原陽子の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○原陽子君 社会民主党の原陽子です。
私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました、内閣提出、社会資本整備重点計画法案、社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、民主党提出、公共事業基本法案につきまして、政府案に絞って、小泉総理並びに国土交通大臣、環境大臣に質問いたします。(拍手)
私は、公共事業長期計画が、戦後復興期の社会資本整備、そして、高度成長の基盤づくりに大きな役割を果たしてきたことを、否定するものではありません。問題は、社会資本整備が不十分だった時代に始まった計画に対し、その後の整備状況を踏まえ、計画が引き続き必要かどうか、根本からの見直しが行われず、現時点でもできていないということです。
昨年十月の地方分権改革推進会議の「事務・事業の在り方に関する意見」は、ナショナルミニマムの達成から地域が選択する地域ごとの最適状態、ローカルオプティマムの実現へ向かうべきであるとしています。国が整備すべき社会資本について、既に必要な整備水準に達しているとの見解が関係審議会等で示されているものも多く、今回の法案でも、どの事業をどこまで見直したのか、姿が見えてきません。
そこで、総理にお尋ねをしますが、箱物公共事業は、もう十分、ナショナルミニマムに達したのではないでしょうか。今、必要なことは、箱物公共事業への国家による集中的な資本投下をやめ、地方のニーズに合わせる分権の発想で決めていくことであり、長期計画やその根拠法をすっきりと廃止すること、特定財源、特別会計といった硬直化しやすい財政システムの見直しを行うこと、地方に必要な税源を移譲することが何よりも必要であると考えますが、いかがでしょうか。
これまでも、長期計画は、省庁別に、あるいは同じ省でも担当局別につくられるため、事業の連携を図る余地が少なく、相互にチェックがきかないという問題が指摘されてきました。
ところが、今回の法案は、予算の硬直化と縦割りへの批判にこたえたといいながら、実際は、国土交通省所管のばらばらな分野の関連法を重点化の名で一本にまとめただけのものとなっています。このことは、もう一つの公共事業官庁である農水省所管の土地改良、漁港、森林整備などの事業との調整がつかず、縦割りの弊害は依然残っているところにもあらわれています。
計画の一本化というのなら、農水省の公共事業のあり方も抜本的に見直すべきではないでしょうか。また、事業の量をアウトカム指標に変えるといいながらも、なぜ道路に関してだけは、事業量を策定し、閣議決定を行うという特別扱いを続けるのでしょうか。表向きは変わっても、裏で縦割りの計画をつくるようなら、何ら改革とは言えないと思います。単に計画の表現が変わる現状維持法であり、意味なしと考えますが、これらについての総理の御見解をお伺いいたします。
市民が払う税金の使途は市民が決める、代表である議会が決めるというのが、近代国家成立以来の基本的な原理です。法的根拠もなく、国会で審議されることもない閣議決定が政官財複合体のお墨つきとなり、税金が湯水のように使われる原因の一つであったと言えます。一本化計画は、かえって、不要な事業まで盛り込みやすい巨大な器を官僚に丸投げすることにつながるおそれもあると思います。
総理、立法府による行政コントロールが叫ばれる中、重点化計画をなぜ国会承認事項にしなかったのか。した場合、しなかった場合のメリット、デメリットを含めて、御説明をお願いいたします。
これまで、社会資本整備は、国土総合開発法に基づく全国総合開発計画、国土利用計画法に基づく全国計画など、国主導の計画でがんじがらめで来ました。それらが廃止されずにいる限りは、長期計画を重点計画と言いかえたところで、国が予算と再配分の分野をコントロールする状態から何も変わりません。
重点的に何を行政サービスで国民に提供するかは、もはや、国が決めることではなく、自治体と地域住民に任せるべき時代です。国が果たすべき役割が残っているとしたら、それは、適正な行政手続、すなわち、計画の構想や策定段階での情報公開、そして、住民合意の仕組みを充実させることであると思います。
学識経験者が霞が関に集まって、地域住民の声を吸い上げる仕組みが全くない審議会で、省庁が書いたシナリオどおりに答申し、全国レベルの公共事業計画を定める方式は、もうやめるべきです。ローカルレベルの計画を住民参加で決めていく方法に変えていくべきだと考えますが、総理、いかがでしょうか。
国土交通省は、重点化計画を定めるに当たって、交通政策審議会と社会資本整備審議会の合同部会の答申を受けて計画を定めると言っています。しかし、法案では、重点計画案を作成する際、「国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」とあります。法律に定めがない審議会の答申と、法律で定められた措置に基づく国民の直接の意見では、どちらが、どのように尊重あるいは反映されるのでしょうか。扇国土交通大臣にお尋ねいたします。(拍手)
さて、総理はオーフス条約という国際条約を御存じでしょうか。一九九二年のリオ宣言の原則十で提唱されたもので、現代及び将来世代のすべての人々の権利保護のために、環境に関し、情報へのアクセス権、政策決定への市民参加権、裁判を受ける権利の三つの権利を保障することを目的にした条約です。
公共事業をこの環境に関する市民の三つの権利に照らすと、日本で最もおくれ、早急な措置を必要としているのはどれであると総理はお考えでしょうか。私は、裁判を受ける権利ではないかと考えますが、同意していただけますでしょうか。
公共事業の、行政処分を伴わない行政計画は訴訟の対象とされず、また、公共事業の予定地に住み、所有権を持っていない限りは原告にすらなることもできず、提訴しても多くが門前払いされることが常識となっています。実際に、公共事業に関して、市民が裁判を起こす権利を発揮できる機会はほとんどなく、どんなに環境に影響がある事業であっても、行政計画が覆せる段階で判決を得ることは、事実上、不可能となっています。
昨年三月に閣議決定された司法制度改革推進計画では、「司法の行政に対するチェック機能の強化」として、行政事件訴訟法の見直しを含めた行政に対する司法審査のあり方に関して、司法及び行政の役割を見据えた総合的、多角的な検討を行い、所要の措置を講ずるとされています。
司法制度改革推進本部長を務める総理は、先ほど提起したさまざまな問題を解決するために、どのような司法改革が必要であるとお考えでしょうか。
私は、一つの手だてとして、環境基本法に、何人も環境保全を目的として事業者や行政の行為または不作為を訴えることができる、いわば市民訴訟条項を入れるべきではないかと提案したいと思いますが、環境大臣の御見解をお伺いいたします。
財政難の折、公共事業全体を、地域住民が目的を達成するために最も費用対効果の高い方法を選択できるように近づけていくべきではないでしょうか。例えば、生活排水で川や海の水を汚さないよう、現在は、国土交通省が下水道事業、農水省が農業集落排水事業、環境省が合併処理浄化槽整備をばらばらに進めています。それに加えて、バイオマスプラントなどの新しい技術も出てきています。これらを比較評価して、自治体や住民が、効果の最も高く、早く、そして安い事業を選択できるようにすることが急務と考えます。
重点化法案のように下水道事業を鉄道や砂防事業と一本化するよりも現実的な重点計画だと思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。
私は、今、国として重点化計画が必要なのは、箱物公共事業整備のための重点計画ではなくて、福祉、教育、医療、環境など、人に優しい行政サービスを実現するための重点化であるべきではないかと考えます。箱物公共事業の重点化法は撤回し、福祉、教育、医療、環境など、人を大切にするための予算の使い方と仕事の創出を目指した、本当の意味での未来への投資となる人づくりのための重点化法として出し直すべきだと考えます。
最後に総理のお考えをお尋ねし、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕