げましたように、なお時間がかかる。にもかかわらず、やはり安全保障理事会の改革のためには日本が旗を振っていく必要があるのではないかと思います。
他方で、日本国内で、常任理事国入りを目指すか目指さないかについての議論をする時間はたっぷりあると思います。したがって、日本国内の議論と国連のための改革とは並行して進めていけることではないかと思います。
最後に、一言、委員会に要望をさせていただきたいことがございます。
それは、ぜひ国連の実態というものを委員会として調査していただけないか。抽象的に国連というものを国内でお考えになっておられることと現場の国連をごらんになることとは、やはり違いがあると思います。憲法の中に国連の問題をどう取り入れるか、それは先生方がお考えになられることでありますけれども、文言として取り入れる取り入れないは別として、やはり世界の平和、安全保障、あるいは先ほど来の菅波参考人が言われた人間の安全保障という見地から、国際社会の社会問題、あるいは開発問題をどう考えていくか、いろいろな意味で国連という存在が一つあるということは大事なポイントでございます。そういう意味で、ぜひ国連の実態というものを御自身の目で見ていただくことをしていただければありがたいと思います。
私は、今、この間のイラク問題で安保理事会あるいは国連がだめだと言われている議論がありますが、それでは国連にかわるものがあるのかと考えれば、かわるものはないのではないかと思います。したがって、一つの選択肢としては、国連をよくしていく、そのために日本としてもやっていく。国連中心主義という言葉、私はこれは非常に抽象的でわかりにくい言葉だと思うんですが、もし国連中心主義という言葉を私なりに解釈することを許していただければ、国連を大事に思い、国連をよくしていくために努力をする、そう私は私なりに国連中心主義ということを理解、解釈していたわけであります。いろいろな意味を込めまして、ぜひこの憲法調査会としても国連を見ていただければありがたいと思います。
若干超過したかもしれません。どうもありがとうございました。(拍手)