憲法調査会

2004-01-22 衆議院 全81発言

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会議録情報#0
本国会召集日(平成十六年一月十九日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
   会長 中山 太郎君
   幹事 小野 晋也君 幹事 近藤 基彦君
   幹事 船田  元君 幹事 古屋 圭司君
   幹事 保岡 興治君 幹事 大出  彰君
   幹事 仙谷 由人君 幹事 古川 元久君
   幹事 赤松 正雄君
      伊藤 公介君    岩永 峯一君
      衛藤征士郎君    大村 秀章君
      倉田 雅年君    河野 太郎君
      下村 博文君    杉浦 正健君
      棚橋 泰文君    渡海紀三朗君
      中谷  元君    永岡 洋治君
      平井 卓也君    平沼 赳夫君
      二田 孝治君    松野 博一君
      森岡 正宏君    森山 眞弓君
      綿貫 民輔君    伊藤 忠治君
      鹿野 道彦君    木下  厚君
      楠田 大蔵君    玄葉光一郎君
      小林 憲司君    鈴木 克昌君
      園田 康博君    田中眞紀子君
      武正 公一君    辻   惠君
      計屋 圭宏君    増子 輝彦君
      村越 祐民君    山花 郁夫君
      笠  浩史君    太田 昭宏君
      斉藤 鉄夫君    福島  豊君
      山口 富男君    土井たか子君
平成十六年一月二十二日(木曜日)会長の指名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。
 最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員
      小野 晋也君    下村 博文君
      平沼 赳夫君    船田  元君
      森岡 正宏君    保岡 興治君
      綿貫 民輔君    大出  彰君
      小林 憲司君    計屋 圭宏君
      古川 元久君    増子 輝彦君
      赤松 正雄君    山口 富男君
      土井たか子君
 最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員長
                保岡 興治君
 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員
      伊藤 公介君    大村 秀章君
      河野 太郎君    近藤 基彦君
      渡海紀三朗君    中谷  元君
      平井 卓也君    伊藤 忠治君
      大出  彰君    楠田 大蔵君
      田中眞紀子君    武正 公一君
      福島  豊君    山口 富男君
      土井たか子君
 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員長
                近藤 基彦君
 基本的人権の保障に関する調査小委員
      小野 晋也君    倉田 雅年君
      棚橋 泰文君    平井 卓也君
      船田  元君    古屋 圭司君
      松野 博一君    園田 康博君
      辻   惠君    村越 祐民君
      山花 郁夫君    笠  浩史君
      太田 昭宏君    山口 富男君
      土井たか子君
 基本的人権の保障に関する調査小委員長
                山花 郁夫君
 統治機構のあり方に関する調査小委員
      岩永 峯一君    衛藤征士郎君
      杉浦 正健君    永岡 洋治君
      二田 孝治君    古屋 圭司君
      森山 眞弓君    鹿野 道彦君
      木下  厚君    玄葉光一郎君
      鈴木 克昌君    辻   惠君
      斉藤 鉄夫君    山口 富男君
      土井たか子君
 統治機構のあり方に関する調査小委員長
                木下  厚君
平成十六年一月二十二日(木曜日)
    午前九時四分開議
 出席委員
   会長 中山 太郎君
   幹事 小野 晋也君 幹事 近藤 基彦君
   幹事 船田  元君 幹事 古屋 圭司君
   幹事 保岡 興治君 幹事 大出  彰君
   幹事 木下  厚君 幹事 仙谷 由人君
   幹事 山花 郁夫君 幹事 赤松 正雄君
      伊藤 公介君    岩永 峯一君
      衛藤征士郎君    大村 秀章君
      倉田 雅年君    河野 太郎君
      下村 博文君    杉浦 正健君
      棚橋 泰文君    渡海紀三朗君
      中谷  元君    永岡 洋治君
      平井 卓也君    平沼 赳夫君
      二田 孝治君    松野 博一君
      森岡 正宏君    森山 眞弓君
      綿貫 民輔君    伊藤 忠治君
      鹿野 道彦君    楠田 大蔵君
      玄葉光一郎君    小林 憲司君
      鈴木 克昌君    園田 康博君
      田中眞紀子君    武正 公一君
      辻   惠君    計屋 圭宏君
      増子 輝彦君    村越 祐民君
      笠  浩史君    和田 隆志君
      太田 昭宏君    斉藤 鉄夫君
      福島  豊君    吉井 英勝君
      土井たか子君
    …………………………………
   衆議院憲法調査会事務局長 内田 正文君
    —————————————
委員の異動
一月二十二日
 辞任         補欠選任
  古川 元久君     和田 隆志君
  山口 富男君     吉井 英勝君
同日
 辞任         補欠選任
  和田 隆志君     古川 元久君
  吉井 英勝君     山口 富男君
同日
 幹事大出彰君同日幹事辞任につき、その補欠として山花郁夫君が幹事に当選した。
同日
 幹事古川元久君同日委員辞任につき、その補欠として木下厚君が幹事に当選した。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 幹事の辞任及び補欠選任
 小委員会設置に関する件
 委員派遣承認申請に関する件
 小委員会における参考人出頭要求に関する件
 日本国憲法に関する件
     ————◇—————
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中山太郎#1
○中山会長 これより会議を開きます。
 この際、幹事の辞任及び補欠選任についてお諮りいたします。
 幹事大出彰君から、幹事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中山太郎#2
○中山会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 ただいまの幹事の辞任による欠員のほか、委員の異動に伴いまして、現在幹事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、会長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中山太郎#3
○中山会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、幹事に
      木下  厚君 及び 山花 郁夫君
を指名いたします。
     ————◇—————
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中山太郎#4
○中山会長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 最高法規としての憲法のあり方について調査するため小委員十五名からなる最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員会
 安全保障及び国際協力等について調査するため小委員十五名からなる安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会
 基本的人権の保障について調査するため小委員十五名からなる基本的人権の保障に関する調査小委員会
及び
 統治機構のあり方について調査するため小委員十五名からなる統治機構のあり方に関する調査小委員会
をそれぞれ設置いたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
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中山太郎#5
○中山会長 起立多数。よって、そのように決しました。
 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中山太郎#6
○中山会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。
 なお、先例により、会長及び会長代理につきましては、小委員会に出席できることといたしたいと存じますので、御了承願います。
 次に、小委員及び小委員長の辞任の許可及び補欠選任につきましては、あらかじめ会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中山太郎#7
○中山会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次に、小委員会におきまして参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中山太郎#8
○中山会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ————◇—————
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中山太郎#9
○中山会長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
 日本国憲法に関する調査のため、来る三月十五日、広島県に委員を派遣いたしたいと存じます。
 つきましては、議長に対し、委員派遣の承認を申請いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中山太郎#10
○中山会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、派遣委員の人選等につきましては、会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中山太郎#11
○中山会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ————◇—————
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中山太郎#12
○中山会長 次に、日本国憲法に関する件について調査を進めます。
 本調査会は、設置以後、人権の尊重、主権在民、再び侵略国家にならないという三つの原則を堅持しつつ、日本国憲法の制定経緯、戦後の主な違憲判決、二十一世紀の日本のあるべき姿に関する調査を経て、小委員会において、個別論点の調査、憲法の全条章についての網羅的な調査を行うとともに、全国八都市において地方公聴会を開催し、国民各層から日本国憲法に関する意見を聴取してまいりました。
 また、平成十四年十一月一日には、この間の調査の経過及びその内容を取りまとめた中間報告書を作成し、議長に提出いたしました。
 なお、この間、衆議院より派遣された議員団による諸外国の憲法事情に関する調査も四回行われております。
 本調査会では、天皇制や憲法九条の問題など、これまで議論をすること自体が避けられてきた分野につきましても調査を行ってまいりました。このような分野における調査においても、終始冷静かつ熱心に討議が行われてきたと理解しております。
 各小委員会や調査会においての議論を積み重ねる中で、象徴天皇制の存続など各党の考え方の集約が見られる分野、首相公選制など慎重あるいは消極的な意見が多く見られた分野、安全保障など意見の対立がある分野等があったと承知しておりますが、いずれにいたしましても、憲法に関する議論が格段に深まってきたことは大変喜ばしいことと存じます。
 申し上げるまでもなく、憲法は国民のものであります。しかしながら、我が国では、自衛隊と憲法九条との関係だけでなく、戦後間もなく始められた私学助成と、憲法八十九条の公の支配に属さない団体への公金支出禁止規定との関係、人事院勧告の実施に伴い行われた裁判官報酬の引き下げと憲法七十九条、八十条の裁判官報酬の減額禁止規定などとの関係といった違憲の疑いが指摘される諸問題について、解釈を通じて問題解決を図ろうとするいささか安易な対応がなされてきたことは否めないのではないかと存じます。
 さらには、憲法九十六条の改正手続規定の具体化である国民投票制度が未整備であることは立法の不作為行為であるとの批判もあるところであり、国民投票法案及び国会法一部改正法案が注目を集めております。
 今月二十日にイラク復興支援のため陸上自衛隊の先遣隊がイラクのサマワに到着し、連日報道されておりますが、自衛隊による対応措置の実施が憲法九条の禁ずる武力の行使と評価されないことをどう担保するか、国連の枠組みのもとにおける国際協力の重要性等、従来から、憲法九条のもとで我が国がどのように国際協力を果たしていくのかについて議論がなされてきましたが、今なお一層議論を深めていく必要があると存じます。
 その他、年金、医療、福祉といった社会保障のあり方と憲法の問題、電子政府の構築に伴って生ずるプライバシーの憲法上の保護の問題、両院制を維持すべきか一院制をとるべきかなど、国会の組織はいかにあるべきかという議論、地方税財源、道州制の議論など、人権、統治の分野において、憲法的視点からの議論が十分であるとは言えない課題もまだ残されており、こういった諸問題に関し、憲法に対する国民の信頼を確保するという観点を踏まえ、憲法の規定を正面から十分に検討、議論することが必要であります。
 本調査会の調査期間は、議院運営委員会理事会の申し合わせにより、おおむね五年程度をめどとすることとされており、我々に残された時間はあと一年程度となってまいりました。よって、今国会では、さきに申し上げましたようないまだ議論の行われていない分野、憲法的論議の不十分な分野についての調査が不可欠であります。
 さらには、来るべき最終報告書の作成に向け、憲法議論の整理、集約を視野に入れた議論を試みる必要もあるのではなかろうかと存じます。大変困難な作業であるとは存じますが、我々国会議員がこの困難を乗り越え、その成果を国民に提示できてこそ、その職責を全うすることができるのであります。
 第一党である自民党は、平成十七年十一月の立党五十年をめどとして新憲法草案を起草するとし、第二党である民主党は、平成十八年までに新たな憲法のあり方を国民に示したいとして、それぞれ憲法改正について積極的な姿勢を打ち出したところであり、憲法論議の機運がにわかに高まってきております。本調査会においても、このような状況を踏まえ、憲法問題に関する論点を掘り下げた、より建設的な憲法の議論が行えるのではなかろうかと考えている次第であります。
 かねてより申し上げておりますとおり、私といたしましては、国民的な論争の対象となっている時事的な諸問題につきましても、当調査会が日本国憲法についての調査を行うに際し、あわせて議論を行うことが、その広範かつ総合的な調査にとって極めて有益であると考えております。
 そのような観点からも、本日は、最近の情勢にかんがみて、安全保障問題、社会保障と国民負担率の問題、三位一体論などの地方分権の問題等を中心として国民的に関心の高い憲法的諸問題について、活発な御議論をいただきたいと存じております。
    —————————————
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中山太郎#13
○中山会長 議事の進め方でありますが、まず、各会派一名ずつ大会派順に十分以内で発言していただき、その後、順序を定めず自由討議を行いたいと存じます。
 御発言は、自席から着席のままお願いいたします。
 発言時間の経過につきましては、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。
 それでは、まず、古屋圭司君。
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古屋圭司#14
○古屋(圭)委員 自民党の古屋圭司でございます。
 昨年十一月の総選挙後初めての委員会でございます。早速、自民党を代表して発言をさせていただきます。
 今週から国会が始まっておりますが、この国会の主要なテーマは、安全保障、社会保障、地方分権、こういったテーマが大きな柱でございますけれども、憲法を論じる視点からも、このテーマは重要な柱をなしています。
 そこで、きょうは、この三つのテーマに関して意見を述べさせていただいた上で、今後の憲法調査会のあり方、進め方について意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず安全保障でございますが、冷戦終えん後、世界規模の武力紛争の可能性は遠のきましたが、一方では、やはりグローバル化の負の遺産として、地域紛争の発生だとか大量破壊兵器の拡散、また九・一一に象徴されるテロの脅威というものが出現しました。また、北朝鮮による拉致問題であるとかあるいはミサイル発射問題、核兵器開発問題は、我が国の安全にとっても差し迫った脅威であります。
 九条は、国の主権や国民の生命財産を守るための国の基本的な責務を定めたものでありますけれども、しかしこの九条をめぐりましては、これまでに、一体我が国は自衛権を保持しているのか、自衛権の行使として認められる範囲はどこまでなのかといった視点で永遠の議論が繰り返されてきたわけでございます。内閣法制局の集団的自衛権の権利はあるが行使はできないという解釈の上に、我が国の安全保障やあるいは国際協力に関する一連の法律が積み重ねられてきたわけでございまして、その結果、九条をめぐる議論というのは、非常に国民にとってわかりづらい、難解なものになってしまい、いわば神学論争ともやゆされているわけであります。
 一方、現行憲法は、六十年近く一度の改正もされておりません。時の変化に対応できなくなっており、現実からかけ離れているということも否定できないと思います。
 日本の安全と発展というのは、やはり世界の平和と安定が不可欠の前提条件だと思います。その観点から、我が国は当然のことながら国際的な平和創造活動に積極的に参加をすべきであります。しかし、むしろ逆に、自国の防衛に必要な武力行使の限度を定めるはずのこの九条の存在が理由となって、国際貢献に支障を来しているというのが実情だと思います。
 以上の状況を踏まえまして、九条並びに前文の改正に向けて、次のような提言をしたいと思います。
 まず第一、九条一項の侵略戦争放棄の理念は今後とも堅持をする。
 第二点、国民の生命財産を守るという国の責務を果たす意味でも、また一国平和主義の批判から脱却する意味でも、国際社会の実情にそぐわない二項、これは戦力の不保持及び交戦権の否認でありますけれども、これを削除。その上で、個別的であるかあるいは集団的であるかを問わず、自衛のための権利を保持することを認める、そしてこれを行使できるということを明記いたしまして、国の防衛と国際貢献を担う主体として自衛隊の憲法上の位置づけを明確にする、こういうことであります。
 第三番目は、大規模な災害であるとかあるいは侵略等の非常事態においては、首相への権限集中、そして人権の保護とか制約に関する非常事態条項というものを新たに設けるということが三番目であります。
 また、この九条の改正に当たっては、前文との整合性を保つという必要もございますので、前文の見直しを行う必要があるということはもう申し上げるまでもありません。特に、国際貢献に積極的に取り組む姿勢を内外に示すため、国際社会の平和と繁栄の実現に日本が積極的に貢献するということを明記すべきだというふうに考えます。
 以上が安全保障についての提言です。
 二番目でございますが、社会保障についてでございます。
 社会保障制度の中で中核をなすのは公的年金制度でございますけれども、憲法二十五条の生存権をいわば具体化する重要な制度でありまして、昭和三十六年に国民皆年金ができまして、これによって国民の安心と国の発展を大いに下支えをしてきたということは、もう異論のないところであります。
 しかし今、国民は、老後の生活だとか年金に大変不安を抱いておりまして、将来に対するこういった不安というものが経済の沈滞化の一因となっていることは非常に残念なことであります。そういった意味で、年金制度改革というのは喫緊な政治課題であることは、もう申し上げるまでもないことであります。
 この年金改革の推進に当たって、まず、国民一人一人がみんなで国を支えるという意識を持つ、これが重要だと思います。やはり、国民は国家という共同体の一員であるわけでありますので、お互いに支え合い、応分の義務、負担を果たすことなくして、共同体も個人の生活も成り立たないわけであります。したがって、年金制度維持のためには、このみんなで支え合うという理念に基づいて、世代間で公平な負担を担うという意識が必要であります。
 しかし、一方では、その負担増ということによって現役世代に過分な負担を強いるということになりますと、勤労意欲が失われ、結果として経済の活力が喪失するようなことがあっては、これは本末転倒でありますので、そこで、例えば保険料の設定などの具体的な検討を行うに当たりましては、やはり国民負担率というのが大変重要な意味を持つと思います。したがって、憲法の改正の議論に当たりましても、この国民負担率の問題について、国の財政との関係において徹底的な議論を行った上でそれを位置づけていく必要があるんではないかというふうに思います。
 次に、三番目の地方分権に関して発言をさせていただきます。
 地方自治に関する条文は、御承知のように九十二条から九十五条でございますけれども、全体の構成から見るとやや迫力不足であるということは否めないと思います。
 九十二条に定める「地方自治の本旨」というのは、それぞれの地域が、歴史、文化、伝統ある独自性を発揮して、地域の自主性あるいは自立性を高めて、多くの住民の協力と参加によって個性豊かで活力に満ちた地域づくりをする、こういうことだというふうに理解をいたしておりますけれども、この地方自治の本旨に基づく地方自治を進めるためには、まず、国の関与というものを縮小して地方の権限と責任を大幅に拡大するということは、これは不可欠であることだと思います。
 したがいまして、財政面においては、できるだけ自前の財源を地方に付与する、補助金の削減、縮減を図る、地方交付税のあり方も自主性を重視するように改めていくということが重要だと思います。ということは、地方公共団体の自己責任、自己決定の原則が徹底をされるということでありまして、このことは、真に住民本位の行政サービスの提供につながるということが大変期待されるわけであります。そういった視点から現在国会においても議論しておりますし、また、取り組み始めました国庫補助金・負担金の廃止・縮減、基幹税の充実を基本とした税源移譲、地方交付税の見直し、いわゆる三位一体改革をまず徹底的に進めるということが大前提だと思います。
 その上で、明治維新の廃藩置県以来の地方の形の創造とも言える道州制というものをやはり将来は目指していくべきでありまして、憲法改正の議論に当たっても、このことをしっかり反映させていく必要があるんではないかというふうに思っております。
 以上が地方分権についてでございます。
 残された時間、わずかでございますので、最後に、この憲法調査会における議論の進め方について申し上げたいと思います。
 この調査会においては、一昨年、小委員会ができまして、個別の論点についていろいろな調査を行ってまいりました。残された論点についてこの国会で徹底的な調査を行いまして、それを踏まえて、やはり各党の憲法に対する具体的な考え方というものを早急にこの調査会の場に提示して、それを土台に議論していく必要があるのではないかと考えております。
 自民党は、来年結党五十周年を迎えますが、小泉総理・総裁も指摘をしているように、平成十七年に新憲法草案をまとめる方向で、今党内でも活発な議論を進めておりまして、各党においても具体的な憲法改正の案について議論を進めていくということをぜひ期待したいと思います。
 この調査会の活動期間はおおむね五年間ということなので、もう残された時間は多くありません。そこで、最終報告書において方向性を示すことができるように、積極的、精力的に議論を積み重ねていっていただきたいと思います。
 また、本調査会が最終報告を提出した後ですけれども、やはり、議案提出権を有する機関というものを早急に設置して、憲法改正の発議に向けてさらに議論を深めていくべきだと考えます。
 また、今会長から指摘もありましたように、憲法改正について定めるいわゆる九十六条の規定、これを具体的に実施するための法整備がなされていないということは、いわば立法府の不作為に当たるとも言えますので、憲法改正のための国民投票法案等々、関連法案を直ちに整備する必要があるというふうに考えます。
 結びに当たりまして、やはり、二十一世紀という新しい時代にふさわしい、世界に誇るべき国民のための憲法、この制定に向けて早急に議論を進めて、合意形成を図っていくべきだと考えます。
 以上をもって私の発言にかえさせていただきます。ありがとうございました。拍手
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中山太郎#15
○中山会長 次に、仙谷由人君。
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仙谷由人#16
○仙谷委員 民主党の仙谷でございます。
 本年第一回目の憲法調査会の冒頭の発言の機会をお与えいただきまして、感謝をいたしております。
 私からは、今日的な問題関心のある、イラクへの自衛隊派遣の法的な、あるいは憲法的な問題点を申し上げたいと思いますが、その前に、頭の整理といたしまして、というよりも、本年当初、私がある意味で注目をしました三つの裁判といいましょうか、裁判的事例が目につきましたので、そのことからお話をさせていただきたいと思います。
 まず第一番目には、最高裁判所大法廷が、参議院議員の二〇〇一年七月選挙の定数配分等についての合憲、違憲問題を判断した事例でございます。
 この中で福田博裁判官は、司法が違憲判断を回避し続ければ、現在の司法制度から違憲立法審査権を奪う結果につながる。つまり、日本でも憲法裁判所が必要になるという議論が勢いを増すよ、したがって余り回避をしてはいけない、こういう趣旨のことを福田裁判官がおっしゃったということでございます。もちろん、実質十対五の違憲判決だと言われるような事態にまでこの参議院の定数問題がなっているということも一つの大きい問題であります。
 二番目には、イタリア憲法裁判所が、いわゆる総理等の免責法案について違憲判決をすっきりと出したという事例であります。
 三番目は、ドイツ、フランスの財政赤字が対GDP比三%超になったことに対して、EU委員会がついにEUの司法裁判所にこれを提起する、制裁金の支払いを提起する、こういう事例が報道されているわけであります。
 つまり、何が申し上げたいかというと、ここでは、日本の司法当局を含めて、法の支配が貫徹をしない、権力に向けられた法律、規範というものが機能しないで、既成事実がずるずると続いていく、この事態を我々はどう考えるのかということが、私は、この憲法調査会で憲法論議をする前提的な問題、極めて大きい問題だというふうに、この間考えているからでございます。
 イタリア憲法裁判所、EUの司法裁判所が、政府の行う行為を、ある意味で抽象的なレベルでこれを違憲あるいは違法と判断をして決着をつけて、違憲ならば憲法を変えるか法律を変えるか、あるいは制度を変えるか行政のやり方を変えるか、いずれかを選択していく、このことについて、国民各階層の合意がなければ法の支配は貫徹しない、こういうことを示して余りあると思うんです。
 つまり、私は憲法を変えてはならないなどと申しません、法律も変えてはならないなどということは申しません。しかし、変えるべき前提は、法律がある限りは権力を行使する者はその法律を守るというこの前提が約束されない限り、権力を行使する段階では、法律を拡大解釈したり、解釈によって意味内容を変更させることを平然と行いながら、今度は憲法を変える。では、変えた憲法を果たして守ろうとする気があるのかないのか。日本の法律に対する国民の意識も含めてここがとりわけ為政者の最大の問題であろうか、こういうふうに私は思っているわけでございます。
 そこで、法の支配と自衛隊のイラク派遣というテーマでお話をさせていただきますが、もし仮に日本に憲法裁判所が存在するとするならば、民主党は多分、小泉内閣のイラクへの自衛隊派遣についてこれを訴えるということになるでしょう。つまり、ドイツのコソボ紛争への域外派兵について、ドイツ社会民主党がこれを憲法違反だというふうに訴えて、ドイツの憲法裁判所がこれを合憲という判断をしました。その当否はともかく、私は、こういう決着のつけ方をしていかないと、いつまでもずるずるといってしまうというのが法の支配という観点からは一番危険だというふうに考えているから、こういうふうに申し上げているわけであります。
 具体的に、自衛隊のイラク派遣でありますが、私は、この派遣は国際法上の根拠が全くないと考えております。他国の領土に日本の実力部隊、国際法上はこれは軍隊というふうに認定されると思いますが、これが存在する、その根拠が全くない、これは国際法上も違法であります。
 また、アメリカのイラク攻撃自体はいわゆる国連憲章に言う個別的もしくは集団的自衛権の行使に当たらないことは、これはだれしも認めざるを得ないわけであります。ましてや、集団安全保障の措置でないこともアメリカも自認をしておるわけでありますから、したがいまして、これが、つまりイラク攻撃自体が国連憲章に反していることは、これはアナン事務総長の言をかりるまでもなく、国連憲章に反していることは疑うべくもないと思います。また、これに引き続く占領行為も何の法的な正当性もない。
 したがいまして、自衛隊がこの国連憲章違反の、そして国際法上何の根拠もない占領行為の一翼を担うものである限り、国際法に反して、かつ国連憲章違反の行為であると言うべきであろうかと私は思います。
 小泉総理は、この派遣は日米同盟に基づくものであるといっときおっしゃっておりました。または、日米同盟の強化のために必要だというふうに自民党の方々もおっしゃるのかもわかりません。
 思い起こしてみますと、日米同盟の法律形式というのは何でしょうか。日米安保条約ということになるはずであります。しかし、同条約の適用される地理的な範囲は、日本の施政下にある領域ないしは極東に限られることは明かであります。つまり、ファーイーストはミドルイーストとは全く違うということを法律上は覆せないわけであります。したがいまして、この派遣は安保条約にすら反していると言って過言ではないと私は考えております。
 もう一点でありますが、したがいまして、日本国憲法を幾ら拡大解釈しても、国連憲章に基づいて国連の枠組みで活動する場合を除いては専守防衛に限定されるべき自衛隊が、日本の施政下にない地域でその軍事的な力を持って行動し、プレゼンスをとるということは、憲法の予定する範囲を大きく超えているというふうに私は考えます。
 小泉内閣や自民党の方々が、しかしながら、憲法違反であり、国際法違反であり、安保条約にすら反しているこのイラク派遣が必要である、政策的に、政治的にこの派遣はどうしても必要だ、やむを得ないと言うのであっても、必要であるとおっしゃるのであっても、これだけ法律を踏みにじってイラク派遣を行うということは、私は、法の支配という観点からあってはならない。つまり、これを認めるとすれば、必要性の名のもとであれば法律を無視することができる、力で何をやってもいいということになってしまうんではないんでしょうか。
 我々は、法の支配、つまり法治主義や法治国家というものを否定するということになりますと、みずからのよって立つ基盤をすべてみずからの手で否定してしまうことになるんじゃないでしょうか。どうしてもイラク派遣が必要だとおっしゃるのであれば、国連憲章を変える、日米安保条約の中身を変更する、日本国憲法を改定する、すべてのこういう法的な手続を行ってからやっていただかなければ法の支配を貫徹することにならないんではないかということをまず冒頭に申し上げたいと存じます。
 以上であります。
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中山太郎#17
○中山会長 次に、福島豊君。
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福島豊#18
○福島委員 自由討議ということでありますので、私は、社会保障制度と憲法という視点で発言をさせていただきたいと思っております。
 日本国憲法におきましては、第二十五条で、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定されております。この条文は、前段の健康で文化的な最低限度の生活が国民の権利として規定されているということ、そして後段におきまして、社会福祉、社会保障、公衆衛生、これが同列に取り扱われ、その向上と増進に対する国の責務が規定されているという特徴がある、そのように思います。
 当憲法調査会におきましても、中間報告書を拝見させていただきましたが、生存権についてさまざまな意見が現在までに提出されております。国家の生存権の保障のあり方、福祉国家のあり方、国家の保障と社会保険による共助の関係をどう整理するのかなどの指摘がなされているわけでございます。
 実態として、日本における社会保障制度は、憲法制定当時から大きく発展をいたしました。医療制度に関しては、国民皆保険制度を実現し、その給付の充実が図られてきたわけであります。年金制度におきましても、国民皆年金制度の実現等その給付の充実が図られました。また、平成十二年からは介護保険制度が導入され、高齢者の介護についても社会保険方式での給付の充実が図られるとなったわけでございます。世界におきましても最も充実した社会保障制度を構築した国の一つであると指摘できると思います。
 こうした制度の充実によりまして、現在の社会保障給付費は八十兆円を超え、昭和二十五年の一千億円に比較しますと、名目では八百倍、国民所得に対しての比率は、昭和二十五年の一〇%弱から現在の二〇%を超える水準へと倍増いたしております。そして、高齢化の進行とともに、さらにこの規模が増大するということは明らかであります。
 一方では、このような社会保障給付を支える財源をどうするのか。先ほども古屋幹事から国民負担率の問題が指摘をされました。累積する公的債務のもとで財政健全化を図らなければならない、これは我が国にとりまして最重要な課題の一つでございますけれども、そうした視点からもこのような問題にどう対応するのかということを今検討しなければならないわけでございます。制度としての社会保障制度の充実と、二十一世紀の高齢化の進行の中でその抱える課題、こうした二つの側面があると思います。
 一方で、憲法としてどうなのか、憲法として規定をどうするのかということを考えたときに、憲法制定当時と大きく異なった現在の社会保障制度をこの憲法二十五条の規定とどのように対応させていくのかということが極めて大切な課題であるというふうに思っておりますし、そのような視点から、憲法の改正の議論の中におきましても、大切な項目として検討を進めさせていただきたいと思っております。
 ここから私の私見を述べさせていただきます。
 このような視点から考えますと、二十五条の前段と後段、これを政策的にどのような性格のものとして位置づけるのかという議論がまずあるのではないかと思っております。前段の「健康で文化的な最低限度の生活」、この規定は生存権とも言われておりますけれども、ナショナルミニマムとしての公的扶助、生活保護の制度を導き出す規定というふうにとらえることができるのではないかと思います。そしてまた後段につきましては、より広範な給付を想定する社会保障制度を導き出す規定とする、このような整理ができるのではないかと私は思っております。
 そしてまたこの二つは、それぞれの財政的な裏づけということを考えたときに、前段の公的扶助につきましては、国民の権利として基本的に位置づけられるということにかんがみて、租税をもってその財源として位置づけることができる。そして後段の社会保障制度は、共助による制度と位置づけて、社会保険方式による社会保障制度と位置づけることも可能ではないかというふうに思っております。
 こうした前段のナショナルミニマムとしての公的扶助、そして後段のより高い給付を想定する社会保障制度、このような立て分けをした上で、より具体的なことを申し上げたいと思っております。
 特に、後段につきましては、社会福祉、社会保障そして公衆衛生、この三つのものが同列に並べられているわけでございまして、こうした表現というものが現在の政策体系に照らして果たして適切なのかどうかということを考える必要があります。
 とりわけ、社会福祉、社会保障が並べられておりますけれども、この二つの言葉が政策的にどのような異なった政策領域を指しているのか、必ずしも明らかではないわけでございます。現在の政策体系では、社会福祉は広範な政策領域を含んでおります。先ほど前段に位置すると申し上げました公的扶助、また児童福祉、障害者福祉、高齢者福祉など、幅広くその政策領域はわたっております。一方で、また社会保障は、制度としては、年金、医療そして近年では介護もその領域として含まれるようになりました。
 こうした政策領域をどう規定するのかという観点から、先ほど申しましたように、この二十五条の後段は、共助による社会保険方式を基礎とする、政策領域を位置づけるという考え方でいけば、共助による社会保障制度として、年金、医療、介護制度、こういうものを後段に位置づけて、そしてその安定した運営を通じて国民生活の安定と向上を図るというような規定に改めるべきではないかと思います。
 この場合に、国がどこまで関与するのか、そしてまた共助としての社会保障制度の水準というものはいかにあるべきか。こうしたことは直ちに憲法の条文に反映するわけではないと私は思いますけれども、十分な議論が必要であろうというふうに思っております。
 そうしますと、社会福祉ということで盛り込まれた政策領域はどういうふうな扱いになるのかということがあろうかというふうに思っております。私は、ここのところは大幅に条文をふやすべきではないかというふうに個人的には思っております。例えば、児童福祉については、よりこれを広範に、次世代の育成、次世代を健全に育成していく、これは国家として極めて大切な営みでございます。そうした新しい条文を設ける。国は次世代育成のために、教育、福祉などさまざまな施策を通じてそれを行うというような規定も考えられるのではないかと思っております。
 二十六条には教育に関しての規定がございますけれども、教育というのは、生涯教育という言葉もありますように、これは必ずしも次世代の育成だけにかかわる話ではありません。ですから、それとは別の視線で次世代の育成ということを、国家がこれを推し進めるというような観点もあるのではないかというふうに思っております。
 また、障害者の福祉はどうするんだということを考えたときに、日本国憲法については、障害者について直接的に規定した条文というものはないわけでございます。基本的人権には、国民は法のもとに平等であるということが書かれておりますけれども、そこにある言葉の中には、障害の有無という言葉が入っておりません。こうしたことを考えたときに、障害者の平等と社会参加、差別の禁止を明確にするという規定を憲法の中に置くということも一つの考え方ではないか、そのように思っております。
 こうした規定を置くことによって、二十五条の後段に社会福祉と簡単に書かれておりますことを、より現在の政策体系とも照応する形で進んだ内容にすることができるのではないかと思っております。
 また、公衆衛生でございますが、これは、社会保障制度が憲法制定当時と大きく変わったように、現在はその当時と大きく変わっているということも事実であると思っております。生命の安全という視点や健康の確保という観点からは、より広く環境の安全、例えば、空気や水、土壌の安全といった環境全般の安全性の確保、そしてまた食品の安全といった領域も視野に入れなければならない時代となったのではないかと私は思います。そうした観点から、公衆衛生は第二十五条から外し、環境権を定める条文の新設とともに、安全な空気や水、土壌を確保し健康を維持する権利と国の責務、また食品の安全を確保する国の責務、こういった新しい規定を設けるということも一つの考え方ではないかと思います。
 こうした現在の社会保障制度そしてまた公衆衛生、幅広く言えば生命の安全を守るさまざまな政策体系、こういうものに照応した形で二十五条の中身というものを見直し、より拡充した形で憲法の中に規定すべきである、このことを私の個人的な意見として申し上げまして、陳述を終わります。
 ありがとうございました。拍手
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中山太郎#19
○中山会長 次に、吉井英勝君。
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吉井英勝#20
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 今日、憲法問題の中心課題というのは、憲法違反の現状に憲法を変えて合わせようとする改憲の立場をとることではなく、憲法のすべての条項を厳格に遵守するということ、平和的、民主的条項の完全実施を図ること、このことだと考えております。
 二十一世紀の世界の大局の流れを見てみますと、憲法九条というのは時代おくれどころか時代の先駆けをなすものです。
 それは、憲法九条の戦争放棄の精神が、独立と主権の尊重、武力行使の放棄などを大原則とする、ASEANの平和憲法と呼ばれておりますタック、TAC、東南アジア友好協力条約に、中国とインドが加入して、二十数億人が参加する強力な平和の流れがアジアの大勢になってきている、こういうところにもあらわれています。
 二〇〇〇年の国連ミレニアム・フォーラムの平和、安全保障、軍縮グループの報告書では、すべての国がその憲法において日本国憲法第九条に表現される戦争放棄原則を採択するという提案が強調されています。
 二十一世紀こそ、憲法九条の理想が世界に生きる世紀となってくる。世界に誇るこの宝を放棄してこれを改悪しようなどというのは、前世紀の帝国主義や植民地主義、侵略戦争の時代に逆行する時代錯誤の愚行となるということを私は考えなきゃいけないと思います。
 さて、小泉総理はイラクへの自衛隊派兵を憲法前文の一部を持ち出して合理化しようとしていますが、これは憲法をつまみ食いし、その上で歪曲するというものです。憲法前文は自衛隊派兵を正当化するものにはなりません。
 第一に、総理が引用した前文第二段には、総理があえて無視した最初の一文があります。すなわち、「日本国民は、恒久の平和を念願し、」から「われらの安全と生存を保持しようと決意した。」というところは、第九条の戦争放棄の基本的立場を示したものです。この決意は侵略戦争の反省から導かれたものであり、自国の安全と生存は武力と戦争によって維持するのではなく、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼することによって維持しようと決意したものであります。そこに九条の戦争放棄、戦力不保持の原則があらわれてきます。前文と九条とが密接に関係していることは、憲法制定の経過を見ても、これは明らかなことです。
 第二に、総理が引用した「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」という言葉は、戦争やテロの背景である人権侵害や貧困を克服しそれを解消していくことと、平和のうちに生きていくことが不可分であるとの認識に立って、それを全世界の国民の権利としてうたったものであります。今この権利を最も乱暴に侵害されているのがイラクの国民であると思いますし、それをもたらしたのが国際法違反、国連憲章違反の米国の無法な戦争であり、それに続く軍事占領である。このことを指摘するものであります。
 第三に、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」というこの前文第三段の言葉というのは、戦前の日本の偏狭な国家主義を排撃するということを意味しているものです。戦前の日本は、万邦無比の国体の原理を盲信して、戦前の日本帝国主義、軍国主義が利己的で偏狭な国家主義、侵略戦争に走り、その結果としてアジアで二千万人、日本の国民三百十万人が犠牲となりましたが、この歴史の教訓、反省の中から、他国を無視する独善的な態度が排除されなければならないということを示し、そこから「政治道徳の法則は、普遍的なものであり、」この文言に続いてまいります。こういうふうにもともと述べられているものであります。
 さらに、海外派兵に反対するということ自体が、自国本意の立場だとか、「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」との文句に反するものだとか、あるいは集団安保体制に積極的に参加することがこの文句の趣旨に合致するものであるというような解釈、あるいは一国平和主義ではだめというのは、これは全くのねじ曲げだ、このことは前文の制定過程、歴史的経過を見ても明らかであると考えます。
 小泉総理は、自衛隊を派兵しないと国際社会から孤立するかのように言いますが、現実には、イラク派兵は圧倒的多数の国がこれを拒否しているというこの現実を見ておかなければいけないと思います。
 今日、イラク派兵と結んで出てきている改憲論の目的は、海外での武力行使はできない、米軍支援をするにしても武力行使と一体となった支援はできないと答弁してきたこの立場を捨てることにあります。また、踏みにじられながらも海外での武力行使の手足を縛っている憲法九条を改定して、自衛隊を国軍と認め、海外での戦争に武力行使を行う参加が公然とできるようにする、そこにねらいがあるものと思います。
 日本がなすべきことは、自衛隊派兵ではなく、米英軍主導の占領支配から国連中心の復興支援に枠組みを変更し、そのもとでイラク国民に速やかに主権を返還するための外交努力を行うこと。それこそ憲法九条を持つ国にふさわしい国際貢献でありますし、今、私たちが国際貢献ということを考えるときには、憲法九条に誇りを持って、この立場から国際的に働きかけていく、これがアジアの中での大きな大局の流れ、そして国連ミレニアム・フォーラムなどに見られる国際的な大きな流れである。また、その立場で頑張ることが、努力を尽くすことが、これは日本国憲法を持つ国としての、世界に本当に大きな役割を果たす、名誉ある地位を得ることのできる日本の道筋である。このことを申し述べまして、私の発言を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
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中山太郎#21
○中山会長 次に、土井たか子君。
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土井たか子#22
○土井委員 社民党の土井たか子でございます。
 従来、この憲法調査会に私は属する希望を持っておったんでございますけれども、党の役職にございまして、どうも党の方の会議とこの時間が一致をいたしておりますために憲法調査会に出席することができませず、前回までは断念をいたしておりました。改めまして、これからメンバーに加えていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 今、課題は山ほどあるんですけれども、やはり最大の政治課題というと、イラクに対して、自衛隊が武装して、派兵と申し上げていいと思いますが、いよいよこれが決められて具体化するという国の主権のありよう、国家主権にかかわる問題としても大変重大な事柄が、目下、一番注目を浴びておりますし、憲法問題としても何といっても一番大きな課題だと私は思います。
 きょうは、その問題を申し上げて、そして、あと、改憲について、既に改憲案を二〇〇五年には具体化したいというふうなことが自民党の方からも出されておりますから、改憲をめぐる基本的な認識をどういうふうに考えたらいいかということを、私自身の考えとして申し上げさせていただきたいと思うんです。
 昨日から内閣総理大臣の施政方針演説に対して代表質問が始まりました。そのトップを切って民主党の菅代表が質問の冒頭に聞かれたのも、このイラクに対しての自衛隊の派遣の問題です。憲法に対して違反しているということを非常に明確にきのうは述べられておりましたけれども、それに対して、総理大臣の御答弁は、違反していないとおっしゃるわけですね。既に内閣でこの基本計画に対して閣議決定がなされた後、記者会見で説明をされた節にも、憲法の前文のある部分を読み上げられて憲法に矛盾しないということを言われておりました。施政方針演説の中も同じ箇所を取り上げて、憲法に違反しないと言われておりました。
 けれども、これを聞いて、果たして国民のどれほどの皆さんが納得なさったか、私はクエスチョンマークと思っております。前文のすべての箇所を読み上げられたわけじゃないんであって、後半部分の一部、それは、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という部分ですね。ここを取り上げて言われたわけです。しかし、この前半部分と、そしてあと半分の部分というのは一体ですから、憲法の前文のある部分だけというのは、いかにもこれは作為的だとしか言いようがないと私は思うんですね。
 しかも、この前文を受けて戦争放棄を掲げた九条というのがあるわけですから、九条もあわせて解釈することが当たり前だというのが、大体のところ、その学界における通説だと申し上げていいと思うんですよ。
 しかし、とうとう、九条に対しては聞かせていただくことができていないんです。九条に対しての解釈、九条に対しての認識というのがお聞かせいただけていないんですね。
 改めて九条の趣旨というのをここで確認しておきたいと私は思うんです。
 前文で、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないようにするということを決意して、この憲法が制定されているわけですが、つまり、戦争というのは、ゲリラとか個人的なレベルの戦争もありますけれども、少なくとも、フランス革命以降見てみますと、各国の間で起こった戦争というのは、国家という主体がかかわってきたと申し上げて大きく間違っていないと思うんです。国家は抽象的な概念ですから、戦争遂行主体を政府として考えると、日本国憲法の前文でも、戦争を遂行する主体は政府ということを明確に意識しているわけですね。日清、日露、日中十五年戦争、アジア太平洋戦争、これを含めまして、日本政府が直接戦争を遂行する主体であったというところが認識されているわけで、その反省を込めて、日本国憲法前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」というこの文言がここに書かれていると思うわけです。
 けれども、この部分は、前文の部分を先ほどもつまみ読みとおっしゃいましたけれども、言われる中からは外されているんですね。平和憲法という由来からすると、この前文のこの部分を受けた形で第九条は、戦争しないということを条文ではっきり明確化しているわけであって、この点は、認識の上では欠かすことができない問題だというふうに私は思っております。
 そうして、この第九条をめぐる問題から忘れてならないのは、一九五四年に今の自衛隊法と防衛庁設置法、二法が国会で立法されましたが、これを採決するときに、参議院で国会決議がつくられています。鶴見祐輔さんが提案趣旨説明をされているわけですけれども、この決議の名前は、「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」なんですね。中身を読んでみますと、ただいまも全くばっちりというふうに申し上げていい中身だと私は実は思います。「現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、茲に更めて確認する。」という中身なんです。
 戦後、日本にいろいろと新しい方向転換を示唆するがごとき要素を含む問題も出てきているけれども、自衛隊出発の初めに当たって、その内容と使途を慎重に検討して、我々が過去において犯したごとき過ちを繰り返さないようにすることは、国民に対して我々の担う厳粛なる義務であると思うのでありますという前置きがございまして、一番のこの決議の中で問題になるところだけを簡単にして読んでみます。
 どういうことが言われているかというと、「この日本国民の平和に対する希求は外国の指導に原因するものでもなく、又一時の流行でもありません。」「然るにこの自衛隊という文字の解釈について、政府の答弁は区々であつて、必ずしも一致しておりません。この間、果して思想の統一があるか、疑いなきを得ないのであります。その最も顕著なるものは、海外出動可否の点であります。」したがって、海外に出動するかしないかということが、一番のやはり焦点になったということがまず申し述べられた後に、「我が国の場合には、自衛とは海外に出動しないということでなければなりません。如何なる場合においても、一度この限界を越えると、際限もなく遠い外国に出動することになることは、先般の太平洋戦争の経験で明白であります。それは窮屈であつても、不便であつても、憲法第九条の存する限り、この制限は破つてはならないのであります。」と非常にはっきりこれは申し述べられている国会決議なんです。
 この国会決議は無効ではありません。ただいまも有効でございます。したがって、この決議からすると、ただいまのイラクに対しての自衛隊の派遣というのは、憲法の第九条からしても違反である。これははっきりしていると思うんですね。
 しかし、今、現に改憲ということを問題にされている方々の改憲論というのを見ますと、これは、憲法に則して状況を動かしていく、つくっていくということではないのであって、むしろ、憲法に違反した事実というのが先行させられることによって、それに合わせて憲法を変えるという側面なんですね。仙谷さんがさっきおっしゃったとおりであると私は思っています。為政者がこのことによって解釈をどんどんどんどん広げていけばいくほど憲法の形骸化が進む。形骸化が進むにつれて、その乖離をどのように調整するかというときに、憲法に則して事実を改めるとか改善するという方策をとることをサボタージュして、憲法に違反した事実に合わせて憲法を変えるという側面が、改憲論の中ではその出発点としてあるのが現実の問題でございますから、私は、そこのところを憲法の改正とは言わないと思うんです。
 改正というのは、正しく変えると書きます。したがって、中身からすれば改善されるということでなきゃならないわけで、それでは、今の憲法に違反している事実に即して憲法を変えるということは、どう言ったってやはり改悪としか言いようがないと私は思うんですね。
 改善するということに対して、憲法は九十六条で改正という言葉を使っているわけであって、改悪が具体的な中身になっていることに対して、これを改悪すると改憲論者の方々はおっしゃいません。すべてこれを改正とおっしゃるからややこしいんであって、改悪である実態に対して改正と言うのは間違いだと私は思っていますから、その辺が非常に大事な問題だと思っています。
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中山太郎#23
○中山会長 土井たか子委員に申し上げます。申し合わせの時間が経過しておりますので、結論をお願いいたします。
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土井たか子#24
○土井委員 今申し上げたことは入り口でございますけれども、もう時間の方が先に来てしまいましたから、また引き続きこの問題について申し述べる機会を与えていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
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中山太郎#25
○中山会長 これにて各会派一名ずつの発言は終わりました。
    —————————————
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中山太郎#26
○中山会長 次に、委員各位からの発言に入ります。
 一回の御発言は五分以内におまとめいただくこととし、会長の指名に基づいて、御着席のまま、所属会派及び氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いをいたします。
 御発言を希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。御発言が終わりましたら、戻していただきたくお願いいたします。
 それでは、ただいまから御発言をお願いしたいと思います。御発言を希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。
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中谷元#27
○中谷委員 先ほどから、自衛隊の派遣につきまして、憲法違反という御意見もありましたし、憲法に違反していないという御意見もありましたが、この論争は、自衛隊自身が憲法違反だと言われたこともありますし、日米安保が反対だという時期もありました。しかし、憲法を明確にすることによって、もうこの論議に結論を得るべき時期に来ていると思います。
 今回のイラク派遣につきましては、憲法に書かれているのは、武力行使をしない、そして憲法の解釈としては、集団的自衛権を行使しないということでありまして、この範囲で、では、日本がどういうことができるのか。これは周辺事態やテロ特措法のときも議論をされたわけでありますが、要するに、戦闘が行われない地域、戦闘が将来行われそうにない地域で、後方支援に限って貢献をする、これは憲法に触れないということとして、自衛隊に出動を命じて国際貢献をしている例でありまして、政府や与党の立場としては、憲法違反でないということは担保しつつ行動するということです。しかし、国会でもこれをもって憲法違反と言われるわけでありまして、これは、先ほど仙谷委員から憲法裁判所があればという話がありましたが、裁判所に持ち込んだとしても、これは国会が判断すべきことであるということで、明確にならないのが予想されます。
 したがいまして、国会の責任として、このあいまいさを解決する意味でも、今の時期において、まさに武力行使や正当防衛の範囲とか国際貢献の内容、また我が国周辺における米軍の行動に対する日本の対応など、これまであいまいとさせていた部分をはっきりさせる時期に来ているんじゃないかと思いますので、ぜひ、この際、具体的に憲法についての議論を進めていただきたいと思います。
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中山太郎#28
○中山会長 ただいまの御発言は安全保障及び国際協力についての御発言でございましたので、議事整理上、これに関する御意見と議論を先行させていきたいと考えております。
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赤松正雄#29
○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。
 先ほど、私どもの仲間から社会保障に関する話がありました。私の方から、安全保障に関することについて、若干公明党の考え方を述べさせていただきたいと思います。
 先ほど、仙谷幹事の方から極めて自制をきかせられた御発言があった。昨日の菅代表とは大分違うなという思いをいたしました。私どもの代表に挑発的なことをおっしゃった代表に比べたら、先ほど回していただいた仙谷委員のペーパーには、先ほどもおっしゃっていましたが、自民党の方々や小泉内閣が、こういう格好で、公明党を名指しにされていないのはなかなかの御配慮だなという思いを持って聞かせていただきました。
 実は私、この憲法調査会でもしばしば発言してきたことと重なるかもしれませんが、きょうの仙谷幹事のお話、非常に、なかなか、さすが弁護士出身で、明快におっしゃっているんですが、唯一一点、私が気になるというか、違うと思いますのは、日本の実力部隊という言葉、あるいは軍事的力を持って行動しというくだりは、いささか違う。私は、自衛隊には実力部隊という側面、それから、いわゆる緊急援助隊的側面といいますか、災害復興に当たる側面と二つある。その後者の部分をやろうとしているんだということがまずある。
 したがって、先ほど来のお話の展開の仕方、いわゆる法の支配が貫徹していないじゃないかというお話は、極めて鋭い御指摘だとは思いますが、私たちは今、国際政治の現実の中でどういうふうに日本が生きていくのがいいのかという総合的な観点から苦悩しつつ選択をしようとしているというところが正直なところだろうと思います。
 そこで、要するに、私が今強く思いますことは、今、イラク特措法がつくられたときと現時点のイラクの状態に治安をめぐって大きな乖離があるというような指摘がされますが、私は、イラクに起こっている事態というものを、よく貧困や経済的な観点から、いわゆる反アメリカ的な思いがあって、いわゆる伝統的な政治テロの発露としてのテロリズムというとらえ方と、もう一歩、そうじゃない、そういうんじゃなくて、反文明、反自由主義社会というか、ある論者に言わせると、二十世紀型病理現象という形としてのテロととらえるべきだ、こういうふうな学者がいますが、私はそのとらえ方が正しいだろうというふうに思います。
 言ってみれば、この事態というのは、まさに新しい戦争の時代が今イラクを中心にこの世界に起こってきている。もちろん、こういった事態というものは、私どもの、日本国の憲法が想定していなかった事態であるし、まさに古い戦争ではない、新しい戦争の時代に新しい平和主義というものをどう確立していくのかということが今まさに問われているんだろうと思います。
 十三年前ですか、正確にちょっと、違うかもしれませんけれども、湾岸戦争から今日に至るまでの約十三年間というのは、まさに日本にとって苦悩の十三年だったろうと思います。私ども公明党も、かつて、十三年前の時点、あの湾岸戦争のときに起きた世界から日本に対する批判というものを受けて、PKO法の成立に最大の力を注ぎました。PKO法の中にいわゆる五原則をビルトインすることにも必死になって取り組みました。そういう観点からすれば、今のイラク事態というものに対して自衛隊を派遣するというのは、極めて厳しい選択だろうと思います。
 しかし、先ほど冒頭に申し上げましたように、アメリカの行動というか連合国の行動に対して、後方から非軍事で、先ほど申し上げましたような、そういう実力部隊としての実力行使をするんではなくて、人道支援、復興ということに関して限定をして自衛隊を派遣するということについては、私はぎりぎりの憲法解釈だろう、まさに拡大解釈とかいうんじゃなくて適正な解釈だろう、こんなふうに思っているところでございます。
 以上です。
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