藤島正之の発言 (本会議)

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○藤島正之君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
 まず、この法律案の提案理由は、我が国の経済社会を取り巻く状況が変化し、産業・雇用の構造変化が進む中で、経済社会の活力を維持向上させていくためと説明しております。
 しかし、そのためには、前提として、日本の経済社会の変化をどのようにとらえ、将来の経済社会、ひいては日本の国家像をどう描いていこうと考えているのか、これを明確にしなければなりません。そうでなければ、この国の変化に伴う国民の将来不安を解消し、国民自身が真に自立して未来設計を掲げるようにすることはできないからであります。
 小泉総理の目指す経済社会の将来像とは、一体どのようなものなのでしょうか。総理就任から二年の時が過ぎました。私たちは、小泉総理の就任当初から、総理の描く国家像とは何か、総理の絶叫する構造改革の先にどのような経済社会が待っているのかと問い続けてまいりました。しかし、総理は、構造改革なくして景気回復なしといったお題目に終始し、まさにお題目にすぎません、その答えを示そうとしておりません。
 実際、真の構造改革は何一つ果たされていないのであります。これまでのなし崩し的、先送り的な政策に構造改革という名前をつけただけにすぎないのであります。
 例えば、医療制度改革は、構造改革と称しておきながら、ふたをあけたら、医療費負担増と保険料の引き上げだけで、制度設計の見直しはすべて先送りしました。道路公団の民営化にしましても、確かに口火を切ったのは総理でしょうが、何の具体的な理念もないままに委員会にただ丸投げしただけであります。高速道路の整備にどのような将来像があるのか、だれにも全くわかりません。
 一方で、供給過剰を徹底的にたたくだけで、需要の喚起を促す政策は全く行わず、理念なき緊縮経済政策を続けた結果、デフレの長期化や景気の底割れによって、国民に塗炭の苦しみを強いているのであります。
 小泉総理は、二、三年のマイナス成長は我慢しようと最初から言っていたじゃないですか、そのように言いますが、現在の深刻な経済状況は、構造改革が進んでいるから一時的に後退している、そういうものではありません。総理の経済政策の失敗、これは明らかであります。これを構造改革という言葉でごまかしているだけであります。
 そのような小泉総理であってみれば、日本の国民一人一人の自立したライフスタイルの将来像を全く描くことなどできないのは当然であります。個人の雇用のあり方、雇用の危機が訪れた際のセーフティーネットのあり方、また、病気や介護の世話になるときに頼れる基礎的社会保障のあり方、それらについて明確な将来像や連携したシステムがなければ、国民は自分の責任でどうやって将来設計をしていけばいいのかわからないではありませんか。その結果、今、日本の経済社会は漠然とした不安感に襲われ、国民生活も企業活動も萎縮し、経済危機に拍車をかけているのであります。
 こうした国民の先行き不安と経済社会の悪循環について、総理はどのような御認識でいるのでしょうか。また、その悪循環を断ち切るために、経済運営の失敗を率直に認め、不況期の緊縮経済政策という小泉政策を変えるべきであると私は思います。総理の見解はこれまでどおりなのでしょうか。お伺いいたします。
 労働雇用の基本的なルールを整備していくことは、労働者の生活スタイルや将来設計に直結する問題でもあります。したがって、見直しに当たっては、明確な労働雇用の将来像を示しながら、それに連携する経済社会システムもあわせて将来像を示していかなければなりません。
 例えば、経済社会環境の多様化に合わせて雇用・労働の仕組みを変えようというのであれば、あわせて、社会保障制度や税制のあり方も抜本的に整備しなければなりません。パッケージとして基盤整備されなければ、どんなに女性や高齢者の雇用拡大を掲げても、当事者である女性や高齢者自身は新しい就業への挑戦にちゅうちょし、不安は解消されないからであります。
 また、同一労働・同一賃金といった基本原則を明確にしなければ、雇用契約の違いによる待遇の差別といった問題について解消を図ることなどはできないのであります。
 政府が就業スタイルの多様化を促し整備しようとするのであれば、それに見合う、公正公平で、だれもがわかる基本原則を示すべきであると考えます。
 小泉総理にとって、公正公平で、だれもがわかる将来の雇用・労働環境のあり方とはどのようなものとお考えなのか、お伺いいたします。
 あわせて、坂口厚生労働大臣には、今後どのような理念に基づいて今回の改正案を提出されたのかをお伺いいたします。
 次に、法案の内容に関連して質問いたします。
 まず、解雇ルールの法制化についてお聞きいたします。
 今回の改正案では、解雇にかかわる紛争の防止と解決のため、使用者が有する解雇権を濫用した場合には無効とするという最高裁判例に基づく解雇権濫用法理を成文化することで、一定の解雇ルールを明確化することを掲げております。
 しかし、ここで改めて、長年、解雇ルールを判例による法理に依存してきたことに対して、法体系の整理を含めて慎重な検討が必要であると考えるわけであります。
 法案では、解雇権濫用法理の前文に、「使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇することができる。」と明示しています。
 しかし、解雇に関しては、現行法では既に民法六百二十七条の規定などもあり、今回改めてここに明示することにどのような意味があるのでしょうか。さらに、この条文では、解雇は法律上で制限される一部を除いて原則自由という解釈を前面に押し出し、解雇無効はごく例外的に限定されたことであるという位置づけで読めますが、そうした解釈でいいのか、坂口厚生労働大臣にお伺いいたします。
 また、法案にある、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」というのは、具体的には、だれが何をもって判断することになるのでしょうか。運用上は変わらないということであれば、司法が判断するということであり、労働基準監督署等の行政機関は特に関与の仕方は変わらないのでしょうか。坂口厚生労働大臣の御説明を求めます。
 以上の意味からしますと、この解雇に関する規定は、労働基準法上の問題なのか、民法上の問題なのか、政府としてはどちらの問題としてとらえることが適当であるとお考えなのでしょうか。労働基準法で整理すべきことであるとするならば、労働者保護の観点から、不当解雇の疑いがあればすぐに行政機関が実効的に関与できるよう法整備を強化することや、民法上の法体系も踏まえて整理することもあるのではないかと考えます。この点について、坂口厚生労働大臣にお伺いいたします。
 次に、有期労働契約の期間上限の延長についてお聞きいたします。
 改正案では、雇用の多様化が進展する中で、有期労働契約が労使双方にとってより有効な雇用形態として活用させるため、契約期間の上限を一年から原則三年、一部を五年へ延長することとしております。また、有期労働契約の締結・更新・雇いどめに関する基準を策定することとしております。
 多様な就業形態を整備することは少子高齢社会において必要不可欠であることは言うまでもありません。その際、基本として忘れてならないことは、どのような就業形態であれ、労働者の意思が十分に反映される均等な労働環境の確保にあるということであります。
 有期労働契約を延長することによって、どのような就業環境の変化がもたらされ、労働者側にとっては具体的にどのようなメリットが生まれるとお考えか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
 また、有期労働契約の締結・更新・雇いどめに関する基準をつくることについては、まさに契約に関する問題であり、トラブルになりやすい部分でございます。本来は、こうした点について、一定の基本方針を法律で定め、方向性をはっきりさせるべきではないかと思うわけでありますが、この点について、坂口厚生労働大臣の説明を求めます。
 最後に、経済産業形態の多様化や人口高齢化の進展に伴い、それぞれのライフスタイルの中で労働価値を見出すため、多様な労働環境を準備することは必要なことであります。
 しかし、整備を進めるほど、税制や社会保障などのセーフティーネットのひずみが広がり、この不安や負担が労働者にはね返ってくるのでは、逆に、生活の安心、安定を脅かすものになりかねません。個別の論点を整理する前に、政府の労働行政について、他の政策とあわせて検証し、整理すべきではないかと思います。この点について小泉総理にお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

発言情報

speech_id: 115605254X02620030506_031

発言者: 藤島正之

speaker_id: 9825

日付: 2003-05-06

院: 衆議院

会議名: 本会議