中林よし子の発言 (本会議)

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○中林よし子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました食品安全基本法案について質問をいたします。(拍手)
 まず、法案の基本についてです。
 本来、食品安全基本法は、日本国憲法に基づいて、消費者が安全な食生活を営む権利を有しており、国はそれを保障する義務があるという食品の安全性確保の基本原則を確立したものでなければなりません。
 しかしながら、この政府提出の食品安全基本法案は、第一に、国の食品安全確保の責任について見るならば、「基本理念にのっとり、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。」と、一般的に規定するだけです。そこには、消費者の権利に相応する国の義務、責任も明記せず、逆に、事業者に責任があることは当然としても、事業者には第一義的責任があるとして、国は、事業者よりも責任が軽いかのような位置づけになっています。
 なぜ、食品の安全確保に対する国の責任を明記しないのですか。国は事業者より食品安全確保の責任が軽いと認識しているのですか。明確にお答えください。(拍手)
 第二に、消費者の役割の問題です。
 本法案では、「消費者の役割」として、「消費者は、食品の安全性の確保に関する知識と理解を深めるとともに、食品の安全性の確保に関する施策について意見を表明するように努める」としています。ここには、消費者は日本国憲法に基づいて安全な食生活を営む権利があるという、消費者の当然の権利を認めていません。その上、消費者は食品安全に不勉強だから勉強すべきという、驚くべき発想が展開されているのです。
 政府は、消費者の食品安全に関する知識と理解が浅いと本当に考えているのですか。また、なぜ、消費者の食品安全に関する権利を認めないのですか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 第三に、食品の安全性の確保に関する施策の策定の問題です。
 食品の安全性の確保は、国民の命と健康に直結する問題であり、最も優先的になされなければならない問題です。コストがかかるからといって、国民の命と健康に直結する食品安全性確保が二の次、三の次にされてはなりません。
 そこで見過ごすことができないことは、本法案が、施策の策定にかかわる基本的方針で、「施策の策定に当たっては、」「その他の事情を考慮する」とされていることです。この「その他の事情」とは何ですか。仮に、規制緩和、行政改革、日米関係重視などの概念も「その他の事情」に入るのですか。そうだとすれば、最も優先されるべき食品の安全性確保に関する施策が極めて限定的に行われたとしても、許容されることになるのではないのですか。そうならない保証はあるのですか。明らかにされたい。
 また、食品安全の確保にとって重要な原則である予防原則が、本法案では規定されていません。なぜ、予防原則を除いたのですか。その理由をはっきりと答えてください。
 第四に、食品安全行政に重要な役割を果たすべきである食品安全委員会の問題です。
 今回の食品安全基本法のきっかけは、先ほどからも述べられているように、昨年のBSE問題でありました。このBSE問題の教訓は、産業振興と食品安全の両方の権限を有していた農林水産省が、産業振興を優先させ、食品安全に対するWHOの勧告を無視したことです。また、農林水産省と厚生労働省の縦割り行政が、食品安全確保に当たって連携性がとれず、障害になったということでした。
 その教訓からいえば、農林水産省と厚生労働省の食品安全部門を産業振興部門から切り離して、それをまとめて、ヨーロッパで主流となっている食品安全を専門とする食品安全庁とすべきではありませんか。なぜ、それができなかったのですか。明らかにしてください。(拍手)
 また、食品安全委員会は、厚生労働省や農林水産省から諮問を受けて食品安全性のリスク評価をするとしております。厚生労働省や農林水産省の下請機関になりかねないのではありませんか。縦割り行政は是正されないばかりか、逆に、縦割り行政を温存したまま、国民にリスクを押しつける委員会になりかねない危険性を持っていると言わざるを得ません。そうならない保証はどこにあるのか、明らかにしてください。
 次に、食品安全委員会における消費者の位置づけの問題です。
 消費者は食品安全の権利の主体であり、当然、消費者代表の委員会への参加が食品安全委員会に求められるものです。しかしながら、法案で設置される食品安全委員会は、その委員に消費者代表の参加を認めていません。ヨーロッパなどの先進国の食品安全庁には、消費者代表が位置づけられています。なぜ、消費者代表を位置づけなかったのですか。位置づける考えはないのですか。明確にお答えください。(拍手)
 食品安全行政を確立するためには、リスク評価を行うだけでなく、食品安全確保のための人員、体制、予算の問題もトータルに審議検討することが不可欠です。そのためには、リスク評価は一部の機構とし、上部機構として消費者団体代表を入れた総合的食品安全検討機関とする必要があります。その考えはないのですか。明確に答弁してください。
 次に、食品安全の基本問題について聞きます。
 日本の食品安全問題で、ほかの先進国にない特質は、食料自給率が四〇%であり、食料の六割を輸入に頼っているというところにあります。ですから、日本の食品安全は、輸入食品、輸入農水産物の安全性に大きく左右されるということです。ですから、食料自給率の抜本的引き上げが不可欠なことは言うまでもありません。
 だからこそ、現在、我が国の輸入食品安全のチェックは一体どうなっているのかが、厳しく問われなければなりません。
 我が国の輸入食品の安全に携わっている食品衛生監視員はわずか二百六十八人で、輸入届け出件数が九六年の百十一万件から二〇〇一年の百六十万件へと、五年間で実に四四%も急増しているのです。このもとで、国が行う食品検疫である行政検査は、九六年の五・四%から二〇〇一年の二・八%に急落しています。この行政検査も、モニタリング検査といって、検査結果が出たときには、その食品は私たちの食卓の上に上がってしまった後です。何ら、水際のチェックではないのです。また、計画輸入制度のもとで、小麦や大豆の七割が無検査で輸入されています。
 この事態を抜本的に変えることが、食品の安全性の確保にとって不可欠です。食品衛生監視員の人員と検査率の抜本的引き上げを直ちに行う考えがあるのですか。また、計画輸入制度や継続輸入制度を見直すのかどうか、明らかにしてください。(拍手)
 輸入飼料の安全性の確保も深刻です。今、大量の飼料が輸入されています。牛乳から、史上最強の発がん物質アフラトキシンB1に汚染された飼料を食べた家畜から移行したアフラトキシンM1が検出される事態となっており、今の人員、体制では、とても食の安全を守ることができないことは明らかです。この点でも人員と体制の抜本強化が不可欠ですが、直ちにそれを実現するのですか。はっきりと答えてください。
 また、国内的に見ても、専任の食品衛生監視員は千六百五十九人しかおらず、全体的にも人員の減少傾向の中で、食品衛生監視率も低下し、工場立ち入り実施率も同様に低下しています。地方自治体に配置されている専任の食品衛生監視員を抜本的にふやし、監視率の引き上げや工場立ち入り実施率の引き上げを進める考えがあるのですか。明らかにしてください。(拍手)
 このように、日本の食品安全性の確保のためには、輸入食品や輸入農水産物、輸入飼料の検疫検査の強化と国内の検査体制の強化が不可欠であり、そのための人員、体制、検査機器、予算の抜本的強化が求められています。そのことを抜きに、単にリスク評価だけを行えば食品の安全性が確保されると考えることは、極めて不十分です。
 日本共産党は、多くの消費者国民が十分納得できるまで、本法案を徹底的に審議し、食品安全基本法案がよりよいものになるように全力を挙げることを表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕

発言情報

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発言者: 中林よし子

speaker_id: 13007

日付: 2003-03-13

院: 衆議院

会議名: 本会議