石毛えい子の発言 (本会議)

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○石毛えい子君 民主党の石毛えい子です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、民主党、自由党、日本共産党、社会民主党提出の個人情報保護関連法案に賛成し、政府提出の個人情報保護関連五法案に反対する立場から討論を行います。(拍手)
 昨年までに政府が提出した一連の法案は、個人情報取扱事業者に対する主務大臣の権限が強大であり、義務規定の適用除外となる報道の範囲があいまいであるなど、個人情報保護の名のもとに官が国民を監視し、管理しようという意図が透けて見える一方、膨大な個人情報を取り扱う官僚に対しては甘い内容のものでした。そのため、野党四党は一致結束して撤回を求め、廃案に追い込みました。
 政府は、廃案となった旧法案に、行政機関に関しては罰則を設け、報道機関等に関しては適用除外する等の修正を加えた上で、国会に出し直してきましたが、官僚による国民管理という思想が依然として背後にある一方、官僚みずからには甘い法案であることに全く変わりはありません。
 先日、このことをまさに象徴する事件が発覚いたしました。防衛庁が、自衛官募集のダイレクトメールを送るために、満十八歳を迎える適齢者の情報の提供を各市町村に要求し、石川県七尾市が提供した一覧表では、両親の離婚や別居などの家庭環境までが推測できる内容となっていたことが明らかになりました。
 この事件は、行政が家庭の情報を勝手に収集、蓄積して活用しているのではないかという国民の不安や不信をさらに増幅させることでした。不透明に行われている行政側の情報収集や、センシティブ情報の収集を何ら禁ずることのない政府案では、この国民の不信や不安を到底払拭できません。
 以下、野党四党案に賛成し、政府案に反対する理由を具体的に申し述べます。
 政府案には、それぞれの個人が自分に関する情報はみずからコントロールできるという自己情報コントロール権に関する規定がありません。これでは、個人情報保護法制の哲学がないも同然であり、個人情報保護とは名ばかりのものとなりかねません。
 それに対し、野党案は、「個人情報の取得、利用、第三者に対する提供等に関し本人が関与することその他の個人の権利利益を保護する」旨の規定を法律に明記しており、自己情報コントロール権の社会的認知を後押しするための具体的な措置を講じています。
 真の個人情報保護を実現するために、思想、信条その他の心身、経歴等に関する一般に公表を欲しない個人情報及び差別の原因となるおそれのある個人情報、すなわちセンシティブ情報については、特に慎重な取り扱いを求めるべきです。
 しかし、政府案には、そのような規定がありません。
 それに対し、野党案では、センシティブ情報の特に慎重な取り扱いを個人情報取扱事業者及び行政機関に義務づけています。
 次に、個人情報の保護に関する法律案について申し述べます。
 個人情報保護の名のもとに行政が恣意的介入を行えば、国民管理につながります。法案作成に当たっては、個人情報保護の名のもとに行政が国民生活を管理し、干渉することのないよう、十分配慮しなければなりません。
 しかるに、政府案には、事業者に対する主務大臣の監督権限が依然残されており、恣意的な介入や特定業者との癒着が起こるおそれがあります。特に、報道機関に関しては、放送機関、新聞社、通信社は適用除外と明記していますが、そのほかについては、「その他の報道機関」と一くくりにされており、主務大臣や官僚の裁量にゆだねられかねないおそれがあります。
 それに対し、野党案では、内閣府設置法第四十九条第二項に基づく第三者機関に権限を与え、国会への報告を義務づけるなどして、恣意的な介入や特定業者との癒着が起こらないよう最大限配慮する内容となっています。
 新たな第三者機関設置は行政改革に反するという政府答弁がなされましたが、それは、見せかけの省庁の数だけで行政改革だと言ってきた橋本行革以来のまやかしにすぎません。むだな仕事をなくし、真に必要な組織をつくることこそが、今求められている行政改革にほかなりません。
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案について申し述べます。
 個人情報を収集、利用する際の行政機関の裁量の幅が大きいと、国民監視になりかねないくらいに膨大な個人情報が収集されたり、悪用されるおそれがあります。
 政府案では、個人情報の収集について、収集方法や収集範囲等を制限する明確な規定がなく、官僚にフリーハンドを与える内容になっています。また、個人情報の目的外利用の要件が緩やかで行政の裁量幅が大きく、本人の知らない間に個人情報が流用されたりするおそれがあります。
 それに対し、野党案は、利用目的以外の目的のために保有個人情報をみずから利用し、提供しようとすることに関しては、個人情報保護の観点から、一定の制限を設け、官僚の行動に歯どめをかけています。
 高度情報化社会においては、簡単にデータのやりとりができます。行政機関が勝手にお互いの保持する個人情報を交換して国民監視リストともいうべきデータリストをつくり上げたり、行政機関の巨大なデータリストを利用して有利に営業を行おうとする者がクラッキングしたりするなど、不法な目的外利用・提供や情報漏えいのおそれが常にあります。
 政府は、目的外利用の制限で足りるとしていますが、野党案では、慎重に慎重を期して、データマッチングに関する規定を設けています。
 個人情報に係る取り消し訴訟に関しては、国民全員の利便性に配慮する必要があります。
 しかるに、政府案には、裁判管轄に関する明示の規定がないため、東京地方裁判所以外には訴訟をできないことになっており、地方居住者の訴訟権の平等に対する配慮が欠けています。
 それに対し、野党案では、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができるものとしております。
 膨大な個人情報を保持する行政機関には、特に厳しい姿勢で臨み、実効性のある罰則を設けなければなりません。
 しかるに、政府案では、罰則規定は、官僚等が利己的動機で個人情報を不正利用した場合などにしか対応しておりません。防衛庁において、別の情報公開の担当者や関連部署から請求者の情報を聞き出すなどして、請求時には記述の必要のない情報公開請求者本人の生年月日や所属する市民グループなどの個人情報を記載したリストを作成したというような、さきに起きた事件は不問に付される可能性が非常に高く、その意味で、政府案は行政機関に甘い法案であると言わざるを得ません。
 それに対し、野党案は、行政機関に厳しい姿勢を求め、実効性のある罰則を設けております。
 以上のように、政府案は、個人情報保護の名をかりて、官僚や与党政治家にとって有利な、住みやすい世の中をつくるための法案にすぎません。それに対し、野党案は、高度情報化社会における真の個人情報保護を目指すと同時に、表現の自由を初め、国民生活の自由に最大限に配慮した法案となっていることを最後に申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 115605254X02620030506_006

発言者: 石毛えい子

speaker_id: 30719

日付: 2003-05-06

院: 衆議院

会議名: 本会議