鈴木俊一の発言 (環境委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(鈴木俊一君) 第百五十六回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ちまして、環境行政に対する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。
 私は、昨年九月に環境大臣に就任して以来、地球温暖化問題、廃棄物問題など広範にわたる環境問題に取り組んでまいりました。その間、環境行政が他の多くの行政分野と深くかかわっているということを改めて実感いたしました。そして、こうした様々な行政分野とのかかわりの中で、環境省がいかにイニシアチブを発揮していくかが重要であるという思いを強くいたしております。私は、環境行政に責任を持つ者として、環境の保全という見地から、言うべきことははっきりと言うという強い姿勢で積極的に施策を展開していきたいと考えております。
 今日の環境問題を突き詰めていきますと、国民の日常生活や通常の事業活動から生じる環境負荷が余りに大きくなっており、それが原因で問題が生じているということに行き着きます。したがって、その解決のためには、昨年ヨハネスブルク・サミットにおいても確認されたように、私たちのライフスタイルや事業活動の在り方を根本から見直し、社会の在り方そのものを持続可能なものへと変革していかなければなりません。
 とりわけ、私は環境の保全と経済の活性化とを一体化させるための取組を進めることが持続可能な社会を構築する上で不可欠と考えます。現下の厳しい経済情勢の中、環境対策は経済に悪影響を及ぼすとの考え方もいまだ根強くあります。しかしながら、我が国には、自動車排出ガスの規制強化が自動車メーカーの技術革新を促し、世界市場における日本製自動車の躍進の一因となり、経済にプラスの影響をもたらしたという実績もあります。こうした積極的な環境対策こそが新たな技術や産業を生み出す力となり、環境保全と経済発展が同時に実現する道を開くと言えます。そして、現に、日々の活動の中で環境を強く意識して行動しようという萌芽は至る所に現れており、環境と経済の統合に向けた下地は整いつつあると感じております。
 私は、昨年末より環境と経済活動に関する懇談会を開催し、経済界を中心とする有識者と意見の交換を行っております。今後、こうした場を重ねることで、環境と経済の統合をどう進めていくかという壮大なテーマに真正面から取り組み、きちんとした考え方を整理し、取組の具体化を進めていきたいと考えております。
 以上のような基本姿勢の下、次の施策に重点的に取り組んでまいります。
 まず、人類の存続にかかわる重大な課題である地球温暖化対策の推進であります。
 昨年六月に締結いたしました京都議定書の六%削減約束を確実に達成するため、温室効果ガス排出抑制のための取組を積極的に進めてまいります。とりわけ、石油特別会計に関し、環境省と経済産業省が連携、協力して二酸化炭素の排出抑制対策を進める新しい枠組みにより、真に実効ある対策を推進してまいりたいと考えています。さらに、温暖化対策上必要とされた場合には二〇〇五年以降早期に温暖化対策税を導入することができるよう、具体的な制度の案について検討を進めてまいります。
 また、各界の有識者から成る環の国くらし会議などを通じ、国民一人一人の生活の見直しに向け、理解と行動を呼び掛けてまいります。
 さらに、京都議定書については、その早期発効に向けて未締結国に強く働き掛けていくとともに、二〇一二年までの第一約束期間の後も視野に入れて、米国や途上国を含むすべての国が参加する共通のルールを構築するための政策対話を積極的に進めてまいります。
 次に、国内に目を向けますと、大量の廃棄物の排出、最終処分場の逼迫、不法投棄の多発など廃棄物問題は依然として深刻であり、循環型社会の形成が喫緊の課題となっております。
 このため、資源の効率的利用の度合いを総合的に表す資源生産性などの具体的な数値目標を盛り込んだ循環型社会形成推進基本計画を半年前倒しして本年三月に策定し、循環型社会の形成に向けた確固たる道筋を明らかにいたします。
 また、廃棄物処理に係る規制の合理化、不適正処理に対処するための調査権限の強化等の措置を盛り込んだ廃棄物処理法の改正案を今国会に提出し、リサイクルの推進と不適正処理の防止に向け強い姿勢で取り組んでまいります。加えて、過去に行われた不法投棄事案について、原状回復を計画的に推進していくための法案を提出いたしております。
 また、以上のような対策の基盤となるものとして、グリーン購入の推進等による環境ビジネスの活性化や環境会計などの普及促進による環境に配慮した企業行動の促進を図るとともに、環境技術の環境保全効果等についての客観的な実証を行うモデル事業、環境分野での応用が期待されるナノテクノロジーを活用した環境技術の開発等による環境研究・環境技術開発の推進を図ってまいります。
 自然と共生する社会の実現も重要な課題であります。
 まず、さきの臨時国会において成立した自然再生推進法に基づき、失われた自然を積極的に回復していく自然再生の取組を強力に推進してまいります。
 また、生物多様性条約カルタヘナ議定書の締結に向け、遺伝子組換え生物による生態系影響を防止するための国内措置を定める法案を今国会に提出するとともに、生態系を長期的にモニタリングする観測点の設置に着手するなど、生態系保全の取組を強化いたします。
 さらに、新たに動植物への影響に着目した化学物質の審査及び規制の枠組みを設けるための制度改正を図ります。
 地域環境の安全性と国民の安心の確保も重要な課題です。
 大都市における自動車交通に起因する大気汚染の改善に向け、平成十七年からディーゼル自動車について世界で最も厳しい自動車排出ガス規制を実施するとともに、自動車NOx・PM法に基づく施策の総合的な推進、燃料電池車などの低公害車の普及の一層の促進を図ります。
 健全な水循環の確保に向け、浄化槽の整備を推進するとともに、本年三月に開催される第三回世界水フォーラムの成果を踏まえ、総合的な水環境施策の推進を図ります。
 また、化学物質による環境リスクの低減及びリスクコミュニケーションを一層推進してまいります。
 さらに、公害健康被害の補償等の財源を確保するための、公害健康被害の補償等に関する法律の改正案を今国会に提出し、公害健康被害の補償と予防の着実な実施を図るとともに、大気汚染の健康影響に係る調査研究を一層推進してまいります。
 地域における自発的、積極的な環境保全活動を活性化させることも持続可能な社会を構築する上で欠かすことのできないものであります。このため、国民一人一人の環境保全活動の促進と、そのための土台となる環境教育、環境学習の充実に向けて、人材育成、資金援助、環境NPO等の各主体の連携等を促進するための仕組み作りについて検討を行ってまいります。
 加えて、環境事業団、公害健康被害補償予防協会の特殊会社、独立行政法人への改組のための法案を今国会に提出するとともに、公益法人に係る指定法人制度を登録制度に改める法案を提出いたします。
 このほかにも環境省として取り組むべき課題は山積しております。こうした課題に的確に対応していくため、環境省の組織の充実強化を図ってまいります。
 二十一世紀は環境とともに生きる環境の世紀と言われておりますが、これを現実のものとするためにはなお相当の努力を要します。その中で、環境省が果たすべき役割、そして国民の皆様からの期待の大きさを考えると、正に身の引き締まる思いがいたします。難問が山積する環境問題ではありますが、私は、我が国の大いなる潜在力を信じ、希望を持ってその解決に全力で取り組む決意です。
 委員各位におかれましては、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。

発言情報

speech_id: 115614006X00120030318_009

発言者: 鈴木俊一

speaker_id: 5579

日付: 2003-03-18

院: 参議院

会議名: 環境委員会