予算委員会公聴会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
平成十五年三月二十日(木曜日)
午前十時三分開会
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 陣内 孝雄君
理 事
木村 仁君
谷川 秀善君
保坂 三蔵君
山下 英利君
郡司 彰君
齋藤 勁君
山本 保君
大門実紀史君
平野 貞夫君
委 員
愛知 治郎君
有馬 朗人君
泉 信也君
国井 正幸君
後藤 博子君
清水嘉与子君
世耕 弘成君
田中 直紀君
田村耕太郎君
伊達 忠一君
段本 幸男君
山下 善彦君
朝日 俊弘君
佐藤 道夫君
櫻井 充君
高橋 千秋君
辻 泰弘君
藤原 正司君
円 より子君
峰崎 直樹君
若林 秀樹君
福本 潤一君
松 あきら君
森本 晃司君
井上 哲士君
紙 智子君
林 紀子君
平野 達男君
森 ゆうこ君
福島 瑞穂君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田 成宣君
公述人
一橋大学大学院
経済学研究科教
授 岩本 康志君
株式会社リクル
ートワークス研
究所所長 大久保幸夫君
帝京大学法学部
教授 志方 俊之君
松阪大学政策学
部教授 浜谷 英博君
岩手県立大学社
会福祉学部助教
授 鈴木眞理子君
専修大学名誉教
授 熊野 剛雄君
─────────────
本日の会議に付した案件
○平成十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
送付)
○平成十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
送付)
○平成十五年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────
この発言だけを見る →午前十時三分開会
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 陣内 孝雄君
理 事
木村 仁君
谷川 秀善君
保坂 三蔵君
山下 英利君
郡司 彰君
齋藤 勁君
山本 保君
大門実紀史君
平野 貞夫君
委 員
愛知 治郎君
有馬 朗人君
泉 信也君
国井 正幸君
後藤 博子君
清水嘉与子君
世耕 弘成君
田中 直紀君
田村耕太郎君
伊達 忠一君
段本 幸男君
山下 善彦君
朝日 俊弘君
佐藤 道夫君
櫻井 充君
高橋 千秋君
辻 泰弘君
藤原 正司君
円 より子君
峰崎 直樹君
若林 秀樹君
福本 潤一君
松 あきら君
森本 晃司君
井上 哲士君
紙 智子君
林 紀子君
平野 達男君
森 ゆうこ君
福島 瑞穂君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田 成宣君
公述人
一橋大学大学院
経済学研究科教
授 岩本 康志君
株式会社リクル
ートワークス研
究所所長 大久保幸夫君
帝京大学法学部
教授 志方 俊之君
松阪大学政策学
部教授 浜谷 英博君
岩手県立大学社
会福祉学部助教
授 鈴木眞理子君
専修大学名誉教
授 熊野 剛雄君
─────────────
本日の会議に付した案件
○平成十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
送付)
○平成十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
送付)
○平成十五年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────
陣
陣内孝雄#1
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。
本日は、平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。
この際、公述人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
お二方には、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
本日は、平成十五年度総予算三案につきましてお二方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
なお、本日は、各委員会が同時に開会しておりまして委員の出入りが多くございまして、公述人の先生方には大変失礼をいたしており、申し訳ございません。委員長より一言おわび申し上げます。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、お一人二十分程度で御意見をお述べいただいた後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、財政・税制について、公述人一橋大学大学院経済学研究科教授岩本康志君の御意見を伺います。岩本公述人。
この発言だけを見る →本日は、平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。
この際、公述人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
お二方には、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
本日は、平成十五年度総予算三案につきましてお二方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
なお、本日は、各委員会が同時に開会しておりまして委員の出入りが多くございまして、公述人の先生方には大変失礼をいたしており、申し訳ございません。委員長より一言おわび申し上げます。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、お一人二十分程度で御意見をお述べいただいた後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、財政・税制について、公述人一橋大学大学院経済学研究科教授岩本康志君の御意見を伺います。岩本公述人。
岩
岩本康志#2
○公述人(岩本康志君) 岩本でございます。本日はこのような機会を与えていただき、大変ありがとうございました。
まず、平成十五年度予算の成立前に当たりまして私から申し上げたいことは、我が国の財政の状況は極めて深刻なものであるということでございます。十五年度の一般会計の予算ですと、歳出総額は八十一・八兆円なのですが、その中で租税及びそのほかの、印紙収入が占めるものが四十一・八兆円と約半分程度にすぎないということでございます。支出の約半分ほどしか収入がなく、残りを借入れに頼っているという状態といいますのは、家計や企業であればとっくにもう破産しているような状態でございまして、このような深刻な状態をこのまま続けていきますと財政の持続可能性というものの信認が失われて、やがて国債の暴落、最悪の場合にはデフォルトにつながりかねないという、そういう懸念があるということでございます。
しかしながら、現在の経済状況をかんがみれば、財政としてできる限りのことをするということで、このような財政の収支ギャップというものが容認されるということになろうかと思いますけれども、これからの議論の中で大事なことは、現在は非常に困難な状態にあるんですけれども、これをいかに脱却して、将来、財政を健全な姿に戻していくかという、そういう中長期的なシナリオというものをしっかりと検討して、それを説得的な形で国民に示し、さらには、その国債の購入者に示すということが必要であろうかというふうに考えております。
そのために政府が用意した文書といたしましては、今年の一月に出されました「改革と展望」というものがございまして、その中で、財政の今後の運営につきましては二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスの黒字化を目指すということが書かれております。これをどのように実行するのか、そのためには歳出と税制をどうするのかということにつきましては、やはりまだ文書の説明が足りないのではないかということが、私は懸念しております。したがいまして、これからその財政をどのようにして健全な姿に戻していくのかということにつきましてもっと議論を深めていくことが必要ではないかというふうに考えております。
当面の状況に戻りますと、現在、日本の経済は非常に長期の低迷を続けているわけなんですけれども、私は、その原因は構造問題に大きなものがあるというふうに考えております。とりわけ二つの問題が重要であるというふうに考えております。
第一番目の問題といいますのは、今、日本では長期的なトレンドとして産業構造の変化というものが起こっており、それに対応していかなければいけないということでございます。
お手元の資料の二ページのところに資料1といたしまして我が国の就業者数を産業別に示したグラフを用意いたしました。右側の方が最近の事情に当たるんですけれども、これを見ますと、九〇年代といいますのは製造業の就業者が持続的に低下しているということが表れております。これは言うまでもなく経済の空洞化現象でございまして、すなわち、製造業の生産拠点が海外の方に移り、日本でこれまで製造業に従事した人たちが職をなくしていっているという状態でございます。このような長期的なトレンドというものはもはや止めることはできないものであろうというふうに私は考えております。したがいまして、いかにして、こうやって失われた、製造業で失われた雇用というものを別の場所、恐らく成長産業として考えられるのはサービス業の中に含まれるものなんですけれども、それに転換していくかということが必要であろうかというふうに考えております。
しかしながら、この転換、非常に困難な構造問題でありまして、政府が何を、政府が何ができるかということからいきますと、かなり対応策としては限られたものになるだろうというふうに考えております。すなわち、新しい雇用の創出なんですけれども、これについて今まで政府が何をしてきたかといいますと、公共事業を増やしまして雇用を支えてきたという側面があります。これは、このグラフの中で建設業の就業人口が九〇年代にずっと上昇していたということが表われております。
しかしながら、これは後ろ向きの対策でありまして、本来は日本経済を牽引していくような強い産業に労働力をシフトさせていくということが必要でございます。しかしながら、そういう強い産業を見付け出し育成するということは必ずしも政府が得意とするものではございません。むしろ、強い産業というものは政府が手取り足取り育てなくても自ら育っていくものでなければいけないということでございます。ですから、政府が積極的に雇用のところに貢献する余地というのは私はかなり小さい、政府ができることは民間経済の活力の足を引っ張らないことであろうというふうに思います。その中で、持続的な失業者の発生というものは避けられないわけでありますけれども、それについては冷静に構造問題として対処していく必要があろうかと思います。
もう一つは、経済が成長速度が九〇年代に入って鈍化しているということでございまして、これからの日本経済の成長の巡航速度といいますのは、専門家の見解ですと大体二%程度だろうと、年間成長率で二%程度だろういうふうに言われております。
二%の経済成長といいますのは、すべての企業が二%で成長するということではございません。厳しい市場競争がございますので、うまくいっている企業は四%で成長するかもしれませんけれども、普通の企業はそのまま横ばい、ゼロ%成長かもしれないし、運が悪い企業はマイナス成長になるかもしれない。そういった形で、二%で経済が成長する中ではいわゆる負け組企業というものが現れてきて、そこから失業者が発生するということも避けられないわけでございます。したがいまして、持続的な失業者の新規発生というものは、日本経済としてはこれからは避けられない問題であろうというふうに思います。そのことは、今失業率が五%台に上昇しておりますけれども、これは循環的な問題だけではなくて、そういった構造的な問題が多く含まれているだろうというふうに私は考えております。
もう一つ大きな問題といいますのは、銀行が巨額の不良債権を抱えておりまして、それによって金融の仲介機能というものが損なわれておりまして、資金がうまく回っていないという状況がございます。これは不良債権問題というふうに言われますけれども、英語ではバンククライシスというふうにもう呼ばれるのが一般的でありまして、これは銀行の経営問題でございます。この銀行の経営問題、小泉政権発足当初は不良債権の処理というものを政策課題の最重要課題として掲げたわけでございますけれども、不良債権オフバランス化、不良債権をオフバランス化するということを加速化させて、できるだけ早期に金融仲介機能の健全化を図るということが必要であろうというふうに考えます。この部分に関しては、非常に重要な構造問題なんですけれども、政府はそれを積極的に進めなければいけないというふうに考えております。
次に、財政の方に戻りますけれども、この十五年度の予算の編成に向けました議論をいろいろと見ておりましたところ、私が感じたことは、歳出の削減の努力ということを幾つかやっておりましたけれども、どうもその削減の努力、削減の議論の方が前に出過ぎて、財政の本質的な問題というものが余り議論されていないではないかというふうに感じております。
我々が目指さなければいけないのは、財政を健全な姿に持っていくということなんですけれども、そのための距離というのがどれだけあるかということを考えますと、プライマリーバランス、黒字化の前にプライマリーバランスを取りあえず均衡に持っていくというふうにしますと、この十五年度予算の数値を見ますと、財政の収支を二十兆円ほど改善しなければいけないという、そういう数字になるわけでございます。すなわち、収入を増やすなり支出を減らすなりして収支改善を二十兆円図らなければいけないということでございます。
既に増税の話ということも出ておりまして、財界が消費税一六%といった具体的な数字の提言を出されておりますけれども、増税も必要なんですけれども、歳出削減というのもその前に必要だろうというふうに考えられます。これはいろいろと見方によって分かれるんですけれども、粗い数字でざっと申し上げますと、十兆円規模の歳出削減というのがこのプライマリーバランスの均衡に向けて必要ではないかというふうに考えております。
そうしますと、十兆円を歳出削減するといった場合に、これから取っていくべき戦略というのは二つあります。一つは、今すぐにでも十兆円削減するという、そういう用意はあるんですけれども、もしそういうことをしてしまえば経済に大きな負の影響を与えてしまうだろうと。だから、激変緩和措置として、二〇一〇年代初頭にかけて徐々に歳出を減らしていくという考え方が一つございます。もう一つは、どうやって十兆円減らしていいか今のところ全然見当が付かない。したがいまして、毎年毎年いろいろ苦労して、何とか二〇一〇年代初頭にはその削減に結び付けようという、そういう考え方でございます。私は、前の方に述べた考え方の方が整合的な形で財政再建を進められるというふうに思うんですけれども、どうも現状は後者の方であるというふうな気がいたしております。
したがいまして、本来議論すべき、ですから、この問題につきましては、財政を最終的に健全な姿に戻すということであれば、とりあえず足元のこの十五年度予算を眺めてみて、どこをどのように刈り取っていって、そして健全な財政歳出の姿に戻していくかというふうなことをやはりきっちりと検討していった方がいいと。毎年毎年場当たり的に対応するということは必ずしもいい結果を生まないだろうというふうに考えております。
一つ実例を御紹介いたします。
十五年度予算の編成の中で義務教育費国庫負担の問題が随分取り上げられました。これは補助金の議論の中でこれがやり玉に上がったんですけれども、補助金の中でこの義務教育費国庫負担金というのが最大の金額になっております。それである意味で目が付けられて、それでいろいろ騒いで、結局、約五千億円ほどこの負担金を減らすということで決着が付いてきたわけなのでございますけれども、この国庫負担金の問題といいますのは、後ろには国と地方の関係という大きな問題が実は隠れているわけでございまして、これは、小中学校の先生の給料を半分が国が、半分が地方が負担しているという問題、そういう構造になっております。
しかしながら、この地方の半分の負担に関しましては地方交付税の方で措置されるという、そういう構造になっているわけでありますけれども、同じような、何といいますか、給料の補助といたしましては、給料の使い方といたしましては警察官あるいは消防士の給料があるわけなんですけれども、これにつきましては全額地方負担ということになっておりますが、地方交付税で手当てされるという構造になっております。したがいまして、最終的には地方交付税で国が財源の手当てをしているんですけれども、たまたま半分が国庫負担、義務教育職員に関しましては国庫負担金という形で出ていたがためにやり玉に上がって、結局、それでいろいろ議論して削ったということなんですけれども、やはりそういう構造的な問題、本質的な問題には議論が行かず、いろいろ騒いで、大きなところの予算を少しずつ削っていくという、そういう、矮小化と言ってはちょっと言葉はきついかもしれませんけれども、そういった議論にどうしてもなってしまうということでございます。
私は、その本質の問題が議論されていないというふうに言いましたけれども、財政のところで構造改革ということが言われていますけれども、財政の構造改革として本質的な問題として議論しなければいけないことは、私は一点に尽きるだろうと思います。それは補助金に依存する体質というものをなくしていくということでございます。
補助金といいますのはいろいろありまして、いい補助金、筋のいい補助金、それから筋の悪い補助金というのがありまして、筋のいい補助金といいますのは、これは配分のルールが決まっていて、あまねく人々に行き渡るような、そういった補助金でございます。これはどうしても政府が財政を、手当てをするということで必要だということで取られた、仕組みとしては取られたものでありまして、それがその筋のいい方に入ります。
筋の悪い補助金といいますのは、奨励的補助金という言葉が使われますけれども、選択的に一部の人に与えられる、しかもその配分が官庁の裁量に任されている、あるいはいろいろな圧力が入ったりするということでございます。そうすると、そういう補助金に依存して活動を行ってくる民間部門、補助金頼りの民間部門あるいは地方自治体という、そういう甘えの構造が生まれてきます。ここの根を断ち切るということを本当はしなければいけない。
財政というものは、国民からの税金を集めて、すなわち広く国民一般から薄く負担を集めて、それをある特定のところに厚く給付をすると、受益を与えるという、そういう構造になっているわけです。ですから、基本的に利益誘導が起こりやすい仕組みでございます。ですから、このことにつきましては、利益誘導を起こさないような形で、できるだけ起こさないような仕組みを入れていなければいけないということでございます。
最後に、小泉政権の構造改革の評価について一点触れておきたいと思います。
お手元の資料の三ページのところに用意しましたのは、中期展望というものを毎年一月に発表されますが、そこで示されましたその参考、それに関連しました参考資料で示された実質成長率、物価上昇率、完全失業率の数値でございます。
で、まず上に、上段にありますのは、これ二〇〇一と書いていますのは二〇〇一年度、ですから、これは昨年の一月に示された展望なんですけれども、このときは集中調整期間ということで取りあえずは痛みを生じてもいいと、それによって生じても構造改革をするということでございまして、二〇〇二年度の成長率はゼロ%というものを想定した。その後、V字型でもないんですけれども、回復軌道に乗せるという構想であったわけでございます。しかしながら、構造改革というものは十分に進んでいないという形が、一向に進んでいないというのが国民一般の評価ではないかというふうに思います。
そのことが実はその数字にも表れておりまして、この改定されました今年の一月に出されました展望では、二〇〇二年度の経済成長率は〇・九%というわけです。見通しよりはいいんですけれども、これは構造改革しなかったがためにこういう痛みを出さなかったということでございます。しかも、それで構造改革を結局一年間、集中調整期間を先送りするということをいたしまして、網掛けで示していますのは集中調整期間なんですけれども、全体に構造改革のスピードが一年間遅れるということでございます。
こういうふうに遅れたことがなぜ生じたかと。いろいろな理由があるかと思いますけれども、やはり今、与党の皆さんの考え方を聞いてみますと、政府の考え方とかなり違ったものが表れてきているというふうな印象を受けております。
これは、アメリカのような大統領制で、大統領と議会は別々の選挙で選ばれるということがあれば大統領を支持する政党と大統領が食い違うということが起こり得るんですけれども、議院内閣制の下では、政府と与党、政府といいますのはこれは内閣と政治任用の部分なんですけれども、政府と与党というのはやはり一体になって政策運営をしていただきたいなというふうに考えております。
今、財政がこういうふうな状況で進んでいくということが許されるのは、構造改革の期間中は痛みをできるだけ和らげる緩和措置を取るということだろうというふうに考えております。しかしながら、そうやって一年間巨額の財政赤字を作りますと、それは国債の累増という形で後に残ります。したがいまして、猶予期間というのは非常に限られているというふうに考えられます。
したがいまして、本当はこの二〇〇二年度の改定のところでも、こういうことなく、集中調整期間を延長することなく構造改革を迅速に進めていただきたいというふうに考えておりましたけれども、もうこれ以上の延長といいますか、構造改革の遅れというものは許されないのではないかというふうに私は考えております。
以上でございます。
この発言だけを見る →まず、平成十五年度予算の成立前に当たりまして私から申し上げたいことは、我が国の財政の状況は極めて深刻なものであるということでございます。十五年度の一般会計の予算ですと、歳出総額は八十一・八兆円なのですが、その中で租税及びそのほかの、印紙収入が占めるものが四十一・八兆円と約半分程度にすぎないということでございます。支出の約半分ほどしか収入がなく、残りを借入れに頼っているという状態といいますのは、家計や企業であればとっくにもう破産しているような状態でございまして、このような深刻な状態をこのまま続けていきますと財政の持続可能性というものの信認が失われて、やがて国債の暴落、最悪の場合にはデフォルトにつながりかねないという、そういう懸念があるということでございます。
しかしながら、現在の経済状況をかんがみれば、財政としてできる限りのことをするということで、このような財政の収支ギャップというものが容認されるということになろうかと思いますけれども、これからの議論の中で大事なことは、現在は非常に困難な状態にあるんですけれども、これをいかに脱却して、将来、財政を健全な姿に戻していくかという、そういう中長期的なシナリオというものをしっかりと検討して、それを説得的な形で国民に示し、さらには、その国債の購入者に示すということが必要であろうかというふうに考えております。
そのために政府が用意した文書といたしましては、今年の一月に出されました「改革と展望」というものがございまして、その中で、財政の今後の運営につきましては二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスの黒字化を目指すということが書かれております。これをどのように実行するのか、そのためには歳出と税制をどうするのかということにつきましては、やはりまだ文書の説明が足りないのではないかということが、私は懸念しております。したがいまして、これからその財政をどのようにして健全な姿に戻していくのかということにつきましてもっと議論を深めていくことが必要ではないかというふうに考えております。
当面の状況に戻りますと、現在、日本の経済は非常に長期の低迷を続けているわけなんですけれども、私は、その原因は構造問題に大きなものがあるというふうに考えております。とりわけ二つの問題が重要であるというふうに考えております。
第一番目の問題といいますのは、今、日本では長期的なトレンドとして産業構造の変化というものが起こっており、それに対応していかなければいけないということでございます。
お手元の資料の二ページのところに資料1といたしまして我が国の就業者数を産業別に示したグラフを用意いたしました。右側の方が最近の事情に当たるんですけれども、これを見ますと、九〇年代といいますのは製造業の就業者が持続的に低下しているということが表れております。これは言うまでもなく経済の空洞化現象でございまして、すなわち、製造業の生産拠点が海外の方に移り、日本でこれまで製造業に従事した人たちが職をなくしていっているという状態でございます。このような長期的なトレンドというものはもはや止めることはできないものであろうというふうに私は考えております。したがいまして、いかにして、こうやって失われた、製造業で失われた雇用というものを別の場所、恐らく成長産業として考えられるのはサービス業の中に含まれるものなんですけれども、それに転換していくかということが必要であろうかというふうに考えております。
しかしながら、この転換、非常に困難な構造問題でありまして、政府が何を、政府が何ができるかということからいきますと、かなり対応策としては限られたものになるだろうというふうに考えております。すなわち、新しい雇用の創出なんですけれども、これについて今まで政府が何をしてきたかといいますと、公共事業を増やしまして雇用を支えてきたという側面があります。これは、このグラフの中で建設業の就業人口が九〇年代にずっと上昇していたということが表われております。
しかしながら、これは後ろ向きの対策でありまして、本来は日本経済を牽引していくような強い産業に労働力をシフトさせていくということが必要でございます。しかしながら、そういう強い産業を見付け出し育成するということは必ずしも政府が得意とするものではございません。むしろ、強い産業というものは政府が手取り足取り育てなくても自ら育っていくものでなければいけないということでございます。ですから、政府が積極的に雇用のところに貢献する余地というのは私はかなり小さい、政府ができることは民間経済の活力の足を引っ張らないことであろうというふうに思います。その中で、持続的な失業者の発生というものは避けられないわけでありますけれども、それについては冷静に構造問題として対処していく必要があろうかと思います。
もう一つは、経済が成長速度が九〇年代に入って鈍化しているということでございまして、これからの日本経済の成長の巡航速度といいますのは、専門家の見解ですと大体二%程度だろうと、年間成長率で二%程度だろういうふうに言われております。
二%の経済成長といいますのは、すべての企業が二%で成長するということではございません。厳しい市場競争がございますので、うまくいっている企業は四%で成長するかもしれませんけれども、普通の企業はそのまま横ばい、ゼロ%成長かもしれないし、運が悪い企業はマイナス成長になるかもしれない。そういった形で、二%で経済が成長する中ではいわゆる負け組企業というものが現れてきて、そこから失業者が発生するということも避けられないわけでございます。したがいまして、持続的な失業者の新規発生というものは、日本経済としてはこれからは避けられない問題であろうというふうに思います。そのことは、今失業率が五%台に上昇しておりますけれども、これは循環的な問題だけではなくて、そういった構造的な問題が多く含まれているだろうというふうに私は考えております。
もう一つ大きな問題といいますのは、銀行が巨額の不良債権を抱えておりまして、それによって金融の仲介機能というものが損なわれておりまして、資金がうまく回っていないという状況がございます。これは不良債権問題というふうに言われますけれども、英語ではバンククライシスというふうにもう呼ばれるのが一般的でありまして、これは銀行の経営問題でございます。この銀行の経営問題、小泉政権発足当初は不良債権の処理というものを政策課題の最重要課題として掲げたわけでございますけれども、不良債権オフバランス化、不良債権をオフバランス化するということを加速化させて、できるだけ早期に金融仲介機能の健全化を図るということが必要であろうというふうに考えます。この部分に関しては、非常に重要な構造問題なんですけれども、政府はそれを積極的に進めなければいけないというふうに考えております。
次に、財政の方に戻りますけれども、この十五年度の予算の編成に向けました議論をいろいろと見ておりましたところ、私が感じたことは、歳出の削減の努力ということを幾つかやっておりましたけれども、どうもその削減の努力、削減の議論の方が前に出過ぎて、財政の本質的な問題というものが余り議論されていないではないかというふうに感じております。
我々が目指さなければいけないのは、財政を健全な姿に持っていくということなんですけれども、そのための距離というのがどれだけあるかということを考えますと、プライマリーバランス、黒字化の前にプライマリーバランスを取りあえず均衡に持っていくというふうにしますと、この十五年度予算の数値を見ますと、財政の収支を二十兆円ほど改善しなければいけないという、そういう数字になるわけでございます。すなわち、収入を増やすなり支出を減らすなりして収支改善を二十兆円図らなければいけないということでございます。
既に増税の話ということも出ておりまして、財界が消費税一六%といった具体的な数字の提言を出されておりますけれども、増税も必要なんですけれども、歳出削減というのもその前に必要だろうというふうに考えられます。これはいろいろと見方によって分かれるんですけれども、粗い数字でざっと申し上げますと、十兆円規模の歳出削減というのがこのプライマリーバランスの均衡に向けて必要ではないかというふうに考えております。
そうしますと、十兆円を歳出削減するといった場合に、これから取っていくべき戦略というのは二つあります。一つは、今すぐにでも十兆円削減するという、そういう用意はあるんですけれども、もしそういうことをしてしまえば経済に大きな負の影響を与えてしまうだろうと。だから、激変緩和措置として、二〇一〇年代初頭にかけて徐々に歳出を減らしていくという考え方が一つございます。もう一つは、どうやって十兆円減らしていいか今のところ全然見当が付かない。したがいまして、毎年毎年いろいろ苦労して、何とか二〇一〇年代初頭にはその削減に結び付けようという、そういう考え方でございます。私は、前の方に述べた考え方の方が整合的な形で財政再建を進められるというふうに思うんですけれども、どうも現状は後者の方であるというふうな気がいたしております。
したがいまして、本来議論すべき、ですから、この問題につきましては、財政を最終的に健全な姿に戻すということであれば、とりあえず足元のこの十五年度予算を眺めてみて、どこをどのように刈り取っていって、そして健全な財政歳出の姿に戻していくかというふうなことをやはりきっちりと検討していった方がいいと。毎年毎年場当たり的に対応するということは必ずしもいい結果を生まないだろうというふうに考えております。
一つ実例を御紹介いたします。
十五年度予算の編成の中で義務教育費国庫負担の問題が随分取り上げられました。これは補助金の議論の中でこれがやり玉に上がったんですけれども、補助金の中でこの義務教育費国庫負担金というのが最大の金額になっております。それである意味で目が付けられて、それでいろいろ騒いで、結局、約五千億円ほどこの負担金を減らすということで決着が付いてきたわけなのでございますけれども、この国庫負担金の問題といいますのは、後ろには国と地方の関係という大きな問題が実は隠れているわけでございまして、これは、小中学校の先生の給料を半分が国が、半分が地方が負担しているという問題、そういう構造になっております。
しかしながら、この地方の半分の負担に関しましては地方交付税の方で措置されるという、そういう構造になっているわけでありますけれども、同じような、何といいますか、給料の補助といたしましては、給料の使い方といたしましては警察官あるいは消防士の給料があるわけなんですけれども、これにつきましては全額地方負担ということになっておりますが、地方交付税で手当てされるという構造になっております。したがいまして、最終的には地方交付税で国が財源の手当てをしているんですけれども、たまたま半分が国庫負担、義務教育職員に関しましては国庫負担金という形で出ていたがためにやり玉に上がって、結局、それでいろいろ議論して削ったということなんですけれども、やはりそういう構造的な問題、本質的な問題には議論が行かず、いろいろ騒いで、大きなところの予算を少しずつ削っていくという、そういう、矮小化と言ってはちょっと言葉はきついかもしれませんけれども、そういった議論にどうしてもなってしまうということでございます。
私は、その本質の問題が議論されていないというふうに言いましたけれども、財政のところで構造改革ということが言われていますけれども、財政の構造改革として本質的な問題として議論しなければいけないことは、私は一点に尽きるだろうと思います。それは補助金に依存する体質というものをなくしていくということでございます。
補助金といいますのはいろいろありまして、いい補助金、筋のいい補助金、それから筋の悪い補助金というのがありまして、筋のいい補助金といいますのは、これは配分のルールが決まっていて、あまねく人々に行き渡るような、そういった補助金でございます。これはどうしても政府が財政を、手当てをするということで必要だということで取られた、仕組みとしては取られたものでありまして、それがその筋のいい方に入ります。
筋の悪い補助金といいますのは、奨励的補助金という言葉が使われますけれども、選択的に一部の人に与えられる、しかもその配分が官庁の裁量に任されている、あるいはいろいろな圧力が入ったりするということでございます。そうすると、そういう補助金に依存して活動を行ってくる民間部門、補助金頼りの民間部門あるいは地方自治体という、そういう甘えの構造が生まれてきます。ここの根を断ち切るということを本当はしなければいけない。
財政というものは、国民からの税金を集めて、すなわち広く国民一般から薄く負担を集めて、それをある特定のところに厚く給付をすると、受益を与えるという、そういう構造になっているわけです。ですから、基本的に利益誘導が起こりやすい仕組みでございます。ですから、このことにつきましては、利益誘導を起こさないような形で、できるだけ起こさないような仕組みを入れていなければいけないということでございます。
最後に、小泉政権の構造改革の評価について一点触れておきたいと思います。
お手元の資料の三ページのところに用意しましたのは、中期展望というものを毎年一月に発表されますが、そこで示されましたその参考、それに関連しました参考資料で示された実質成長率、物価上昇率、完全失業率の数値でございます。
で、まず上に、上段にありますのは、これ二〇〇一と書いていますのは二〇〇一年度、ですから、これは昨年の一月に示された展望なんですけれども、このときは集中調整期間ということで取りあえずは痛みを生じてもいいと、それによって生じても構造改革をするということでございまして、二〇〇二年度の成長率はゼロ%というものを想定した。その後、V字型でもないんですけれども、回復軌道に乗せるという構想であったわけでございます。しかしながら、構造改革というものは十分に進んでいないという形が、一向に進んでいないというのが国民一般の評価ではないかというふうに思います。
そのことが実はその数字にも表れておりまして、この改定されました今年の一月に出されました展望では、二〇〇二年度の経済成長率は〇・九%というわけです。見通しよりはいいんですけれども、これは構造改革しなかったがためにこういう痛みを出さなかったということでございます。しかも、それで構造改革を結局一年間、集中調整期間を先送りするということをいたしまして、網掛けで示していますのは集中調整期間なんですけれども、全体に構造改革のスピードが一年間遅れるということでございます。
こういうふうに遅れたことがなぜ生じたかと。いろいろな理由があるかと思いますけれども、やはり今、与党の皆さんの考え方を聞いてみますと、政府の考え方とかなり違ったものが表れてきているというふうな印象を受けております。
これは、アメリカのような大統領制で、大統領と議会は別々の選挙で選ばれるということがあれば大統領を支持する政党と大統領が食い違うということが起こり得るんですけれども、議院内閣制の下では、政府と与党、政府といいますのはこれは内閣と政治任用の部分なんですけれども、政府と与党というのはやはり一体になって政策運営をしていただきたいなというふうに考えております。
今、財政がこういうふうな状況で進んでいくということが許されるのは、構造改革の期間中は痛みをできるだけ和らげる緩和措置を取るということだろうというふうに考えております。しかしながら、そうやって一年間巨額の財政赤字を作りますと、それは国債の累増という形で後に残ります。したがいまして、猶予期間というのは非常に限られているというふうに考えられます。
したがいまして、本当はこの二〇〇二年度の改定のところでも、こういうことなく、集中調整期間を延長することなく構造改革を迅速に進めていただきたいというふうに考えておりましたけれども、もうこれ以上の延長といいますか、構造改革の遅れというものは許されないのではないかというふうに私は考えております。
以上でございます。
陣
大
大久保幸夫#4
○公述人(大久保幸夫君) 大久保でございます。
私は、専門が雇用労働問題でございますので、少し雇用の視点を中心にしながら、景気・経済の問題、お話をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、現況の労働市場の状況について最初少しお話をしたいというふうに思いますが、二〇〇一年の秋から求人数というのは前年比でいうとマイナスに転じまして、それ以来、求人の伸びというのは低迷を続けております。一部、職安の求人数や民間の発表しております求人件数の動きに少し回復の数字は出ておりますが、これも、公共職安も今、一生懸命、求人開拓に努力をしております。また、民間事業者も、一部無料による再掲載等を含めて少しでも多くの求人を紹介しようという努力を続けております結果として、若干求人数、少し上めに出ているところもありまして、実態としては現場関係者の見方は底ばい状態がまだ続いていてなかなか底離れをしないと、いつになったら底離れをするんだろうかと、こういったのが現場の見方ではないかというふうに思っております。もちろん一部の業界には、求人・雇用動向の回復の兆しが出てきているのも見て取れます。
お手元の資料の三ページ目に、産業別の求人動向というのを一覧表に付けてございます。これを見ますと、例えば電機あるいは自動車というのが求人が復活をし始めてきているという数字が出ておりますが、こちらに関しては、例えば電機であればデジタルカメラやDVDといったものが比較的製造が好調であると、あるいは自動車の生産台数も伸びているということが背景にあって求人数一部伸びてきておるわけでありますが、全体を見ますと、まだ相変わらずマイナス成長のところが大変多くて、最も厳しい銀行・証券といったところは求人数は去年と同じ月と比べても半分という状態になっておりますので、全体の求人はまだまだ決して楽観できるほど労働市場は回復の兆しに入っていないんだろうなというふうに私は見ております。
また、一方、賃金という問題も非常に市況を見る上で重要なんでありますが、賃金は、こちらも二〇〇一年度から明確に賃金が下落する傾向に入っております。
昨日、厚生労働省が発表いたしました賃金構造基本調査の中でも、一般労働者の所定内賃金が初めて一%ですか、下がったという発表が昨日されたところでありますが、実は私どもで昨年度、これは首都圏で大規模な調査を行いましたところ、この二年間に転職した人は転職によって賃金が二一%下がっているという結果が出ました。これは、企業は現在所属している正規従業員の賃金を抑制する一方で、雇い替えるといいますか、新たに雇い入れる人に関しては低賃金の労働者を雇っている、もしくは非正規労働者を雇うことによってコストダウンを図っていると、こういうことの証左であろうと、こういうふうに思います。単純な賃下げだけではない構造的な賃金の下落傾向というのが起こっていると、こういうことが一つ言えるんではないかと思います。
また、残業時間の方でありますが、こちらも昨年から所定外労働時間、残業時間は増えてきております。とりわけ三十代の人たちの残業時間が増えていますね。これは企業調査するのと個人調査するのとかなり違う結果が出るんですが、個人に調査をすると、三十代の人の一六%ぐらいは週六十時間以上働いておるという結果が出てきておりまして、これは過労の問題、心配になってくるところなんですが、一方では、企業調査の方ではそれほど、もちろん増えてはいるんですけれども、それほど大きくは所定外労働時間は増えておりませんで、つまりサービス残業が拡大しているということが現在起こっているのではないかと思います。
この所定外労働時間に対応する残業手当を含めても賃金はマイナスになっているということですから、長く働いて給料は少なくと、こういうことが起こっているというのが労働市場であろうかというふうに思います。
また、もう少しマクロ的に労働市場全体を俯瞰いたしますと、バブル崩壊以降も実は労働市場のパイというのは拡大を続けておりました。ところが、一九九七年から八年ごろをほぼピークとして、その後は雇用のパイは膨れなくなりました。大体横ばい状態が続いていると、こういうことになっているわけでありますが、ちょうどお手元の資料の数字を見ていただくと非常に構造がクリアにお分かりいただけるんじゃないかと思うんですが、九七年からずっと、そう大きく、全体規模は横ばいなんですね。この数年の間に正規従業員、つまり正社員は三百五十万人ぐらい大体減っていると。で、非正規の従業員がちょうどそれに相当する分、三百五十万人が増えているわけですね。差引きでいうとちょうど規模は同じと、こういうことになっているわけでありまして、ついに非正規労働、非正規従業員の比率は三〇%を超えました。特に、ここ数年の非正規の増加というのは、そのスピード、大変目をみはるものがございます。
これは、一つの会社の中で正社員同士が仕事を分かち合うという、いわゆる緊急避難型のワークシェアリングというものは昨年随分議論がされましたけれども、結果的には余り進んでおりませんで、これは各企業がこのようなワークシェアリングが生産性を落とす危険性があるということで、その導入を手控えているということが原因だろうというふうに思いますが、一方で、やや皮肉なことに、オランダがパートタイム労働の雇用を大幅に増やしたように、ある種の社会的ワークシェアリングというものが起こっていると。このことがこの数字の示す裏側にはあるのではないかというふうに私は理解をしております。
また、人材の流動化ということを少しお話をしたいと思いますが、この人材の流動化の状況については特に若年において急激な変化がございます。非常に若い層の転職、離職が増えていると。ここに、例えば十九歳以下の場合に、二〇〇一年で四五・六%の離職率というようにありますが、つまり、これはこの一年間の間にこの世代の人たちは百人いたら四十六人が、四十五人が離職をしているということなんですね。非常に頻繁に職を替えていると、こういう状態が起こっております。また、比較的収入水準の低い人ほど頻繁に転職をしているという結果も出ております。
さらに、雇用不安ということについても触れたいと思いますけれども、我々もこれまた調査をいたしましたところ、正社員においても五三%の方が自分自身の雇用に対して不安を感じているというふうに回答しております。つまり、この先自分自身がリストラの対象になるかもしれないし、あるいは大幅な賃下げの対象になるかもしれない、そういったことに関する不安を感じている。
このように、求人がなかなか回復してこない、そして賃金が低下してくる、あるいは市場相場賃金も下がり傾向だ、残業は増えている、若者を中心に離職は大幅に増えている、そしてまた雇用不安も高いと。なかなかこの労働市場というものが大きな課題を抱えている、抱え続けているということが言えるんではないだろうかというふうに私は感じておるところであります。
このような労働市場の状況なわけでありますが、その中で二つ喫緊の課題があるのではないかというふうに感じております。
一つは、失業期間が大変長期化していることに対して対策が必要であろうということであります。これも最新の統計によりますと、失業者のうち一年以上にわたって失業している人の比率が三〇・五%というふうに、三割を超えました。これもこの数年の間に急速に長期失業者比率が増えているという数字であります。
この一年以上にわたって失業しているということは、標準的な雇用保険の失業給付の給付期間が終わっている可能性が高いわけでありまして、これは何も好き好んで就職しないわけではなくて、大変就職活動した結果見付からずに長期化していると、つまり自力で就職するということに関してはかなり難しい状態に陥ってしまった人たちであろうということが想像できます。ところが、現政策によると、これは雇用保険を中心としたセーフティーネットの構造になっておりますので、雇用保険が切れてしまえば、後は実質的にはほとんどその人個人の努力によってしか自分自身の生業を支えることも就職先を探すこともできないというのが現状であろうというふうに思います。ここに一つ重要な喫緊の課題といいますか、政策上の課題があるのではないかというふうに私は思っております。
一つの方策というのは、これはイギリス政府がやっているものでありますが、二〇〇〇年からこれは公の部門と民間部門が連動いたしまして、長期失業に残念ながら陥ってしまった人たち、この人たちは、この人たちを公共職業紹介所から紹介された民間の委託先にいったん移して、そこでもう個人ごとに、パーソナルアドバイジングといいますか、キャリアカウンセラーがその人を徹底的に指導して、またその人に合った求人開拓をわざわざして就職させると、こういうことを始めております。この二年半の間に約十万人強の長期失業者をこれによって就職させまして、今発表されている数字によりますと、イギリス長期失業者は三二%減少したと、こういう成果が上がっております。一律にすべての人に対して一定のセーフティーネットを整えるということももちろん必要なんですけれども、その中でもかなり深刻な状態に陥ってしまった人については、個別の支援というものをもう一段階取る必要があるのではないかというふうに私は感じております。
そして、もう一つの喫緊の課題ということで申し上げたいのは、若年者の失業や無業というものがかなり拡大をしてきておるということであります。最近、頻繁に取り上げられる数字でございますけれども、高校生の卒業者のうち進学も就職もしないという人が一〇・五%、大学の卒業生のうち同じように進学も就職もしないという人が二一・七%、五人に一人という状態まで来ているわけであります。また、これは首都圏の調査でありますが、十八歳から二十四歳を対象にした調査でありますが、学校を卒業して最初に就いた職業がフリーターであったという人が三一%に及んでおります。
この状態というのは、もちろんフリーターがすべて悪いとは思いません。フリーターは一種のパートタイマーでありますし、サービス産業にとっては重要な労働力でありますから、一概にフリーターをけしからぬと言うのは正しくないと思いますけれども、ただ、その背景にあるものは、経済的あるいは社会的理由によって余り望ましくない選択の結果フリーターや無業に陥っている可能性があるのではないかということが気になるわけであります。
例えば、これは中高校生に統計を取りますと、いわゆるサラリーマンになるということに関するネガティブイメージといいますか、非常に悪い印象を持っているということが分かります。中高校生にとってサラリーマンというものを感じる場というのは、一つは、新聞やテレビのような報道を通じて、サラリーマンというのは頻繁にリストラをされていると、こういう姿であります。二つ目には、高校生は最近多くアルバイトをいたしますが、アルバイト先でたまたま見掛ける正社員の人たちの姿であります。そしてもう一つは、うちに帰ってくる父親の姿でありまして、この三つのイメージを総合して非常に悪いイメージを持っている。一体自分にとって一生懸命勉強した成果としてつながるプロセスは何なんだろうか、自分にとって仕事をするということはどういうことなんだろうかということが見えなくなってきている。これが学習意欲の低下、就業意欲の低下ということにかなり影響を及ぼしているのではないかというふうに思っております。
そして、もう一つは、高校の求人市場というものが壊滅的になってしまったということであります。高校の求人はこの十年間の間に求人数八分の一になりました。十年間で求人数八分の一というのは、ほとんど市場がなくなってしまったというのに近いぐらいの壊滅的な状況でございます。今現在は高校の就職志望の生徒たちに紹介してあげられる求人がなくて、各高校の先生が授業の合間に自ら求人開拓をして歩いている、こういう状態でありますが、当然先生方自身による求人開拓というのは限界があります。もう行き詰まりを迎えている。このような若年の失業、無業、未就業の状態に対しては早急に手を打つ必要があるというふうに私は思います。
一つは、やはり高校、各高校に完全に任せきりであった高校の新卒の就職市場というものに関して、ちゃんと外部に仕組みを作ってあげるということだろうというふうに思います。つまり、地域にキャリアセンター的な機能を作り、一括して求人も集めるし求人開拓も行う、あるいは必要に応じて民間の求人もそこに含めて紹介をしていくという取組が必要でありましょうし、あるいは専門のキャリアカウンセラーを雇い入れて各高校に派遣しながら就職指導に当たる、こういったことも考えなくてはならないのではないかというふうに思います。
また、先ほどサラリーマンに対するマイナスイメージのお話をしましたが、これはもう少し深く言えば、仕事というものを生き生きと生で感じる機会というものがなくなってきているということにつながっていると私は思います。つまり、小中という段階から、本当に自分の専門性を持って自分の仕事にプライドを持って生き生きと働いている人と直接接する機会を作ってあげるような、言わばキャリア教育というふうに言えると思いますが、そのような機会をきちんと開発していくことが求められているのではないかというふうに私は思っております。
さて、これは喫緊の課題として二つを申し上げましたけれども、もう少し長期的な、中長期的に取り組まないと成果の上がらない問題も二つ申し上げておきたいというふうに思います。
一つは、先ほど求人の停滞ということを申し上げましたけれども、求人の停滞以上に私は深刻だと思っているのは、労働市場で求められている能力水準と実際の労働者の能力水準というものにかなりのミスマッチが存在しているということであります。これは、企業経営が求める人材に対する能力というのは、競争の激化に伴って日に日に高くなってきておるわけであります。もう常に即戦力が欲しい、スペシャリストが欲しい、リーダーになり得る人材が欲しいと、こういうふうに思っているわけでありますが、なかなか企業側の人材要件にかなう人たちというのは多くない。つまり、このギャップというものが求人数の低迷以上に大きな問題として私は労働市場に降り掛かってきているのではないかというふうに思うわけであります。
つまり、雇用対策というものは、長期的に見るならば、これは人材育成政策にほかならないというふうに私は思っております。とりわけ、社会に出てからの職業能力の教育ということに関しては、これまではすべて企業内教育というものに完全に任せきりでありました。しかし、これは流動化が進めば当然心もとなくなってまいりますし、今現在も企業は確かに企業内教育、熱心にやっておりますが、それは中核的な人材に対するリーダーシップ開発であったりとか、あるいは、現場におけるすぐ学んですぐ使えるといったたぐいの教育が中心でございまして、なかなかすべての人たちに総合的に職業能力を高めるための教育を提供しているとは言い難い状況にございます。これに関して、外側に、つまり社会的に職業能力育成の仕組みを構築していく、あるいはここに対して一定の政策的な予算のシフトをしていくということが必要なのではないかというふうに思っております。
最後に、この労働市場で起こっていることをもう一度俯瞰的に申し上げますと、企業経営としては、競争力を高めるためにも何とか硬直化した人件費について、それを抑制したい、あるいはそこのコストを削減したいというふうな意思を強く持っております。
一方、社会的に見れば、何とか労働投入量といいますか、就業率を高めていくことを考えていかなければならない。既に、十五歳以上人口の中で就業している人の比率は五七%まで低下をしておりますし、あるいは国民全体で見れば働いている人の比率は二分の一以下であります。六十五歳以上の高齢者について言えば、一時期四十数%働いていた人たちは、もう二割を切る就業率まで低下をしてきている。こういうように、就業率低下の問題というのは経済に与えるインパクトが大きいものですから、何とか多くの人たちが働く場を見付けられるような構造を作っていく必要がある。
そして、もう一つ、個々人から見れば、自分の生活感や価値観に合った働き方というものを選択し、自分の満足感を高めていきたいと。この三つをどうバランスを取っていくのかというのが、私はこれは労働市場構造改革の一番本質ではないかというふうに思っております。
なかなか、低経済成長の下では正社員だけでこの需要を埋めるということは不可能でありまして、正社員と正社員の七掛けのパートタイマーという二極化した構造ではない、もう少し多様な、なだらかなワークシェアリングの選択肢を作っていくということが必要だろうというふうに思っております。なかなか多様な働き方の実現といっても、総論賛成、各論反対のぶつかることが多いのでありますが、このことを力強く進めていくことが長期的には重要であろうというふうに私は感じております。
以上、私の意見として申し述べさせていただきました。
この発言だけを見る →私は、専門が雇用労働問題でございますので、少し雇用の視点を中心にしながら、景気・経済の問題、お話をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、現況の労働市場の状況について最初少しお話をしたいというふうに思いますが、二〇〇一年の秋から求人数というのは前年比でいうとマイナスに転じまして、それ以来、求人の伸びというのは低迷を続けております。一部、職安の求人数や民間の発表しております求人件数の動きに少し回復の数字は出ておりますが、これも、公共職安も今、一生懸命、求人開拓に努力をしております。また、民間事業者も、一部無料による再掲載等を含めて少しでも多くの求人を紹介しようという努力を続けております結果として、若干求人数、少し上めに出ているところもありまして、実態としては現場関係者の見方は底ばい状態がまだ続いていてなかなか底離れをしないと、いつになったら底離れをするんだろうかと、こういったのが現場の見方ではないかというふうに思っております。もちろん一部の業界には、求人・雇用動向の回復の兆しが出てきているのも見て取れます。
お手元の資料の三ページ目に、産業別の求人動向というのを一覧表に付けてございます。これを見ますと、例えば電機あるいは自動車というのが求人が復活をし始めてきているという数字が出ておりますが、こちらに関しては、例えば電機であればデジタルカメラやDVDといったものが比較的製造が好調であると、あるいは自動車の生産台数も伸びているということが背景にあって求人数一部伸びてきておるわけでありますが、全体を見ますと、まだ相変わらずマイナス成長のところが大変多くて、最も厳しい銀行・証券といったところは求人数は去年と同じ月と比べても半分という状態になっておりますので、全体の求人はまだまだ決して楽観できるほど労働市場は回復の兆しに入っていないんだろうなというふうに私は見ております。
また、一方、賃金という問題も非常に市況を見る上で重要なんでありますが、賃金は、こちらも二〇〇一年度から明確に賃金が下落する傾向に入っております。
昨日、厚生労働省が発表いたしました賃金構造基本調査の中でも、一般労働者の所定内賃金が初めて一%ですか、下がったという発表が昨日されたところでありますが、実は私どもで昨年度、これは首都圏で大規模な調査を行いましたところ、この二年間に転職した人は転職によって賃金が二一%下がっているという結果が出ました。これは、企業は現在所属している正規従業員の賃金を抑制する一方で、雇い替えるといいますか、新たに雇い入れる人に関しては低賃金の労働者を雇っている、もしくは非正規労働者を雇うことによってコストダウンを図っていると、こういうことの証左であろうと、こういうふうに思います。単純な賃下げだけではない構造的な賃金の下落傾向というのが起こっていると、こういうことが一つ言えるんではないかと思います。
また、残業時間の方でありますが、こちらも昨年から所定外労働時間、残業時間は増えてきております。とりわけ三十代の人たちの残業時間が増えていますね。これは企業調査するのと個人調査するのとかなり違う結果が出るんですが、個人に調査をすると、三十代の人の一六%ぐらいは週六十時間以上働いておるという結果が出てきておりまして、これは過労の問題、心配になってくるところなんですが、一方では、企業調査の方ではそれほど、もちろん増えてはいるんですけれども、それほど大きくは所定外労働時間は増えておりませんで、つまりサービス残業が拡大しているということが現在起こっているのではないかと思います。
この所定外労働時間に対応する残業手当を含めても賃金はマイナスになっているということですから、長く働いて給料は少なくと、こういうことが起こっているというのが労働市場であろうかというふうに思います。
また、もう少しマクロ的に労働市場全体を俯瞰いたしますと、バブル崩壊以降も実は労働市場のパイというのは拡大を続けておりました。ところが、一九九七年から八年ごろをほぼピークとして、その後は雇用のパイは膨れなくなりました。大体横ばい状態が続いていると、こういうことになっているわけでありますが、ちょうどお手元の資料の数字を見ていただくと非常に構造がクリアにお分かりいただけるんじゃないかと思うんですが、九七年からずっと、そう大きく、全体規模は横ばいなんですね。この数年の間に正規従業員、つまり正社員は三百五十万人ぐらい大体減っていると。で、非正規の従業員がちょうどそれに相当する分、三百五十万人が増えているわけですね。差引きでいうとちょうど規模は同じと、こういうことになっているわけでありまして、ついに非正規労働、非正規従業員の比率は三〇%を超えました。特に、ここ数年の非正規の増加というのは、そのスピード、大変目をみはるものがございます。
これは、一つの会社の中で正社員同士が仕事を分かち合うという、いわゆる緊急避難型のワークシェアリングというものは昨年随分議論がされましたけれども、結果的には余り進んでおりませんで、これは各企業がこのようなワークシェアリングが生産性を落とす危険性があるということで、その導入を手控えているということが原因だろうというふうに思いますが、一方で、やや皮肉なことに、オランダがパートタイム労働の雇用を大幅に増やしたように、ある種の社会的ワークシェアリングというものが起こっていると。このことがこの数字の示す裏側にはあるのではないかというふうに私は理解をしております。
また、人材の流動化ということを少しお話をしたいと思いますが、この人材の流動化の状況については特に若年において急激な変化がございます。非常に若い層の転職、離職が増えていると。ここに、例えば十九歳以下の場合に、二〇〇一年で四五・六%の離職率というようにありますが、つまり、これはこの一年間の間にこの世代の人たちは百人いたら四十六人が、四十五人が離職をしているということなんですね。非常に頻繁に職を替えていると、こういう状態が起こっております。また、比較的収入水準の低い人ほど頻繁に転職をしているという結果も出ております。
さらに、雇用不安ということについても触れたいと思いますけれども、我々もこれまた調査をいたしましたところ、正社員においても五三%の方が自分自身の雇用に対して不安を感じているというふうに回答しております。つまり、この先自分自身がリストラの対象になるかもしれないし、あるいは大幅な賃下げの対象になるかもしれない、そういったことに関する不安を感じている。
このように、求人がなかなか回復してこない、そして賃金が低下してくる、あるいは市場相場賃金も下がり傾向だ、残業は増えている、若者を中心に離職は大幅に増えている、そしてまた雇用不安も高いと。なかなかこの労働市場というものが大きな課題を抱えている、抱え続けているということが言えるんではないだろうかというふうに私は感じておるところであります。
このような労働市場の状況なわけでありますが、その中で二つ喫緊の課題があるのではないかというふうに感じております。
一つは、失業期間が大変長期化していることに対して対策が必要であろうということであります。これも最新の統計によりますと、失業者のうち一年以上にわたって失業している人の比率が三〇・五%というふうに、三割を超えました。これもこの数年の間に急速に長期失業者比率が増えているという数字であります。
この一年以上にわたって失業しているということは、標準的な雇用保険の失業給付の給付期間が終わっている可能性が高いわけでありまして、これは何も好き好んで就職しないわけではなくて、大変就職活動した結果見付からずに長期化していると、つまり自力で就職するということに関してはかなり難しい状態に陥ってしまった人たちであろうということが想像できます。ところが、現政策によると、これは雇用保険を中心としたセーフティーネットの構造になっておりますので、雇用保険が切れてしまえば、後は実質的にはほとんどその人個人の努力によってしか自分自身の生業を支えることも就職先を探すこともできないというのが現状であろうというふうに思います。ここに一つ重要な喫緊の課題といいますか、政策上の課題があるのではないかというふうに私は思っております。
一つの方策というのは、これはイギリス政府がやっているものでありますが、二〇〇〇年からこれは公の部門と民間部門が連動いたしまして、長期失業に残念ながら陥ってしまった人たち、この人たちは、この人たちを公共職業紹介所から紹介された民間の委託先にいったん移して、そこでもう個人ごとに、パーソナルアドバイジングといいますか、キャリアカウンセラーがその人を徹底的に指導して、またその人に合った求人開拓をわざわざして就職させると、こういうことを始めております。この二年半の間に約十万人強の長期失業者をこれによって就職させまして、今発表されている数字によりますと、イギリス長期失業者は三二%減少したと、こういう成果が上がっております。一律にすべての人に対して一定のセーフティーネットを整えるということももちろん必要なんですけれども、その中でもかなり深刻な状態に陥ってしまった人については、個別の支援というものをもう一段階取る必要があるのではないかというふうに私は感じております。
そして、もう一つの喫緊の課題ということで申し上げたいのは、若年者の失業や無業というものがかなり拡大をしてきておるということであります。最近、頻繁に取り上げられる数字でございますけれども、高校生の卒業者のうち進学も就職もしないという人が一〇・五%、大学の卒業生のうち同じように進学も就職もしないという人が二一・七%、五人に一人という状態まで来ているわけであります。また、これは首都圏の調査でありますが、十八歳から二十四歳を対象にした調査でありますが、学校を卒業して最初に就いた職業がフリーターであったという人が三一%に及んでおります。
この状態というのは、もちろんフリーターがすべて悪いとは思いません。フリーターは一種のパートタイマーでありますし、サービス産業にとっては重要な労働力でありますから、一概にフリーターをけしからぬと言うのは正しくないと思いますけれども、ただ、その背景にあるものは、経済的あるいは社会的理由によって余り望ましくない選択の結果フリーターや無業に陥っている可能性があるのではないかということが気になるわけであります。
例えば、これは中高校生に統計を取りますと、いわゆるサラリーマンになるということに関するネガティブイメージといいますか、非常に悪い印象を持っているということが分かります。中高校生にとってサラリーマンというものを感じる場というのは、一つは、新聞やテレビのような報道を通じて、サラリーマンというのは頻繁にリストラをされていると、こういう姿であります。二つ目には、高校生は最近多くアルバイトをいたしますが、アルバイト先でたまたま見掛ける正社員の人たちの姿であります。そしてもう一つは、うちに帰ってくる父親の姿でありまして、この三つのイメージを総合して非常に悪いイメージを持っている。一体自分にとって一生懸命勉強した成果としてつながるプロセスは何なんだろうか、自分にとって仕事をするということはどういうことなんだろうかということが見えなくなってきている。これが学習意欲の低下、就業意欲の低下ということにかなり影響を及ぼしているのではないかというふうに思っております。
そして、もう一つは、高校の求人市場というものが壊滅的になってしまったということであります。高校の求人はこの十年間の間に求人数八分の一になりました。十年間で求人数八分の一というのは、ほとんど市場がなくなってしまったというのに近いぐらいの壊滅的な状況でございます。今現在は高校の就職志望の生徒たちに紹介してあげられる求人がなくて、各高校の先生が授業の合間に自ら求人開拓をして歩いている、こういう状態でありますが、当然先生方自身による求人開拓というのは限界があります。もう行き詰まりを迎えている。このような若年の失業、無業、未就業の状態に対しては早急に手を打つ必要があるというふうに私は思います。
一つは、やはり高校、各高校に完全に任せきりであった高校の新卒の就職市場というものに関して、ちゃんと外部に仕組みを作ってあげるということだろうというふうに思います。つまり、地域にキャリアセンター的な機能を作り、一括して求人も集めるし求人開拓も行う、あるいは必要に応じて民間の求人もそこに含めて紹介をしていくという取組が必要でありましょうし、あるいは専門のキャリアカウンセラーを雇い入れて各高校に派遣しながら就職指導に当たる、こういったことも考えなくてはならないのではないかというふうに思います。
また、先ほどサラリーマンに対するマイナスイメージのお話をしましたが、これはもう少し深く言えば、仕事というものを生き生きと生で感じる機会というものがなくなってきているということにつながっていると私は思います。つまり、小中という段階から、本当に自分の専門性を持って自分の仕事にプライドを持って生き生きと働いている人と直接接する機会を作ってあげるような、言わばキャリア教育というふうに言えると思いますが、そのような機会をきちんと開発していくことが求められているのではないかというふうに私は思っております。
さて、これは喫緊の課題として二つを申し上げましたけれども、もう少し長期的な、中長期的に取り組まないと成果の上がらない問題も二つ申し上げておきたいというふうに思います。
一つは、先ほど求人の停滞ということを申し上げましたけれども、求人の停滞以上に私は深刻だと思っているのは、労働市場で求められている能力水準と実際の労働者の能力水準というものにかなりのミスマッチが存在しているということであります。これは、企業経営が求める人材に対する能力というのは、競争の激化に伴って日に日に高くなってきておるわけであります。もう常に即戦力が欲しい、スペシャリストが欲しい、リーダーになり得る人材が欲しいと、こういうふうに思っているわけでありますが、なかなか企業側の人材要件にかなう人たちというのは多くない。つまり、このギャップというものが求人数の低迷以上に大きな問題として私は労働市場に降り掛かってきているのではないかというふうに思うわけであります。
つまり、雇用対策というものは、長期的に見るならば、これは人材育成政策にほかならないというふうに私は思っております。とりわけ、社会に出てからの職業能力の教育ということに関しては、これまではすべて企業内教育というものに完全に任せきりでありました。しかし、これは流動化が進めば当然心もとなくなってまいりますし、今現在も企業は確かに企業内教育、熱心にやっておりますが、それは中核的な人材に対するリーダーシップ開発であったりとか、あるいは、現場におけるすぐ学んですぐ使えるといったたぐいの教育が中心でございまして、なかなかすべての人たちに総合的に職業能力を高めるための教育を提供しているとは言い難い状況にございます。これに関して、外側に、つまり社会的に職業能力育成の仕組みを構築していく、あるいはここに対して一定の政策的な予算のシフトをしていくということが必要なのではないかというふうに思っております。
最後に、この労働市場で起こっていることをもう一度俯瞰的に申し上げますと、企業経営としては、競争力を高めるためにも何とか硬直化した人件費について、それを抑制したい、あるいはそこのコストを削減したいというふうな意思を強く持っております。
一方、社会的に見れば、何とか労働投入量といいますか、就業率を高めていくことを考えていかなければならない。既に、十五歳以上人口の中で就業している人の比率は五七%まで低下をしておりますし、あるいは国民全体で見れば働いている人の比率は二分の一以下であります。六十五歳以上の高齢者について言えば、一時期四十数%働いていた人たちは、もう二割を切る就業率まで低下をしてきている。こういうように、就業率低下の問題というのは経済に与えるインパクトが大きいものですから、何とか多くの人たちが働く場を見付けられるような構造を作っていく必要がある。
そして、もう一つ、個々人から見れば、自分の生活感や価値観に合った働き方というものを選択し、自分の満足感を高めていきたいと。この三つをどうバランスを取っていくのかというのが、私はこれは労働市場構造改革の一番本質ではないかというふうに思っております。
なかなか、低経済成長の下では正社員だけでこの需要を埋めるということは不可能でありまして、正社員と正社員の七掛けのパートタイマーという二極化した構造ではない、もう少し多様な、なだらかなワークシェアリングの選択肢を作っていくということが必要だろうというふうに思っております。なかなか多様な働き方の実現といっても、総論賛成、各論反対のぶつかることが多いのでありますが、このことを力強く進めていくことが長期的には重要であろうというふうに私は感じております。
以上、私の意見として申し述べさせていただきました。
陣
陣内孝雄#5
○委員長(陣内孝雄君) ありがとうございました。
以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
山
山下英利#6
○山下英利君 おはようございます。自由民主党の山下英利でございます。
本日は、平成十五年度の予算審議におけるこの公聴会、お二人の公述人の皆さんにおかれましては、お忙しい中、本当にありがとうございます。しばらくの間、トップバッターとしてただいまのお話についてちょっと御質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
まず、今日明日、非常に緊急度が高いといいますか、大変緊張している中でイラクの問題というのが大変大きくのし掛かっているわけでございますけれども、今、日本の置かれている現状というのを考えますと、イラクの問題というのを除きましても、大変深刻なデフレ経済の中で様々な問題を併発している状況。正に病人でいえば、一つの病気から二つ、三つとどんどん症状が広がってきてしまって、本当にそれを治すにはどこから手を付けていいんだろうかというふうな思いもするわけでございます。
岩本公述人にまずお伺いを申し上げたいんですが、常々、今まで日本はデフレ経済であると。そして、骨太の方針にも書かれておりますとおり、とにかくこのデフレ経済を克服しなければいけないと。この平成十五年度予算の中にもデフレ対策というものが盛り込まれているわけですけれども、まず、デフレの原因はどこにあるのかということがやはりはっきりと見えていない部分もあろうかというふうに思います。
まず、もちろん、空洞化、それからやはり将来の不安というようなところでの消費意欲が落ちているというのも一つの原因でしょうし、そしてもう一つは、やはりバブルが崩れた後の要するに資産デフレというものが止まらないと。正にイタチごっこのような感じで、もうこの資産デフレを止めるためにはどうしたらいいのか。それから、構造的ないわゆる景気循環、これに手を付けるにはどうしたらいいのか。その辺がはっきり見えてこないというところが、私は、よく言われております小泉内閣、改革の中身が見えてこないというところにもつながってくるんではないかなと、そういうふうに思っているわけですけれども、まず、岩本先生、大きく分けてデフレの原因って何でしょう。
この発言だけを見る →本日は、平成十五年度の予算審議におけるこの公聴会、お二人の公述人の皆さんにおかれましては、お忙しい中、本当にありがとうございます。しばらくの間、トップバッターとしてただいまのお話についてちょっと御質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
まず、今日明日、非常に緊急度が高いといいますか、大変緊張している中でイラクの問題というのが大変大きくのし掛かっているわけでございますけれども、今、日本の置かれている現状というのを考えますと、イラクの問題というのを除きましても、大変深刻なデフレ経済の中で様々な問題を併発している状況。正に病人でいえば、一つの病気から二つ、三つとどんどん症状が広がってきてしまって、本当にそれを治すにはどこから手を付けていいんだろうかというふうな思いもするわけでございます。
岩本公述人にまずお伺いを申し上げたいんですが、常々、今まで日本はデフレ経済であると。そして、骨太の方針にも書かれておりますとおり、とにかくこのデフレ経済を克服しなければいけないと。この平成十五年度予算の中にもデフレ対策というものが盛り込まれているわけですけれども、まず、デフレの原因はどこにあるのかということがやはりはっきりと見えていない部分もあろうかというふうに思います。
まず、もちろん、空洞化、それからやはり将来の不安というようなところでの消費意欲が落ちているというのも一つの原因でしょうし、そしてもう一つは、やはりバブルが崩れた後の要するに資産デフレというものが止まらないと。正にイタチごっこのような感じで、もうこの資産デフレを止めるためにはどうしたらいいのか。それから、構造的ないわゆる景気循環、これに手を付けるにはどうしたらいいのか。その辺がはっきり見えてこないというところが、私は、よく言われております小泉内閣、改革の中身が見えてこないというところにもつながってくるんではないかなと、そういうふうに思っているわけですけれども、まず、岩本先生、大きく分けてデフレの原因って何でしょう。
岩
岩本康志#7
○公述人(岩本康志君) デフレという言葉には二つの意味が込められておりまして、物価が下がるということと、あと経済活動が悪くなるということなんですけれども、基本的に分けてお話ししなければいけないというふうに思っております。
まず、経済活動の低迷の方なんですけれども、これにつきましては経済学的に分析しますと、循環的な要因、有効需要が不足しているというふうな要因の考え方と、もう一つは構造問題であるという考え方がございます。
私は、構造問題のことを先ほど御指摘しましたけれども、こちらの方がより深刻で決定的な問題だというふうに考えております。もし循環的な需要不足でありましたら、それは財政金融政策によって埋めて、また需要が回復するのを待つということで対策を打つわけなんですけれども、それに関しましては、もう既に我が国は、財政政策は、これだけの財政赤字を生み出して需要を生み出している。そして、金融政策に至りましては、もうゼロ金利まで金利をもう下げているということでございます。したがいまして、その循環的要因への対処はもう我が国は既に十分やってきている、それにもかかわらず低迷しているということであれば、そこには構造問題があるんだというふうに考えなければいけない。
そして、私は先ほど御指摘しましたように、やはり金融仲介機能の低下、これによって信用収縮が起こっております。中小企業への貸し渋りということも、貸しはがし、貸し渋り、貸しはがしということも起こっております。これによって経済活動が萎縮しているという側面がかなり大きく出ているというふうに考えております。
したがいまして、この経済活動低迷を脱出するために政府が何をやるべきかということであれば、まず一番、非常に大きな問題なんですけれども、取り組まなければいけないのは、不良債権を銀行が抱えているという問題を何とかしなければいけないというところにあろうかと思います。
デフレの問題なんですけれども、景気が悪くなると物価が下がるという局面がございます。しかしながら、もう持続的な物価下落はこれだけ生じておりまして、中でも二〇〇〇年は少し経済は回復、先立ち、回復しておりました。それ以前にも、ITバブルと呼ばれたところでも少し景気だけは上向いたわけであります。循環的に見ますといい状態もあったわけなんですけれども、そういった中で現在、この持続的な物価下落というのが生じているということなんです。
これは、実は逆説的になるかもしれませんけれども、ゼロ金利が原因だというふうに考えております。どういうことかといいますと、ちょっと専門的になりますけれども、フィッシャー方程式という考え方がございまして、そのゼロ金利の下で、しかしいろいろ投資をすれば実質金利というものはある程度正の値にならなきゃいけないという実は関係がございまして、そうしますと物価が下落していないとインフレ率と名目金利と実質金利の関係が合わないということがございます。
ゼロ金利がデフレの原因だというふうなこと、ちょっと分かりにくいかもしれませんけれども、この問題をデフレ脱却、物価下落から脱却するにはどうすればいいかということで考え直しますと、例えばインフレ率につきましては一ないし三%とかが望ましい数値と言われていますけれども、仮に二%というふうにしておきましょうか。物価上昇率が二%、それで実質金利もある程度正の値、例えば二%ということにしておきますと、そのときに必要な名目金利というのは四%であります。
したがいまして、デフレ脱却のために必要な名目金利というのは今よりも高い水準、四%ということになる、長期的にはそうなるということなんです。ゼロから四%のところに持っていくという、そういうふうなパスというものをうまく作らないと、実はデフレ脱却にならないということでございます。
ゼロ金利のままずっと続けておきますと、その間実質金利が正でありますと、デフレはずっと継続するということでございます。デフレが継続しますと、名目で固定されている債務というものがこれは借り手に対して負担になりますから、それが更に深刻な問題を起こすということであります。
したがいまして、そうすると、私が先ほどの公述で申し上げたことと今申し上げたこと、実は長期のあるべき姿から、先のことから逆算して今何をすべきかということを考えていこうということでお話ししているわけでございますけれども、そのようなことから見ますと、今必要なのは、デフレを脱却するためにはとにかくマネーサプライを増やさなければいけないということになってくるかと思いますが、マネーサプライというのは不良債権問題がございましてなかなか増えないという状態になっております。
したがいまして、手順としましては、まず不良債権問題をしっかり片付けて、それから、手順としては同時でもいいんですけれども、マネーサプライを引き上げるような日銀は金融緩和を続けるということになろうかと思います。とにかくそういうことを地道ですけれども続けていけば、やがて経済は上向いていくのではないかというふうに私は考えております。
この発言だけを見る →まず、経済活動の低迷の方なんですけれども、これにつきましては経済学的に分析しますと、循環的な要因、有効需要が不足しているというふうな要因の考え方と、もう一つは構造問題であるという考え方がございます。
私は、構造問題のことを先ほど御指摘しましたけれども、こちらの方がより深刻で決定的な問題だというふうに考えております。もし循環的な需要不足でありましたら、それは財政金融政策によって埋めて、また需要が回復するのを待つということで対策を打つわけなんですけれども、それに関しましては、もう既に我が国は、財政政策は、これだけの財政赤字を生み出して需要を生み出している。そして、金融政策に至りましては、もうゼロ金利まで金利をもう下げているということでございます。したがいまして、その循環的要因への対処はもう我が国は既に十分やってきている、それにもかかわらず低迷しているということであれば、そこには構造問題があるんだというふうに考えなければいけない。
そして、私は先ほど御指摘しましたように、やはり金融仲介機能の低下、これによって信用収縮が起こっております。中小企業への貸し渋りということも、貸しはがし、貸し渋り、貸しはがしということも起こっております。これによって経済活動が萎縮しているという側面がかなり大きく出ているというふうに考えております。
したがいまして、この経済活動低迷を脱出するために政府が何をやるべきかということであれば、まず一番、非常に大きな問題なんですけれども、取り組まなければいけないのは、不良債権を銀行が抱えているという問題を何とかしなければいけないというところにあろうかと思います。
デフレの問題なんですけれども、景気が悪くなると物価が下がるという局面がございます。しかしながら、もう持続的な物価下落はこれだけ生じておりまして、中でも二〇〇〇年は少し経済は回復、先立ち、回復しておりました。それ以前にも、ITバブルと呼ばれたところでも少し景気だけは上向いたわけであります。循環的に見ますといい状態もあったわけなんですけれども、そういった中で現在、この持続的な物価下落というのが生じているということなんです。
これは、実は逆説的になるかもしれませんけれども、ゼロ金利が原因だというふうに考えております。どういうことかといいますと、ちょっと専門的になりますけれども、フィッシャー方程式という考え方がございまして、そのゼロ金利の下で、しかしいろいろ投資をすれば実質金利というものはある程度正の値にならなきゃいけないという実は関係がございまして、そうしますと物価が下落していないとインフレ率と名目金利と実質金利の関係が合わないということがございます。
ゼロ金利がデフレの原因だというふうなこと、ちょっと分かりにくいかもしれませんけれども、この問題をデフレ脱却、物価下落から脱却するにはどうすればいいかということで考え直しますと、例えばインフレ率につきましては一ないし三%とかが望ましい数値と言われていますけれども、仮に二%というふうにしておきましょうか。物価上昇率が二%、それで実質金利もある程度正の値、例えば二%ということにしておきますと、そのときに必要な名目金利というのは四%であります。
したがいまして、デフレ脱却のために必要な名目金利というのは今よりも高い水準、四%ということになる、長期的にはそうなるということなんです。ゼロから四%のところに持っていくという、そういうふうなパスというものをうまく作らないと、実はデフレ脱却にならないということでございます。
ゼロ金利のままずっと続けておきますと、その間実質金利が正でありますと、デフレはずっと継続するということでございます。デフレが継続しますと、名目で固定されている債務というものがこれは借り手に対して負担になりますから、それが更に深刻な問題を起こすということであります。
したがいまして、そうすると、私が先ほどの公述で申し上げたことと今申し上げたこと、実は長期のあるべき姿から、先のことから逆算して今何をすべきかということを考えていこうということでお話ししているわけでございますけれども、そのようなことから見ますと、今必要なのは、デフレを脱却するためにはとにかくマネーサプライを増やさなければいけないということになってくるかと思いますが、マネーサプライというのは不良債権問題がございましてなかなか増えないという状態になっております。
したがいまして、手順としましては、まず不良債権問題をしっかり片付けて、それから、手順としては同時でもいいんですけれども、マネーサプライを引き上げるような日銀は金融緩和を続けるということになろうかと思います。とにかくそういうことを地道ですけれども続けていけば、やがて経済は上向いていくのではないかというふうに私は考えております。
山
山下英利#8
○山下英利君 どうもありがとうございます。
今の先生のお話を伺っていますと、最近よく言われる話でインフレターゲット論というところにちょっと御質問をさせていただきたいなと思うんですが、私自身も、これ、インフレターゲットというのは世界でもだれもやったことがないというふうな政策リスク、これを本当に取っていいんだろうかというところで相当悩むというか、じくじたるものがありまして、そして言ってみればそれをやらなくて、ほかの手だてを打って金融政策というのがうまく循環していく手だてはないんだろうか、そんなことを考えているわけであります。
今、財政政策と金融政策、これは車の両輪でやっていかなければいけない。だけど、今、岩本先生がおっしゃったように、金融政策でもってデフレを解消するといったところでの金融の仲介機能を回復するといった場合でも、金融の仲介機能、すなわち信用リスクが取れるようにするためには、これは財政政策というか景気刺激、これはして少しでも企業に活力を与えないと、取れるリスクも取れないのではないかなというふうなところもよく言われるわけなんですけれども、その辺のところ。
それからもう一つは、最近よく言われる言葉で、中国はデフレを輸出しているんじゃないかと。要するに、空洞化も含めて、中国は世界の工場と言われておりますけれども、そこでどんどん生産がいくことによって安いものがどんどん入ってくる、ユニクロ現象のような形で。そうなったときには、むしろその外的な要因でデフレが進行しているというようなところも否めないのではないかと。そうした場合には、今度は財政、もちろん金融政策の中で、じゃ為替の政策というのはどういうふうに持っていけばいいのか、その辺のところのお考えがもしありましたらお聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →今の先生のお話を伺っていますと、最近よく言われる話でインフレターゲット論というところにちょっと御質問をさせていただきたいなと思うんですが、私自身も、これ、インフレターゲットというのは世界でもだれもやったことがないというふうな政策リスク、これを本当に取っていいんだろうかというところで相当悩むというか、じくじたるものがありまして、そして言ってみればそれをやらなくて、ほかの手だてを打って金融政策というのがうまく循環していく手だてはないんだろうか、そんなことを考えているわけであります。
今、財政政策と金融政策、これは車の両輪でやっていかなければいけない。だけど、今、岩本先生がおっしゃったように、金融政策でもってデフレを解消するといったところでの金融の仲介機能を回復するといった場合でも、金融の仲介機能、すなわち信用リスクが取れるようにするためには、これは財政政策というか景気刺激、これはして少しでも企業に活力を与えないと、取れるリスクも取れないのではないかなというふうなところもよく言われるわけなんですけれども、その辺のところ。
それからもう一つは、最近よく言われる言葉で、中国はデフレを輸出しているんじゃないかと。要するに、空洞化も含めて、中国は世界の工場と言われておりますけれども、そこでどんどん生産がいくことによって安いものがどんどん入ってくる、ユニクロ現象のような形で。そうなったときには、むしろその外的な要因でデフレが進行しているというようなところも否めないのではないかと。そうした場合には、今度は財政、もちろん金融政策の中で、じゃ為替の政策というのはどういうふうに持っていけばいいのか、その辺のところのお考えがもしありましたらお聞かせいただきたいと思います。
岩
岩本康志#9
○公述人(岩本康志君) その辺りの財政金融政策の在り方というのは、学会でも非常に激しい論争が起こっているところだと思います。
今御質問のありましたような考え方、不良債権を処理するにしても、こういうデフレ環境で処理すれば損失が膨らむだけだと、もっと景気が良くなってから処理した方がいいというふうな、そういう考え方はたくさんの方、多くの方がおっしゃっているわけなんですけれども、しかしながら実行可能性がどれだけあるのかということを考えますと、私は、そういう形で問題を先送りしていくことが更にデフレを進めて、今よりも要するにもっと大きな費用で処理しなければいけないということになる危険性の方が高いのではないかというふうに考えております。
しかし、この問題は、不良債権の処理の問題はもう既に十分先送りされてきているわけです。もしこれを二年前、三年前あるいは五年前でも処理していれば今処理をするよりもはるかに小さな費用で済んでいたわけでございます。
したがいまして、今このままほっておけばどんどんデフレは進むだろうという状況に私はあると思います。そうすることで、そういう状態でありましたら、これは先送りしてまた別の可能性が出るというギャンブルをするのではなくて、もうこの段階で損切りをするといいますか、はっきりと決着を付けてしまって、出すべき、ある程度の公的な負担も必要かもしれませんけれども、そういったものを、出すべきものは今しっかり出しておいて、もうリスクから、この問題のリスクから決別するということが求められているのではないかと思います。それがその御質問にありました、国民が抱えているリスクを少しでも解消するということにつながるのではないかというふうに考えております。
中国の影響ということなんですけれども、これにつきましても、考え方はいろいろあるんですけれども、私の考えているところですと、これ、為替レートで基本的には調整が可能な問題だというふうに思っております。したがいまして、必ずしも中国が日本のデフレの原因とは限らないというふうに思っております。
しかしながら、今デフレは世界的な現象になりつつあるといいますか、そういう世界じゅうがデフレになるという危険性があろうかと思います。それは、世界じゅうが金融を緩和しておりまして金利がどんどん下がっているというわけでございまして、低金利ということがそのまま物価の下落ということに実は長期的にはつながっているということになっておりますので、そういった問題でも世界的な現象というのは表れてくるのではないかというふうに懸念しております。そのためにも早く日本はデフレから脱却することが必要だろうというふうに思っております。
そして、為替レートなんですけれども、円安にもし誘導することが可能であれば、それは日本経済にとってはインフレ要因に働くということでありますので、それは一つの重要な可能性として考えられるかと思います。しかしながら、これを政策的に余り誘導しますと、これは外国にとっては迷惑を掛けるような政策になりますから、自然な形で円安が進むということであれば、それを容認するといいますか歓迎するという、そういうスタンスで臨めばいいのではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →今御質問のありましたような考え方、不良債権を処理するにしても、こういうデフレ環境で処理すれば損失が膨らむだけだと、もっと景気が良くなってから処理した方がいいというふうな、そういう考え方はたくさんの方、多くの方がおっしゃっているわけなんですけれども、しかしながら実行可能性がどれだけあるのかということを考えますと、私は、そういう形で問題を先送りしていくことが更にデフレを進めて、今よりも要するにもっと大きな費用で処理しなければいけないということになる危険性の方が高いのではないかというふうに考えております。
しかし、この問題は、不良債権の処理の問題はもう既に十分先送りされてきているわけです。もしこれを二年前、三年前あるいは五年前でも処理していれば今処理をするよりもはるかに小さな費用で済んでいたわけでございます。
したがいまして、今このままほっておけばどんどんデフレは進むだろうという状況に私はあると思います。そうすることで、そういう状態でありましたら、これは先送りしてまた別の可能性が出るというギャンブルをするのではなくて、もうこの段階で損切りをするといいますか、はっきりと決着を付けてしまって、出すべき、ある程度の公的な負担も必要かもしれませんけれども、そういったものを、出すべきものは今しっかり出しておいて、もうリスクから、この問題のリスクから決別するということが求められているのではないかと思います。それがその御質問にありました、国民が抱えているリスクを少しでも解消するということにつながるのではないかというふうに考えております。
中国の影響ということなんですけれども、これにつきましても、考え方はいろいろあるんですけれども、私の考えているところですと、これ、為替レートで基本的には調整が可能な問題だというふうに思っております。したがいまして、必ずしも中国が日本のデフレの原因とは限らないというふうに思っております。
しかしながら、今デフレは世界的な現象になりつつあるといいますか、そういう世界じゅうがデフレになるという危険性があろうかと思います。それは、世界じゅうが金融を緩和しておりまして金利がどんどん下がっているというわけでございまして、低金利ということがそのまま物価の下落ということに実は長期的にはつながっているということになっておりますので、そういった問題でも世界的な現象というのは表れてくるのではないかというふうに懸念しております。そのためにも早く日本はデフレから脱却することが必要だろうというふうに思っております。
そして、為替レートなんですけれども、円安にもし誘導することが可能であれば、それは日本経済にとってはインフレ要因に働くということでありますので、それは一つの重要な可能性として考えられるかと思います。しかしながら、これを政策的に余り誘導しますと、これは外国にとっては迷惑を掛けるような政策になりますから、自然な形で円安が進むということであれば、それを容認するといいますか歓迎するという、そういうスタンスで臨めばいいのではないかというふうに考えております。
山
山下英利#10
○山下英利君 どうもありがとうございます。
次に、財政についてお聞かせをいただきたいと思うんですけれども、先ほど岩本公述人の方から十兆円規模の歳出削減と、それをゆっくりソフトランディングを目指していくのか、あるいはもう時間は限られているということでドラスチックにいくのかという話の中で、先生先ほど、金融機関の不良債権の処理問題も含めて、やはり今やってしまわなければこの構造改革の実は出てこないというふうな形で私もお聞きをしたんですけれども、そこで私からの質問は、じゃ実際十兆円規模の歳出削減、これ、どの程度ドラスチックにやっていくのかということと、それから、そのときに実体経済ではどういう影響が出てくるのか、大体先生のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
それともう一つは、地方分権これから進めていくという中で、補助金政策、これをその体質の脱却をしていくということでありますが、要するに均衡ある国土の発展ということの大前提の中でやはり地方というものを見たときの今までの補助金政策をこれから変えていく流れの中では、やはり税制というものも大きい部分であると思います。税制、税制度、今回の予算の中では、まず国の大きな財政の中で多年度中立という考え方、これが導入されたということもありますけれども、やはりこれから地方ということを考えますと、地方にいかにいわゆる裁量と申しますか、地方独自の特色を出してもらえるような形での財源を移し替えていく、そういった流れの中で直間比率の問題、あるいは国税と地方税の問題、その比率の辺りをこれからどういうふうに見ていったらいいのかということが大変ポイントになるのではないかと思いますけれども、その二点につきましてちょっとお考えをお聞かせください。
この発言だけを見る →次に、財政についてお聞かせをいただきたいと思うんですけれども、先ほど岩本公述人の方から十兆円規模の歳出削減と、それをゆっくりソフトランディングを目指していくのか、あるいはもう時間は限られているということでドラスチックにいくのかという話の中で、先生先ほど、金融機関の不良債権の処理問題も含めて、やはり今やってしまわなければこの構造改革の実は出てこないというふうな形で私もお聞きをしたんですけれども、そこで私からの質問は、じゃ実際十兆円規模の歳出削減、これ、どの程度ドラスチックにやっていくのかということと、それから、そのときに実体経済ではどういう影響が出てくるのか、大体先生のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
それともう一つは、地方分権これから進めていくという中で、補助金政策、これをその体質の脱却をしていくということでありますが、要するに均衡ある国土の発展ということの大前提の中でやはり地方というものを見たときの今までの補助金政策をこれから変えていく流れの中では、やはり税制というものも大きい部分であると思います。税制、税制度、今回の予算の中では、まず国の大きな財政の中で多年度中立という考え方、これが導入されたということもありますけれども、やはりこれから地方ということを考えますと、地方にいかにいわゆる裁量と申しますか、地方独自の特色を出してもらえるような形での財源を移し替えていく、そういった流れの中で直間比率の問題、あるいは国税と地方税の問題、その比率の辺りをこれからどういうふうに見ていったらいいのかということが大変ポイントになるのではないかと思いますけれども、その二点につきましてちょっとお考えをお聞かせください。
岩
岩本康志#11
○公述人(岩本康志君) 歳出削減につきましては、少し私の説明がまずかったかもしれませんけれども、私が申し上げたかったことは、十兆円をこれから十年掛けて削減するといった場合に、しっかりした海図といいますか、どういうふうに減らしていくのかというそういうプランを持って進むのと、そうではなくて場当たり的に進むのとどちらがいいやり方であるかということを選択しようとした場合、やはり前者の方がいいのではないかというふうなことでありまして、例えば来年度予算で十兆円直ちに削れということになりましたら、これは大変なことになるから、そういうことはすべきではない、そういうことをしない、激変緩和措置として徐々に減らしていくのが望ましいのではないかということを私は申し上げました。まずそれが私の意見でございます。
そうしますと、十兆円の中身なんですけれども、これを正に皆様方に、国民それから国会それから政府でしっかりと検討していただきたいなというふうに考えております。
私の意見を少し申し上げますと、今一番大きな項目というのはこれは社会保障費なんですけれども、これをじゃ絶対額で減らしていくということは不可能ではないかというふうに思っております。既に年金の国庫負担をこれ引き上げますとそれだけで膨らむわけでありますが、それ以外にも、高齢化が進むわけですから、需要というもの、社会保障費に関する需要というものはこれから増えることはあっても減ることはないということでありますから、この部分に関しましては減らすということは恐らく無理ではないかというふうに考えております。
そうすると、そのほかのところで重点的に考えなければいけないことといいますのは、一つは公共事業、もう一つは先ほど言いました補助金の問題だろうと思います。そのほかにも、あらゆる項目につきまして議論といいますか、その削減をすべきかどうかということの議論が必要ではないかというふうに考えております。
税制と地方の問題なんですけれども、私が補助金依存体質と問題点と指摘した一つには、地方がやはり交付税に頼っているという、それから補助金に頼っているという、そういうふうな状態があります。すなわち、地方を自立させるような仕組みに転換することが必要だろうというふうに考えております。そのための考え方、基本的な考え方は極めて簡単なものに尽きると思います。すなわち、地方の仕事と国の仕事をはっきり仕分すると、そして地方の仕事はもう地方の財源として最初に地方が税収を集めると、それで国の仕事は国の財源として国が集めると。国から地方に変な形でお金を移転するというふうなことはできるだけやめようというふうな方向で考えていけばいいのではないかというふうに思っております。
以上でございます。
この発言だけを見る →そうしますと、十兆円の中身なんですけれども、これを正に皆様方に、国民それから国会それから政府でしっかりと検討していただきたいなというふうに考えております。
私の意見を少し申し上げますと、今一番大きな項目というのはこれは社会保障費なんですけれども、これをじゃ絶対額で減らしていくということは不可能ではないかというふうに思っております。既に年金の国庫負担をこれ引き上げますとそれだけで膨らむわけでありますが、それ以外にも、高齢化が進むわけですから、需要というもの、社会保障費に関する需要というものはこれから増えることはあっても減ることはないということでありますから、この部分に関しましては減らすということは恐らく無理ではないかというふうに考えております。
そうすると、そのほかのところで重点的に考えなければいけないことといいますのは、一つは公共事業、もう一つは先ほど言いました補助金の問題だろうと思います。そのほかにも、あらゆる項目につきまして議論といいますか、その削減をすべきかどうかということの議論が必要ではないかというふうに考えております。
税制と地方の問題なんですけれども、私が補助金依存体質と問題点と指摘した一つには、地方がやはり交付税に頼っているという、それから補助金に頼っているという、そういうふうな状態があります。すなわち、地方を自立させるような仕組みに転換することが必要だろうというふうに考えております。そのための考え方、基本的な考え方は極めて簡単なものに尽きると思います。すなわち、地方の仕事と国の仕事をはっきり仕分すると、そして地方の仕事はもう地方の財源として最初に地方が税収を集めると、それで国の仕事は国の財源として国が集めると。国から地方に変な形でお金を移転するというふうなことはできるだけやめようというふうな方向で考えていけばいいのではないかというふうに思っております。
以上でございます。
山
山下英利#12
○山下英利君 どうもありがとうございます。
岩本先生にはもう一点御質問させていただいて、その後大久保先生の方に移りたいと思うんですけれども、今この平成十五年度の予算を審議するに当たって、要するに財政の再建と景気の浮揚と車の両輪だということで考えているわけなんですけれども、じゃ、どちらを優先すればいい、優先しなければいけないかと言われた場合には、先生はどちらだというふうにお考えでいらっしゃいますか。
この発言だけを見る →岩本先生にはもう一点御質問させていただいて、その後大久保先生の方に移りたいと思うんですけれども、今この平成十五年度の予算を審議するに当たって、要するに財政の再建と景気の浮揚と車の両輪だということで考えているわけなんですけれども、じゃ、どちらを優先すればいい、優先しなければいけないかと言われた場合には、先生はどちらだというふうにお考えでいらっしゃいますか。
岩
岩本康志#13
○公述人(岩本康志君) 十五年度の予算につきましては、私は景気に対して十分このスタンスで配慮しているというふうに考えております。
したがって、今、政策の手順といたしましては、先ほど申したとおり、構造問題の対処をしっかりとするということ、そのために痛みが生じるんでしょうけれども、そのための手当てとして財政金融政策はしっかり支えるべきだろうと思います。それが構造、不良債権問題の改革が終わった後に財政再建というのを進めるというそういう手順だろうと思います。
ですから、優先問題ということでいきますと、まず景気の問題を考えて、財政再建というものを今から、今急ぐ必要はないと思います。逆に今年度予算につきましては、少しいろんな面で財務省の方ではこの再建の方に急ぎ過ぎているかなというふうな、そういった、何といいますか、感触は私は持っております。したがって、まず最初に経済の回復ということにしっかり努めるべきだろうというふうに思います。
この発言だけを見る →したがって、今、政策の手順といたしましては、先ほど申したとおり、構造問題の対処をしっかりとするということ、そのために痛みが生じるんでしょうけれども、そのための手当てとして財政金融政策はしっかり支えるべきだろうと思います。それが構造、不良債権問題の改革が終わった後に財政再建というのを進めるというそういう手順だろうと思います。
ですから、優先問題ということでいきますと、まず景気の問題を考えて、財政再建というものを今から、今急ぐ必要はないと思います。逆に今年度予算につきましては、少しいろんな面で財務省の方ではこの再建の方に急ぎ過ぎているかなというふうな、そういった、何といいますか、感触は私は持っております。したがって、まず最初に経済の回復ということにしっかり努めるべきだろうというふうに思います。
山
山下英利#14
○山下英利君 どうもありがとうございました。
やはり景気を少しでも浮揚して患者の体力を少しでも付けていかなければ手術もできないということではないかと私は思っております。
続きまして、大久保先生の方に、今の労働市場の点につきましてちょっと御質問をさせていただきたいと思います。
先ほどお話のあったとおり、今の失業の中にはミスマッチがありますと、要するに特に若年層での失業という問題が大変深刻になってきているということであります。それで、一方では企業のリストラによって中高年齢層の失業者という形の、要するに言ってみれば中身の若干違った失業者が存在していると、そのような状況にあろうかと思いますけれども。
この今の失業問題を考えるに、それぞれにおいてやはり手だてを尽くしていかなければいけないと思いますけれども、長期の失業になった場合にやはり一番生活面で厳しいのは中高年だというふうに思っているんですけれども、中高年の失業者にちょっと的を絞りますと、今の状況というのは先生はどういうふうにごらんになっていらっしゃいますか。
この発言だけを見る →やはり景気を少しでも浮揚して患者の体力を少しでも付けていかなければ手術もできないということではないかと私は思っております。
続きまして、大久保先生の方に、今の労働市場の点につきましてちょっと御質問をさせていただきたいと思います。
先ほどお話のあったとおり、今の失業の中にはミスマッチがありますと、要するに特に若年層での失業という問題が大変深刻になってきているということであります。それで、一方では企業のリストラによって中高年齢層の失業者という形の、要するに言ってみれば中身の若干違った失業者が存在していると、そのような状況にあろうかと思いますけれども。
この今の失業問題を考えるに、それぞれにおいてやはり手だてを尽くしていかなければいけないと思いますけれども、長期の失業になった場合にやはり一番生活面で厳しいのは中高年だというふうに思っているんですけれども、中高年の失業者にちょっと的を絞りますと、今の状況というのは先生はどういうふうにごらんになっていらっしゃいますか。
大
大久保幸夫#15
○公述人(大久保幸夫君) 若年、中高年、二つの問題がございますが、規模は圧倒的に若年の方が大きいんだろうというふうに私は思います。ただ、おっしゃるとおり、中高年というのはこれは生活を支える人でもありますので、そのことに関してはケアする必要があると。
ポイントは、中高年は現在の会社を退社してから初めて対策を取るということではなかなか困難であると。つまり、在職中における次の行き先を見付けることの支援というものをやっぱり中心にまず置くべきなんだろうと。事実、早期退職優遇制度等を利用して離職した人たちの多くが長期失業者になっているというケースがございます。ここに政策の軸足を置いた上で、それでもなお先ほど申し上げたとおり長期失業に陥ってしまった人たちに対して個別のカウンセリングを含めた対策を取っていく、このバランスが私は大事なんだろうというふうに思っております。
この発言だけを見る →ポイントは、中高年は現在の会社を退社してから初めて対策を取るということではなかなか困難であると。つまり、在職中における次の行き先を見付けることの支援というものをやっぱり中心にまず置くべきなんだろうと。事実、早期退職優遇制度等を利用して離職した人たちの多くが長期失業者になっているというケースがございます。ここに政策の軸足を置いた上で、それでもなお先ほど申し上げたとおり長期失業に陥ってしまった人たちに対して個別のカウンセリングを含めた対策を取っていく、このバランスが私は大事なんだろうというふうに思っております。
山
山下英利#16
○山下英利君 どうもありがとうございます。
その中で、要するに政府が、セーフティーネットとして政府がやるべきこととそれから民間がやるべきことと、その辺のところをきちっと区分けをしていかなければいけないと、そのように思っているわけです。
それで、確かに長期の失業者に対する対策という中にあって、もちろん雇用保険、そういったものを延長するということもあろうかと思いますけれども、一方ではやはり再就職、実際に職に就くというところでの職業指導というのが非常に大きい部分を占めているんではないかなと私は思っております。
中高年の方は、ですからそういう形で何とか、もう家庭を支えるということで考え方もできている人が多いと思いますので、それは自分の希望と違う職種であっても何とかそこへ入り込んでいこうという気持ちが大変強いと思いますので、それはそれで一つの方向としていろんな手だてを考えていけばいいのかなと思うんですけれども。
若年層については、要するに今まで終身雇用制という日本での形で、実際会社に入って、そしてOJTで積み上げていくと。特に大企業なんかの場合には、そういう形での、なかなか中途採用という形での活性化というのはなかった。その代わり純粋培養によってその企業のカルチャーをしっかり身に付けた戦力を養っていったと。今、正にそれが崩れちゃっているわけなんですけれども。
私、自分自身で考えても、やはり就職するときに、就職活動の先生と話をしたときに、じゃ自分が将来何をやりたいんだというふうなところが、確たるものを持っている学生というのは、自分のことを言うわけではないですけれども、余りなかったんではないかなと。でも、それが、それで従来は進んできてしまった。ただ、今はそういう形ではないと。一つ言えるのは、終身雇用制の時代にやっぱり一つの方向として、大学出れば仕事が就ける、だからとにかく大学行けという流れがずっと来ていた。
今やはり我々がもう一度考えなきゃいけないのは、物作りと言われている中で、先ほど先生がおっしゃったような高校での求人が非常に少なくなっている、これを回復しなきゃいけないということがありますので、教育という面でのいわゆる官民の連携というところだけ、もう一つ、もう一点、もう一回先生からお言葉をいただいて、それで私の質問を終わらせていただきます。
この発言だけを見る →その中で、要するに政府が、セーフティーネットとして政府がやるべきこととそれから民間がやるべきことと、その辺のところをきちっと区分けをしていかなければいけないと、そのように思っているわけです。
それで、確かに長期の失業者に対する対策という中にあって、もちろん雇用保険、そういったものを延長するということもあろうかと思いますけれども、一方ではやはり再就職、実際に職に就くというところでの職業指導というのが非常に大きい部分を占めているんではないかなと私は思っております。
中高年の方は、ですからそういう形で何とか、もう家庭を支えるということで考え方もできている人が多いと思いますので、それは自分の希望と違う職種であっても何とかそこへ入り込んでいこうという気持ちが大変強いと思いますので、それはそれで一つの方向としていろんな手だてを考えていけばいいのかなと思うんですけれども。
若年層については、要するに今まで終身雇用制という日本での形で、実際会社に入って、そしてOJTで積み上げていくと。特に大企業なんかの場合には、そういう形での、なかなか中途採用という形での活性化というのはなかった。その代わり純粋培養によってその企業のカルチャーをしっかり身に付けた戦力を養っていったと。今、正にそれが崩れちゃっているわけなんですけれども。
私、自分自身で考えても、やはり就職するときに、就職活動の先生と話をしたときに、じゃ自分が将来何をやりたいんだというふうなところが、確たるものを持っている学生というのは、自分のことを言うわけではないですけれども、余りなかったんではないかなと。でも、それが、それで従来は進んできてしまった。ただ、今はそういう形ではないと。一つ言えるのは、終身雇用制の時代にやっぱり一つの方向として、大学出れば仕事が就ける、だからとにかく大学行けという流れがずっと来ていた。
今やはり我々がもう一度考えなきゃいけないのは、物作りと言われている中で、先ほど先生がおっしゃったような高校での求人が非常に少なくなっている、これを回復しなきゃいけないということがありますので、教育という面でのいわゆる官民の連携というところだけ、もう一つ、もう一点、もう一回先生からお言葉をいただいて、それで私の質問を終わらせていただきます。
大
大久保幸夫#17
○公述人(大久保幸夫君) 企業経営者も仕事に就く以前の教育に関してより積極的に協力、関与をしていく必要があるということを多くの方々がおっしゃり始めておりまして、正しくその点重要だと思います。大学生全員がホワイトカラーに就ける時代ではございませんので、こういったものがもう少し早い段階から、先ほどキャリア教育というふうに申し上げましたけれども、いろんな選択肢があるということを示すことが必要だと思います。
この発言だけを見る →山
高
高橋千秋#19
○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。
今日は、お二人、お疲れさまでございます。どうかよろしくお願いしたいと思います。
まず冒頭に、今十一時十分でございますが、既にアメリカの最後通告も制限を過ぎまして、一時間ぐらい過ぎましたが、まだ開戦はしていないようでございますけれども、今日二十日という日は非常に大きな意味を二つ持っていると思います。今日にもイラクの戦争が始まるのではないかとも言われておりますし、それから日銀の新体制が今日から正式に始まるという、そういう重要な日でございますけれども、正に今を象徴しているようなそういう日ではないかなと思います。
この財政再建、構造改革というお話、今もありましたけれども、この戦争ということで、今まで必死にいろいろ銀行も増資をしたりいろんなことをやりながらやってきたこともこの戦争でぶっ飛んでしまうのではないかというような意見も言われております。
戦争ということですから、先が見えませんし、なかなか予測をしづらいことでありますけれども、このことによって、先ほど岩本公述人の方から財政再建の話、構造改革の話ございましたけれども、かなり影響が出ると思いますし、先ほど十兆円を十年で減らしていくというお話ございましたけれども、こういうことも含めて、先行きどう考えていけばいいのか、この戦争についても含めてどう考えていけばいいのかというのをまず岩本公述人の方からお伺いをしたいと思います。
この発言だけを見る →今日は、お二人、お疲れさまでございます。どうかよろしくお願いしたいと思います。
まず冒頭に、今十一時十分でございますが、既にアメリカの最後通告も制限を過ぎまして、一時間ぐらい過ぎましたが、まだ開戦はしていないようでございますけれども、今日二十日という日は非常に大きな意味を二つ持っていると思います。今日にもイラクの戦争が始まるのではないかとも言われておりますし、それから日銀の新体制が今日から正式に始まるという、そういう重要な日でございますけれども、正に今を象徴しているようなそういう日ではないかなと思います。
この財政再建、構造改革というお話、今もありましたけれども、この戦争ということで、今まで必死にいろいろ銀行も増資をしたりいろんなことをやりながらやってきたこともこの戦争でぶっ飛んでしまうのではないかというような意見も言われております。
戦争ということですから、先が見えませんし、なかなか予測をしづらいことでありますけれども、このことによって、先ほど岩本公述人の方から財政再建の話、構造改革の話ございましたけれども、かなり影響が出ると思いますし、先ほど十兆円を十年で減らしていくというお話ございましたけれども、こういうことも含めて、先行きどう考えていけばいいのか、この戦争についても含めてどう考えていけばいいのかというのをまず岩本公述人の方からお伺いをしたいと思います。
岩
岩本康志#20
○公述人(岩本康志君) 私が十年という長い期間で話をしており、しかも現在は非常に困難な状況にあるということでございまして、要するに、現在は財政はむしろ拡張が必要であるが、将来は縮小しなければいけないということで、両方うまく説明しないと要するに矛盾したことを言っているような形になっているわけでございますが、長期の姿をしっかり描くというところにはもう戦争の影響といいますか、それはない形で描くということになろうかと思います。その状態で考えるということだろうと思います。
イラクの影響といいますのは余りにも最近過ぎまして、しかも不確定要素が大きいものですから、完全に正確に読み切ることは難しいんですけれども、しかしながら、戦争が日本経済に悪影響を与えると、その戦争の帰結の仕方にもよると思いますけれども、負の影響になるということはある程度避けられないことだろうというふうに考えております。
しかしながら、それ以外にも日本経済には余り明るい材料というものは今のところ見当たらないというふうな状況でございまして、すべてをこのまま戦争のせいになすり付けるというふうなことになってはいけないと思いますし、戦争への対処も必要なんですけれども、それ以外の問題にもしっかり対処していくということがやはり必要だろうというふうに考えております。
これによって経済が悪化するかどうかということ、それに対しては対応を取るかどうかということだろうと思いますけれども、これは見極めないとはっきりしてこないと思いますので、今の段階ではなかなか申し上げにくいところがございます。これにつきましては、もう少し様子を見てから対応を考えるということになるのではないかなというふうに思っております。
この発言だけを見る →イラクの影響といいますのは余りにも最近過ぎまして、しかも不確定要素が大きいものですから、完全に正確に読み切ることは難しいんですけれども、しかしながら、戦争が日本経済に悪影響を与えると、その戦争の帰結の仕方にもよると思いますけれども、負の影響になるということはある程度避けられないことだろうというふうに考えております。
しかしながら、それ以外にも日本経済には余り明るい材料というものは今のところ見当たらないというふうな状況でございまして、すべてをこのまま戦争のせいになすり付けるというふうなことになってはいけないと思いますし、戦争への対処も必要なんですけれども、それ以外の問題にもしっかり対処していくということがやはり必要だろうというふうに考えております。
これによって経済が悪化するかどうかということ、それに対しては対応を取るかどうかということだろうと思いますけれども、これは見極めないとはっきりしてこないと思いますので、今の段階ではなかなか申し上げにくいところがございます。これにつきましては、もう少し様子を見てから対応を考えるということになるのではないかなというふうに思っております。
高
高橋千秋#21
○高橋千秋君 もう一つ、先ほど申しました今日という日の日銀の新体制ということで、福井新総裁、インタビュー等を聞いてもかなり意欲を持って頑張ろうということで、私は期待をしたいと思うんですが、事前にいただいた資料等を見ると、財政と金融の新たな役割を前提にすると、日銀が財政政策の策定過程に関与すべきではないというようなことをここに資料ではいただいているんですが、この日銀の役割、政府の方はかなり日銀に頑張ってほしいというような、そういう意向が強い発言をよく聞きますし、日銀に何とか日銀に何とかとしょっちゅう出てくるんですね。
ただ私は、これは日銀の独自性ということを考えると、ここにいただいた資料のように余りそこに深く入っていくべきではないというふうに考えるんですけれども、これについてどうお考えでございますか。
この発言だけを見る →ただ私は、これは日銀の独自性ということを考えると、ここにいただいた資料のように余りそこに深く入っていくべきではないというふうに考えるんですけれども、これについてどうお考えでございますか。
岩
岩本康志#22
○公述人(岩本康志君) 今、政府と日銀の関係なんですけれども、政府は日銀に何かしてもらいたい、それから日銀の方は不良債権問題を政府がしっかり処理してもらいたいということで、お互いに相手にしっかりやってもらいたいという両すくみの状態になっているわけですね。この状態を変えなければいけないことだろうと思います。
それが政府と日銀が一体になってということの意味するところであろうというふうに私は解釈しているんですけれども、そのためには、これは両方が一遍に自分がやるべきことをやるという形で政策対応を取るべきだろうというふうに考えております。
そうすると、不良債権問題をしっかり処理し、なおかつデフレ対策をしっかり打つということだろうと思うんですけれども、私、先ほども申し上げましたけれども、デフレの解消、インフレが起こるためには、マネーサプライを増やそうと思っても不良債権がある限り増えないわけでありますから、不良債権処理抜きでデフレ再建ということはあり得ないというふうに考えております。
一方、デフレを何も日銀がやらない場合、どうなるかといいますと、デフレ対策を何もやらない場合にはどうなのかといいますと、不良債権問題は更に深刻化していくということでありますから、これは不良債権問題は日銀のスタンスにかかわらず、できるだけ早く片付けるというふうなことになろうかと思います。
ですから、これは政府はしっかりと勇気を持って不良債権問題に取り組むと。日銀の方に、何といいますか、これ以上いろんなことをやってもらいたいということで自分のやるべきことをやらないということではなくて、自ら進んでやっていただきたいというふうに考えております。そして、日銀はそれに関して当然協力はいろんなところで必要となってきますので、それをしっかり果たしてやって、さらに不良債権問題がしっかり片付いた後では、インフレがきちんと起こるような形で金融政策を運営していくということをやるべきだろうというふうに考えております。
この発言だけを見る →それが政府と日銀が一体になってということの意味するところであろうというふうに私は解釈しているんですけれども、そのためには、これは両方が一遍に自分がやるべきことをやるという形で政策対応を取るべきだろうというふうに考えております。
そうすると、不良債権問題をしっかり処理し、なおかつデフレ対策をしっかり打つということだろうと思うんですけれども、私、先ほども申し上げましたけれども、デフレの解消、インフレが起こるためには、マネーサプライを増やそうと思っても不良債権がある限り増えないわけでありますから、不良債権処理抜きでデフレ再建ということはあり得ないというふうに考えております。
一方、デフレを何も日銀がやらない場合、どうなるかといいますと、デフレ対策を何もやらない場合にはどうなのかといいますと、不良債権問題は更に深刻化していくということでありますから、これは不良債権問題は日銀のスタンスにかかわらず、できるだけ早く片付けるというふうなことになろうかと思います。
ですから、これは政府はしっかりと勇気を持って不良債権問題に取り組むと。日銀の方に、何といいますか、これ以上いろんなことをやってもらいたいということで自分のやるべきことをやらないということではなくて、自ら進んでやっていただきたいというふうに考えております。そして、日銀はそれに関して当然協力はいろんなところで必要となってきますので、それをしっかり果たしてやって、さらに不良債権問題がしっかり片付いた後では、インフレがきちんと起こるような形で金融政策を運営していくということをやるべきだろうというふうに考えております。
高
高橋千秋#23
○高橋千秋君 岩本公述人の資料等を読ませていただいても、構造改革という話がずっと出てまいりますし、先ほどのお話でも構造改革という話がございました。特に、弱い産業から強い産業に労働者をシフトしていくということ、これは大事なことだと思うんですが、私の実家は専業農家なんですが、農家が急にパソコンで事務仕事をやれと言われても、そう簡単にいかないんですね。さっき山下さんの質問でもアンマッチという話がございましたけれども、ミスマッチという話がありましたが、そう簡単にこの構造改革、特に個人の職業を変えていくというようなことはできないと思いますし、そしてそれをやっていくには、小泉さんはいつも、痛みを伴うが構造改革は必要だということをずっと言い続けておられますけれども、痛みだけ感じて結局何にもならなかったというようなことにもなりかねないというふうに思うんですね。
強い産業にシフトしていくというのは大変重要なことですが、今、日本で強い産業というか労働力を必要とする産業というのは、例えばサービス産業にしたってそうですが、今までの製造業というか、そういう製造業の多くの人たちを採用していたところから急にサービス産業へ移るというのもこれは大変なことだし、今必要とされているそういう産業で今まで吸収していた労働人口を全部吸収できるかというと、そこまで必要ない、かなり余ってくるのではないかなというふうに思うんですね。
こういうことについてどう考えられるか、岩本公述人と大久保公述人の両方にお伺いをしたいんですが。
この発言だけを見る →強い産業にシフトしていくというのは大変重要なことですが、今、日本で強い産業というか労働力を必要とする産業というのは、例えばサービス産業にしたってそうですが、今までの製造業というか、そういう製造業の多くの人たちを採用していたところから急にサービス産業へ移るというのもこれは大変なことだし、今必要とされているそういう産業で今まで吸収していた労働人口を全部吸収できるかというと、そこまで必要ない、かなり余ってくるのではないかなというふうに思うんですね。
こういうことについてどう考えられるか、岩本公述人と大久保公述人の両方にお伺いをしたいんですが。
岩
岩本康志#24
○公述人(岩本康志君) 産業構造の変化、就業構造の変化といいますのは、これは政府がそういうふうに誘導するということではなくて、もう既に現に起こっているものであって止められないものであろうというふうに私は認識しております。私の方の資料に示したグラフでも、製造業の就業者数がこれだけの割合、これだけの人数で九〇年代に減少をしていっているわけであります。別にこのように誘導したわけではありませんで、こういうことが経済の中の動きとして起こっているわけであります。
それに伴う痛みというものは相当大きいわけでありますが、これを乗り切らないと、その新しい展望は開けてこないというふうに私は思っております。これを止めるといいますか、この製造業の就業者数の低下といいますのは、政府が政策的に止めるということをすることは、長期的に見れば日本経済にとってはマイナスの影響になるだろうというふうに思います。
したがいまして、痛みは非常に大きいということは私も重々承知しておりますので、その痛みをできるだけ小さくするようなことはいろいろとしなければいけないというふうに思いますけれども、こういった痛みがもう生じてきているということは、もう日本経済にとって避けられない運命だろうというふうに認識すべきではないかというふうに考えております。
その点につきまして、ちょっとこの資料は、資料が取れる範囲として五三年から取っておりますが、これは長期の姿として日本の就業構造の変化というものを皆さんにお示ししたかったわけなんですけれども、それで、五〇年代で見ますと、農林業の従事者がこれだけの人数でいたわけでありまして、製造業の二倍程度だったわけですね。ところが、これが六〇年代、それから七〇年代の前半にかけまして、農林業の就業者が減って製造業の就業者が増えると。日本はこれだけのドラスティックな就業構造の変化ということを乗り切ってきたわけであります。
これがなければ、日本の戦後の経済成長もあり得なかったわけでありますので、このような就業の構造の変化、環境の対応として迫られているわけでありまして、それを乗り切らなければ日本経済の今後の発展というのはないのではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →それに伴う痛みというものは相当大きいわけでありますが、これを乗り切らないと、その新しい展望は開けてこないというふうに私は思っております。これを止めるといいますか、この製造業の就業者数の低下といいますのは、政府が政策的に止めるということをすることは、長期的に見れば日本経済にとってはマイナスの影響になるだろうというふうに思います。
したがいまして、痛みは非常に大きいということは私も重々承知しておりますので、その痛みをできるだけ小さくするようなことはいろいろとしなければいけないというふうに思いますけれども、こういった痛みがもう生じてきているということは、もう日本経済にとって避けられない運命だろうというふうに認識すべきではないかというふうに考えております。
その点につきまして、ちょっとこの資料は、資料が取れる範囲として五三年から取っておりますが、これは長期の姿として日本の就業構造の変化というものを皆さんにお示ししたかったわけなんですけれども、それで、五〇年代で見ますと、農林業の従事者がこれだけの人数でいたわけでありまして、製造業の二倍程度だったわけですね。ところが、これが六〇年代、それから七〇年代の前半にかけまして、農林業の就業者が減って製造業の就業者が増えると。日本はこれだけのドラスティックな就業構造の変化ということを乗り切ってきたわけであります。
これがなければ、日本の戦後の経済成長もあり得なかったわけでありますので、このような就業の構造の変化、環境の対応として迫られているわけでありまして、それを乗り切らなければ日本経済の今後の発展というのはないのではないかというふうに考えております。
大
大久保幸夫#25
○公述人(大久保幸夫君) まず、雇用の吸収は、そうはいってもサービス産業しかないというのが実態としてはまずあると思っていまして、サービス産業はこの十年間の間に三百数十万人雇用者を増やしているわけであります。そうすると、どうしてもサービス産業に期待せざるを得ないと。
ただし、おっしゃるとおり、ミスマッチは発生する可能性はあると思っておりまして、先ほども人材育成が究極の雇用対策であると、そしてそれは中長期的に結果が出るけれども、着手は今からしなきゃいけないというふうに申し上げたのがそのポイントでございます。つまり、金の問題と違って、人はあしたから急に変えることはできませんので、一定の適正スピードによって産業を移転していくとかいう変化が必要なんだろうと。つまり、適正な時間が掛かるんだろうというふうに思います。
ただし、サービス産業といっても、つまりすべて接客をしている人たちということではありませんで、このサービス産業を発展させていくためには、サービス産業の生産性を向上させていくということが非常に重要なことであります。そのときに、製造業で培ってきたノウハウがサービス産業で生きるということもありますし、またサービス産業の中でも伸び率が著しい、例えば介護、福祉や健康や医療やという問題に関しては、元々まだ十分な専門家がいない領域もたくさんありますので、ここに関してはどちらにしても一からのスタートだというふうに考えれば、そこにおける人材育成を強化するというのも一つの方向性だろうというふうに思います。
もう一つは、公共サービス。これに関しては、日本において公共サービスに携わっている従業員の比率はアメリカのシェアの半分ぐらいだというふうに言われています。つまり、一般の国民の間にはもっと幅広い公共サービスニーズがあるんだと。やり方によっては、ここにおいて大きな従業者、つまりこれは官と民がうまくパートナーシップを組みながら、一部は民営化しながらということもあるかもしれませんが、あるだろうというふうに言われておりますので、ここにもう一つの政策のポイントがあるのではないかというふうに私は思っております。
この発言だけを見る →ただし、おっしゃるとおり、ミスマッチは発生する可能性はあると思っておりまして、先ほども人材育成が究極の雇用対策であると、そしてそれは中長期的に結果が出るけれども、着手は今からしなきゃいけないというふうに申し上げたのがそのポイントでございます。つまり、金の問題と違って、人はあしたから急に変えることはできませんので、一定の適正スピードによって産業を移転していくとかいう変化が必要なんだろうと。つまり、適正な時間が掛かるんだろうというふうに思います。
ただし、サービス産業といっても、つまりすべて接客をしている人たちということではありませんで、このサービス産業を発展させていくためには、サービス産業の生産性を向上させていくということが非常に重要なことであります。そのときに、製造業で培ってきたノウハウがサービス産業で生きるということもありますし、またサービス産業の中でも伸び率が著しい、例えば介護、福祉や健康や医療やという問題に関しては、元々まだ十分な専門家がいない領域もたくさんありますので、ここに関してはどちらにしても一からのスタートだというふうに考えれば、そこにおける人材育成を強化するというのも一つの方向性だろうというふうに思います。
もう一つは、公共サービス。これに関しては、日本において公共サービスに携わっている従業員の比率はアメリカのシェアの半分ぐらいだというふうに言われています。つまり、一般の国民の間にはもっと幅広い公共サービスニーズがあるんだと。やり方によっては、ここにおいて大きな従業者、つまりこれは官と民がうまくパートナーシップを組みながら、一部は民営化しながらということもあるかもしれませんが、あるだろうというふうに言われておりますので、ここにもう一つの政策のポイントがあるのではないかというふうに私は思っております。
高
高橋千秋#26
○高橋千秋君 先ほどもお話に出ました、公共の部分が採用する、緊急的に採用するということも必要ではないかなと思うんですが、IMF管理下の韓国に行ったときに、かなりの失業者が出て、その失業者の方々の救済のために毎日掃除をさせる人を行政が雇っているというような話も聞いたことがあるんですが、財政再建には逆行するかも分からないんですけれども、政府なり行政なりがこういう緊急のときに対応をしなければならない役割というのはかなり重いというふうに思うんですね。その点、大久保公述人、いかがお考えになりますでしょうか。
この発言だけを見る →大
大久保幸夫#27
○公述人(大久保幸夫君) おっしゃるとおりなんですが、ただやり方が大変難しいんだろうというふうに思っております。
現在も各都道府県に基金が運用を任せられていて、いわゆる地方自治体自らが雇用を創出するということをやっておるわけでありますが、これは半年間を前提として失業者を雇い入れるという事業になっておりまして、なかなかその後の雇用にはつながっていかないんですね。つまり、単純にこの基金の枠組みを作るだけじゃなくて、どうやってもう少し恒常的な雇用の場に育てていくのかというシナリオが必要なんだろうと思います。現状のままでは、短期的に不特定多数の失業者に対して半年間賃金を配るだけの仕組みになってしまっている。
おっしゃるとおり、公共がやる役割は、ある時期はあっていいと思うんですが、その方法論についてはもう一段階の研究が必要だろうというふうに思っています。
この発言だけを見る →現在も各都道府県に基金が運用を任せられていて、いわゆる地方自治体自らが雇用を創出するということをやっておるわけでありますが、これは半年間を前提として失業者を雇い入れるという事業になっておりまして、なかなかその後の雇用にはつながっていかないんですね。つまり、単純にこの基金の枠組みを作るだけじゃなくて、どうやってもう少し恒常的な雇用の場に育てていくのかというシナリオが必要なんだろうと思います。現状のままでは、短期的に不特定多数の失業者に対して半年間賃金を配るだけの仕組みになってしまっている。
おっしゃるとおり、公共がやる役割は、ある時期はあっていいと思うんですが、その方法論についてはもう一段階の研究が必要だろうというふうに思っています。
高
高橋千秋#28
○高橋千秋君 大久保公述人の話の中にも出ましたが、オランダ方式ですね、オランダ式のワークシェアリング、これについては非常に考え方としては画期的な方法ではないかなと思うんですが、ただ、日本的な社会の中にそれが合うのかどうかということも一方であると思うんですね。
私も会社員をしておりましたけれども、やはり仕事をした後、皆で仕事が終わった後、赤ちょうちんへ行って酒を飲みながら会社の愚痴を言いながらみんなで協調していくという、まあ日本的な良さの部分もあったかと思うんですが、だんだんそういう部分もこのオランダ式ワークシェアリングでいくとなかなか難しいだろうと。
一方で、やっぱりこれだけ過剰になってきた中で、そういうワークシェアリングすることは当然求められていくんでしょうけれども、そういうキャリアを積むだとか、それから先ほど申しましたように、会社やそういう職場の中でのチームワークやらそういうことを考えると、完璧にそれに乗ってしまっていいのかなという心配もありますし、今後、労働人口が、この少子高齢化の中でだんだん働ける人が今後減っていくと思うんですね。アメリカのようにどんどん移民を入れられればいいんですが、日本ではそう簡単に、今は既に外国人の就業者も多いわけですけれども、そう簡単にアメリカのようにはいかないと。
こういう部分についてオランダ式のワークシェアリングの在り方、それからそういう日本的な在り方、両方を比較して、大久保公述人、どうお考えになりますでしょうか。
この発言だけを見る →私も会社員をしておりましたけれども、やはり仕事をした後、皆で仕事が終わった後、赤ちょうちんへ行って酒を飲みながら会社の愚痴を言いながらみんなで協調していくという、まあ日本的な良さの部分もあったかと思うんですが、だんだんそういう部分もこのオランダ式ワークシェアリングでいくとなかなか難しいだろうと。
一方で、やっぱりこれだけ過剰になってきた中で、そういうワークシェアリングすることは当然求められていくんでしょうけれども、そういうキャリアを積むだとか、それから先ほど申しましたように、会社やそういう職場の中でのチームワークやらそういうことを考えると、完璧にそれに乗ってしまっていいのかなという心配もありますし、今後、労働人口が、この少子高齢化の中でだんだん働ける人が今後減っていくと思うんですね。アメリカのようにどんどん移民を入れられればいいんですが、日本ではそう簡単に、今は既に外国人の就業者も多いわけですけれども、そう簡単にアメリカのようにはいかないと。
こういう部分についてオランダ式のワークシェアリングの在り方、それからそういう日本的な在り方、両方を比較して、大久保公述人、どうお考えになりますでしょうか。
大
大久保幸夫#29
○公述人(大久保幸夫君) オランダと日本の状況はかなり違うと思いますね。オランダは元々女性の就業率が極めて低かったので、この女性の就業率を高めようという政策であった。しかも、オランダというのは、賃金抑制をこのワークシェアリングでやりましたのでEUの周辺各国から仕事が流入してきた、これによって雇用が増えたという構造がありますので、同じことが日本で言えるかといえば、多分言えないんだろうというふうに思います。ですから、日本には日本に合ったワークシェアリングを考えなきゃいけないと、こういうことになると思います。
ただ、日本の労働というのは、非常に私、硬直的だと思っていまして、一つは、正社員だと転勤しろと言えば転勤しなきゃいけないし、労働時間もかなり長期にわたるし、そして会社のその組織の中に縛られる部分もあって、いわゆる旧来で言われれば会社人間的なものを促進してきたという側面があります。一方、パートタイマーは、正社員の賃金の七〇%しかもらえなくて補助的労働で、正社員と似たような環境にはいるんだけれども、これはワークシェアリングは、働き方の違いというよりは、何か身分が違うような扱いをされてきたということがあります。
つまり、この硬直的な二つの働き方しかなかった。そのことに関して、もっと段階的にいろんな働き方があっていいんじゃないかという考え方が結果的にワークシェアリングになっていればいいというふうに私は思っておりまして、日本には日本に合った労働モデルを考える必要があるということは大前提だというふうに思っております。
この発言だけを見る →ただ、日本の労働というのは、非常に私、硬直的だと思っていまして、一つは、正社員だと転勤しろと言えば転勤しなきゃいけないし、労働時間もかなり長期にわたるし、そして会社のその組織の中に縛られる部分もあって、いわゆる旧来で言われれば会社人間的なものを促進してきたという側面があります。一方、パートタイマーは、正社員の賃金の七〇%しかもらえなくて補助的労働で、正社員と似たような環境にはいるんだけれども、これはワークシェアリングは、働き方の違いというよりは、何か身分が違うような扱いをされてきたということがあります。
つまり、この硬直的な二つの働き方しかなかった。そのことに関して、もっと段階的にいろんな働き方があっていいんじゃないかという考え方が結果的にワークシェアリングになっていればいいというふうに私は思っておりまして、日本には日本に合った労働モデルを考える必要があるということは大前提だというふうに思っております。