松本剛明の発言 (本会議)

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○松本剛明君 民主党の松本剛明です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました保険業法の一部を改正する法律案について、反対の立場で討論をいたします。(拍手)
 一昨日、りそな銀行救済のために約二兆円の資本注入が決定され、今まさに、生保の救済を目的とした保険業法改正案が採決されようとしています。銀行と生保を同時に救済せざるを得ないこの状況が、これまでの政府の問題先送り政策がいよいよ破綻しつつあることを雄弁に物語っているのではないでしょうか。理不尽なことに、そのすべてのツケは国民に回されることになります。りそな銀行への公的資金しかり、この法律の施行によって大幅にカットされる生命保険しかりであります。
 以下、本法案に反対する理由を申し述べます。
 まず、同じ法律を一国会で二度も改正する異例な事態について、政府・与党に猛省を促します。
 多くの国民に負担を強いる本法案部分を統一地方選後に後回ししたことは、余りに国民を愚弄した選挙対策であります。しかも、パブリックコメントの実施など国民的議論もほとんどないままに、近年まれに見る拙速な手続で法案が提出されました。アリバイづくりとしか言いようがない、わずか一回の金融審議会の議論でも、反対論が続出して意見集約ができなかったではありませんか。
 本法案は、このように提出の経緯からも大いに問題ですが、審議を重ねていくと、与党議員の質疑からも問題が浮き彫りになってしまうように、内容も重大な矛盾、問題ばかりであることが明らかになりました。
 第一に、これは契約不履行にほかなりません。契約者の保護ではなく、契約のほごであります。
 基本的なルールとして、破綻のように裁判所が関与する場合を除いて、契約が変更されることはあってはなりません。法案では、契約条件変更に当たって契約者は手続の最終段階で異議申し立てができるだけで、一人一人が了解するわけではなく、政府の説明するように、契約者と会社の間の合意が成立すると構成するには到底無理があります。
 私的自治によるとしながら行政の強い関与を設けていることが、そのことを如実に示しています。憲法に定める財産権を侵害する疑いが濃厚です。生保全体または金融システムの危機への対応であれば、公共の福祉に適合するか、まだ議論の余地がありますが、それでも、司法手続を経ない本法案は重大な問題があります。ましてや、一部の生保だけを救済するのが目的であれば、論外であります。
 第二に、本来であれば厳しく追及されるべき経営者の責任が不明確な上に、先にカットされるべき基金、劣後ローンが契約者の債権より保護されており、あるべき責任、負担の順序を入れかえて、保険契約者にまず負担を押しつけているのであります。本法案の真の目的が銀行救済にあるのではないかと疑われるのも、もっともであります。
 また、予定利率引き下げは、公正な司法手続によるものでないばかりか、契約者に負担が押しつけられているのですから、政府の言うように、更生特例法による処理より契約者の負担が軽くなるとは、とても言い切れません。
 第三に、本法案によって、更生特例処理、保険業に基づく破綻処理、早期是正措置に加えて、予定利率引き下げ手続を設けることになりますが、それぞれの関係、監督官庁としての金融庁の責務がますますあいまい、不明になるばかりで、国民のための制度づくりとは思えません。過去の例から見ても、問題生保を早期に発見して更生特例法によって処理する方が、適正であり、契約者の負担も軽く済む可能性が高くなります。
 りそな銀行への資本注入も、生保の予定利率引き下げも、共通するのは、無責任というキーワードであります。政府も株主も、銀行、生保の経営者も、みんな責任をとらずに済む仕組みであります。そして、本来、責任など問われるはずのない国民に、すべてのツケが回されています。まさに言語道断と言うほかありません。
 本法案は、小泉政権の政策によって国民負担が増大する一方のところへ、国民の将来設計に不可欠な生命保険を一方的にカットするものでありますが、そればかりでなく、もし法案が成立すれば、契約は守られるものとは言えなくなります。創意工夫に基づく自由な経済活動を保障する我が国の社会の根幹が崩れる話であります。私たちが目指すのは、統制社会ではないはずであります。
 与党からは、この法案に対しては賛成討論ができないようであります。与党から、この法律は恐らく使われないから賛成するのはやむを得ないじゃないか、そんな声も聞こえてまいりました。全く無責任きわまりない。そのような考え方で立法府の責務が果たされるのでしょうか。
 私は、怒りと、未来への大いなる危惧を持って、本法案に反対をいたします。心ある議員の良識に基づいた判断を心から願って、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 115605254X04020030612_018

発言者: 松本剛明

speaker_id: 31918

日付: 2003-06-12

院: 衆議院

会議名: 本会議