山内惠子の発言 (本会議)

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○山内惠子君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、食品安全基本法について質問を行います。(拍手)
 私の質問は、すべて谷垣大臣にお答えいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 この食品安全基本法案は、BSE調査検討委員会が提出した報告書を参考にして、食品安全行政に関する関係閣僚会議でまとめられたものを基礎に作成されたとお聞きしています。
 実は、私が新卒時代に担任した北海道・帯広の教え子は、親の代からの酪農を受け継ぎ、親の時代よりも牛の数をふやし、おいしい牛乳をと、日夜頑張っています。しかし、あのBSE事件では、あすは我が身かとおびえ、早い段階で政府が取り組んでくれていれば悲劇は起こらなかったのにと、強く訴えていました。
 その言葉を思い起こしながら、BSEの二の舞にならないことを願って、質問いたします。疑問点について、率直にお答えいただきたいと思います。
 この法案は、食品安全基本法という名称でありながら、合成化学農薬や遺伝子組み換え作物、食品添加物の使用を削減していくことが中心ですから、食の安全にとって根本的な部分が欠落していると言わざるを得ません。
 食べ物は、本来、自然の摂理に基づいてつくられるものです。にもかかわらず、効率化の余り、工業生産も同然につくられる食品がいかに多いかは、説明するまでもありません。有機農業や減農薬農業が環境創造型と言われるのは、農薬や化学肥料など薬剤漬け生産で汚された土と水と大気をも浄化に導くからです。
 有機農業に取り組んでこられた方のお話によりますと、水田には微生物もよみがえり、夏には蛍が飛び交い、冬に田んぼを掘り起こしたときには、ドジョウが出てきたそうです。これが自然の摂理だと思います。
 国の責務として、食料生産の化学薬剤依存からの脱却を目指すことを明記すべきです。谷垣大臣の明確な御答弁をお願いいたします。
 次に、法案には、「国民の健康の保護」が盛り込まれました。このことを評価します。さらに一歩進んで、「安全な食物を食べることは国民の権利である」とするべきではなかったでしょうか。お答えください。
 雪印乳業の食中毒事件が起きたのは、一昨年です。食べ物を媒介とした事件は、後を絶ちません。過去を振り返れば、森永砒素ミルク事件があり、魚やお米を媒介とした水俣病、イタイイタイ病、PCBが米ぬかに混入したカネミ油症があり、サルモネラ菌や大腸菌O157による食中毒事件もありました。犠牲を強いられたのは、常に消費者であり、生産者です。
 にもかかわらず、現行の食品衛生法には、国民の権利が位置づけられていませんでした。食品衛生法は、業者と行政の関係を規定したにすぎません。国民の権利を食品安全基本法案に盛り込み、食の安全を確保すべきです。国民の権利を法的に位置づけるということは、生産から製造・加工、食卓に至るまでのあらゆる段階に、国民が参加するシステムをつくるということです。国民参加の基礎は企業と政府の情報開示であり、情報の開示がなされなければ、消費者だけでなく、行政や専門家も、正確なチェックはできません。雪印乳業の事件を見ても明らかです。
 また、厚生労働省や農林水産省の認可していない遺伝子組み換え作物が日常食品に混入されていたことを検査で最初に明らかにしたのは、消費者団体でした。行政ではなかったのです。緊張感や使命感がなければ、厳格な検査はできません。
 その意味で、国民の権利、参加する権利を盛り込むことが不可欠です。このことについて、大臣のお考えをお聞かせください。
 次に、政府案では、「消費者の役割」として、「消費者は、食品の安全性の確保に関する施策について意見を表明するように努める」ことになっています。しかし、政府の策定する施策には、消費者の意見がどのように反映されていくのか、その回路が全く見えません。つまり、リスクコミュニケーションの位置づけが不明確です。この点についてお聞かせください。
 法案では、「情報及び意見の交換の促進」という条項が設けられているので、これがリスクコミュニケーションを担保する規定だというのでしょうか。
 第十三条には、意見を述べる機会の付与、情報及び意見の交換の促進を図るための必要な措置を講じることが規定されているだけで、リスクコミュニケーションを担保するものだとは思えません。
 もし、この規定がリスクコミュニケーションだとするなら、第六条の「国の責務」の項は、「消費者との意見交換を通じて国の施策を策定する」となっていなければならないはずです。谷垣大臣、この第六条「国の責務」の項に、「消費者との意見交換を通じて」と、一文をつけ加えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、「未然防止」の項が設けられたことは、評価いたします。この未然防止は科学的知見に基づいて行われると思いますので、そこで、質問いたします。
 人間は、食物を口にするとき、さまざまな食物を同時に摂取します。この科学的知見とは、いろいろな食物を複合的に摂取した場合の危険性を科学的に研究、試験するものでしょうか。谷垣大臣の御答弁をお願いいたします。
 続いて、食品安全委員会について伺います。
 BSE調査検討委員会報告では、リスク評価部門を他の省庁から独立させるために食品安全庁を設置すべきという内容でしたが、それがなぜ食品安全委員会になったのでしょうか。議論の経緯をお教えください。
 政府は、行政のスリム化、省力化を進める国の政策との関連で食品安全委員会にしたと説明していますが、事は、国民の命と健康、生態系の維持や保全にかかわる問題です。本来、行政の省力化とは違うベクトルで考えられるべきです。大臣のお考えをお聞かせください。
 次に、自民党の、食の安全確保に関する特命委員会も、食品安全委員会という名称ではありますが、BSE検討委員会と同じように、既存各省から独立したリスク評価機関の新設を提言しています。ところが、政府は、この基本法案の最大の眼目はリスク評価部門とリスク管理部門の分離にあるのだと説明されています。
 分離と独立は、同じ意味合いで使用されているのでしょうか、それとも違うのでしょうか。違うというのであれば、なぜ、独立が分離になったのでしょうか。説明をお願いいたします。同じ意味合いだとするなら、安全委員会の独立性を担保するものは何なのか、お聞かせください。
 次に、食品安全委員会は「自ら食品健康影響評価を行う」ということになっています。
 行うのは、あくまでも書類審査による評価であって、食品安全委員会がみずから試験や検査を行うのではないようです。書類審査も、民間のデータが、直接、食品安全委員会に上げられるのではなく、農林水産省と厚生労働省を経由して安全委員会に上げられるようになっています。
 このようなリスク評価の手法は、これまでも厚生省や農水省で行っていたことであって、食品安全委員会は、両省がこれまで行っていたものを単に内閣府に移すだけのように見えるのですが、そうではないのでしょうか。
 また、食品安全委員会はみずから研究機関を持つわけでもなく、既存の研究機関が安全委員会に直属するわけでもありません。これで果たしてリスク評価部門の独立性、政府の言葉をかりれば、分離は確保されるのでしょうか。大臣の御見解をお伺いします。
 さらに、食品安全委員会の事務員は、厚生労働省と農林水産省の職員が出向することになっています。この事務職員は、この食品安全委員会の職員として固定されるのでしょうか。すなわち、食の安全を守るエキスパート、国民の生活を守る職務を全うするという形になっているのでしょうか。
 もし、そうではなく、食品安全委員会に二、三年勤務した後は本省に戻るということになるのであれば、リスク評価部門と管理部門の独立・分離ができるのか、甚だ疑問です。食品安全委員会への両省の影響力の行使も当然考えられます。そのような危惧はないのでしょうか。谷垣大臣の御答弁をお願いいたします。
 最後に、食の安全は、放射能やダイオキシン、環境ホルモン物質、重金属、有害化学物質等による大気汚染、土壌汚染、水質汚染等の影響を排除しない限り、確保はできません。食品安全委員会には、厚生労働省と農林水産省の関係部局だけではなく、環境省の関係部局も統合すべきであると思いますが、いかがでしょうか。谷垣大臣の御認識をお伺いいたします。
 以上、食品安全基本法案についての代表質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕

発言情報

speech_id: 115605254X01420030313_020

発言者: 山内惠子

speaker_id: 21415

日付: 2003-03-13

院: 衆議院

会議名: 本会議