西元徹也の発言 (武力攻撃事態への対処に関する特別委員会)
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○西元参考人 御指名をいただきました西元でございます。本日は、このような機会を与えられましたこと、大変光栄に存じます。
私は、主として政策実行上の立場から、与党修正案を中心といたします武力攻撃事態等法案を主体といたします有事関連法制を支持し、これの早期成立をお願いするという立場から意見を述べさせていただきたいと存じます。
まず第一に、武力攻撃事態等法案について申し上げます。
我が国の一部には、武力攻撃事態等法案は、テロへの対処、あるいは国民の保護、さらには工作員、工作船の侵入といったことへの対処を欠いているということから、欠陥法案だという指摘が一部にございます。このような指摘は、武力攻撃事態法案の持っております一側面だけに光を当て、この法案の持っております非常に重要なもう一つの側面を見逃しているのではないかと考えております。
と申しますのは、我が国の緊急事態等法制につきましては、個別の事態ごとに個別の法制をもって律しているというのが現状でございまして、緊急事態全般を律する基本法制を欠いているということは否定できないことだと存じております。ここに我が国の緊急事態等法制の最も根本的な問題があるものと認識いたしております。
しかしながら、この問題は、憲法論議と絡んで非常に難しい解決上の問題をはらんでいるということも、また一面において事実でございます。そこで、武力攻撃事態等法案につきましては、第三条の武力攻撃事態等への対処に関する基本理念から、第十四条、第十五条の対策本部長、内閣総理大臣の権限、第十六条の損失に関する財政上の措置に至るまで、武力攻撃事態等には限っておりますけれども、基本的な事項を規定しているものと理解しております。
これは、災害対策基本法で言うところの国の責務、それから都道府県、市町村、指定公共機関、指定地方公共機関などの責務、住民等の責務、各レベルにおける防災計画の策定、非常、緊急、各種災害対策本部の設置、緊急災害対策本部長の権限、災害緊急事態の布告、さらには緊急措置などとほぼ同様の規定だと私は理解しております。
このことは、とりもなおさず、将来、我が国における緊急事態等への対応に係る基本法への発展につながる非常に重要な礎を築いたものと認識いたしております。したがって、欠陥法案という指摘は必ずしも当たらず、民主党、自由党御提案の法案と可能な限り調整を図っていただき、早期の成立を強く要望するものでございます。
次に、武力攻撃事態等の認識について申し上げます。
今日の武力攻撃事態等は、低烈度の事態から高烈度の事態まで、あらゆるレベルの事態が想定されます。
具体的には、テロや工作船、工作員の侵入というような軍事と非軍事の中間にあるような事態は別にいたしまして、それに類する、それよりも烈度の高い事態が、明らかに、ある特定の国や地域あるいは非国家組織によって組織的に引き起こされる事態から本格的な武力攻撃事態に至るまで、その間には、あいまいなものから明白なものまで、非常に多くのレベルの武力攻撃事態があり得るものと考えております。最近の我が国を取り巻く情勢から、このような事態が起こらないという保証はなく、国民の多くがこのことを心配しているのが実情だと思います。
以上のことから、武力攻撃事態等法案が専らありそうもない冷戦時代に想定された着上陸侵攻への対処を想定した法案だという指摘は、当たらないものと考えております。
ここで、武力攻撃事態等に関連して、自衛隊法改正案について一言つけ加えさせていただきたいと思います。
本改正案は、自衛隊の行動を無制限に認めるものではなく、我が国の独立・主権と国民の生命財産を守るための自衛隊の行動を円滑かつ効果的に実施するという観点と、国民の権利や自由を守るという観点とを調和するという基本的な考え方に立って規定されているものと理解をいたしております。したがって、武力攻撃事態等法案とともに、自衛隊法の一部を改正する法律案の早期成立をお願いするものでございます。
第三に、事態対処法制の整備について申し上げます。
事態対処法制は、国民の保護を中心として、我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保のための自衛隊あるいは米軍の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置などを含んでおり、極めて重要であります。そして、その整備を急ぐ必要があることは申し上げるまでもないことであります。
この際、国民の保護についてはもちろんでございますが、我が国の防衛のために行動する米軍に対して、対処すべき土地や施設をどのように提供するかという根拠、物品や役務を無償で提供できる枠組みの構築なども、日米同盟の信頼性のより一層の向上という観点から重要課題と認識いたしております。
与党修正案の武力攻撃事態等法案には、これらの項目、整備のための期限を明らかにするとともに、整備の責任を負う国民保護法制整備本部を置き、内閣の総力を挙げて整備すべきことを規定しております。本法案を一日も早く成立させることがこれらの法制の整備を促進する上での早道だ、このように考えております。
第四に、その他の緊急事態対処のための措置について申し上げます。
近年の傾向として、軍事と非軍事のいずれの領域に属するか、国防作用と警察作用のいずれで対応すべきか、あいまいな事態が存在することは確かでございます。我が国におけるこのような事態への対応は、我が国の法制上、警察、海上保安庁、消防、自衛隊などのうち、いずれの組織が行動主体になるべきか、それぞれの組織の役割分担をどうするか、明確に整理することが難しいという事情があり、一方において、現行法の適用を工夫することによって対応が可能だというぐあいに理解いたしております。
例えば、このような事態における自衛隊の運用については、その事態事態に応じて、自衛隊法の治安出動あるいは海上警備行動、警護行動、情報収集活動などを適時適切に運用するということが考えられます。
このため、与党修正案においては、武力攻撃事態法案第二十四条において、当面とり得る措置として、第一に「情報の集約並びに事態の分析及び評価を行うための態勢の充実」、第二に「各種の事態に応じた対処方針の策定の準備」、第三に「警察、海上保安庁等と自衛隊の連携の強化」などが規定されている、このように理解いたしております。
しかしながら、このような事態への対応に係り、将来、警察、海上保安庁、自衛隊等の役割分担のあり方の検討と相まって、総合的な法制を整備することの可否を検討し、あるいは事態によりよく対応できるようにするための現行法の改正を図ることは必要だと考えております。将来、できるだけ早い時期にこのようなことについて御検討賜れば幸甚に存じます。
最後に、これは先生方に申し上げるのは大変失礼だと思いますけれども、国家安全保障、防衛の基盤は、みずからの国はみずから守るという意思と能力であり、有事関連法制は、国家の独立・主権と国民の生命財産に最も深刻にして継続的な影響を与える武力攻撃事態、そのような事態に断固として対処するという意思を最も明確にあらわすものだと考えております。それゆえに、世界のいずれの国もこのような事態に対処する法制を持っているわけでございます。
このような観点からすれば、本法制は、このような最も深刻な事態の発生を未然に防止するとともに、日米同盟の信頼性のより一層の向上に寄与するものと信じております。
以上をもって、私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)