清水勉の発言 (個人情報の保護に関する特別委員会)
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○参考人(清水勉君) 私は、実は藤原さんが今例に挙げましたO157の事件で、業者の側から訴訟代理人になってもらえないかという相談を当初受けまして、あれは厚生省が相手だったもんですから、私は実はそれまでずっと薬害エイズの裁判をやっておりまして、あれに勝ったこともあったんですけれども、厚生省が得意だからと思ったのか分かりませんけれども、相談を受けたことがあります。が、薬害エイズのような事件とまた違った難しさがありまして、じゃ情報を出さなくて良かったのかということになると、あれはかなり難しい問題です。
むしろ、このSARSの問題というのは、プライバシーの観点からすると、薬害エイズの方の、HIV感染者の方と似ている面があるかと思います。今、日本では感染症予防法というものが作られていますが、それ以前にはエイズ予防法というものを作っていました。エイズ予防法では、感染者は危険な存在であるという、人を危険な存在というふうに位置付けていました。非常に差別法だというふうに私たちは考えておりまして、和解成立後にその法改正を求めまして今の感染症予防法ができ上がりまして、危険なランクとして、一類、二類、三類、四類となっていて、HIV感染は四類、つまり一番危険性の低いところというところに位置付けられている感染症になっています。ちなみにエボラ出血熱のようなものは一類になっております。
このSARSですけれども、私たちが、薬害エイズをやった者は、恐らく私だけに限らずほかの弁護士も、この患者をどうやって守るかということを第一に我々は考えます。守るというのは、隠すということではなくて、彼にかかわった人間も全部守らなければいけないわけです。そうしますと、ホテル名を出さないとか、USJですかに行かなかったことにしてしまうとか、混乱を避けるため、あるいは収益を下げてはいけないから言わないのではなくて、言ってしまうことによってそれにかかわった人たちを全部守るというふうにしなければいけないと思うんですね。
これがもし国会にこのSARSの患者が傍聴に来ていたらどうなったでしょうか。この委員会に傍聴に来ていたらどうなったでしょうか。もうこれ委員会開くどころではありません。あの会議に参加した、参加していなかったとか、握手したとかしなかったとか、パニックになるかもしれません、あいまいにしていたら。どこの委員会へ行ったとか分からなかったらそうなるかと思います。何時何分、どこに行ったということをきちっと言う一方で、そこにかかわった人たちの検査なり治療なりをきちんとする。そういうことをしますと、自治体として、政府としてきちんとケアをしますということをすることによって、安心して自分は感染しているかもしれないという人たちは申出をすることができるわけです。
それが犯人であるかのように追い詰められるんだと思えば、恐らく委員の方々は、おれは握手していないよとか言い出すに違いないんです。もちろん、だれもが自分は感染しているのは嫌ですけれども、自分も家族も周りの人も不幸にしてしまうかもしれないのがこのSARSであり薬害エイズだったわけです。
ですから、こういったプライバシーにも深くかかわるんですけれども、この人の生き死ににかかわるような情報の場合には、まず一番困っているのは当の病人であるということを理解していただきたいと思います。その人をきちんと守るということが周りの人たちを守るということになる。そのためには、その人が通っていったところはどこを通っていたところか全部トレースして、そこにかかわった人は全部検査をする。ということが、プライバシーを守る以前に、その人の人間としての存在、社会的な存在をきちんと守り、周りの人たちのことを守ることになるんだろうと思います。