葉梨信行の発言 (憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会)
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○葉梨小委員 自由民主党の葉梨信行であります。
参考人、大変包括的なお話を伺いまして、ありがとうございました。
最後のころのお話については、先生とちょっと意見が違うというか、私も少し勉強しなきゃいけないな、伊藤先生のお説とのそこら辺のぐあい、そう思いますが、きょうはそれは申し上げません。
私、ちょっと先生の御意見を伺いたいと思いますのは、きょうの先生のお話の応用問題だろうと思うんです。実は、ここ一週間か十日の間に、東京の三大紙で、都市問題について、学校の先生、建築評論家、あるいは大阪の市長さんなど四人の方が意見を述べられまして、それを読んだ感想を申し上げ、最後に先生の御意見を伺いたいと思うんです。
一つは、六本木や汐留や品川、再開発事業が今盛んでございますが、それに対しまして、積極的な評価をするお考えがございます。同時に、このことに対しまして、こんなことでいいんだろうかという説もございます。
それは、「日本の都市は、醜く、混乱し落ち着きのないものになってしまった。目新しいきらびやかな超高層建築群が、一時人目をひいても、そこには住む人だけが作りうる味わいはなく、次ができれば人の足はそこに向かって去っていく。そうした都市に住む人に心の安らぎはなく、訪れる人にも真の喜びはない。」「パリの良さは、シャンゼリゼだけにあるのではない。そのすぐ裏に人々が落ち着いて暮らす静かな通りがあるからこそ素晴らしいのだ。住む場所とは、このように、町のかたちと住む人の秩序が歴史の中で形成された空間のことである。」ずっとこの方のお話が続いておりまして、最後に、「細い道に沿って、木造建築が立ち並ぶ、美しい安全な町が、ヨーロッパはもちろんアメリカにもたくさんある」、こういう御感想を述べる方もいらっしゃいます。
この方々の御意見で、まず、六本木の開発を評価する方々、これは大都市の再開発、大開発でございますが、東京のような超大都市、それから大都市、中都市、小都市、あるいは田舎、町にもいっぱい、いろいろなバリエーションがございます。
その中小都市につきましては、「都市機能の最低水準を達成することが目標だったが、これからは「美しい都市づくり」を目標とすべきであろう。第二次大戦を経て、わが国は経済成長を維持強化するため、効率性を目標に多くの開発計画を実施した。それが、美しい国土の破壊を招く結果となった。」こういう御説もございます。
それから、「一方、郊外では家族世帯を中心とし、自然と親しめるような、新しい郊外居住形式を模索することが必要となる。 “美しいまちなみ”の創出も重要なことである。従来は、道路整備は道路用地内にとどまり、建築も敷地内は権利者の自由裁量に委ねられていたが、今後は、住区、街区ごとに多くの人との協働が不可欠となろう。」こういうお話もございます。
それから、東京や大阪にございますね、木造密集市街地。これにつきましても、ある方は、「二十世紀の「負の遺産」といえる木造密集市街地を解消するとともに、自動車の普及によって郊外へ拡散した都市構造をコンパクトにするなど、都市を再構成することが大きな課題となっている。」こういう積極的な評価をしておりますが、片方の方は、密集市街地と一緒に、細い、昔からの建物、お店や住宅や何か、そういう味わいのある町を、密集市街地は防災の観点から整備するとしても、残したらどうだ、こういう御説もございます。
そして、大阪の市長さんは、財政から、都市の財政が、会社が、大会社が東京へどんどん移っていってしまって、税金が吸い取られて、大阪から東京に持っていかれて、大阪も衰微してしまっていて、地方財政の財源でございますか、これの確保ということで、格別いろいろ手だてをしなきゃいかぬ、こういうことを書いておられます。
これから先でございますが、これは大学の先生のお話でございますが、欧米では、工場が町の中にあったりして環境が汚染されたので、都市計画が始まった。住民の生活の質を保護したり景観の保全のために、土地の所有権に厳しい規制をかけるようになった。パリでもロンドンでもニューヨークでも、市民の、こんな都市にしたい、こういう町に住みたいという自己主張やつくる意思が感じられる。ところが、日本では明治時代以来、個人も法人もどのように土地を利用しても自由だという、言ってみると、絶対的土地所有権をできるだけ規制しない方向で来た。そして、そういう状況が現在続き、六本木その他、今東京で見られるような状況が出ているという御説でございます。町づくりをポスト公共事業とか新しい産業の創生といった経済の観点でしか考えていない、こういう批判もございます。
そこで、この方が、美しい町とはどんな町かということを述べておられますが、アメリカの建築家のお話を引きまして、精神的ルーツや過去とのきずな、美しい眺望がある町だと。都市は少しずつ歴史を積み重ねながら成長するとも指摘しておられ、過去の遺産の上につくる意思を持って美しい都市は保たれてきた、これを憲法や法律が担保している、こうおっしゃっているわけでございます。
実は、国会議員になりまして、何回かヨーロッパに視察に参りましたが、ドイツに参りまして、中小都市でございましょうが、町並みが美しく整っている。それを聞きますと、その一帯の、一連の地域は、地区計画を立てるについて、その地区の住民と自治体とのお話し合いを重ねて、そして、どういうふうな町にするか、建物は何階建てにするか、色はどうだということまでいろいろ工夫をして、メルヘンの中の町といいますか、私ども行って、本当にびっくりするような町づくりが進められているわけでございます。
そして、去年十二月に、東京地裁が、国立市のマンション撤去訴訟判決で、景観を守ることは土地所有権の内部に含まれる義務だという判断を示している。ドイツのような、土地所有権には義務が伴うという考え方に……