平野貞夫の発言 (本会議)
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○平野貞夫君 野党四会派から提案され、ただいま議題となりました外務大臣川口順子君問責決議案に対して、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)を代表しまして、賛成の討論を行います。
平成十二年、森内閣の目玉として環境庁長官に民間から起用されたとき、川口大臣は、出身のサントリーの企業イメージもあって、好感を持って見られたものです。京都議定書をめぐる国際問題に真剣に取り組み、野党の私も一定の評価をしていました。いろいろ癖の多い女性大臣四人の中では、ずば抜けて優秀な方だと思っておりました。
ところが、眞紀子騒動のあおりで外務大臣に就任してからは、かつての官僚の悪い癖を丸出しにし、外務省の役人が準備した文章以上のことは何もしゃべらないという態度に終始していることは誠に遺憾であります。国会を何と心得ているのか、不見識そのものであります。
そもそも、国際問題が山積し、洋の東西南北に難問がひしめいている今日、民間人を外務大臣に起用する小泉首相自身の政治判断に問題があります。自由民主党はそんなに人材がいないのですかね。国民から選挙によって選ばれない、国民に責任を持たない人間が、どうして我が国の外交の難問を解決し得るでしょうか。このことは与党の多数の人たちが主張していることでもあります。与党の人たちが本心、本音で投票されたら、この問責決議案は可決されるはずです。
北朝鮮問題一つを取っても、外務大臣にもかかわらず、外務省内の意思決定に一切かかわっていないようです。決して自分から動かず、官僚の振り付け以上には踏み込まないのが実態のようです。与党の中にすらこの川口外務大臣の判断と態度に厳しい批判があります。これは私の話じゃございません。ある報道にあった官邸筋の話なんです。外務省の主流派が描いている国辱的対北朝鮮外交路線を国会で繰り返して答弁するだけという操り人形を演じているだけなんです。
外務大臣で不適格であることの例は、国会軽視の態度です。英語ができることをよいことにして、直接外国要人と交渉して海外出張を恣意的につくり、外務省事務当局を困惑させ、数度にわたり官房長が議院運営委員会に謝罪に来ています。
さて、問題のイラク問題に対する認識に至っては全く言語道断です。これでは外交を任せるわけにはいきません。七月七日のこの本会議場で、川口外務大臣は、イラクの現地情勢について、フセイン政権の残党による散発的、局地的な抵抗があるものの、戦闘は基本的に終了していると承知していますと答弁しています。
米軍がゲリラ戦だと公式発表している現状を、散発的、局地的な抵抗とは、作為的な虚言にすぎません。ブッシュ大統領の人為的な戦闘終局宣言以後の米軍関係者等の死者の数が終局宣言以前を超えているにもかかわらず、戦闘は基本的に終了しているとは何事ですか。これは食言、偽りの発言にほかなりません。その責任は重大であります。
川口外務大臣のあいまいな官僚答弁の最も重大な問題は、イラク支援特別措置法案という憲法違反の疑いのある法案をいかにも正当性があるように印象付けていることにあります。自衛隊をイラクへ派遣する大義と正当性が果たしてあるのかという本質問題を逃げに逃げ、ひたすら小泉首相の詭弁をかばっていることも国会を軽視した重大な問題であります。
外交防衛委員会の会議録で川口外務大臣の答弁を点検してみますと、国会軽視のみならず、国会議員を侮辱した発言がしばしばあります。
例を挙げますと、七月十日、小泉委員の大量破壊兵器問題の質問に対して、川口外務大臣は、何と、先ほどから伺っていますと、委員の質問の焦点がずれているんですと、こういうことを言っているんですね。これは国会議員の質問を誹謗しているんですよ。また、自衛隊の国際法上の機能についての質問に対して、少し混乱があるように思うと、何と国会議員を侮辱した答弁をしているんですよ、会議録を読みますと。
外務大臣の川口順子という名の「順」の意味を広辞苑から紹介しますと、第一に正直に従うこと、第二に素直に従うこと、第三、逆らわないこと、第四におとなしい等々の意味がありました。小泉首相と外務官僚、そしてアメリカ政府には「順」でありますが、国会と国民に対しては名前とは全く逆であることを申し上げておきたい。
大量破壊兵器の問題については、齋藤委員の発見されると思っているのかという質問に対して、川口外務大臣はいずれ見付かると、現実を無視したブッシュ大統領に追随した無責任発言を連発しています。
大量破壊兵器問題については、かつてイラクが使用したことはありました。それは事実です。しかし、今回の米国の攻撃の根拠となった問題については、国連調査団も正式の結論を出していません。まして、英国のブレア首相の議会報告などの情報操作、偽装工作の疑いはBBC等によって次々と明らかにされ、有力関係者の自殺事件まで起こしているのではありませんか。
いずれ見付かるという表現は、見付かってほしいという願望を込めた個人の感情に基づくものであり、外務大臣としての資質を疑うものであります。見付かるかもしれませんが見付からないかもしれないというのが客観的判断ではないんですか。どうしてそういう答弁をしないのか。このままの状態ですと、見付からない場合、また米国や英国の主張どおりでない場合もあります。日本の外交をつかさどる外務大臣がこのような無責任な姿勢でよいでしょうか。
更に問題となりますのは、自衛隊のイラク派遣です。これは派兵と言った方が正確かもしれません。憲法のこれまでの運用や解釈を変更せず、また安全保障についての基本方針を決めることなく、海外に治安維持として自衛隊を派遣することは、とても憲法の容認するところではありません。東京大学教養学部国際関係論分科を優秀な成績で卒業された川口外務大臣が憲法を学んでいないはずはありません。もし、まともに憲法を勉強していたら、イラクに自衛隊を派遣することが違憲であると閣議で主張するのが良心に基づく行為ではありませんか。
それを、何だかんだと理屈を付けて内閣法制局の陳腐な解釈のオウム返しをやっている川口外務大臣の良心はどこに行ったのですか。それとも、外務大臣になったと同時に良心を小泉首相とブッシュ大統領にささげたんですか。人間としての良心があるのかないのか、私は一定の評価をしていただけに重大な関心を持っております。
さて、イラク情勢と米国の対応についてですが、七月中旬、私は米国の某外交問題の専門家と懇談する機会がありました。
その専門家の話によれば、米国は現在、連邦陸軍のおよそ半分をイラクに派兵し、インドは派兵を断り、秋には連邦陸軍の約三分の二をイラクに増強するということでございます。専門家は、さらに、米国が日本に要求しているのは、本当は治安維持のためであり、自衛隊は戦闘状況のイラクに軍として活動させるというのがねらいとのことであります。したがって、仮にイラク特措法が成立したとしても、現地状況が現在より更に悪化、混乱することは必至であります。同法に基づく自衛隊の派遣では活動できないため、日本は結局自衛隊を派遣できない羽目になるという見通しを語っていました。この可能性は高いということでございます。
となりますと、日米関係はどうなりますか。ブッシュ、小泉でハイ・ヌーンという調子では済まされません。最悪の状況となります。ここは、イラク特措法案をいったん廃案にして、イラク現地の様子、国連の動きをよく見定めて、それから対応するのが適切な措置です。それを川口外務大臣が小泉首相に説明し、説得するのが役割ではないですか。それが日米関係を最終的には良好に保つ方策ではないでしょうか。それを行わない川口外務大臣の責任は重大であります。納得する形で、堂々と国際社会の信頼を得て支援活動を行うべきです。国連の中でもそのような動きが始まっているのではないですか。今、外務大臣として判断し、小泉首相に進言すべきは、イラク特措法案をいったん廃案にして、国連を始め国際社会の動きを見極めて対応すべきだということです。これができない川口外務大臣は、適性がなく、失格であると断じざるを得ません。
川口外務大臣の国会答弁の詭弁ぶり、三百代言ぶりをもう少し紹介して、いかに無責任な外務大臣ぶりかを知ってもらいたいと思います。
七月二十二日の外交防衛委員会で、吉岡委員のイラクでのアメリカの活動としてデモ隊への発砲は正当な安全確保活動かという質問に対して、川口外務大臣は、そういった治安を維持するなどの権限を米軍は持っていると断言しています。こういった発想で本当の人道支援ができますか。デモ隊への発砲を治安維持として放言しているのです。イラクの困窮している庶民への発砲を容認する論理は、自衛隊が派遣されたときの状況を考えるとぞっとします。
また、広野委員が、イラク統治評議会が発足して、全体的な見通しなど将来の展開について質問したのに対して、川口外務大臣は、まだ目途が付いていないと、他人事のような答弁に終始しています。あなたには、人間としての感情をお持ちですか。
以上、ごく簡単に川口外務大臣問責決議案への賛成理由を申し上げました。
良識ある参議院議員の皆さん、特に自由民主党所属の議員の皆さん、本音でこの問責決議案に投票していただきたいという、そして一致して賛成していただくよう要請しまして、賛成の討論といたします。(拍手)