奥山千鶴子の発言 (内閣委員会)

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○奥山参考人 おはようございます。
 まず、このような機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。
 私は、子育て支援のNPO法人びーのびーのの代表をしております奥山でございます。
 私は、現在、九歳、六歳、三歳の子供の母でもございます。地方出身で、こちら関東に出てまいりまして、大学卒業後十年ほど会社で働いておりました。社内的には第一号の育児休業を取得しましたけれども、仕事と家庭の両立が非常に難しく、退社をいたしました。その後、初めて地域と向き合いながら子育てをいたしますが、その大変さ、それから自分が今まで働いてきた働き方と子供を育てていく環境のギャップ、そういったものを感じながら子育てをしてまいりました。
 そのような子育てのいわば支えられ感のなさ、そういった部分から、自分たちで地域に開かれた「おやこの広場びーのびーの」を仲間の母親たちと立ち上げました。また、昨年ございました少子化社会を考える懇談会の委員も務めてまいりました。きょうは、基本的には少子化社会対策基本法案に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
 その理由として、三つの観点から、一つは少子化社会と総合的なその推進、それから地域三世代子育て支援の必要性とびーのびーのの活動の視点から、それから子育てと働き方の見直し、この三点から述べさせていただきたいと思います。
 まず、少子化社会と総合的な推進の必要性についてでございます。
 次世代をどう育てるかは国の育成に大変大きくかかわる問題でございますが、今現在子供を育てている私自身にとっても大きな問題です。それは、私自身の子供が大人になっていき、どんな環境を残してあげるか、子供たちにどんな環境を残してあげられるかということが私にとっても重要な問題であるからです。
 少子化社会というのはどんな社会なんでしょうか。もう既にその兆候はあらわれ始めていると思います。公園で遊んでいるのに静かにしろとどなられる、一体どこで遊べばいいんでしょう。運動会ののろしは上げないでくれ、近所の方が学校に申し入れをする。母親や子供に対して周囲の目が厳しい。外ではしかるのも笑うのも、周りを気にしてびくびくしているという母親。学年に一クラスしかない学校だったので引っ越した、六年間同じメンバーでは子供がかわいそうだという親。日本は子供を生み育てやすい社会かという質問に対して、先ほど阿藤先生の御紹介もありましたが、四分の三の方がどちらかといえばそうじゃないというふうに答える社会。子供の声が聞こえない、聞こえても雑音としか受け取られない、子供にとって寛容でない社会、そんなことになっていくんじゃないでしょうか。出産、子育てというのは、本当に個人的な問題だと思いますが、社会のありようと無関係ではないということを申し上げたいなと思います。
 また、さらにそれが進展していきますと、選挙権のない子供たち、それから発言力の少ない二、三十代の若い世代の人たちに物事が何か不利に進んでいくんじゃないかという危惧さえ覚えます。実際、社会保障の給付金の六八%が高齢者向けです。子供や家庭に対する給付はわずか三%。これは本当に諸外国に比べても少ない数字なんじゃないかなと思います。
 今回、次世代育成支援対策推進法案、それから児童福祉法、育児休業、介護休業法、年金各法など、子育てに関連する各法を束ねる基本法が先生方の審議に上りましたことを大変うれしく思っております。これにより、子供、家庭支援の機運が、全国のあらゆるレベルで議論され、各地方自治体、企業を巻き込んだアクションプログラムに発展していく、そういった過程をぜひ見守っていきたいなというふうに思っております。
 次に、地域三世代子育て支援の必要性とびーのびーのの活動についてでございます。
 私自身、両親は地方におりまして、自分の子育てを手伝っていただく環境にございませんでした。今、そのような核家族の親、それから地域に支援していただける、応援していただけるような環境にない方、非常に多くふえているというふうに思います。
 私どもは、「おやこの広場びーのびーの」を通じて、親の就労の有無にかかわらない、親子の出会いの場というのをつくっております。ゼロから三の子供と親が集まるということで、育児休業中のお母さんたちもいらっしゃいます。それから、これから幼稚園に入れたいというお母さんもいらっしゃいます。それから、お父さんも、おじいちゃん、おばあちゃんもいらっしゃいます。お教室のようなところではなくて、安心して家で過ごせるような日常性を、広場で私たちはできるようにしております。
 また、家で一対一で、親子だけで子育てしておりますと、それはどんな一生懸命やっているお母さんでも行き詰まってしまいます。二十四時間子供と一緒というのは、ちょっと、どんな方でも多分難しいだろうと思います。
 子供にとっても親にとっても、いろいろな関係性の中で人間関係をはぐくんでいくというのがとても大事だと思います。広場では、疑似的なおじいちゃん、おばあちゃんの手、地域のボランティアの方、学生の方、いろいろな方がかかわってきます。広場に来ると、皆さん思われると思いますが、どのお母さんがどの子供の親だろうと。それがわからないぐらい、子供はいろいろな人のところに行って遊べるようになるんですね。そういった環境が今はないんです。昔だったら、地域にありましたよね、井戸端的な環境が。でも今は、隣に住んでいる人がどんな人かもわからないような、そんな環境で子育てをしております。
 また、親は、学ぼうと思ってもなかなか学べる環境がないんです。本を見て学ぶのではなくて、隣にいるお母さんがどんなふうに子育てをしているんだろうか、どんなふうに子供に離乳食を食べさせているんだろうか、半年たったらこんなふう、一歳になったらこんなふうというふうに、先の見通しが立てられるということが大事だと思います。
 また、ここにかかわっているおじいちゃん、おばあちゃん世代の方たちが、赤ちゃんとかかわることで生き生きしてまいります。子供から明るさや喜びや、そういったものを得ていらっしゃる。自分がやってさしあげるというよりも、一緒に、何かそこの広場で居場所を見つけて活動なさっているというふうに見ております。新たな身内、血縁関係ではない新たな身内を地域につくる、それが地域三世代というキーワードではないかなというふうに思っています。それをこの広場で実現していきたいというふうに思っております。
 また、地域では幼稚園、保育園ガイドを発行しておりまして、広場に来る、これから保育園にお子さんを預けようと思っていらっしゃる方、幼稚園に行こうと思っていらっしゃる方、また多様な在宅でのワークなどもございますので、どんな、私に合った幼稚園、保育園があるんだろうというようなことも、私たちはNPO法人ですから、幼稚園のことも保育園のことも、またそれとは別のサークルの情報なども横断的に地域の情報をお伝えすることができます。それがNPOのよさ。行政の縦に対して、横の役割というのを担っていっていると思います。
 また、いろいろな世代が、学生さんから七十代まで、赤ちゃんに触れるということが本当に命の尊厳というか、こうやって自分たちも慈しまれて育ってきたんだということを学生さんたちが見ていくというのは、とてもいい機会だというふうに思っております。
 また、私たちはこの活動をこの広場だけにとどまらず、横浜十八区それから神奈川県、それから国全体、日本国全体として、さまざまな緩やかなネットワークづくりをしています。昨今のメールでも、地域福祉計画を各地でどんなふうに策定しているか、皆さんはどんなふうにかかわっているかという議論が活発に行われていました。そのように、若い世代はITで全国津々浦々つながりながら、子育てのことというのがどんなふうに全国で展開しているのかを見ています。横浜市のネットワークでは、政策提言も昨年いたしました。それを評価されて、昨年は調査研究も共同でいたしました。そのように私たち当事者、親自身も社会に対して発信していくというのが必要だというふうに思っております。
 私たちはこのような活動をしながら、今回の法案が地域社会における子育て支援体制の整備、保育サービス等の充実、ゆとりある教育の推進、教育及び啓発といった考え方に基本的に合致し、私たちの活動をさらに推進していただける法案だなというふうに感じております。
 また、第三に、子育て中の働き方とその見直しについてです。こちらは資料をちょっと手元に御用意しましたが、「子育て支援策等に関する調査研究」、これはことしになって、一月—二月で調査した内容ですから、非常に新しいデータになっておりますが、おめくりいただきますと、二ページ、「男性を含めた働き方の見直し」のところでは、「父親も、家事や育児を、仕事と同等かそれ以上に優先させたいと希望しているが、現実には仕事を優先せざるを得ない状況」、それから「子どもが生まれて、労働時間を減らしたいという希望をもった父親は約三割もいるが、実現させることができた父親は六・五%」、また「父親が、子育てに比べて仕事を重視している家庭では、母親が「配偶者と意見が合わない」、「仕事や自分の時間がとれない」など」というような悩みを抱えています。
 私たちも広場で子育ての悩みということを聞いているうちに、それは子育ての悩みではなくて夫婦間の悩みというか、意識のギャップであるということに気がつくことがございます。このように、基本法案の第一項で、第一義的な責任を家庭は果たすことというようなことが記載されておりますが、今、父親がなかなか帰ってこれない現状では、そのような働き方を見直し、父親も家庭に早く帰してほしいというふうに感じております。
 以上、この少子化社会対策基本法が、先生方の審議の上に早急に成立し、社会的に緊急性を喚起し、あらゆる分野で議論され、次世代を担う子供たちにとっていい環境を提供できるよう、ひいてはすべての生活者にとっても子供のいる社会が明るく展望を持ったものになれるよう希望いたします。まさに、介護保険に続き、子供、家庭支援に対する夜明け前というような期待を持って、審議を見守っていきたいというふうに考えております。
 どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 奥山千鶴子

speaker_id: 17135

日付: 2003-06-04

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会