小尾敏夫の発言 (武力攻撃事態への対処に関する特別委員会)
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○小尾参考人 早稲田大学の小尾でございます。
きょう、この場で私の意見を述べさせていただけるわけですが、国際情勢も大変変化しておりますし、また国会も大変忙しい時期でもあるようですので、この法案がどうなるか、関係する法案がどうなるかわかりませんけれども、私としましては、四つほどポイントを絞ってお話しさせていただきたいと思います。
一つは、国際情勢の変化ということですけれども、冷戦時代からテロの時代に移り、そして九月十一日、九・一一の多発的同時テロ事件以降、世界情勢の力関係が大変変わりましたので、そういう意味では、アメリカの政府の行政組織等も、国土安全保障省というものが審議の対象になり、ことしの一月にできたわけですけれども、私、かなり前に国際連合の専門機関で仕事をしておりまして、要するに、国連という組織を内部で見ていますと、常任理事国の五カ国が同意しない懸案事項は何一つ通っていない、そういう国際機関の宿命というのがございます。ですから、各国が国においてどれだけ国民の生命、身体、財産を守るかということの法整備の必要性というのは、国連にいた人間とすれば、当然、日本にいる方よりも緊急の課題というふうに思っております。
そういう国連との関係はともかくとしましても、国際情勢がこういう形で変化して、そしてイラクから今度は北朝鮮へという流れもございます。また、小泉内閣になって初めて有事法制法案が国会で上程され審議されているわけですから、これは画期的なことだなと思いますし、また、野党第一党の民主党が対案を出したということも非常に重要なことだというふうに認識しております。
こういう状況の中で、私、あと三つの点について触れたいと思っております。
第一点は、国会の関与という視点であります。
日本は議院内閣制ですので、アメリカの大統領制と当然違うわけで、イギリス型の政治形態である。しかし、三権分立という点では同じなわけですから、非常事態、緊急事態において国会がどう関与するかということは、非常に重要な国民の最高議決機関としての権利だというふうに思いまして、現在議論をされている国会の関与に関しては、最大限の配慮をすべきだろうというふうに思っております。
往々にして、有事の事態あるいは緊急の事態になりますと、国会というものが行政と、三権分立でありながら、何か軽んじられるようなイメージだけがありますので、国会がしっかりと国民を代表して、有事の際、緊急事態の際に監視し、また法案を見ていますと、中止をするような議決の権利もあるという内容もありますので、そういうことを徹底していただきたいというふうに思っております。
三番目の点は、基本的人権の問題であります。
憲法に書いてあるからいいじゃないか、一々また書く必要はないとか、いろいろな議論があると思います。しかし、日本の憲法は、有事、非常事態を想定しているとは私には思えないわけで、そういった事態において基本的人権をどう守るか、これは大変重要な国民の権利であるだけでなくて、行政、立法もそういうことに対する責任というものが十分果たせなければならないというふうに思います。
対案等出ておりますけれども、幾つかの基本的人権に関して、今回の一連の法案が、しっかりと国民の納得のいく義務、権利を行使できるものにしていただきたいということを伝えておきたいと思っております。実際には幾つかの項目がございますから、それはもうお手元の基本法案の方に出ているようですので、それは御理解しておられるものと思います。
最後の四番目、これは私がきょう一番主張したいことなんですけれども、国民保護という視点から、危機管理庁、アメリカのFEMAという役所がございますが、その日本版をぜひ創設していただきたいということをお願いしたいと思っております。
FEMA、危機管理庁がアメリカでどういうものであるかは、釈迦に説法というか、もう委員の皆さん方は存じ上げていると思いますので、時間の制約上、細かい説明をいたしませんが、有事の際あるいは緊急事態、非常事態において、アメリカにおいてFEMAが果たしてきた役割、あるいは、現在、一月から創設された国土安全保障省が果たすべき役割というのは非常に大きいものがあります。これは、大災害、自然災害、人為災害、テロあるいは生物化学兵器を使った場合の被害、いろいろな事態が想定されますが、現在の日本のシステムの中で、そういうような、FEMAがアメリカで活動しているようなものが機能しているとは思えないわけです。安保会議とかいろいろ会議体はございますが、行政として、国難を乗り切るだけの、中央政府と地方政府あるいは民間を連携した、そういったネットワークというものが必要であると思います。
御存じのとおり、テロとか大災害というのはもう瞬時に起きるわけで、その対策は、予防的なものから事後的なもの、二十四時間が勝負じゃないかと言う方もいらっしゃいます。そのときに、今のような国の体制で国民の生命、身体、財産が守れるのかということが国民にとって非常に不安な要因だと思っております。
いろいろな議論を聞いていますと、例えば、何か、もう一つ役所をつくるのはけしからぬとかいう意見もございます。しかし、このFEMAのような危機管理庁というのは、有事ということを前提にした役所であって、平時にもう一つ役所をつくるという考え方ではございませんので、そこが一つ違うのかな。
また、アメリカの国土安全保障省の創立経緯をいろいろ研究してきているわけですが、予算中立ということで、アメリカの役所は予算を全くふやさない。現在の、現在既にできていますけれども、現行の予算の中で百幾つの省庁、部署を統合する、それから人員は一人もふやさないということで、これは、私から見ると行革そのものだろう、小泉総理の言う構造改革だろう。あるいは、総理が言う備えあれば憂いなしという言葉の本当の中身からすれば、備えがどこまでできるんだろうかという国民の心配からする意味で、危機管理庁というものを、内閣府、総理のもとにつくっていただくということが必要であろうというふうに思っております。
そのあたり、以前から多少の議論はあるようですけれども、往々にして、このような構造改革、行政改革は痛みを伴うものですから、やりたがらない、先送り的なムードもないとは言えないので、この際、改めて私の口からも、FEMAの日本版をぜひとも今国会で、何らかの形で、成立に向けて努力していただきたいというふうに思っております。
以上、四提案、コメントを含めて申し上げましたけれども、今国会で、いろいろな議論を通しまして、国際的な信頼と国民の理解を得る、そういった結果としての法整備ができることを期待しております。
以上です。(拍手)