吉井英勝の発言 (憲法調査会)

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○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 今日、憲法問題の中心課題というのは、憲法違反の現状に憲法を変えて合わせようとする改憲の立場をとることではなく、憲法のすべての条項を厳格に遵守するということ、平和的、民主的条項の完全実施を図ること、このことだと考えております。
 二十一世紀の世界の大局の流れを見てみますと、憲法九条というのは時代おくれどころか時代の先駆けをなすものです。
 それは、憲法九条の戦争放棄の精神が、独立と主権の尊重、武力行使の放棄などを大原則とする、ASEANの平和憲法と呼ばれておりますタック、TAC、東南アジア友好協力条約に、中国とインドが加入して、二十数億人が参加する強力な平和の流れがアジアの大勢になってきている、こういうところにもあらわれています。
 二〇〇〇年の国連ミレニアム・フォーラムの平和、安全保障、軍縮グループの報告書では、すべての国がその憲法において日本国憲法第九条に表現される戦争放棄原則を採択するという提案が強調されています。
 二十一世紀こそ、憲法九条の理想が世界に生きる世紀となってくる。世界に誇るこの宝を放棄してこれを改悪しようなどというのは、前世紀の帝国主義や植民地主義、侵略戦争の時代に逆行する時代錯誤の愚行となるということを私は考えなきゃいけないと思います。
 さて、小泉総理はイラクへの自衛隊派兵を憲法前文の一部を持ち出して合理化しようとしていますが、これは憲法をつまみ食いし、その上で歪曲するというものです。憲法前文は自衛隊派兵を正当化するものにはなりません。
 第一に、総理が引用した前文第二段には、総理があえて無視した最初の一文があります。すなわち、「日本国民は、恒久の平和を念願し、」から「われらの安全と生存を保持しようと決意した。」というところは、第九条の戦争放棄の基本的立場を示したものです。この決意は侵略戦争の反省から導かれたものであり、自国の安全と生存は武力と戦争によって維持するのではなく、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼することによって維持しようと決意したものであります。そこに九条の戦争放棄、戦力不保持の原則があらわれてきます。前文と九条とが密接に関係していることは、憲法制定の経過を見ても、これは明らかなことです。
 第二に、総理が引用した「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」という言葉は、戦争やテロの背景である人権侵害や貧困を克服しそれを解消していくことと、平和のうちに生きていくことが不可分であるとの認識に立って、それを全世界の国民の権利としてうたったものであります。今この権利を最も乱暴に侵害されているのがイラクの国民であると思いますし、それをもたらしたのが国際法違反、国連憲章違反の米国の無法な戦争であり、それに続く軍事占領である。このことを指摘するものであります。
 第三に、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」というこの前文第三段の言葉というのは、戦前の日本の偏狭な国家主義を排撃するということを意味しているものです。戦前の日本は、万邦無比の国体の原理を盲信して、戦前の日本帝国主義、軍国主義が利己的で偏狭な国家主義、侵略戦争に走り、その結果としてアジアで二千万人、日本の国民三百十万人が犠牲となりましたが、この歴史の教訓、反省の中から、他国を無視する独善的な態度が排除されなければならないということを示し、そこから「政治道徳の法則は、普遍的なものであり、」この文言に続いてまいります。こういうふうにもともと述べられているものであります。
 さらに、海外派兵に反対するということ自体が、自国本意の立場だとか、「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」との文句に反するものだとか、あるいは集団安保体制に積極的に参加することがこの文句の趣旨に合致するものであるというような解釈、あるいは一国平和主義ではだめというのは、これは全くのねじ曲げだ、このことは前文の制定過程、歴史的経過を見ても明らかであると考えます。
 小泉総理は、自衛隊を派兵しないと国際社会から孤立するかのように言いますが、現実には、イラク派兵は圧倒的多数の国がこれを拒否しているというこの現実を見ておかなければいけないと思います。
 今日、イラク派兵と結んで出てきている改憲論の目的は、海外での武力行使はできない、米軍支援をするにしても武力行使と一体となった支援はできないと答弁してきたこの立場を捨てることにあります。また、踏みにじられながらも海外での武力行使の手足を縛っている憲法九条を改定して、自衛隊を国軍と認め、海外での戦争に武力行使を行う参加が公然とできるようにする、そこにねらいがあるものと思います。
 日本がなすべきことは、自衛隊派兵ではなく、米英軍主導の占領支配から国連中心の復興支援に枠組みを変更し、そのもとでイラク国民に速やかに主権を返還するための外交努力を行うこと。それこそ憲法九条を持つ国にふさわしい国際貢献でありますし、今、私たちが国際貢献ということを考えるときには、憲法九条に誇りを持って、この立場から国際的に働きかけていく、これがアジアの中での大きな大局の流れ、そして国連ミレニアム・フォーラムなどに見られる国際的な大きな流れである。また、その立場で頑張ることが、努力を尽くすことが、これは日本国憲法を持つ国としての、世界に本当に大きな役割を果たす、名誉ある地位を得ることのできる日本の道筋である。このことを申し述べまして、私の発言を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 吉井英勝

speaker_id: 7611

日付: 2004-01-22

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会