岩本康志の発言 (予算委員会公聴会)

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○公述人(岩本康志君) デフレという言葉には二つの意味が込められておりまして、物価が下がるということと、あと経済活動が悪くなるということなんですけれども、基本的に分けてお話ししなければいけないというふうに思っております。
 まず、経済活動の低迷の方なんですけれども、これにつきましては経済学的に分析しますと、循環的な要因、有効需要が不足しているというふうな要因の考え方と、もう一つは構造問題であるという考え方がございます。
 私は、構造問題のことを先ほど御指摘しましたけれども、こちらの方がより深刻で決定的な問題だというふうに考えております。もし循環的な需要不足でありましたら、それは財政金融政策によって埋めて、また需要が回復するのを待つということで対策を打つわけなんですけれども、それに関しましては、もう既に我が国は、財政政策は、これだけの財政赤字を生み出して需要を生み出している。そして、金融政策に至りましては、もうゼロ金利まで金利をもう下げているということでございます。したがいまして、その循環的要因への対処はもう我が国は既に十分やってきている、それにもかかわらず低迷しているということであれば、そこには構造問題があるんだというふうに考えなければいけない。
 そして、私は先ほど御指摘しましたように、やはり金融仲介機能の低下、これによって信用収縮が起こっております。中小企業への貸し渋りということも、貸しはがし、貸し渋り、貸しはがしということも起こっております。これによって経済活動が萎縮しているという側面がかなり大きく出ているというふうに考えております。
 したがいまして、この経済活動低迷を脱出するために政府が何をやるべきかということであれば、まず一番、非常に大きな問題なんですけれども、取り組まなければいけないのは、不良債権を銀行が抱えているという問題を何とかしなければいけないというところにあろうかと思います。
 デフレの問題なんですけれども、景気が悪くなると物価が下がるという局面がございます。しかしながら、もう持続的な物価下落はこれだけ生じておりまして、中でも二〇〇〇年は少し経済は回復、先立ち、回復しておりました。それ以前にも、ITバブルと呼ばれたところでも少し景気だけは上向いたわけであります。循環的に見ますといい状態もあったわけなんですけれども、そういった中で現在、この持続的な物価下落というのが生じているということなんです。
 これは、実は逆説的になるかもしれませんけれども、ゼロ金利が原因だというふうに考えております。どういうことかといいますと、ちょっと専門的になりますけれども、フィッシャー方程式という考え方がございまして、そのゼロ金利の下で、しかしいろいろ投資をすれば実質金利というものはある程度正の値にならなきゃいけないという実は関係がございまして、そうしますと物価が下落していないとインフレ率と名目金利と実質金利の関係が合わないということがございます。
 ゼロ金利がデフレの原因だというふうなこと、ちょっと分かりにくいかもしれませんけれども、この問題をデフレ脱却、物価下落から脱却するにはどうすればいいかということで考え直しますと、例えばインフレ率につきましては一ないし三%とかが望ましい数値と言われていますけれども、仮に二%というふうにしておきましょうか。物価上昇率が二%、それで実質金利もある程度正の値、例えば二%ということにしておきますと、そのときに必要な名目金利というのは四%であります。
 したがいまして、デフレ脱却のために必要な名目金利というのは今よりも高い水準、四%ということになる、長期的にはそうなるということなんです。ゼロから四%のところに持っていくという、そういうふうなパスというものをうまく作らないと、実はデフレ脱却にならないということでございます。
 ゼロ金利のままずっと続けておきますと、その間実質金利が正でありますと、デフレはずっと継続するということでございます。デフレが継続しますと、名目で固定されている債務というものがこれは借り手に対して負担になりますから、それが更に深刻な問題を起こすということであります。
 したがいまして、そうすると、私が先ほどの公述で申し上げたことと今申し上げたこと、実は長期のあるべき姿から、先のことから逆算して今何をすべきかということを考えていこうということでお話ししているわけでございますけれども、そのようなことから見ますと、今必要なのは、デフレを脱却するためにはとにかくマネーサプライを増やさなければいけないということになってくるかと思いますが、マネーサプライというのは不良債権問題がございましてなかなか増えないという状態になっております。
 したがいまして、手順としましては、まず不良債権問題をしっかり片付けて、それから、手順としては同時でもいいんですけれども、マネーサプライを引き上げるような日銀は金融緩和を続けるということになろうかと思います。とにかくそういうことを地道ですけれども続けていけば、やがて経済は上向いていくのではないかというふうに私は考えております。

発言情報

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発言者: 岩本康志

speaker_id: 17930

日付: 2003-03-20

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会