阿部正俊の発言 (本会議)

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○阿部正俊君 私は、自由民主党・保守新党を代表して、武力攻撃事態対処法案等三法案について、総理並びに関係大臣に質問させていただきます。
 まず冒頭、我が国のかねてからの重要懸案事項であります有事法制につきまして、本院の審議がいよいよ開始されるに当たり、長年にわたる先輩諸氏の国の安全を願う多大なる御尽力に思いを致すとき、本法律案の早期成立を図る決意を新たにし、身の引き締まる思いでございます。
 国民の生命と財産の安全を守ることは国家の最大の使命であり、そのために法制面や装備あるいは運用面において十分な体制を整えることが国民に対する政治の最大のかつ重大な責務であります。
 そのために、小泉総理の備えあれば憂いなしという大方針の下に、世論の動向を見極めつつ、与党と野党第一党が真剣に協議を重ね、大局に立って合意し、これにより、今国会の後半において有事法制の整備に向かって大きく前進し得たことは画期的なことでございます。ここに至るまでの関係者の真摯な努力に心からの敬意を表するものであります。
 振り返れば、昭和五十二年、福田内閣のとき、近い将来の立法化を前提としないという極めて無理な環境の中で、いわゆる有事法制の研究が開始され、四半世紀余りも経過してまいりました。それが正に今ここに至り、与野党が対立していた安全保障問題についてこのような合意に達し得たことは、我が国の国家体制にとってだけでなく、政党政治、議会政治にとりましても大きな大きな意義を持つものと確信するものであります。
 この間、米ソ冷戦は終結したものの、他方で、地域紛争が多発し、大量破壊兵器が拡散する中で、一昨年、同時多発テロの発生により、世界の情勢が一変しました。さらに、このたびのイラク戦争でフセイン体制が短期間で崩壊したものの、その復興を始め、なお難しい事態の国際的な解決が迫られております。また、冷戦の傷跡が残る朝鮮半島において、北朝鮮のミサイル発射、武装工作船や核開発の動きなど、我が国の安全を脅かす懸念が一層高まってきております。
 このような中で、第一の視点として、我が国外交の基軸である日米同盟を基本とした国際協調体制を確立すること、第二の視点は、イラクの復興や北朝鮮の核開発等の直面する問題の解決を図ること、こうした基本的な課題について、近く予定されている米国やロシアなど主要国の首脳会談にいかなるお考えで臨まれるのか、まず総理の基本方針をお伺いいたします。
 近年、世界の平和、我が国の安全に対する脅威が高まる中で、八割近い多くの国民が安全確保に不安を感じております。総理は、イラク危機におきましても、日本の国益を踏まえ確固とした姿勢で臨まれ、安全保障のために何が大事なのか、真剣かつきっぱりと国民に訴え掛けられました。
 最近の世論の動向を見ると、国民の危機管理、有事対処への関心が今までになく高まってきております。
 我が国の国是は、日本国憲法を遵守する専守防衛にあります。この専守防衛に徹しながら相手にすきを見せないようにするには、困難かつ危機的事態から目を背けず、それに備えるあらかじめの立法こそが要諦なのではないでしょうか。
 このような我が国の防衛の基本に立って、日本は、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないことをより鮮明にしつつ、北東アジアの安全保障についても視野に入れながら外交努力を積み重ねていく必要があると存じます。
 総理は、我が国の国際的な役割や国家としてのありようを展望する中で、この有事法制の整備をどのように位置付けられ、内外、特に近隣諸国の誤解を受けることのないようにされていかれるのか、有事法制の意義、役割等について基本的な考えを改めて御説明願います。
 国民全体の生命等の安全にかかわるような重要法案については、でき得る限り多くの政党の賛成を得て成立させることが望ましく、そのために本三法案について幾つかの重要な合意がなされたことは国民の要請に大きくこたえるものであります。
 すなわち、憲法の基本的人権に関する規定の最大限尊重を始め、自衛隊の活動の終結に関する国会関与等の明記、さらに、附則において、国民保護法制整備まで首相の代執行規定を凍結することや迅速かつ的確な対処に資する組織の在り方を検討するなどの点で政府原案を修正し、衆議院で圧倒的多数で可決されました。
 総理は、このような幾つかの重要な法案修正や今後の検討課題に関する合意について、有事法制の実効性への影響面も含め、どのように受け止めておられるのか、特に基本法制の検討に当たっては、災害対策基本法案との関係もあり、いかに取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 国会の関与の在り方については、原則として事前の承認が必要であるという考えもありますが、国民の生命、財産の安全確保にかかわる危機への対応が手後れになってしまっては、何のための有事法制か分からないことになります。危機への迅速な対応、事態変化への即応、これらを可能とするためには、情報収集能力を高め、武力攻撃の動きをできるだけ早く察知することが肝心であります。新たな脅威になりつつある弾道ミサイル攻撃の場合には、特にこの点が死活的に重大な問題となります。
 このような一刻の猶予も許されない急襲型の攻撃を含め、攻撃の抑止、排除等についていかに機動的、効果的に対処するのか。情報の収集、分析等、危機や攻撃予測能力の向上を始めとする運用上の態勢整備は本法案の実効性を高めるために大変重要なものと考えられますが、その取組につきまして防衛庁長官にお伺いいたします。
 武力攻撃事態の定義も修正され、予測事態を切り離し、分かりやすくはなりました。他方、四年前に成立した周辺事態法との関係で、周辺事態と武力攻撃事態とが併存することも想定されるわけです。
 このように、両事態が併存する場合、米軍への支援や協力関係がどのようになるのか。周辺事態法では我が国の役割は米軍への後方支援に限定されておりますが、一方で、武力攻撃事態への対応として、米軍の行動が円滑かつ効果的に実施されるためには、必要となる新たな事項の内容がまだ必ずしも明らかではございません。
 この際、その措置の内容につきましてできるだけ具体的に考えをお聞かせ願うとともに、武力攻撃事態と周辺事態が併存する場合等の米軍に対する支援や協力について、憲法の枠内で行われることを前提にしつつ、国民に分かりやすく総理から御説明願いたいと存じます。
 また、武力攻撃事態以外の緊急事態として、いわゆる武装不審船事案、テロ攻撃などの事案を含めて、すき間なく対処するように政府原案が修正されております。国家でないテロリストグループの生物化学兵器の使用など、国境なき新たな脅威への対応にも万全を期さねばなりません。
 特に、原子力施設につきましては、放射能被害の恐ろしさを考えると、手後れにならないよう、自衛隊による特別な警備や防護等が必要となるケースについて具体的な検討が必要であります。
 このように、多様な危機への対応として、アメリカのいわゆる連邦緊急管理庁のような構想も検討課題ではありますが、行政改革との関係や屋上屋を重ねるのではないかといった懸念をクリア果たしてできるのか、早急に検討していく必要があると思われます。
 シビリアンコントロールの下で、多くの関係機関との緊密な連携を図りつつ、情報の迅速な分析、的確な判断、指揮等が不可欠であります。多様な危機の管理、対処に万全を期するよう、最高指揮責任者である総理の基本的な心構えを改めてお伺いするものであります。
 外国から攻撃を受けたとき、どう国民の命や財産を守るのか、その避難や救援、復旧等のルールをあらかじめつくっておくことが是非必要であります。いったん事が起きてしまってからでは、超法規的に処理せざるを得ないということにもなりかねず、それではかえって被害も大きくなり、人権もないがしろにされがちでございます。法治国家として体を成さず、大きな禍根を残すことにもなりかねません。
 そのために、国民と地方公共団体、自衛隊、消防など国全体がどう連携していくか、言わば国民、国家を守るルールを国民や関係機関の意見を広く聴いてあらかじめつくっていかねばなりません。被害を最小限にするには、国民の理解と協力を得ていくことが肝要であります。早急に国民保護法案の概要を取りまとめ、全国各地で説明、意見交換会等を重ね、成案を得て、来年の通常国会に提出すべきであると考えますが、総理大臣の基本方針をお伺いいたします。
 地域住民の安全確保はまた地方自治体の最優先事項でありますので、総務省の立場としての具体的な取組方につきまして、片山大臣のお考えも併せてお聞かせ願いたいと思います。
 今国会は、有事法制本三法案のほかにいまだ多くの法案が残されており、さらに、デフレ金融対策やイラク復興等、重大な課題に直面しております。今回の超党派的な取組を大切にしつつ、この難関を打開すべく与党も一致結束し対処してまいりますが、総理は待ったなしの内外の重要課題に対しまして決然と不退転の決意で臨まれんことを改めて申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115615254X02420030519_006

発言者: 阿部正俊

speaker_id: 13814

日付: 2003-05-19

院: 参議院

会議名: 本会議