横尾良明の発言 (経済産業委員会)
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○参考人(横尾良明君) どうもありがとうございます。ただいま御紹介にあずかりました横尾でございます。
レジュメに従ってお話ししたいと存じますが、このような機会を与えていただいた関係各位に深く感謝しております。
さて、末端事業者である個人事業主の実態ということですが、まず首都圏コンピュータ技術者協同組合の話と並行してお話ししたいと思っております。手元の方に資料がちょっとありますので、ごらんください。
首都圏コンピュータ技術者協同組合は、平成元年にIT業界のプログラマー、システムエンジニアが集まり組織された事業協同組合です。組合員はすべて個人事業主でございます。税務署に開業届を出して青色申告をしているということです。下請法の中では末端の事業者になります。
このような個人事業主がこれから大変な勢いで増えてくると私は思っています。というのは、企業は人は雇わないどころか、人件費の削減をしているんですね。失業しても就職先を見付けられない、仕方なく個人事業主になる。これが経済産業省で言っているマイクロビジネスの人たちになるということだと思いますけれどもね。このような人たちを下請法の改正で守り、育成することにつながることを今回はちょっと期待しているところもあります。
個人事業主としては、仕事をするというのは実は大変なことなんです。私はよくこういう話をするんですけれども、サラリーマンは天からお金が降ってきますよと言います。会社にさえ行っていれば必ず給料日にお金が振り込まれているんですね。ですけれども、個人事業主はそういうわけにいかないんです。個人事業主の場合は営業をして仕事をしても、必ずお金になるとは限りません。当たり前のことですが、お金にするまでにはいろいろな手続が必要なんです。
まず営業、その中で、話し合い、条件を聞き、見積書を作り、契約を交わして初めて仕事が始まり、仕事をし終わってもお金にならない。しかも、この過程がすごく不明確になっているところも多いということですよね、サービス業の場合は特に。
じゃ、お金もらうためには何をしなきゃいけないかと。最低限、相手先に合わせた請求書は出さなきゃいけませんよね、そうしないとお金にはなりません。取引先によっては納品書、相手発行の物品受領書が必要な場合もあります。
すべての手続をして、入金日にお金を下ろそうと思ったら残高不足になっている。慌てて入金を確かめてみると、入金がない。このようなことはしょっちゅうとは言いませんが、間々あることなんですね。当たり前のことですが、お金は入金の確認をしないと使えない。また、世の中の必然として、支払は弱いところから遅らせるのが現実ですということです。一つの仕事をするだけでも、このように細かいことまで全部一人でやらなければいけないのが個人事業主だということです。それが末端の下請事業者の立場だということを御理解ください。
そこで、当組合では、営業の代行から契約の代行、仕事の終了確認後の請求業務、入金の確認、振り込みまでの事務の代行を全部組合員に成り代わってやっているのが首都圏コンピュータ技術者協同組合ですということです。
次に移ります。中小企業の下請の現実ということです。
もう一つ、首都圏ソフトウェア協同組合の代表理事というのも実はやっております。これは、首都圏コンピュータ技術者協同組合は個人事業主です。首都圏ソフトウェア協同組合というのは中小企業の集まりです。これは今五十三社あります。それから、もう一つの資料にあります全国ソフトウェア協同組合連合会、こちらの方は、北は北海道から南は沖縄にあるソフトウエア関連の協同組合の連合会です、集まりでございます。現在十七団体、構成員として個人事業主も含めると千は優に超えていると思います。
その人たちは何をやっているかといいますと、アプリケーション系と呼ばれるソフトウエア制作をやっている企業、それから制御系と言われるプログラムを開発している企業、ゲームソフトの会社もあります、インターネット、ウエブコンテンツ系の会社もあります。今、ソフトウエア業界あるいは情報サービス産業の中の会社は大体入っているということでございます。その中でも一番多いのは、実は大手同業者又は大手コンピューターメーカーからの下請、孫請、ひ孫請、それより以下という仕事もありますけれども、そういう仕事をやっている企業がやっぱり一番多いというのが現状でございます。
もう一つ、うちの社団法人情報サービス産業協会というのがあります。これはソフトウエア業界の中で最大の団体です。大手の集まりだと思っても結構ですが、大体この会員の売上げを全部合わせるとソフトウエア業界あるいは情報サービス産業業界の半分以上になるというふうに言われています。この協会で、実は企業取引委員会というのがありまして、下請部会の委員として昨年の夏より情報サービス産業業界での実態、問題点の調査、その対応策等を検討してきました。そのようなことがありましたので今度の参考人に選ばれたのかな、こういうふうに思っております。
では、どんな状況かというお話をしますと、情報サービス産業あるいはソフトウエア産業というのは、金融関係を筆頭に大手の企業が大型システムの開発をしてきたわけです。その大型システムに引っ張られて、あるいは大型システムのおかげで伸びてきた産業でございます。ですから、どういうふうになってきたかというと、まず初期は大型コンピューターの言うなればおまけのようにソフトウエアというのは扱われた時代があるわけですね。
それからどういうふうになってきたかというと、その流れがありますので、大手企業であるエンドユーザーは、大手コンピューターメーカーに仕事を出すわけです。メーカーは子会社に出します。メーカーとか大手通信業者は、原則として子会社にしか仕事を出せないんですね。そういう仕組みになっているんです、例外はもちろんあります。そこから今度は協力会社と言われる大手中堅のソフトウエア会社に出されて、さらに中小企業あるいは個人事業に出されていく、こういう仕組みになっています。ですから、メーカーから数えると二次、三次は、これは当たり前ですよね。四次、五次、六次なんというのもよくある話だ、こういうふうに思ってください。その結果、エンドユーザーから受けた仕事が本当の末端に行けば半分以下になっているということもよくある話です。
しかし、この構造も悪いとは言えないんです。実は、どういうことかというと、エンドユーザーから入金がなくても当然下請には支払をしているんです。言い換えれば、金融が一緒にくっ付いてきているということです。しかし、このところ、今度の三番目の問題にも入りますけれども、実は大手メーカーその他が逼迫してきているんですね。ですから、この数年、突然一律の値下げ要請や締め日から支払日の延長の要請、そういうものも出てきたということです。メーカーが例えば一律の値下げを要求すると、三次、四次、五次、六次とだんだんと同じ要請が順送りになってくるんですね。そういうことが間々あった、近年、要するに見受けられるようになってきた、こういうふうに思っていただければ分かりやすいと思います。
それからもう一つ、三番目に移りますが、ソフトウエア業界の下請問題で特有の問題があります。どういうことか、本当に特有かな、というのはほかの業界にもあるような気がしますけれども、そこの三番目のところにちょっと図がかいてあります。それはどういう図かといいますと、なかなか値段が決まらぬということですね。なぜかというと、物を要するに作るときに、その過程においてだんだんだんだん値段が決まっていきますよということです。それを見ていただくとちょっと分かると思いますけれども。
今まで幾度かソフトウエア業界も下請法の対象業種にするという話は実は出てきています。その都度話が流れたのは、そういう理由なんですね。ソフトウエアの開発は、走りながら考えるどころか走りながら作るようなところがあるんです。私がこの業界に入った当時は、SE、プログラマーが大変不足していたんですね。当時、通産省は、百万人足らなくなる、こういう話を言っていましたよね。皆さん覚えていると思いますけれども。現実にはそうなっていないんですけれども。
ですから、どういうことが起きたかというと、一つのプロジェクトが始まるためには、まず人集めですね、人を集めます。技術者の技術力よりも頭数の時代だったんです。ソフトウエア開発代金が今でも問題が多いと言われている人月単価になったのもこの時代だと思ってください。極端な言い方をすれば、集まった技術者の数に合わせて、それに見合う仕事を持ってくるような状況、かといって、ただ人を遊ばせているわけにもいきませんから、当然価格も期限も何も決まっていないまま見込みだけで仕事が始まるということも間々あったわけです。
そのような業界で発注書等の書類はもちろんおざなりですよね、当然です。また、大手企業の発注書は仕事が終わってから物品受領書と一緒に出てくる、訳の分からないようなことがまかり通っていた、今でも多少まかり通っているところがあるんですが。というのがソフトウエア業界の現状だということです。ですから、最先端の業界と思われている業界がこのような状況というのも皮肉かなというふうにも思います。
現状でもいろいろな発注方法はあります。ですから、それを先ほどお手元のレジュメで見てもらったんですが、これが段階的な発注です。ですから、すべての受発注を同じレベルで扱うということの難しさというのは情報サービス産業の中にはあるということだけ御認識していただければいいと思います。
それから四番目、プログラム制御機器とプログラムということでございますが、プログラム制御機器のプログラム、よくちょっと分からないところがあるんですが、結論から申し上げますと、一般のプログラムと制御プログラムと製品組み込み型プログラムとチップ内蔵型プログラムを分けることがすごく難しい時代に入ってきたんですね。どういうことかというと、工作機械でも先ほどいろいろお話ありましたけれども、それから家電製品でもパチンコ台にしても多機能なものが多くなってきたわけです。多機能だというと、その中には要するに機能をプログラムで制御しているものももちろんありますが、それだけではなくアプリケーションソフト、ソフトウエアそのものが機能になっているという場合も物すごく多いんですね。
ですから、先ほどの金型のお話や何かの中でも、いろいろなものを、いろいろな要するに条件を向こうが持っていっちゃって作っちゃいましたよというと、これは制御プログラムなのかな、アプリケーションなのかなと、こう訳の分からない話が一杯出てきたということです。あるいは、今情報家電なんというお話が出ていると思いますけれども、これは実験が始まっているんですけれども、冷蔵庫と通信を合体させて、それで要するにどうなりますかねというお話ですよね。だから、そういうようなことまで考え合わせると、いろいろ分けるのは難しいかな、こういうふうに思っています。
五番目、あと五分しかございませんので、下請法による影響ということです。
下請法の執行による影響としては、当然のことですが、対象企業の取引はもちろん、下請法対象以外の取引についても取引書類の整備がなされるようになると思います。それをやっていかないと、下の方に通じていきませんので、IT業界だけでなく、サービス産業そのもの、いろいろなものに対象が広げられれば、企業間取引の標準モデルを作ることに最終的にはなるんだと思います。
それは、実は大変なことです。実は、それをやることによって何が始まるかというと、電子商取引が始まる可能性があります。なぜか。どの企業も今、発注書等の書類を手で書いていないんです。コンピューターで作っているんです。それをプリントして封筒に詰めているんです。その上、切手張っているんです。それで出すんです。おかしいですよね。どう考えても、コンピューターで発行したものはコンピューターで送ることができる時代ですし、それが当たり前の時代に入っているんです、もう。にもかかわらず、そんなことをやっている。
じゃ、何でそんなことをやっているかというと、企業間の取引のルールが標準化されていないからなんですね。ですけれども、今回の法律を通すことによって、企業間取引のルールが確立される可能性が僕はあると思っています。これは大きなことだと思います。しかも、サービス業の中で、全部で。
ということは、これを機会に官がリーダーシップを発揮して電子商取引の推進を図ることができるような気がしています。これをやると、どういうことが起きるかというと、官公需ですね。今、電子入札が始まったんです。電子入札以降、どうやって電子でやるのって決まっていないんです。取りあえず入札なんです。そうですよね。電子でいろいろなものを納品しなさいと言いながら、電子の契約書がないんですね。あんなものはすぐできますよね。あれもみんなワープロで打つかあれで打っていますからね、電子契約書を作りゃいいわけです。ということは、これをきっかけに、実は電子政府、電子自治体、こちらの方にも波及すると思います。
もしそちらの方に波及しますと、どういうことが起こるかと。官公需から電子取引を始めた場合に、民間のところで官公需をやっているところが二つ系統を持たなきゃいけなくなっちゃうんですね。官公庁とやるときはコンピューター、そうじゃないときは紙、今までどおり封筒に詰めてやるんだと、これ、面倒くさいですよねという話になったときに、ようやく世の中全体が動き始めるような気がしています。
ですから、下請法の直接間接の影響をよりいい方向に利用することが将来の日本にとって大切なことだと私は信じています。
私見を交えながらいろいろしゃべらせていただきましたけれども、どうもありがとうございました。